補充原則4−11.@
 

 

2021年の改訂されたコードからまず見ていき、改訂前のコードについての説明は、その下に続けます。 

【補充原則4−11@】

取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力などを一覧化したスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキルなどの組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。その際、独立社外取締役には、他者で経営経験を有する者を含めるべきである。

 参考として、比較のために改訂前の原則を下に示しておきます

【補充原則4−11@】

取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力などを一覧化したスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキルなどの組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。その際、独立社外取締役には、他者で経営経験を有する者を含めるべきである。

 

〔変更された点〕

@経営戦略に照らして自らが備えるスキル等を特定した上で、

各取締役の知識・経験・能力などを一覧化したスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキルなどの組み合わせを

従来のコーポレートガバナンス・コードの補助原則4−11@は、取締役会の構成について規律するものでした。そこでは、取締役会の構成については、取締役会がその役割・責務を実効的に果たすため、取締役会の全体としてのスキル(知識・経験・能力)をバランス良く備えることが求められていました。

そしてコード改訂により、取締役会が、経営戦力に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、取締役会全体としての知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任・手続きと併せて開示すべきだとしています。

補助原則4−11@の文言に即して見ていくと、「スキル・マトリックスをはじめ」と記載されているので、この場合、スキル・マトリックスはあくまで開示方法の呈示であり、スキル・マトリックスの作成自体を目的としているのではなく、スキル・マトリックス以外の方法であっても、「経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせ」を開示すれば、改訂コード補助原則4−11@の趣旨を満たすことは可能と考えられます。ただし、株主や投資家に対する分かりやすい説明という観点からすれば、少なくとも現状考えられる方法の中では、スキル・マトリックスによる方法が適切であると思われます。

Aその際、独立社外取締役には、他者で経営経験を有する者を含めるべきである。

改訂により追加され、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきとしています。ここでいう「他社での経営経験を有する者」は、典型的なものとして他社のCEO等の経験者が想定されますが、必ずしもそれだけに限られるものではないと考えられており、わが国の社外取締役の人材マーケットの規模を考えると、社長・会長経験者だけでは人数がたりず、専務・常務クラスをも含むこともしょうがないとおもわれます。

他方、専務・常務クラスを含む現職の経営陣については、他社の独立社外取締役としての業務に割くことができる時間的余裕は限られている可能性も高く、少なくとも多数の上場企業の独立社外取締役を務めることは難しいと言えるため、なお候補者の確保には相応の苦慮が想定される。そのような候補者を選定することが困難である場合には、改訂コード補充原則4−11@の趣旨が、独立社外取締役に経営環境の変化を見通してそれを経営戦略に反映させる役割を果たすことを期待していることに照らし、例えば、経営コンサルティングの経験者などを候補者として選定することも可能性としてはあり得ると考えられます。

〔スキル・マトリックスについて〕

・スキル・マトリックスとは

取締役会に必要なスキルを分野ごとに表にまとめ、どの取締役がどの分野について知見や専門性を備えているかを示した表のことです。

コーポレートガバナンスコードで求められているのは、現認の各取締役がどんなスキルを有しているかの羅列ではなく、会社としてどのようなスキルの取締役が必要であるかという観点から、スキルの内容を特定した上で、各取締役がそのようなスキルを有しているかを記載することで、会社にその取締役がなぜ必要かを説明することが求められていると言えます。

つまり、スキル・マトリックスの作成や開示そのものを目的としているのではなく、戦略に即したスキルや多様性を含む取締役会の構成についての考え方を明確にすることで、取締役会の実効性を高めることが最終的な目的と言えます。

・スキル・マトリックスの構成要素

@スキル項目

会社によって必要なスキルは当然に異なってくるので、スキル・マトリックスに記載されるスキル項目も必然的に各社各様となるはずです。この点について、すでに開示されている事例を参考にすると、例えば、次のようなスキル項目を設けている例が多いようです。

 

上記A.の項目に関して、改訂コード補充原則4−11@が「独立社外取締役には他社での経営経験を有する者を含めてしかるべきである」としていることを踏まえると、社外取締役について、そのスキル項目を設けることは当然考慮すべきです。

また、G.の項目のように、改訂コード原則「4−11」が取締役会に「ジェンダーや国際性、職業、年齢の面を含む多様性」としていることを踏まえて、多様性を示す工夫がされている例が存在することも、考慮していいいと思います。

A対象者の範囲

改訂コード補充原則4−11@は、「各取締役の知識・経験・能力などを一覧化したスキル・マトリックス」としているので、基本的には取締役がスキル・マトリックスの対象となることが想定されていると考えられます。実際の開示事例を見てみてると、監査役も対象に含めてスキル・マトリックスを作成している会社も少なくありません。実際改訂コードでも監査役を対象とすることを否定しているわけではありません。監査役も取締役会の出席者であり、報告徴求権や業務財産調査権といった大きな権限を有していることから、財務・会計や法務などの管理的なスキルを監査役は備える必要性は、たしかにあります。

