補充原則4−1.@
 

 

 【補充原則4−1.@】

取締役会は、取締役会自身として何を判断・決定し、何を経営陣に委ねるのかに関連して、経営陣に対する委任の範囲を明確に定め、の概要を開示すべきである。

 

〔形式的説明〕

原則4−1は、取締役会に対して、具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行うことをもとめています。そして、取締役会が、そのような議論を行うためには、取締役会と経営陣との経営分配が、適切かつ明確に定まっていることが必要であるとして、この補充原則において、取締役会に対して、「経営陣に対する委任の範囲を明確に定め、その概要を開示」することを求めています。なお、ここで開示が求められるのはあくまで「概要」であり、取締役会規則等の内規そのものを開示する必要はないと考えられます。この補充原則は東証のコーポレートガバナンス報告書において開示しなければならない11項目のひとつなので、各企業は開示に頭を悩ませるのではないかと思います。

では、どのように対処するか。とりあえず、教科書的な原則を述べていきましょう。それについて、各企業の現状に合うかどうかは別として、まずは、検討する尺度を示し、それをもとに考える、ということにしたいと思います。

取締役会の役割が法令上や経営上の重要な意思決定と取締役の業務執行の監督であるという、コーポレートガイ゛ナンス・コードの基本的な考え方をベースにして、取締役会の決議事項・報告事項と、業務執行の取締役や執行役・執行役員等の経営陣(あるいは経営陣からなる会議)等に委ねる権限事項を具体的に定め、その考え方と概要を開示します。例えば、取締役会の重要な意思決定は、戦略的方向付けと資源配分であるとし、日常の業務執行の意思決定は、経営陣や経営陣からなる会議体(経営会議、執行役会など)等に委ねます。多くの上場会社で取締役会規程等を設け、取締役会での決議事項や権限と責任を定めています。この規程の中で、法令上や経営上の重要な意思決定に関わるものを取締役会の決議事項として、それ以外は、原則として経営陣の意思決定に委ねるという内容に規定します。実際には、これほどスッパリ分けられないはずなので、これは極端なケースとして、取締役会の役割と経営陣に委ねる意思決定の範囲を規定するということになります。この旨と規程の概要を開示するということになります。

ただし、この範囲をきめるのが難しい。なかなか決められないというのが実情でしょう。実際のところ、規程で明快に定められていない場合が多いのではないでしょうか。その場合には、これまでの取締役会や経営会議の議事録を調べて、過去の議題選定を見直し、中長期的な戦略的方向付けと資源配分に関わる議題か、日々の業務執行に関わる議題かを分類し、それに基づいて規定化を試みるという作業が必要になってくるでしょう。この場合、取締役会や経営陣での調整が必要になってくる、むしろ、これをもとにどうして行くか議論が始まれば、それが望ましいわけです。

また、取締役会規程で一応定められている場合でも、その規定どおりの運営が行われず、実際には、あいまいなままで業務執行レベルの議論に陥っている場合は、多いのではないかと思います。このような場合は、取締役会では、業務執行レベルの議論が中心になってしまっていると考えられます。この場合には、この補充原則にしたがって開示しなければならず、また原則4−1に対してはエクスプレインとなる可能性は高いので、その説明をしなければならないということになります。

 

〔実務上の対策と個人的見解〕

形式的説明が尻切れトンボに終わってしまいました。ここでは、その補足からはじめたいと思います。取締役会が業務執行に関することを中心に議論しているという理由を考えてみます。考えられることは、伊藤レポートが日本の上場企業の低迷の理由としてあげていた、資本効率という経営規律と長期的な企業価値向上という姿勢が取締役会に不足しているということです。取締役会が、資本生産性を意識し、長期的な価値創造の観点で経営しようとすれば、戦略的方向付けと資源配分に関する議論は避けられないはずで、その議論に集中することになり、そうであれば日々の業務執行に関する議論には手が回らなくなって、経営陣に委ねる以外にならなくなるはずです。そのような認識を取締役が、十分に有していないために、内部昇格によって指名された取締役は、社内で長年にわたり経験してきた業務執行の認識の枠から抜け出すことができず、業務執行に関する議論であれば社内業務の延長として手馴れた作業であることから、その方向に引っ張られてしまったという理由です。

また、別の理由として、取締役会がそのようなものであれば、その傘下の従業員も取締役会を、そのようなものとして、つまり、業務執行に関する最終決定の会議とみなすでしょう。つまり、業務執行レベルで重要と思われる事項は取締役会の「お墨付き」を得ておこうという心理が働き、取締役会に上程してしまうのです。さらに、社長や取締役といったお偉方に自らの業績の成果やチャレンジのアピールのためにチャッカリ、その機会を利用しようという心理も働いくことにもなるでしょう。このように、トップダウンとボトムアップの両方向から取締役会の姿勢が引っ張られてしまうのです。

これは、海外の投資家の視点で見れば、取締役会の形骸化、つまり、慣習に引きずられて生産的な議論ができていないと映るでしょう。ではどうすればいいのか、と言っても、これはコーポレートガバナンス云々という以前の会社の経営姿勢の問題です。コーポレートガバナンス・コードをひとつのきっかけにして、取締役会や経営陣が自身の認識を見直してもらうほかありません。そうなった場合、仕組み意識の両方の面から検討することができると思います。仕組みの面では、執行役員制度の導入などによって、執行と監督の分離を制度的に分化させること。さらには、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社というモニタリング・ボード的な性格の経営形態への移行という方策もありえます。そして、意識面では取締役に資本生産性や長期的企業価値向上の認識を深めるトレーニングを実施することや、取締役の指名の段階でそのような見識を条件とすることが考えられます。

 

〔開示事例〕

亀田製菓

当社は、「取締役会規則」を定め、法令に準拠して取締役会で審議する内容を定めています。また、それにもとづき「職務権限規程」を定め、経営陣が執行できる範囲を明確にしています。

 

デンソー

・「業務決裁規定」により、設備投資や契約などの業務項目ごとに、主に一定金額未満の規模の案件について、

 社長・副社長・専務役員・常務役員に決定を委ねています。

・また「会議・委員会規則」により、製品開発や人材確保・育成などの特定の領域や機能について、技術・開発会議や人材開発会議といった全社公式会議体に活動の方向付けや意思決定を委ねています。

