新任担当者のための会社法実務講座 第456条 基準株式数を定めた場合の処理 |
Ø基準株式数を定めた場合の処理(456条) 第454条第4項第2号の数(以下この条において「基準株式数」という。)を定めた場合には、株式会社は、基準株式数に満たない数の株式(以下この条において「基準未満株式」という。)を有する株主に対し、前条第2項後段の規定の例により基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた配当財産の価額として定めた額に当該基準未満株式の数の基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払わなければならない。 現物配当を行うに当たって、一定の数未満の数の株式(基準未満株式)を有する株主に対して配当財産の割当てをしないこととした(454条4項)ときには、基準未満株式を有する株主に対しては、金銭分配請求権を認める場合ついて配当財産の価額を定める455条2項で定める価額を基礎として、一定の金額を支払わなければならない(456条)。 454条3項は、株主に対する配当財産の割当てに関する事項の定めについて、株主の有する株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと定めています。そして、それは基準株式数を定めた場合(454条4項2号)も、株式の数に応じて、株主は経済的利益を受けることができなければならないとされています。そこで、基準未満株式を有する株主と基準株式数の株式を有する株主とが、その有する株式の数に応じても会社から経済的利益を受けることを確保するために、会社は、基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた配当財産の価額として定めた額に基準未満株式の数の基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払わなければならないとしています(456条)。 ここで、条文には、「前条(455条)2項後段の例により」とされているので、基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた「配当財産の価額として定めた額」は455条2項後段と同じように定められることになります。すなわち、配当財産が市場価格のある財産である場合には法務省令(会社計算規則154条)で定める方法で算定された額が、また配当財産が市場価格のある財産でない場合には株式会社の申立てにより裁判所が定める額が、配当財産の価額とされます。これは、支払うべき金銭の額の算定基礎となる配当財産の価額を画一的に定めることによって、会社にとっての事務処理の便宜を図っているものです。 関連条文 会計の原則(431条) 剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め(459条) 株主の権利の制限(460条) |