また、開示事例の中には執行役員もスキル・マトリックス対象に加えている例も見受けられます。とくにモニタリング・モデルの取締役会では、もっぱら事業の遂行のために必要となるスキルを執行役員や執行役に備えさせているケースもありました。

B開示方法

開示方法については改訂コードでは、特段の例外的措置を求めていません。このため、他の原則と同じようにコーポレートガバナンス報告書で開示すれば足りることになります。しかし、コーポレートガバナンス報告書は基本的には株主総会の後で公表されるもので、株主の議決権行使には間に合いません。

・スキル・マトリックスの作成プロセス

スキル・マトリックスの作成プロセスは、簡略化すると次の4つのステップで行うことができます。

@現在および将来において、戦略に沿って備えるべきスキル等を特定する

このステップでは、現在と将来の二つの時間軸で整理することに留意します。日本企業のすでに開示された事例を見ると、自社の戦略とは無関係に現取締役のスキルを開示しているだけのもの、中長期戦略との整合性を欠いているものが見られます。

A取締役のスキル等を評価する

このステップでは、ステップ1で特定したスキル項目と多様性の要素を一覧化し、現取締役または候補者のスキル・属性を評価します。ただし、ここで取締役のスキルを誰がどうやって評価するかという問題があります。「誰が」については、各取締役による自己評価・相互評価、議長または指名委員会による評価、第三者による評価など様々な手法があります。「どうやって」については評価の基準が必要となるでしょう。例えば「経営経験」というスキル項目だけを特定しても、どのような経営経験が自社にとって必要であるかという基準を定めなければ評価はできません。米英の企業では筆頭独立社外取締役と指名委員会が中心となり、取締役会として保有すべきスキル・経験等の見直しを行うとともに、各取締役が保有するスキルや経験を客観的に評価しているそうです。

Bスキル等のギャップを特定する

このステップでは、備えるべきスキルが現時点において欠けているというギャップを特定することに加え、近々予定されている取締役の退任や、会社の戦略的方向性の変更によって生じる可能性のあるスキル・ギャップを考慮します。これによって明らかになったギャップについては、その深さと時間軸を念頭に、取締役向けトレーニングと社内外の新たな取締役候補者の選任による補充とを組み合わせ対処していくことになります。

Cスキル・マトリックスを開示する

米国の企業は、機関投資家からの詳細なスキル・マトリックスを求める声を受けて、スキル・マトリックスだけでなく複数のチャートを用いて、スキルや多様性のバランスをわかりやすく開示しています。

例えば、大手総合化学メーカーの3Mの事例です。取締役候補者の顔写真やプロフィールとともに、多様性(Ⓐダイバーシティ、Ⓑ年齢、Ⓒ在任期間)とスキルバランス(Ⓓスキルチャート)を配し、取締役会全体のスキルと多様性のバランスを包括的に概観できるように工夫されています。

さらにⒺスキル・チャートの冒頭に、取締役会の全体のスキルの考え方と選任方針として「指名・ガバナンス委員会は、3Mに最も関連するスキル・チャートに示した8つの主要分野のスキルと経験を有する的確な取締役会を構成するために、リーダーシップと成功の実績を持ち、取締役会の運営に大きく後継できる人材を選定し、戸の締まり役会の承認を得る」と記載しています。右側のⒻスキル・マトリックスでは、8つのスキルに加えて、多様性を示す在任期間、年齢、ジェンダーなどもマトリックスの中で包括的に示し、候補者のプロフィールでも、職歴・スキルを詳細に説明しています。3Mは自社のビジネスと戦略の構成であること、各候補者が基準に適合していることを、4つの開示形式を組み合わせ、株主・投資家に説明しています。

・日本企業のスキル・マトリックス開示の課題

日本企業のスキル・マトリックス開示事例から次のような二つの課題があげられます。

第一の課題として、スキル・マトリックスで開示したスキル・多様性がなぜ自社に必要なのかについての説明が不十分であることです。

スキル・マトリックスは取締役会の実効性を高める手段であり、その過程で経営戦略に照らして取締役会全体として備えるべきスキルや多様性の観点で検討を進める必要があります。言い換えれば、スキルの特定とは自社の取締役会で議論されるべき事項や構成員を含む態勢全般の特定と同義であることから、スキルを特定した理由を開示することはコーポレートガバナンス・コードの趣旨に合致するはずです。

第二の課題としては、スキル以外の多様性の要素として取締役の属性を開示する企業が少ないという点です。取締役会構成の多様性は、硬直的・画一的な価値観に基づく経営判断のミスを抑止し企業価値の既存を防ぐ側面に加え、取締役会において多様な価値観を踏まえた健全な議論がなされることでコーポレートガバナンス機能の向上を図り企業価値を向上させる側面も有しているからです。