 

新生銀行

当行の取締役会は、業務執行を行う2名の業務執行取締役及び業務の監督を行う5名の社外取締役で構成され、経営の客観性及び透明性を確保しつつ、適切な意思決定を実現しています。また、通常の業務執行については、業務執行を機動的に行うために執行役員制度及び部門制を採用しています。具体的な委任の範囲等は、取締役会規則、社内規程等に定めています。

 

〔開示項目としての対処〕

補助原則4−1@は、開示項目として、取締役会における経営陣に対する委任の範囲の概要の開示を求めています。一般的に、経営陣に対する委任の範囲は、取締役会規程に定められた取締役会付議基準や、その詳細な運用の指針といった内規等に定められているのが通常と言えます。ここで求められているのは概要でいいので、その規程そのものまでは求められていません。

ここで、開示事例を見ていくに際して、会社法上の取締役会決議事項は機関設計によって異なるものとなっています。監査役会設置会社の場合は、取締役会で決定すべきものと法定されている事項は定款の定めによっても委任することはできません(会社法362条4項)。これに対して、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社は法定決議事項の一部を定款に規定するか社外取締役が過半数であれば、取締役や執行役に委任することができます(会社法399条の13第5〜6項、416条4項)。そこで、機関設計に分けて見ていくことにします。

また、取締役の選任に関する方針・手続を併せてかいじするようにもとめていますが、こちらは原則3−1.の開示項目のひとつであるので、両原則を一体として開示することもできますが、別々にするか、まとめるかは各社の判断に任せられています。

@監査役会設置会社

・法定の取締役会決議事項及び定款に定めた事項の他、経営に関する方針や経営上の重要事項等を委任の範囲外となる重要な業務執行する─ミライト・ホールディングス

◆経営陣に対する委任範囲の概要(補充原則4−1−1)

当社は、経営の意思決定・監督機関としての取締役会と、業務執行体制としての経営会議を設けております。

取締役会は、法令及び定款に定められた事項のほか、当社及びグループの経営に関する方針や重要事項等を決定しております。

経営会議は、社長が議長となり、常勤取締役及び社長が指名した者で構成されており、当社及びグループの経営戦略や業務執行に関する重要事項を審議する機関としての役割を担っているほか、取締役会で活発な議論が行われるよう、論点整理と事前検討を行っています。また、オブザーバーとして監査役も出席しており、課題・問題を迅速に察知・対処できる仕組みとなっています。

執行役員は、統括する部門における業務遂行の実施責任を負っています。しています

・取締役会規程等の内規によって委任の基準や区分を明確に定めている旨を述べる。具体的に、内規で「経営の方向性:経営方針、経営基本戦略及び重要な投資戦略並びに中長期経営計画及び年度予算」「重要な組織の責任者及びガバナンス・コンプライアンス等を担う全社横断の重要な委員会の委員長の選任・解任」「M&Aや投資案件等の財産の譲受、借入や社債の発行等の多額の借財」のうち極めて重要、多額の案件と例示する─花王

5 経営陣に対する委任の範囲(原則4-1-1

「取締役会規則」、「取締役会・経営会議 審議・報告基準」を定め、取締役会で審議・報告すべき事項及び執行の最高意思決定機関である経営会議に委任する事項を明確に定めています。

当該基準は、上記4−(2)記載の通り、取締役会において、主に経営戦略等の中長期的な経営の方向性等をリスク評価を含めて多面的に審議・決定を行い、その執行については、主要な事業や部門の責任者であり事業の執行経験を豊富に有する常務執行役員以上を主なメンバーとする経営会議に幅広い権限を委ねることにより、執行の意思決定及び経営の迅速化を図り、経営戦略等の執行を推進する一方、取締役会に報告すべき事項を明確にすることにより適切な監督を行う、との監督と執行の分離の実現を目的としています。

例えば、以下のような案件については取締役会での審議を必要と定めております。

・経営等の方向性:経営基本方針、経営基本戦略及び重要な投資戦略並びに中長期経営計画及び年度予算

・重要な使用人の選任・解任:執行役員及びその担当たる重要な組織の責任者及びガバナンス・コンプライアンス等を担う全社横断の重要な委員会の委員長の選任・解任

なお、M&Aや投資案件等の財産の譲受、借入や社債の発行等の多額の借財は、原則として経営会議で決定しますが、その中で極めて重要、多額の案件は取締役会に提案されます。

経営陣に対する委任範囲の概要(補充原則4−1−1)

・取締役会規程等の内規によって委任の基準や区分を明確に定めている旨を述べる。具体的に、取締役会規則で、定款及び法令で定めるもの以外の主要な取締役会決議事項の例として「グループの経営方針に関する重要な事項」「国内中核会社の株主総会における議決権行使に関する事項」「経営管理業務に関する重要な事項」「子会社等の設立、解散その他の重要な事項」と例示する。─損保ジャパン日本興亜ホールディングス

【補充原則4−1−1 取締役会の役割・責務(経営陣に対する委任の範囲)】

当社の取締役会は、定款および法令に定めるもののほか、取締役会において決議する事項を「取締役会規則」において定めております。それ以外の業務執行の決定については、グループCEO以下の経営陣に委任しており、その内容は、各種基本方針や稟議規程等の社内規程において明確に定めております。

<定款および法令で定めるもの以外の主要な取締役会決議事項>

・グループの経営方針に関する重要な事項

・国内中核会社の株主総会における議決権行使に関する事項

・経営管理業務に関する重要な事項

・子会社等の設立、解散その他の重要な事項 など

・取締役会規程等の内規によって委任の基準や区分を明確に定めている旨を述べる。具体的に、取締役会決議事項となるか否かの基準として、「株式・持分や固定資産の取得・処分、融資・保証を伴う投融資案件については、信用リスク、市場リスク、事業投資リスクなど様々なリスクの類型別に金額基準(総資産の1%を上回らない金額で、リスクの性質に応じ個別に設定)を定め、この金額基準を超える案件については取締役会にて審議・決定」する─三菱商事

c. 取締役会での審議内容等

法令及び定款の規定により取締役会の決議を要する事項及び経営上の重要事項については、取締役会で決議することとしており、特に株式・持分や固定資産の取得・処分、融資・保証を伴う投融資案件については、信用リスク、市場リスク、事業投資リスクなど様々なリスクの類型別に金額基準(総資産の1%を上回らない金額で、リスクの性質に応じ個別に設定)を定め、この金額基準を超える案件については取締役会にて審議・決定しています 経営陣に対する委任の範囲(原則4-1-1

