ラファエル前派周辺の画家
ジョージー・フレデリック・ワッツ
 

 

ラファエル前派の初期の画家たち、ミレイ、ロセッティ、ハントといった人たちとは世代的にひとまわり上ということになりますが、その象徴的な作風は彼らと通じるところもありました。そのせいか、当初の彼らに敵対しない数少ない画家だったそうです。かといって、彼らの運動に参加したり同調したりすることはせずに、適度に距離を置き続け、独自の位置にいたと思います。そのひとつの原因は、ラファエル前派のような平面的で細密な画風をとらず、ルネサンス絵画の影響を素直に受け入れる古典主義的な側面を持っていたからだと思います。

 

(1)伝記的事実

ジョージ・フレデリック・ワッツ(1817〜1904)はピアノ製造職人の息子としてロンドンに生まれ、病弱だったため正規の教育はほとんど受けられなかったといいます。繊細な子どもで、非常に早い時期から才能を示し、10歳で家族の友人だった彫刻家ウィリアム・ベーネスに素描を学び、18歳でロイヤル・アカデミー・オブ・アートに入学しました。1940年代にコンクール入賞によってイタリアに渡り、ミケランジェロやティツアーノの作品を熱心に研究したといいます。帰国後は、プリンセップの援護を受けてリトル・ホランド・ハウスに住み、ロセッティらと交流しながら影響を受け、強調された感覚の喜びと豊かな色彩を持った作品を描いたといいます。ただし、主題はモニュメンタルな聖書の主題や、人間の境遇を寓意的に描く傾向があったと言います。しかし。1870年代になると、ワッツの絵は、生命の不確かさ・はかなさ同様に、生命と進化のダイナミックなエネルギーを表現すべく、古典主義とだんだん結びついていくようになり、ロセッティや耽美的な傾向から離れて行きます。その後、ワッツの創作の目標は神秘的なイメージに変わってゆきました。たとえば、抽象画に先鞭をつけたような作品も描いています。なお、ワッツは肖像画家としての尊敬も受け、当時の著名な人々の肖像を多数描いています。

 

(2)象徴主義的かつ古典主義的な作風

1852年の適合的だったかもしれません。

 

(3)ワッツの主な作品

■希望

ワッツの代表作といっていい有名な作品。詳しくはこちらから。

■大洪水の後

ワッツの作品の中では有名なものではありませんが、抽象画と見紛うほどの前衛的なさくひんで、後世への影響の大きい作品。詳しくはこちらから。

■パオロとフランチェスカ

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■オルフェウスとエウリディケ

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■ミノタウルス

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