〔他社での経営経験を有する独立社外取締役〕

改訂コード補充原則4−11@の「他社での経営経験を有する者」ということについては、典型的には他者のCEO等の経験者が想定されますが、必ずしもCEO等の経験者に限られるものではないと考えられています。ついうのも、日本の社外取締役の人材マーケットの規模を考えると、社長や会長といったトップの経験者だけでは人数が足りず、専務・常務クラスを迎えることも認めている。

他方、専務・常務クラスを含む現職の経営陣については、他社の独立社外取締役としての業務に割くことができる時間的余裕は限定的である可能性も高く、少なくとも多数の上場企業の独立社外取締役を務めることは難しいといえるため、なお候補者の確保には相応の苦慮が想定されます。そのような候補者を選定することが困難である場合には、補充原則4−11@の趣旨が、独立社外取締役の経営環境の変化を見通してそれを経営戦略に反映させる役割を果たすことを期待していることに照らし、例えばコンサルティング経験者などを候補者として選定することも考えられます。

〔実務上の対策─開示事例〕

@スキル・マトリックスの開示

・スキル等の特定

補充原則4−11@は、単に現認の取締役のスキルを表形式にまとめて開示をすればよいとするものではなくて、その前提として、経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定することを求めています。スキル・マトリックスに列挙されたスキルについて、企業理念や経営戦略を踏まえて期待するリスク等の選定をした旨を記載しているのが日本電信電話など、また取締役会または指名委員会やそれに相当する任意の委員会が取締役に期待するリスク等を定義・決定した旨を記載しているアズビルなどがあります。

アズビル

〔取締役会全体の知識・経験・能力のバランス、多様性についての考え方〕

当社では変化の激しい経営環境の中、中長期的な企業価値の向上に資する知識・経験等のバランスがとれ、多様性のある取締役会の構成が必要と考えております。こうした基本的な考えに基づき、当社事業及び経営の経験を積んだ業務執行に携わる取締役と、独立性があり、多様なバックグラウンドを背景に企業経営・監督等の幅広い経験や優れた専門性・知見を有した社外取締役を選任しております。なお11名の取締役のうち、女性が2名(うち1名が外国籍)となっております。また当社は、2021年5月14日開催の取締役会において、当社の中期経営計画の実現等、経営戦略に照らして、取締役に期待するスキル等を定め。現在の取締役会における独立性・多様性・期待するスキルを確認しております。当社の取締役に期待するスキル等(スキル・マトリックス)は、X.その他2.[その他コーポレート・ガバナンス体制等に関する事項]に掲載しております取締役の選任にあたっては、独立社外取締役と代表取締役[過半数は独立社外取締役]にて構成され、委員長を独立社外取締役が務める任意の指名・報酬委員会の審議を踏まえ、取締役の候補者を決定することとしています。

監査役についても財務・会計・法務に関する知識を有し、また少なくとも1名は財務・会計に関して十分な知見を有する監査役を選任するほか、公認会計士資格を有する1名を含め社外監査役3名選任して監査機能の充実を図るなど、取締役会全体としてバランスの取れた構成としております。

※補足説明の記述

2020年度は指名・報酬委員会を5回開催し、委員全員が出席のうえ。2020年5月には、執行を兼務する取締役と執行役員の2019年度個人業績目標に対する結果の評価と個々の賞与支給額、並びに執行を兼務する取締役及び社外取締役の2020年度の基本報酬額の審議を行いました。

2020年6月には、独立社外取締役の●●●氏を委員長とする新たな使命・報酬委員会体制にて、委員会の責務を再認識するとともに、後継者育成計画の進捗状況を確認いたしました。2021年1月には、経営体制交代に関わる選任プロセスについての評価結果と後継者育成計画としての役員面談の結果について確認いたしました。2021年2月には、2021年度の執行体制、グループ子会社の役員体制についての審議のうえ取締役会に報告し、取締役会において2021年度の役員体制が決定されました。2021年3月には、海外グループ会社の役員体制及びグローバル人材制度の運用状況の確認、指名・報酬委員会規程の改定。常勤役員の他会社の役職兼任について審議いたしました。2021年5月には、当社の中期経営計画の実現等、経営戦略に照らして、取締役に期待するスキル等を定め、現在の取締役会における独立性・多様性・期待するスキルを確認いたしました。

・スキル等の表示

スキル・マトリックスにおいては、ある程度抽象的な項目がスキルとして列挙されることが一般的ですが、各スキルの内容やそれを求める趣旨等について補足的な説明行っているサトーホールディングス等の例もあります。