・「取締役会決議事項一覧」として、詳細な取締役会付議事項がある。─アサヒグループ・ホールディングス

(補充原則4−1−1)

取締役会は、取締役会規程において自己の決議事項を定めることにより、決議事項に該当しない範囲の事項の決定などを業務執行取締役及び執行役員に委任するものであることを明確にしています。また、当該決議事項につきましては、当社のホームページにて公表しております「コーポレートガバナンス・ガイドライン 5.付帯情報(1)取締役会決議事項一覧」に掲載しておりますので、ご参照ください。

5.付帯情報

(1)取締役会決議事項一覧(4-1@)

1.株主総会に関する事項

1)株主総会の日時及び場所

2)株主総会の目的である事項があるときは、当該事項

3)株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

4)株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

5)取締役社長に事故あるときに、株主総会を招集し、議長となるべき他の取締役の順位の決定、変更

6)臨時株主総会の基準日の設定

2.決算に関する事項

1)事業報告及びその附属明細書の承認

2)貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表及びその附属明細書の承認

3)連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表の承認

4)キャッシュフロー計算書及び連結キャッシュフロー計算書の承認

5)剰余金の配当案の決定

6)剰余金についてのその他の処分案の決定

7)第2四半期(中間期)の決算(連結・単体)承認

8)中間配当の決定

3.取締役に関する事項

1)代表取締役の選定、解職

2)取締役会長、取締役社長及びその他役付取締役の選定、解職

3)代表取締役に事故あるときの職務代行順位

4)取締役会長を欠くとき又は事故あるときに、取締役会を招集し、議長となるべき他

の取締役の順位の決定、変更

5)取締役の競業取引の承認

6)取締役と当会社間の取引又は取締役が第三者のために当会社と取引をする場合の承認

7)当会社と取締役との利益相反する取引の承認

8)取締役の職務担当

9)指名委員及び報酬委員の選任、解任

10)取締役の報酬決定の基準

11)賞与の支給

4.株式及び社債に関する事項

1)新株の発行

2)新株予約権の発行

3)社債及び新株予約権付社債の発行

4)資本金又は準備金の額の増加、減少

5)株式の併合、分割及び無償割当

6)単元株式数の変更

7)株主名簿管理人の選定、変更

8)自己株式の取得、処分、消却

5.人事に関する事項

1)CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)の選任、解任

2)相談役の委嘱、解嘱

3)執行役員その他重要な使用人の選任、解任

6.重要な業務執行に関する事項

1)経営計画

2)重要な財産の処分及び譲受け

3)多額の借財

4)企業再編、合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡・譲受、重要な事業提携・解消その他これに類する行為

5)重要な事業への参入及び撤退

6)重要な組織の新設、変更(移転を含む)及び廃止

7)会社法に定める内部統制システムの整備及び変更

(8) 重要な子会社及び主要な子会社の選定及び変更

7.子会社に関する事項

1)経営計画

2)重要な財産の処分及び譲受け

3)多額の借財

4)重要な子会社及び主要な子会社の企業再編、解散、合併、会社分割、株式交換、株式移転、支配権の異動を伴う株式譲渡・譲受、及び重要な事業提携・解消その他これに類する行為

5)重要な事業への参入及び撤退

6)重要な子会社の代表取締役等の選任、解任に関する認否

8.重要な規程の制定、改廃

9.その他社内規定により取締役会の決議を必要とする事項

10.株主総会の決議により取締役会に授権された事項

A指名委員会等設置会社

・法令の許す範囲で業務執行の意思決定を大幅に執行役に委任することを記載し、その具体的な細目として、取締役会決議事項を詳細に定めた「取締役会細則」を開示している─エーザイ

【補充原則4−1−1 取締役会の役割・責務(1)

当社は指名委員会等設置会社であり、当社取締役会は、法令の許す範囲で業務執行の意思決定を執行役に大幅に委任して経営の活力を増大させるとともに、経営の監督機能に専念しております。

取締役会は、経営の基本方針、執行役の選任など、法令、定款および取締役会規則で定められた重要事項の意思決定を行いますが、取締役会の決議事項、取締役会への報告事項については、具体的に取締役会細則に定めています。取締役会規則および細則は、当社ホームページにおいて開示しています。

 

取締役会細則

1.決議事項

1.株主総会に関する事項

1)株主総会の招集の決定(株主総会の招集、当該総会への付議議案は原則として同一取締役会で決定する)

2)株主総会の付議議案(取締役、会計参与および会計監査人の選任・解任ならびに会計監査人を再任しないことに関するものを除く)の決定

 (参考:主たる株主総会付議議案は以下のとおり)

(1)取締役の選任・解任

(2)株式併合

(3)自己株式の取得(特定株主からの取得)

