ラファエル前派私論 INDEX |
はじめに
ジョン・エヴァレット・ミレイの『オフィーリア』『プライズメイド』やダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの『プロセルピナ』『ベアタ・ベアトリクス』といった、女性を描いた耽美的な作品群は、その後の世紀末の唯美主義や象徴主義的な作品の先駆けとなるようなものとして、また、他方では19世紀末から20世紀初頭ごろから生まれてきた大衆社会の消費主義的な文化に入って、エロチックなイラストや写真にみられる間接的な影響から、それほど美術に詳しい知識や教養を持っていない私でも親しんでいました。まあ、上で述べたようなことは、教科書的なラファエル前派の説明からすれば、かなりズレていて、主観的な偏向に満ちているものであることは確かですが。その後、ラファエル前派をそれとして取り上げた展覧会やミレイやロセッティ等の画家の展覧会を観に行くことがあって、一般には私の思っているようにラファエル前派を取り上げていないことが分かりました。しかし、また、一方、ラファエル前派には私の感じている側面がないとは、一概には否定しきれない面もあるとの思いも強くしたのは事実です。 そこで、かなり偏向した視点ではあるでしょうけれど、私なりのラファエル前派観を少しくまとめてみたいと思うようになりました。そういう視点で興味を覚えた方は、この先を覘いてみていただければ、これほど嬉しいことはありません。ただし、ここでは一般的にラファエル前派というこういうものだというものを知りたいと思う方には、誤解を招く危険が多分にあると思いますので、注意していただきたいと思います。
ジョン・エヴァレイ・ミレイ 「両親の家のキリスト」 「マリアナ」 「安息の谷間」 「エステル」 「初めての説教」「第二の説教」
「ドルイド僧の迫害からキリスト教伝道師をかくまう改宗したブリトン人の家族」
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「海の呪文」
「薔薇物語」連作 フォード・マドックス・ブラウン 「干し草畑」「ヘンドンのブレント川」「穀物の収穫」 リバプール国立美術館蔵 英国の夢 ラファエル前派展(2016 BUNKAMURAザ・ミュージアム)
ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢(2014 森アーツセンター・ギャラリー) |