各取締役が有するスキルは、表の中に「○」印で表示されるのが一般的ですが、工夫された例としては、各人が保有するスキルのうち特に強みがあるもの等に限定して表示している参天製薬や、各取締役が有するスキルの中でも特に高いものを区別して表示している日本エスコンなどの例もあります。 

A他社での経営経験

補充原則4−11@は、独立社外取締役に他社での経営経験を有する者を含めるべきとしています。この点は開示の対象とされていないため、他社での経験を有する者を独立社外取締役に選任していることを報告書において明示することは義務付けられていませんが、積極的にその旨を記載している日本瓦斯等の例もあります。また、スキル・マトリックスのスキルとして他社での経営経験を示す項目をあげているアルコニックス等の例もあります。

日本瓦斯

〔取締役会全体の知識・経験・能力のバランス、多様性についての考え方〕

取締役会出席者の過半数は社外役員(監査役含む)です。中長期的な成長に向けた全社戦略の決定及び機動的な業務執行を高いレベルで監督、当社企業価値向上の実現に求められるスキル(豊富な経験、高い見識、専門性)を備えた人材を取締役及び監査役に配置しております。また、独立社外取締役は、他社での経営経験を有する者を含んでおります

Bエクスプレインの事例

スキル・マトリックスその他の方法により取締役の有するスキル等の組み合わせを開示していない場合として、スキル・マトリックスを作成・開示する予定であることを記載する例や、スキル・マトリックスに限定せず取締役の有するスキル等の組み合わせの開示を今後検討する旨を記載する例もあります。

 

 

 

 【補充原則4−11.@】

取締役会は、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。

 

〔形式的説明〕

原則4−11の「取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成させるべきである。」として、取締役会のバランスや多様性、適正規模に関する考え方が上場会社においてあらかじめ定まっていることは、その構成員たる取締役の指名・選任を適切に行なうこと、ひいては取締役会がその役割・責務を適切に果たすことの前提条件に、実際に各企業で、取締役を選任する際の方針や手続きに反映させようとするものと考えられます。この手続きは、原則3−1の中で列記されている5つの項目のうち「(C)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続き」を指すものと考えられます。したがって、開示の手法として、この補充原則と原則3−1(C)とを一体の人まとまりで開示するか否かは、各企業の判断に委ねられていると考えられます。

 

〔実務上の対策と個人的見解〕

@選任の意味と方向性

取締役会の選任の手続きは会社法により株主総会で選任する場合に会社法で決められた手続きを踏むということです。すなわち、取締役は株主総会で過半数の賛成により選出されるというわけです。しかし、ここで求められているのは、それ以前の手続きの方です。取締役の選任ということは、ここでは株主総会で選任の決議をすることではなくて、その株主総会に取締役選任の議案を提起する際の候補者を選択すること、指名です。なお、補助原則4−3.@において経営陣幹部の選任解任にについて述べられていますが、これは経営陣の業績に対する監視の一環としてであって、いわば取締役の監視をする際に評価が選解任にも影響を及ぼすことで実効性を高めさせる目的のもので、こちらのような、将来に向けて取締役を選んでいくのとは方向性が違います。

つまり、株主総会で取締役選任議案が提起された場合、招集通知には候補者の指名と経歴が記載されます。多くの日本企業の場合、取締役候補者は従業員の内部昇格者ということになりますが、その場合には招集通知に記載された経歴から繰り上がるということになります。つまり、前例を踏襲する姿勢に陥り易い。はたして、そのような人が“攻め”の経営、むしろ前例を引っくり返してしまうような改革ができるでしょうか。

Aそもそものコーポレートガバナンス・コードの目的、及び経営理念との関係で

コーポレートガバナンス・コードの原点に一度立ち返ってみましょう。企業経営を活性化させて、活力ある成長を促すことが最終的な目的のはずです。そのためには、リスク回避の守りの姿勢ではジリ貧になるのを待つだけだから、敢えてリスクをとってチャレンジングな姿勢になることを経営陣から変っていくことを目指したものだったはずです。その経営陣の構成員である取締役にはどのような人がなるべきか、ということをここでは各企業の方針として、そのような人をどのようにしてセレクトしていくかという手続きを定めるということで、実は、コーポレートガバナンスの根幹をなす重要事項といってもいい事項です。従って、この意図を深読みすれば、今までの停滞した経営の下で経営陣の指示を受けて評価を得て内部昇格した人が前例を踏襲して、無難に過ごして後進に譲るというサイクルに終止符を打とう、という意味合いが含まれていると考えてもよいのではないか。

つまり、この原則で述べられている取締役会の役割・責務とは、経営の改革、さらに言えば変革といっても過言ではないでしょう。そのために、取締役会が機能するためには、どのような規模で、つまり、メンバーの取締役は何人程度必要で、どのような人を取締役として必要かということが、選任の方針ということになるはずです。企業の現状をみて、経営方針を貫徹するためにはこのような人材が必要だという、その必要な人材とはどのような人なのか、どうしてそのような人材が必要なのか、ということを定めるということなのではないでしょうか。