(4)事業譲渡・譲受け等の承認

(5)募集株式の有利発行

(6)募集新株予約権の有利発行

(7)定款変更

(8)株式交換契約の承認

(9)株式移転計画の承認

(10)新設分割計画の承認

(11)吸収分割契約の承認

(12)資本金の額の剰余金減少による増加・資本金の額の減少

(13)準備金の額の増加・減少

(14)損失の処理、任意積立等のための剰余金の処分

(15)解散

(16)合併契約の承認

(17)会計監査人の選任

3)株主総会招集権者の決定

4)株主総会招集権者に事故がある場合の株主総会の招集者代行順序の決定

5)株主総会議長の決定

6)株主総会議長に事故がある場合の株主総会の議長代行順序の決定

7)株主提案に関する事項

2.取締役会・取締役・執行役に関する事項

1)議長の選定

2)議長に事故がある場合の、取締役会の招集者および取締役会の議長代行順序の決定

3)役付取締役の選定・解職

4)執行役の選任・解任

5)代表執行役の選定・解職

6)代表執行役の役職名の決定

7)役付執行役の選定・解職

8)執行役が二人以上ある場合における執行役の職務の分掌および指揮命令の関係その他の執行役相互の関係に関する事項の決定

9)取締役会を招集する取締役の選定

10)取締役または執行役による競業取引の承認

11)取締役または執行役による利益相反取引(直接取引および間接取引)の承認

12)執行役から取締役会の招集の請求を受ける取締役の選定

13)株主名簿管理人等の決定、または株主名簿管理人等を決定する執行役の選定

14)株式取扱規則の制定、変更、または株式取扱規則を制定、変更する執行役の選定

15)取締役および執行役の責任の免除の決定

16)取締役(業務執行取締役等である者を除く。)の責任免除に関する契約の内容の承認

17)執行役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他当社の業務ならびに当社およびその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備の決定

3.決算に関する事項

1)連結計算書類の承認

 (連結計算書類とは、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結持分変動計算書、連結注記表をいう)

2)計算書類およびその附属明細書の承認

 (計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表をいう)

3)連結財務諸表(年度および四半期)の承認

 (連結財務諸表とは、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書をいう)

4)事業報告およびその附属明細書の承認

5)臨時計算書類の承認

4.指名委員会等に関する事項

1)指名委員会、監査委員会および報酬委員会の各委員会を組織する取締役の選定・解職

2)指名委員会、監査委員会および報酬委員会の各委員会の委員長の選定・解職

3)監査委員会の職務の執行のために必要なものとして法務省令で定める事項の決定

4)当社と監査委員との間の訴訟において当社を代表する者の決定

5)指名委員会、監査委員会および報酬委員会以外の取締役会内委員会の設置、変更、廃止およびその委員の選定・解職

5.経営の基本方針の決定

1)年度事業計画の大綱

2)中長期経営計画の基本方針およびその重要な変更

3)企業価値向上に関する事項

4)株主還元に関する事項

6.株式、資本等に関する事項

1)剰余金の配当等の決定

(1)自己株式の取得およびその内容

(2)準備金の減少およびその内容

(3)剰余金の処分およびその内容

(4)剰余金の配当およびその内容(配当予想を含む)

2)譲渡制限株式または譲渡制限新株予約権の譲渡承認および譲渡制限株式の譲渡の相手方の指定

3)公開買付け・自己株式の公開買付の内容および公開買付けに対する意見表明の内容の決定

4)社外取締役独立委員会の提案に基づく新株予約権の発行の決定

5)株主名簿管理人およびその事務取扱場所の決定

7.組織再編に関する事項

1)合併契約の内容の決定(簡易な合併の場合を除く)

2)吸収分割契約の内容の決定(簡易な吸収分割の場合を除く)

3)新設分割計画の内容の決定(簡易な新設分割の場合を除く)

4)株式交換契約の内容の決定(簡易な株式交換の場合を除く)

5)株式移転計画の内容の決定

8.規則等の制定、変更、廃止

1)コーポレートガバナンスガイドライン

2)役員基本規程

3)取締役会規則(取締役会細則を含む)

4)取締役会が執行役に委任する事項

5)監査委員会の職務の執行のために必要な事項に関する規則

6)執行役の職務の執行の適正を確保するために必要な体制の整備に関する規則

7)指名委員会規則

8)監査委員会規則

9)報酬委員会規則

10)株式取扱規則

9.株主代表訴訟に関する事項

1)監査委員および会計監査人に対しその責任を追及する訴えを提起するよう株主から請求を受けた場合の当該提訴の当否、および不提訴の場合の不提訴理由書の内容の決定

2)提訴株主から株主代表訴訟提起の告知を受けた場合、当該訴えに係る当事者が監査委員である場合の訴訟参加の当否の決定

3)取締役または執行役に対して株主代表訴訟が提起された場合、当社による取締役または執行役側への補助参加の当否の決定

10.その他の事項

1)事業の全部もしくは重要な一部の譲渡、他の会社の事業の全部の譲受け、事業の全部の賃貸借、事業の全部の経営の委任、損益共通契約等の締結、変更もしくは解約または事後設立の契約の内容の決定(簡易な事業譲渡等の場合を除く)

2)上場の廃止の決定

3)破産、再生手続開始または更生手続開始の申立ての決定

4)継続企業の前提に関する事項の注記の内容の決定

5)社内取締役および執行役の兼業等の承認(以下を除く)

(1)当社の子会社、関連会社の役員、使用人またはそれらに準ずる者になる場合

(2)当社と競業関係または取引関係にない非営利団体の代表者もしくは理事等の役員または使用人もしくはそれらに準ずる者になる場合

(3)当社と競業関係または取引関係にある非営利団体の代表者ではない理事等の役員または使用人もしくはそれらに準ずる者になる場合

6)当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針の維持・改定・廃止

7)当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針以外の買収防衛策の導入

8)株主総会において取締役会に決定を委任された事項の決定

9)取締役会の職務執行のレビュー

10)その他取締役会が必要と認めた事項の決定

2.報告事項

I 指名委員会、監査委員会、報酬委員会および社外取締役独立委員会の報告事項

1 指名委員会の職務の執行の状況

・指名委員会の年間スケジュール

・取締役の選任に関する株主総会議案および選任理由

・取締役候補者に法令、定款等への違反がある場合、その事実等

・取締役候補者選任に関する諸規則の制定・変更・廃止

・取締役の解任に関する株主総会議案

・外部コンサルタントとの契約の締結

2 監査委員会の職務の執行の状況

・監査活動方針

・監査計画

・監査委員会における議案の内容および監査調書に係る監査意見

・年度の監査報告に係る監査意見

・監査に関する諸規則の制定・変更・廃止

・会計監査人に関する事項

・経営監査部員の人事異動の同意および人事評価等に関する事項

・外部コンサルタントとの契約の締結

3 報酬委員会の職務の執行の状況

・役員の報酬等に関する基本方針

・役員の報酬体系および個人別の報酬等

・報酬等に関する諸規則の制定・変更・廃止

・役員報酬の開示に関する事項

・役員の報酬等の変更および減額

・外部コンサルタントとの契約の締結

4 社外取締役独立委員会の職務の執行の状況

・当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針の運用状況(新株予約権の不発行決議を含む)

