【補充原則4-8.②】
独立社外取締役は、例えば、互選により「筆頭独立社外取締役」を決定するなどにより、経営陣との連絡・調整や監査役または監査役会との連携に係る体制準備を図るべきである。 |
〔形式的説明〕
①この補助原則が求めていること
この補充原則は、独立社外取締役の有効な活用についてのもので、独立社外取締役が、互選により「筆頭独立社外取締役」を決定することにより、経営陣との連絡・調整や監査役または監査役会との連携体制の整備を図る、という内容です。ここでの「筆頭独立社外取締役」は例示として挙げているだけで、どのような体制整備を行なうかは各独立社外取締役の合理的な判断に委ねられていると言えます。なお、「筆頭独立社外取締役」という例示は、英米でlead independent directorやsenior
independent
directorと呼ばれているものを範として、経営陣との調整や監査役との連携といったデリケートで骨の折れる仕事について、まずは第一次的にこれらを担当する者を決めてみるというものです。
また、この補充原則の対象は独立社外取締役であり、これをすべきかどうかは独立社外取締役が判断すべきことです。だから、これについて企業としてコンプライかどうかの判断をしてエクスプレインするのは、形式的には筋違いで、独立社外取締役が企業を代表して行なうべきものと考えられます。
〔実務上の対策と個人的見解〕
①筆頭独立社外取締役を置く場合
英国では筆頭独立社外取締役の設置が制度化されているそうなので、外国人投資家にとっては当然ともいえる制度ということです。そして、投資家や株主とのミーティングを独立社外取締役が行うこともあるそうです。その場合、社内の論理で話しがちな社内の経営陣に比べて、視点が客観的で、自由な対話ができるというイメージを持たれているといいます。
実際に、筆頭独立社外取締役を設置する場合、法令上の規定はないので、社内の規則(定款や取締役会規則)で規定できます。選任は社外取締役の互選、あるいは協議ということになるのでしょうか。そこで、筆頭独立社外取締役の役割
・経営陣、とくに社長の連絡、調整
・監査役会との連携
・社外取締役及び社外監査役の会合の議長
・株主やステークホルダーとのミーティング
などといったものとなるでしょう。これらを全て実行すると社外取締役としては負荷が重くなるので、社内にサポートの担当者を置くことも考えることになります。
そして、筆頭独立社外取締役の開示についても、報告書以外にも法定書類等の役員の状況に記載することを考えることになるでしょう。