例えば、1993年のIBMがジリ貧になった経営を立て直すために、ナビスコという菓子メーカーからルイス・ガースナーを招聘し、コンピューターのものづくりからネットワーク・ソリューションに業態を変換させて再生させたようなことです。極端な例かもしれませんが。

B取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模を検討する場合

実際に補充原則4−11@に真摯に向き合って、取締役会の多様性や規模を考え直そうとか、いままで考慮していなかったが、今後は検討しなければならないという場合にどうするかを考えてみましょう。

その場合、現状のメンバー構成をベースに考えるのではなく、会社の置かれた戦略ステージを踏まえて、あるべき姿としてのメンバー構成を考えていくことが重要だろうと思います。

その場合の検討する要素として次の点が挙げられると思います。

・コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方(原則3−1)を踏まえた、役員構成のあり方の考え方

・迅速な意思決定と多様性を踏まえた適正な規模

・社内と社外の割合、社外役員の多様性

・プロパーと非プロパーの割合

・経歴・知見など専門性の状況

・今後の方針、特に女性役員の育成の方針

 

〔開示事例〕

亀田製菓

当社の取締役会は、活発な審議と迅速な意思決定ができるように3分の1以上を独立性の高い社外取締役で構成することとしております。社内取締役においては、業務全般を把握し活動できるバランス感覚と実績、決断力を有し、多様な専門性をもったメンバーで構成されることが必要であると考えております。

また、社外取締役においては、多様な視点、豊富な経験、高い見識と専門性を持った独立性のある多種多様な業界の経営者又は経営経験者で構成されることが必要であると考えております。これにより、社外取締役による高度なモニタリングモデルが期待でき、グローバル化等のリスクの高まり対し、健全に牽制する経営体制の構築ができると考えております。

さらに、菓子メーカーとして、女性の価値観・発想は重要であり、取締役会構成メンバーに女性が入ることも必要であると考えております。

※参考(原則3−1.中の(C)の開示)

4.取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(1) 執行役員(経営陣幹部)選任の方針と手続き

当社では取締役会による経営監督と執行機能の役割分担を明確にし、迅速な意思決定を図るため、執行役員制度を導入しております。

当社執行役員は、取締役会で決定した経営の基本方針に基づき、経営・業務の執行を、責任を持って行う者と定義しており、その選任については、以下の基準に従って代表取締役会長CEOが候補者を提案し、取締役会で決議しております。

  (執行役員の選任基準)

   ・次の世代を担うことができる年齢で、心身ともに健康でバイタリティーがあること

   ・組織のモチベーションを高めるリーダーシップを有し、責任をもって最後まで業務を遂行できること

   ・中長期的な経営戦略を具体化し、大胆にチャレンジして企業目的に貢献できること

   ・得意とする専門分野における豊富な能力・知識・経験・実績を有すること

   ・次世代の幹部候補育成に貢献できること

   ・執行役員の職務執行に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと

(2) 取締役・監査役候補の指名方針と手続き

(a) 取締役候補の指名方針と手続き

当社の取締役会は、活発な審議と迅速な意思決定ができるよう上限を9名とし、3分の1以上を独立性の高い社外取締役で構成することとしております。

取締役候補の指名については、以下の基準に従って代表取締役会長CEOが提案し、株主総会付議議案として取締役会で決議し、株主総会議案として提出しております。

   (取締役候補の指名基準)

    ・心身ともに健康でバイタリティーがあること

    ・高い人望、人脈、品格、倫理観を有していること

    ・高い経営的知識と客観的判断能力を有するとともに、先見性、洞察力に優れていること

・取締役の職務執行に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと

・社内取締役においては、得意とする専門分野における能力・知識・経験・実績を有するとともに、業務全般を把握し活動ができるバランス感覚と決断力を有すること

・社外取締役においては、出身の各分野における豊富な経験と高い見識を有していること、当社取締役として職務遂行を行うための十分な時間が確保できること、独立した立場から取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するための助言・提言ができる資質を有していること

・その他、上場会社として経営の健全化と透明性の向上を図るコーポレート・ガバナンス構築の観点から、取締役に求められる資質を有していること

なお、社外取締役の独立性確保のための基準は、【原則4−9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】に記載のとおりです。

(b) 監査役候補の指名方針と手続き

当社の監査役会は、監査役の機能強化を図るため上限を5名とし、会社法第335条第3項の定めに基づきその半数以上を社外監査役で構成することとしております。さらに、監査部門と会計監査人と連携し、三様監査が各々有効となるよう努め、当グループの業務全般に対する監査の充実を図っております。

監査役候補の指名については、以下の基準に従って代表取締役会長CEOが提案し、監査役会で協議し同意を得た上で、株主総会付議議案として取締役会で決議し、株主総会議案として提出しております。