・社外取締役独立委員会に関する諸規則の制定・変更・廃止

II 執行役の報告事項

報告事項は、取締役会の決議により執行役に委任した事項、株主、顧客および従業員の利益に影響する事項やコンプライアンスに関する事項、課題、問題点、例外的事項を中心とする。原則として四半期業務執行報告の中で報告するが、重要性の高いものは随時報告する。

1 取締役会の決議により執行役に委任した事項

1)株式、資本および資本調達等に関する事項

・連結対象会社の追加・削除

・募集株式の発行等(自己株式の処分を含む)

・子会社の有する自己株式の取得

・株式の分割

・株式の分割による発行可能株式数増加の定款変更

・単元株式数の減少または単元制の廃止に伴う定款の変更

・社債の発行

・募集新株予約権の発行(社外取締役独立委員会の提案に基づくものおよび有利発行を除く)

・自己株式・自己新株予約権の消却

・所在不明株主の株式の競売、売却、買取り

2)事業の譲渡等・合併・分割・株式交換に関する事項

・簡易な事業譲渡・譲受け

・簡易な合併契約の締結

・簡易な吸収分割契約の締結

・簡易な新設分割計画の承認

・簡易な株式交換契約の締結

3)重要な業務執行に関する事項

・重要な財産の処分および譲受け

・多額の借財

・重要な使用人の選任および解任

・重要な組織の設置、変更、廃止

・子会社、関連会社の設立、解散ならびに重要な子会社の合併・売却等

・重要な子会社の役員人事

・子会社間の資本取引

・新規事業への進出

・フェーズII以降の重要な研究開発テーマの開発中止

・既存事業の廃止および変更

・重要な業務提携とその解消

・重要な製品の導入・導出契約

・企業買収

・主力製品に関する重要な契約の締結、変更および解約

・重要な訴訟の提起、応訴の遂行方針、経過、終結

・公開買付け

・人員削減等の合理化

・決算短信

・有価証券報告書

・臨時報告書

・内部統制報告書

・取締役会の承認を得て実施した利益相反取引(直接取引または間接取引

2 定款の定めにより執行役が決定した事項

1)株主名簿管理人およびその事務取扱場所

2)株式取扱規則

3 業務執行報告

1)事業計画および中長期経営計画の進捗状況に関する報告

2)重要項目、重要な意思決定に関する報告

3)訴訟およびリスク、コンプライアンスに関する報告

4)各執行役の職務分掌に基づく業務執行全般の報告

5)執行役の職務の執行の適正を確保するために必要な体制の整備に関する規則に定める取締役会への報告事項

6)その他、取締役会が報告を求める事項等

III その他の事項

・社外取締役の他の法人等の役員就任のうち重要なもの

・取締役会の承認が不要な役員の兼業のうち重要なもの

・特別に報告する事項

・その他、法令に定められた事項

・法令の取締役会決議事項及び定款で定めた事項以外については執行役に委任する─オリックス

【原則4--1】

取締役会から経営陣に対する委任の範囲については、「2-2.業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項」の(2)取締役会に関わる事項をご参照ください。

(2)取締役会に関わる事項

取締役会は、業務執行の決定のうち、法令、定款の定めるところにより執行役に委任することができない事項、および取締役会規則に定める重要な事項に係る業務執行の決定を行います。主として、資本政策、資金政策、人事戦略の基本方針を含む経営計画および内部統制システムの基本方針について承認し、それらについて定期的にチェックする機能を果たしています。取締役会が決定するこれらの事項を除き、取締役会は業務執行の決定を代表執行役に委任し、意思決定と業務執行の効率化、迅速化を図っています。また、取締役会は執行役および各委員会からその職務の執行状況について報告を受けています。

2015年3月期に取締役会は合計7回開催されました。これらの取締役会における取締役の出席率は99%でした。

<取締役会の構成、規模に関する考え方>

取締役会は、社外取締役も含め、多様な知識や経験をもつ取締役で構成し、効果的・効率的な議論を妨げない

・委任の範囲外となる重要性の高い業務執行として「事業及び財務情報戦略並びに年度及び中長期の事業計画を含む経営の基本方針」をあげ、権限委譲の目的を記載している─日本板硝子

【補充原則4-1@ 経営陣に対する委任の範囲の概要】

取締役会は、事業および財務戦略ならびに年度および中長期の事業計画を含む経営の基本方針、執行役の選任等の特定の重要事項、その他法令、定款で定められた事項の決定を行います。それ以外の事項に関する業務執行の意思決定については、業務執行の機動性と柔軟性を高め、かつ取締役会による監督の実効性を強化するために、原則として執行役に委任します。

取締役会の決議事項の概要は以下の表Tに定めるとおりです。また、当該決議事項以外の事項の決定については、NSGグループコーポレートガバナンス・ガイドライン第10条第1項第2号に定めるとおり、執行役に委任されます。ただし、以下の表II の執行役の取締役会への報告事項については、取締役会に報告されます。

