【原則4−3.取締役会の役割・責務(3)】
取締役会は、客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、適切に会社の業績などの評価を行い、その評価を経営陣幹部の人事に適切に反映すべきである。
また、取締役会は、適時かつ正確な情報開示が行われるよう監督を行うとともに、内部統制やリスク管理体制を適切に整備すべきである。
更に、取締役会は、経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反を適切に管理すべきである。 |
〔形式的説明〕
この原則は、取締役会に対し、(@)「適切に会社の業績等の評価を行い、その評価を適切に反映」することや、(A)「適時かつ正確な情報開示が行なわれるよう監督を行なうとともに、内部統制やリスク管理体制を適切に整備」すること、(B)「経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反を適切に管理」することを求めているということができます。これは基本原則4の「(3)独立した客観的な立場から、経営陣(執行約及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行なうこと」を取締役会の主要な役割・責務として、その内容を敷衍したものと言えます。
具体的には、上記3項目のうち、(@)は補充原則4−3.@で、(A)は補充原則4−3.Aで扱っています。(B)については、経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反については、取締役会が独立した客観的な立場から監督を行なうことが特に必要になります。そして、取締役の選解任や報酬決定に加え、関連当事者間の取引、親会社による完全子会社化、MBO、買収防衛など、経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に利益相反が生じる可能性のある場面は増えてきています。それに対して取締役会が独立した客観的な立場から適切に監督を行なうことの重要性は高くなって来ています。この場合、原則1−7.で扱っている関連当事者間の取引と関連させて、検討すべきと考えます。
さて、そこでこの原則に対してのコンプライの判断についてですが、(@)〜(B)について判断して、全部OKであればコンプライ、ひとつでもNOであれば、エクスプレインということになると思います。そのうち(@)は補充原則4−3.@で、(A)は補充原則4−3.Aで扱っているので、補充原則がコンプライであればOKということになります。そして、最後に残った(B)について判断するのは、取締役会は管理すべき、とされていることで体制をつくるとか、制度を設けることをとくに求めてはいないということです。そうすべきという方針のレベルで求められていると考えられます。