   (監査役候補の指名基準)

    ・心身ともに健康でバイタリティーがあること

    ・高い人望、人脈、品格、倫理観を有していること

    ・常に公正不偏の態度を保持し、自らの信念に基づき行動できること

    ・監査品質の向上のため常に自己研鑽に努めることができること

    ・経営的知識と客観的判断能力を有すること

    ・経営全般の見地から経営課題を認識することができること

    ・監査役の職務執行に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと

・常勤監査役に関しては監査役会の役割・責務を十分に果たす上で必要な情報収集能力を有していること

・財務及び会計に関する相当程度の知見、又は、得意とする専門分野における能力・知識・経験を有していること

・社外監査役においては、出身の各分野のおける豊富な経験と高い見識を有していること、当社監査役として職務遂行を行うための十分な時間が確保できること、独立した立場から取締役会の意思決定の妥当性・適性性を確保するための助言・提言ができる資質を有していること

・その他、上場会社として経営の健全化と透明性の向上を図るコーポレート・ガバナンス構築の観点から、監査役に求められる資質を有していること

なお、社外監査役の独立性確保のための基準は、【原則4−9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】に記載のとおりです。

 

新生銀行

取締役候補の選任に際しては、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス及び多様性を重視し、当行の規模を踏まえ、十分議論の上、最終的に取締役会で決定しています。

※参考(原則3−1.中の(C)の開示)

4)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

当行は、経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名について、当行の定める社内規程に基づき、取締役会が決定しています。執行役員の選任については、一定の対象者の中からその評価や業績等を踏まえて選定し、候補者を決定する透明性の高い手続を策定しています。取締役候補の指名に当たっては、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス及び多様性を重視し、当行の規模を踏まえ、十分議論の上、最終的に取締役会で決定しています。監査役候補の指名は、当行取締役の職務の執行の監査を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を持っていること等を踏まえ、決定しています。

 

資生堂

当社の取締役会は、業務執行の監督と重要な意思決定を行うために、多様な視点、多様な経験、多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。また、監査役についても、取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べる義務があることから、取締役と同様多様性と高いスキルが必要であると考えます。

 社外役員については、取締役会による監督と監査役による監査という二重のチェック機能を果たすため、法定の社外監査役だけでなく、取締役会での議決権を持つ社外取締役が必要であり、ともに高い独立性を有することが重要であると考えています。

 取締役会における重要な意思決定に際しては、取締役および監査役のダイバーシティ(多様性)が担保されていることが重要であり、その中でも化粧品メーカーとして女性の価値観および発想が特に重要であることから、女性の取締役および監査役の選任が必要であると考えています。

2015年6月末日現在、取締役6名は、資生堂グループ以外で経営者としてのキャリアを積んだ者1名、資生堂グループでのキャリアを有する者2名、高い独立性を有する社外取締役3名で構成されています。また監査役5名は、資生堂グループでのキャリアを有する常勤者2名と高い独立性を有する非常勤の社外監査役3名で構成されています。取締役および監査役計11名は、女性3名、男性8名で構成されています。

これらのメンバーがそれぞれの知識・経験・能力を活かして議論を行い、法令上および経営上の意思決定と業務執行の監督を行っています。 

 

〔開示項目としての対処〕

補助原則4−11@は、開示項目として、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方の開示を求めています。また、取締役の選任に関する方針・手続を併せて開示するようにもとめていますが、こちらは原則3−1.の開示項目のひとつであるので、両原則を一体として開示することもできますが、別々にするか、まとめるかは各社の判断に任せられています。

@知識・経験・能力のバランス及び多様性

・社外取締役の選任割合に言及─三菱商事(下例)、エーザイ、オリンパス、花王、みずほFG

広範な分野で多角的な事業を行う総合商社の適切な意思決定・経営監督の実現を図るため、社内及び社外から、豊富な経験、高い見識、高度な専門性を有する者を複数選任しています。

具体的な取締役候補者の選任方針は、取締役(社内)として、取締役会議長を務める取締役会長、業務執行の最高責任者である社長のほか、全社経営を担う執行役員・コーポレートを担当する執行役員などの中から選任しています。また、社外取締役は、企業経営者などの実践的な視点を持つ者、及び世界情勢、社会・経済動向などに関する高い見識に基づく客観的かつ専門的な視点を持つ者から複数選任しています。原則として、取締役の総数は15名程度とし、そのうち社外取締役が3分の1以上を占める構成としています。

・非業務執行取締役の選任割合、社外役員の通産任期の制限、社外役員の1名以上を会計・財務の専門知識を有する者とすることを記載─みずほFG

コーポレート・ガバナンスガイドライン

第7条(取締役会の構成)