(注)(1) 以下の表において「当会社」とは、日本板硝子株式会社を指します。

(2) 以下の表において「グループ」とは、NSG グループを指し、当会社およびその子会社から成る企業集団を指します。

(3) 以下の表において「委員会」とは、指名委員会、報酬委員会もしくは監査委員会またはそれらのすべてを指します。

表T:取締役会の決議事項の概要

経営の基本方針

(1) グループの中長期経営方針、経営計画、ビジョン等の決定およびその重要な変更

(2) グループおよび当会社の年度事業計画および年度資金計画を含む年度予算の決定およびその重要な変更

(3) グループおよび当会社の企業価値向上の方針、施策に関する事項

(4) 株主に対する利益還元方針を含む資本政策に関する基本方針の策定

(5) 上記(1)および(2)に定める計画等の結果についての総括内容

内部統制システムの基本方針

(1) 執行役の職務の執行が法令定款に適合することを確保するための体制その他当会社の業務の適正を確保するために必要な体制の整備

(2) 監査委員会が取締役、執行役の職務執行について、その監査職務を執行するために必要な事項

究極親会社レベルにおける重要な社内規則規程

次に掲げる社内規則規程の制定および改廃。ただし、これらの規則規程中において、当該規則規程にかかる一定の改正権限を委員会等の機関へ授権している場合を除く。

(1) コーポレートガバナンス・ガイドライン

(2) 取締役会の役割および運営に関する規程および取締役会の運営手続および付議基準に関する規則

(3) 指名委員会規程

(4) 報酬委員会規程

(5) 監査委員会規程

(6) 経営会議規程

(7) 取締役会議長、CEOCOO およびCFO 職務分掌規程(その他取締役または執行役の職務または権限を定める規程)

(8) 取締役、執行役または執行役員の定年、任期、処遇等の基準、準則等について当会社としての内規を定める場合は、当該内規

(9) 取締役、執行役または執行役員のトレーニングに関する規程

(10) グループ倫理規範(いわゆる行動準則)

(11) 組織規程

(12) 政策保有株式(上場株式に限る。)に関する政策保有に関する基本方針および当該株式に関し適切な対応を確保するための議決権行使に関する基準

(13) 関連当事者との取引に関するグループポリシー

(14) サステナビリティに関する基本ポリシー

(15) 株主との建設的な対話を促進するためのグループポリシー

株主総会に関する事項

(1) 株主総会の招集および付議議案(取締役および会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関するものを除く。)ならびに電磁的方法による議決権行使およびこれに付帯関連する事項

(2) 株主総会の招集権者および当該招集権者に事故あるときの代行順序

(3) 株主総会の議長および当該議長被選定者に事故あるときの代行順序

株式の取扱に関する事項

(1) 株主名簿管理人およびその事務取扱場所(定款第9条)

(2) 株式取扱規則の制定および改廃(定款第10条)

取締役会、取締役、執行役および執行役員に関する事項

(1) 役付取締役(取締役会議長、取締役会長、取締役副会長等)の選定、解職

(2) 取締役会議長に事故あるときの取締役会の議長職を努める取締役の順序

(3) 執行役から取締役会の招集の請求を受ける取締役

(4) 執行役の選任、解任

(5) 代表執行役の選定、解職

(6) 役付執行役(社長、副社長、専務執行役、常務執行役等)の選定、解職

(7) 最高経営責任者(Chief Executive Officer またはCEO)、最高執行責任者(Chief Operating Officer またはCOO)、最高財務責任者(Chief Financial Officer またはCOO)、その他その職務に応じてグループにおける最高職位を示す者の選定、解職

(8) 執行役の職務の分掌・指揮命令の関係その他執行役相互の関係に関する事項の決定

(9) 使用人兼務執行役の使用人職務の委嘱および解嘱

(10) 取締役、執行役の競業取引、自己取引および利益相反取引の承認

(11) 社外取締役ではなくかつ執行役を兼任しない取締役、および執行役によるグループ子会社、関連会社およびこれらの子会社等が構成する団体以外の会社、団体等(営利組織であるか否かは問わない。)の役員、理事、使用人等の兼務。なお、取締役会は、必要に応じて、当該兼務の基準の詳細についてガイドラインを定める。

(12) 取締役、執行役、監査役の損害賠償責任の免除

(13) 執行役員および役付執行役員(上席執行役員等)の選任、解任

委員会および委員に関する事項

(1) 指名委員会、報酬委員会および監査委員会を組織する取締役の選定、解職

(2) 各委員会の委員長の選定

(3) 常勤監査委員の設置の有無および設置する場合の選定

(4) 当会社と監査委員間の訴訟において当会社を代表する者の決定

(5) 委員会以外の取締役会内部委員会(ただし、取締役会に対する諮問機関としての性格を持つものに限り、意思決定機能は有さないものに限る。)の設置および改廃

組織に関する事項

組織規程の内容の大幅な変更を伴うような特に重要なグループの組織の設置、改編等

決算およびその開示に関する事項

(1) 計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)およびその附属明細書、事業報告およびその附属明細書ならびに連結決算書類(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結持分変動計算書および連結注記表)の承認

(2) 臨時計算書類の承認

(3) 剰余金の配当等の決定(自己株式の取得、準備金の減少および剰余金の処分を含む。)

(4) 事業年度末にかかる決算発表の内容(連結財務諸表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結持分変動計算書、連結包括利益計算書および連結キャッシュ・フロー計算書ならびに注記)を含む。)の承認

(5) 通期業績予想、配当予想の決定および金融商品取引所への開示が必要となる重要な修正

株式、資本等に関する事項

(1) 株主総会の決議に基づく自己株式の取得

(2) 子会社が有する当会社の株式の取得

(3) 自己株式の処分(単元未満株式の買増請求によるもの、新株予約権の行使によるものを除く。)

(4) 株式の分割、無償割当

(5) 単元株式数の減少またはその定めの廃止

(6) 株式の発行(新株予約権の行使によるものを除く。)

(7) 新株予約権の発行および当会社が新株予約権を取得することができる事由

会社法に基づく当会社の組織再編等に関する事項

(1) 当会社の事業の全部もしくは重要な一部の譲渡、他の会社の事業の全部の譲受、事業の全部の賃貸借、事業の全部の経営委任、または損益共通契約等の締結、変更もしくは終了(簡易手続による場合を除く。)

(2) 株式交換契約(簡易手続による場合を除く。)

(3) 株式移転計画

(4) 合併契約(簡易手続による場合を除く。)

(5) 吸収分割契約(簡易手続による場合を除く。)

(6) 新設分割計画(簡易手続による場合を除く。)

(7) 他社による当社株式の公開買付に対する当会社の意見表明の内容

株主代表訴訟に関する事項

(1) 監査委員および会計監査人に対する責任追及の訴えが株主から提起された場合の当該提訴の当否および不提訴の場合の不提訴理由書の内容

(2) 株主から株主代表訴訟の提起告知を受けた場合、その相手方が監査委員であるときの当会社による共同訴訟人としての訴訟参加の当否

(3) 取締役または執行役に対して株主代表訴訟が提起された場合、当会社による取締役または執行役側への補助参加の当否

その他の特に重要な事項

(1) 当会社の株主総会の決議により取締役会に委任された事項

(2) グループ全体の観点から、グループ会社のいずれかで行う特に重要な事業または子会社持分等の取得または処分

(3) グループ全体の観点から、グループ会社のいずれかで行う特に重要な有形・無形資産の取得または処分

(4) 上記に定めるほか、重要な借入条件に従い、実施に関して当該債権者の所定の承認を必要とする貸付、保証または損失補償の引受等の財務支援行為および借入、社債発行等の金融負債の負担行為

(5) 当会社およびその他の重要なグループ会社の発行する重要な有価証券の上場およびその廃止

(6) 当会社の破産、民事再生手続開始または会社更生手続開始の申立

(7) 当会社の財務諸表または四半期財務諸表等における継続企業の前提に関する事項の注記

(8) 取締役会、委員会、経営会議、執行役または執行役員の職務執行のレビューの決定

(9) コーポレートガバナンス・コードまたは当社の制定するコーポレートガバナンス・ガイドラインに照らして、新たに「説明」が要請される行為の決定

(10) 当会社の買収防衛策の導入

(11) その他取締役会が必要と認めた事項

・委任の範囲外となる重要性の高い業務執行として「取締役会が必要と認める事項」をあげている─りそなホールディングス

コーポレトガバナンスに関する基本方針

第3条 取締役(取締役会の体制及び役割)

. 取締役会は、法令上執行役に権限委譲できない事項以外、原則として、執行役に権限委譲を行い、執行役より適切に業務執行について報告を受ける体制を整備する。一方、取締役会が必要と認める重要な事項については、取締役会の審議事項とし、取締役会の監督機能と意思決定機能の強化に努める。します。

・委任の範囲外となる重要性の高い業務執行として「経営戦略、経営計画その他当社の経営の重要な意思決定及び業務執行の監督」をあげている─第一生命保険

コーポレトガバナンスに関する基本方針

 取締役会は、法令、定款および当社関連規程の定めるところにより、経営戦略、経営計画その他当社の経営の重要な意思決定および業務執行の監督を行う。これらの事項を除き、業務執行に係る意思決定を迅速に行うため、業務執行に係る権限の多くを各業務を担当する執行役員に委任する。

・委任の範囲外となる重要性の高い業務執行として「事業計画や資本政策など重要性の極めて高い事案のほか、経営に重要な影響を与えると考えられる資産取得・処分」をあげている─大京

当社は、経営の健全性、適切な情報開示と透明性の確保、効率性の向上という観点から最適なコーポレートガバナンスの構築を図ることを目的とし、「指名委員会等設置会社」制度を採用しております。監督と業務執行を分離し、取締役会等の責務を明確化することで、業務執行に対する牽制機能を強化する一方、意思決定の迅速化も図っております。

(1)取締役会の役割・責務

・指名委員会等設置会社における取締役会の果たす役割に関しましては、重要な業務意思決定と、個々の取締役及び執行役による職務執行の監督であるという認識のもと、当社取締役会は、経営戦略や経営計画等に沿った建設的な議論を実施し、重要な業務執行の決定を行っております。

・指名委員会等設置会社の取締役会は、会社法上経営陣への権限移譲が大幅に認められており、当社におきましても可能な限り権限の委譲を行っております。ただし、事業計画や資本政策など重要性の極めて高い事案のほか、経営に重要な影響を与えると考えられる資産取得・処分については、取締役会において判断することとしております。

B監査等委員会設置会社

・定款において取締役会の決議によって重要な業務執行の決定の全部または一部を取締役に委任することができることを定め、委任の範囲外となる重要な業務執行として「M&A、組織再編、多額の資産の取得、処分等等」を例示して開示している─サントリー食品インターーナショナル

コーポレートガバナンス方針

9.取締役会の役割等

•当社は、コーポレート・ガバナンス体制として、監査等委員会設置会社を選択しております。監査等委員会設置会社においては、取締役会における議決権を有する監査等委員である取締役が監査を行うことによる監査・監督の実効性の向上、並びに、内部監査部門を活用した監査の実施による内部統制の実効性の向上が可能となるものと考えております。また、当社は定款において、取締役会の決議によって重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨を定めております。これは、社外取締役を含めた取締役会においては、経営戦略、中期・長期計画及び経営課題に関する議論等、より大局的・実質的な議論を行うことで、経営戦略を実現し、目標とする経営指標を達成することを目的とするものです。

•前述のとおり、当社は定款において、取締役会の決議によって重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨を定めております。個別の業務執行については経営委員会又は社内規程に基づく意思決定によるものとすることで、意思決定の迅速化と取締役会の監督機能の強化を図ることを意図しております。当社においては、重要な業務執行のうち、MA、組織再編、多額の資産の取得・処分等につきましては、取締役会の決議事項としておりますが、個別の業務執行については、原則として、代表取締役社長等の経営陣にその決定を委任しております。これらの区分については、取締役会規則及び社内規程によって明確化しております。

〔経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」に見られる今後に向けての傾向性〕

コーポレートガバナンス・コードに対して上場会社が現状を確認して報告書を開示したとして、この動きをそれで終わりということではなくて、各企業が一層のガバナンス向上に向けて推進していくための指針を経済産業省が2017年3月に公表しました。併行して、法務省では会社法改正の審議も始まっています。