 取締役会は、定款上の員数である15名以内とし、取締役会を実効的かつ安定的に運営するために、次に掲げる事項を原則とした構成とする。

1)取締役会による経営に対する監督機能という役割を踏まえ、社外取締役(会社法第2条第15号に規定する社外取締役であって、第8条第2項各号に掲げる事項を充足する者をいう)、および社内取締役(社外取締役以外の取締役をいう)のうち、当社または当社の子会社の執行役、執行役員、使用人または業務執行取締役を兼務しない者(以下、「社内非執行取締役」といい、社外取締役と併せて「非執行取締役」という)の人数を取締役会の過半数とする。

2)取締役会は、前条に定める役割を果たすため、6名以上の取締役を社外取締役とし、そのうち1名以上を財務・会計および内部統制の専門的知見を有する者とする。なお、全社外取締役の平均通算在任期間は、原則として、6年を超えないこととし、定期的かつ継続的に社外取締役の交替を行う。

3)金融業務・規制や<みずほ>のビジネスモデルに精通した取締役による、専門性も含めた意思決定における質の確保と実効性のある監督により、金融機関としての業務の健全かつ適切な運営を確保することを目的として、十分な数の社内取締役を構成員とする。

・役員の職責ごとに求められる資質・能力・経験・専門性に言及─花王(下例)、ニッセンホールディングス

7 取締役会の知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方(原則4-11-1、原則2-4

上記の指名方針に従い、以下の通り取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスと多様性を確保します。また、取締役会の規模については、適正配置した執行役員への権限委譲を前提として、事業の拡大等に対応した意思決定の迅速化を図るための取締役会の簡素化と適切な審議、執行の監督を行うために必要な多様な人材のバランスを勘案し、適切な規模とします。

社内取締役については、適切な経営戦略等の立案、審議等に必要なグローバルな運営を含む、よきモノづくりに関わる研究開発、マーケティング、販売及び生産等の部門の運営及びこれらの部門を支援するコーポレート機能に関する部門の運営経験並びに当社を取り巻く事業環境及びこれに対応するための当社の強み・課題に対する理解を重視して指名します。

社外取締役については、経営戦略等の審議等に当たって、社内取締役だけでは得られない多様な、例えば、グローバルな経験を含む当社と異なる分野の製品・サービスを提供する会社の経営経験者及びコンサルタントや学識経験者等が有する経験並びにこれらの経験から得られる知識及び高い見識を有していることを重視し、あわせて独立性にも配慮して指名します。また、社外取締役は、取締役会の多様性及び発言力の確保のため取締役の約半数を目途とします。

常勤監査役については、社内より、会計財務等の会社管理、事業等の運営、研究開発・生産から販売までのサプライチェーン及び海外経験等の各人のこれまでの業務経験及びこれらから得た知見等のバランス及び海外業務の経験や業務執行者からの独立性を確保できる資質を重視して指名します。

社外監査役については、弁護士、公認会計士、学識経験者等の高い専門性と見識及び法令上の社外性、独立性に関する適格性を重視して指名します。また、監査役会の独立性、中立性を高めるため、監査役会の過半数を独立基準を満たす社外監査役とします。

監査役についても、経営戦略等の審議等に必要な経験、資質、専門性等を有しているかを指名の際に重視します。

また、知識・経験・能力だけでなく、女性や外国人等による多様な視点が事業の推進やグローバル拡大、適切な監督や監査に資するとの認識に立ち、これらの多様な人材の役員への登用を進めます。

(女性の活躍については、後掲「株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況 3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み状況 その他(女性の活躍に向けた取り組みについて)」参照

女性の社会参画のためのガイドライン「女性のエンパワーメントのための指針〜平等はビジネス向上の鍵」への署名についてはこちらを参照http://www.kao.com/jp/corp_csr/topics/csr_20101020_002.html

・多様性について、性別、年齢、人種又は国籍等を問わないことを明示─リクルートホールディングス

取締役会の全体としての規模に関する考え方として、当社の会社規模、機能を考え、将来的に各機能ごとに専任の取締役を置く可能性、及び、社外取締役を適切な人数を選任することに鑑み、11名以内とするのが、必要十分な取締役数と考えております。現時点では、取締役の員数は6名が妥当と考えております。また、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性については、執行役員を兼ねる取締役が協議の上、毎期、コーポレート・ガバナンス体制及び取締役要件を検討し、適任と考えられる候補者を選出する方針です。

経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっては、性別、年齢及び国籍の区別なく、それぞれの識見等を考慮の上、取締役・監査役の職務と責任を全うできる適任者を候補者として選定する方針です。また、経営陣幹部・取締役の指名、評価、報酬決定に当たっては、客観性及び透明性を高めるために、取締役会の諮問機関において社外役員を中心に審議を行う方針です。