その中でも、大きな柱として取締役会の在り方を見直して、さらなる経営強化を図ることが考えられています。

「我が国企業は、コーポレートガバナンス・コードの適用開始等を踏まえて、取締役会の役割・機能を改めて見つめ直している段階にある。そもそも取締役会の機能としては、@経営陣(とりわけ経営トップである社長・CEO)の指名や報酬の決定を通じて業務執行を評価することによる監督を行う機能(監督機能)と、A個別の業務執行の具体的な意思決定を行う機能(意思決定機能)があるところ、そのいずれの機能を果たす上でも必要となるのは、基本的な経営戦略や経営計画を決定することである。経営戦略等は、監督する際に業務執行を評価する基準となり、個別の業務執行の決定を行う際にもその是非を判定する重要な指針になる。(P.8)」としています。これは取締役会の在り方として、役割・機能を見直すということは具体的には経営において取締役会が何をすべきか、その反面何をしないかと言うことです。それを実際面において明らかにしているのが、補充原則4−1@であると言えます。まず指針は、現状分析を求めています。それが図1のチャートです。このチャートの4つの象限のどこに該当し、今後はどの方向に向けて改善していくべきかは各企業によって異なるので、企業が自身で考えるべきと提言しています。例えば図1のチャートでDの象限にある取締役会はCEOに権限が集中し、個別の業務執行が多ければ、取締役のメンバーも業務執行取締役が中心となり、社外取締役は第三者の目で業務執行の決定をチェックすることになるでしょう。これに対して、Aの象限にある取締役会では、業務執行は担当重役の権限で行われているので、取締役会では経営戦略の策定や実績の検証が主となり、社外取締役はその議論に客観性を与える機能を担うことになるでしょう。

ここで、補充原則4−1@と関連して実際に見直し作業をする場合には、具体的にすべきことは取締役会の付議事項の再検討です。それが、補充原則4−1@における経営陣への権限委任の具体的な現れです。その再検討は上記のような各企業の現状把握やどのような方向性を目指すのかをベースに検討されることになります。とりわけ、経営陣への権限委任と密接に関連するのは業務執行に関する事項です。実際のところ会社法362条第4項で規定されている取締役会の法定決議事項として、「重要な財産の処分及び譲受」あるいは「多額な借財」といったことを、どれだけ経営陣に権限委任できるかということです。

検討事項と、そのポイントを以下に簡単に列記します。これらについて、経営会議の付議事項としたり、稟議事項とすることで、取締役会の付議事項から外す

・「重要な財産の処分及び譲受」あるいは「多額な借財」

「重要」かどうかについて一般的な、企業で総資産の1%という規準の見直し

→基準を引き上げれば決定案件を経営陣に委ねること数が増えて、その分の時間を取締役会は経営戦略の議論に振り替えることができる。

→総資産割合以外の規準、たとえばM&A案件、個別事業に限定されない案件以外は権限委譲するというタイプの規準も考えられる。

・「重要な使用人の選任及び解任」あるいは「重要な組織の設置、変更及び廃止」

「重要」かどうかについて規準の見直し

→一定の職階、例えば部長の異動までは委任してしまう、あるいは事業部内の異動は委任してしまう等

→全体の統括管理を人事部門が行い、取締役会が監督する等

→小規模なものでも、企業の将来のための新事業の試みは取締役会で計画し、経過を検証する。

・その他の重要な事項

「重要」かどうかについて規準の見直し

→契約締結、変更、解除について、重要度の判断

→規程、規則の制定、改定等

※会社法362条第4項の取締役会の法定付議事項については、付議基準を取締役会で善良な管理者の注意をもって適切にきめられたものであれば、法令違反の責任を問われることは稀である。(前田庸「会社法入門」)ただし、付議基準の理由を問われた場合には。ロジカルに説明できるものである必要がある。

コーポレート・ガバナンス報告書で具体的に説明している例─花王株式会社

5.経営陣に対する委任の範囲(原則4−1−1)

「取締役会規則」、「取締役会・経営会議 審議・報告基準」を定め、取締役会で審議・報告すべき事項及び執行の最高意思決定機関である経営会議に委任する事項を明確に定めています。

当該基準は、取締役会において、主に経営戦略等の中長期的な経営の方向性等をリスク評価を含めて多面的に審議・決定を行い、その執行については、主要な事業や部門の責任者であり事業の執行経験を豊富に有する常務執行役員以上を主なメンバーとする経営会議に幅広い権限を委ねることにより、執行の意思決定及び経営の迅速化を図り、経営戦略等の執行を推進する一方、取締役会に報告すべき事項を明確にすることにより適切な監督を行なう、との監督と執行の分離の実現を目的としています。

・経営等の方向性:経営基本方針、経営基本戦略及び重要な投資戦略並びに中長期経営計画及び年間予算

・重要な使用人の選任・解任:執行役員及びその担当たる重要な組織の責任者及びガバナンス・コンプライアンスを担う全社横断の重要な委員会の委員長の選任・解任

なお、M&Aや投資案件等の財産の譲受、借入や社債の発行等の多額の借財は、原則として経営会議で決定しますが、その中で極めて重要、多額の案件は取締役会に提案されます。

このような付議事項の見直し、つまり「重要」の判断基準を決める際の留意点として、次の点があげられます。

・過去の取締役会における付議事項・審議時間の検証

・取締役会の付議事項として追加・充実すべき事項は何か

←取締役会の役割・機能の明確化(図1を参考に)

・取締役会の付議事項から落としてもよい事項と絶対に落とせない事項を確認・検証

→取締役会の役割・機能に照らして優先順位

→付議事項とすべきか否かを定性的かつ定量的に検討する

・社外取締役の意見を聞き、多角的な視点で検証する

・法律専門家(弁護士)による法的な正当性を確認

・取締役会の付議事項から落とした事項に対するフォロー

→審議事項ではなくなっても、報告事項とする

→当該事項に対する内部統制システムを通じたチェック・管理を充実させる

 

    

 


関連するコード        *       

原則1−3.

原則3−1.

補充原則4−1.A

補充原則4−1.B

原則4−2

補充原則4−2.@

原則4−3.

補充原則4−3.@

補充原則4−3.A

原則4−4.

原則4−5.

原則4−6.

原則4−7.

原則4−8.

補充原則4−8.@

補充原則4−8.A

原則4−9.

原則4−10.

原則4−11.

補充原則4−11.@

補充原則4−11.A

補充原則4−11.B

原則4−12.

原則4−13.

原則4−14.

 
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