具体的な手続きとして、毎期、指名委員会、評価委員会、報酬委員会にて審議し、取締役会にて決議しております。指名委員会では、代表取締役社長の新任・再任・退任について、評価委員会、報酬委員会では、取締役、執行役員の報酬の制度、算定方法等について審議・答申の上、取締役会に具申しております。役員報酬額については、株主総会において承認された報酬枠の範囲内で、取締役については評価委員会、報酬委員会の答申を踏まえて取締役会にて、監査役については監査役の協議に基づき決定しております。個々の報酬水準については、外部のデータベースサービスをもとに世の中の大手企業の役員報酬水準(監査役は常勤/非常勤監査役の報酬水準)をベンチマークとして設定しております。

なお、各委員会ともに社外取締役を委員長とし、かつ、構成員の過半を社外役員としております。

・女性の価値観、発想に言及─資生堂

当社の取締役会は、業務執行の監督と重要な意思決定を行うために、多様な視点、多様な経験、多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。また、監査役についても、取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べる義務があることから、取締役と同様多様性と高いスキルが必要であると考えます。

社外役員については、取締役会による監督と監査役による監査という二重のチェック機能を果たすため、法定の社外監査役だけでなく、取締役会での議決権を持つ社外取締役が必要であり、ともに高い独立性を有することが重要であると考えています。

取締役会における重要な意思決定に際しては、取締役および監査役のダイバーシティ(多様性)が担保されていることが重要であり、その中でも化粧品メーカーとして女性の価値観および発想が特に重要であることから、女性の取締役および監査役の選任が必要であると考えています。

2015年6月末日現在、取締役6名は、資生堂グループ以外で経営者としてのキャリアを積んだ者1名、資生堂グループでのキャリアを有する者2名、高い独立性を有する社外取締役3名で構成されています。また監査役5名は、資生堂グループでのキャリアを有する常勤者2名と高い独立性を有する非常勤の社外監査役3名で構成されています。取締役および監査役計11名は、女性3名、男性8名で構成されています。

これらのメンバーがそれぞれの知識・経験・能力を活かして議論を行い、法令上および経営上の意思決定と業務執行の監督を行っています。

A規模

・取締役会の規模について具体的な役員数に言及─アイシン精機(下例)、三菱商事、みずほFG

当社取締役会は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、的確・迅速・公正な意思決定が行われるよう努めています。その実現のため、当社取締役会は、当社が属する業界の内外を問わず高度な専門性を有する者を社外取締役に複数選任すること、また、効率的な連結経営を意識し、主要な子会社の取締役を当社取締役に選任することなど、様々な方策を総合的に勘案し、取締役会の多様性及び全体としての知識・経験・能力のバランスが当社にとって最適な形で確保されるよう努めています。また、定款にて取締役の数を15名までと定め、迅速な意思決定を行うよう努めています。

・取締役会の規模を定款で定めた上限と記載─コニカミノルタ(下例)、オリンパス、

当社は、取締役会で取り扱うべき経営課題を勘案し、定款の定める取締役の人数の範囲内で取締役会を構成します。

(1)経営の透明性及び監督の客観性を確保するため、取締役総数の3分の1以上を独立社外取締役とするとともに、過半数を執行役を兼務しない取締役とします。

(2)経営の監督機能をより充実させるとともに、独立社外取締役との連携及び執行役との連絡・調整を強化するため、執行役を兼務しない社内取締役を複数名置きます。

(3)経営上重要な意思決定における審議をより充実させるため、代表執行役社長の他、主要な職務を担当する執行役数名を取締役とします。

(4)当社は、取締役会がその役割・責務を実効的に果たすため、「取締役選任基準」を定めております。取締役の知識・経験・能力のバランス、多様性については、「産官学の分野における組織運営経験、又は技術、会計、法務等の専門性を有していること」「社外取締役については、出身の各分野における実績と識見を有していること」を選任基準において定めております。

・少人数体制を維持する旨を記載─小松製作所

当社は取締役会での議論の実質性を高めるために、取締役会の少人数体制を維持する一方、社外取締役および社外監査役を選任し、経営の透明性と健全性の維持に努めております。

現在取締役10名となっており、そのうち3名は独立社外取締役です。社内出身の取締役は、開発・生産・営業・人事・経理財務等の会社の主要な各機能の幹部層から選任し、社外取締役、社外監査役は、現下の主要な経営課題に則して期待する専門性・知見・経験等を明確にして選任しています。

当社では、社外取締役3名、会長および社長で構成される人事諮問委員会において、経営陣幹部の選解任を審議し、取締役会では、その助言・提言を踏まえ、取締役、監査役候補者の指名および執行役員、執行役員待遇者の選任につき、審議、決定します。

 


関連するコード        *       

基本原則1.

基本原則2.

原則3−1.

基本原則4.

原則4−11.

補充原則4−11.A

補充原則4−11.B

基本原則5.

 
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