原則4−4.
【監査役及び監査役会の役割・責務
 

 

 【原則4−4.監査役及び監査役会の役割・責務】

監査役及び監査役会は、取締役の業務の執行の監査、外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において適切な判断をおこなうべきである。

また、監査役及び監査役会に期待される重要な役割・責務には、業務監査・会計監査をはじめとするいわば「守りの機能」があるが、こうした機能を含め、その役割・責務を十分に果たすためには、自らの守備範囲を過度に狭く捉えることは適切でなく、能動的・積極的に権限を行使し、取締役会においてあるいは経営陣に対して適切に意見を述べるべきである。

 

 【補充原則4−4.@】

監査役会は、会社法により、その半数以上を社外取締役とすること及び常勤の監査役を置くことの双方が求められていることを踏まえ、その役割・責務を十分に果たすとの観点から、前者に由来する強固な独立性と、後者が保有する高度な情報収集力とを有機的に組み合わせて実効性を高めるべきである。また、監査役または監査役会は、社外取締役が、その独立性に影響を受けることなく情報収集力の強化を図ることができるよう、社外取締役との連携を確保すべきである。

 

〔形式的説明〕

この原則は、監査役・監査役会に対して、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現のためにその役割・責務を果たすことを、その重要性を強調しています。これは、監査役及び監査役会の行動指針のようなもので、このように行動すべきという原則です。

また、補充原則は、この原則に掲げられた監査役の役割・責務を十分に果たすとの観点から、社外監査役の強固な独立性と常勤監査役の高度な情報収集能力を有機的に組み合わせることで、監査役会の実効性を高める。さらに、監査役・監査役会と社外取締役との連携によって、社外取締役の情報収集の強化ができるように述べられています。これも、行動指針といえます。これらのための具体的な制度については何ら触れられていません。

考えられます。

これらについての、コンプライの判断は、やっているか、努力しているかという自主的な判断によるしかない、と言えます。

 

〔実務上の対策と個人的見解〕

@海外投資家の監査役への疑問

この原則の背景には、日本独自の制度である監査役が外国人(機関)投資家に理解され難い事情があると思います。実際、経営者やIR担当が海外の投資家とミーティングをした際に、ガバナンスに関して監査役制度の説明に苦労したという話はよく聞きます。制度としての監査役は内部監査部門でもなく、外部の会計監査人でもなく、役員で取締役に対する監視をするとは言っても、取締役会での議決権はもっていないため、実効性ある監査ができないのではないか、と外国人投資家は考えているようです。実際の企業によっては、取締役からの横滑りで監査役に就任したり(CFO退任後に監査役に就任するというケースなどは、財務や会計への監査といっても、自身の業務執行に対して厳正な監査ができるか、甚だ疑問でしょう)、また実質的な任命者が社長で元上司や同僚の業務執行に対して、心情的に独立性を持てるかという疑念を持たれてしまう。つまり、現在の日本の上場企業の多くが採用している監査役会制度に対して、外国人投資家が疑念を持ってしまうので、その対策というのが、本原則の趣旨ということなのです。

A監査役機能の強化と見える化

ではどうするかと言えば、監査役制度を見える化させることです。そのために、監査役機能の強化を図っていくことは必要です。具体的に言えば、この原則に記載されている内容が監査役制度の特徴なのですから、それが堂々と外部に説明できるようにすればいいのです。つまり、監査役の任期は4年で、取締役の1〜2年に比べて長く、任期途中で辞任した場合には株主総会で意見を述べることができるということで独立性を持てるわけです。監査役は独任制で、仮に一人が独立性を放棄するようなケースがあっても、ここの監査役は独立して個々に知よい調査権限を持っています。そして、常勤の監査役と社外監査役で構成される監査役会は、常勤監査役は多くの場合社内プロパーで事業に精通している上に、社内に情報網を持っていることから、強力な情報収集力を持っています。一方社外監査役は、常勤監査役から情報を得ることにより、社外の視点から社内の心情に囚われることなく監査の指示をし、意見を述べることができるわけです。

しかし、今までもそうですが、この説明だけでは、外国人投資家の理解を得るのが難しい。そこで、このコーポレートガバナンス・コードを逆に利用するのです。例えば、原則2−5の内部通報体制のキーとして監査役が中心となる、原則4−10の任意の仕組みがあれば、そこに監査役が参加する、原則4−13の監査役(会)のサポート体制を目に見えるものとするなどです。そして、この原則でうたっているような「自らの守備範囲を過度に狭く捉えることは適切でなく」というように、積極的に、例えば、監査役(会)に対して適法性監査の権限だけにとどまらず、妥当性監査の権限を社内では認めることはできます。このような組み合わせにより、実際に取締役会の意思決定に影響力を及ぼし得ることを実例に基づいて説明が可能となるというわけです。

Bコードに対する実務上の対応

では、コーポレートガバナンス・コードの原則に対して、実際のところ何をどうするか、について考えてみましょう。まず、現状の監査役の機能チェックで、例えば次のような事項についてです。そこから積極的に実効性のある方向に進めるのであれば、Aの実行を検討する。もし、コーポレートガバナンス報告書での開示のみに留まらないのであれば、コーポレートガバナンス報告書の社内体制のところなどで、このことを積極的に説明したり、コーポレートガバナンスに関する方針やガイドラインを別に開示しているのであれば、そこに詳しく開示する、ということが考えられます。そうでなければ、機能チェックの結果によりコンプライとして済ますことになるでしょう。

〔チェック項目〕

・監査役(会)に期待される役割・責務が明確になっているか→社内規程、監査役会での確認

・監査役の社内の会議への出席の権利が社内で認められているか(社内監査役に会議の開催が槌されているか)、実際に監査役が出席しているか。

・監査役は、求められている能力、例えば専門知識、とりわけ会計知識を持つ者がいるか。

・監査役に対するサポート体制を具体的に確認する。

 

〔Explainの開示事例〕

亀田製菓

当社は、食品製造業であることに鑑み、会計知識だけでなく、食品製造に関する知識・経験をもっている者を監査役に選任することで、監査役の高度な情報収集能力を確保しており、社外監査役として、当社とは違った知識・経験等に依拠しつつ会計に関する知識・経験が豊富な者を社外監査役に選任することで、強固な独立性を担保しております。

また、当社は取締役7名中4名を社外取締役としており、独立・客観的な立場での意見・助言がなされています。しかしながら、社外取締役と監査役・監査役会はその求められる役割が異なり、それぞれ独立した立場での活躍が期待されるところですが、連携を強調するあまり、ある種の共通認識が形成され反対意見を述べづらくなるなど、それぞれの独立性を弱める可能性もあります。

当社においては、社外取締役・社外監査役に対し、その必要と思われる情報について、重要会議の内容等を同程度に提供しており、情報量について個々にばらつきがでないように配慮することで、十分な連携が確保されていると考えております。

 

〔監査役・監査役会の活動に関する開示の充実〕

2019年1月の企業内容などの開示に関する内閣府令の改正により、2020年3月期以降の有価証券報告書には監査役会等の活動状況を新たに記載することになります。その内容として、次の項目を記載しなければなりません。これは、株主や投資家が

・開催頻度

・主な検討事項

・個々の監査役の出席状況

・常勤の監査役の活動等

上記4点のうち、開催頻度や出席状況などについては回数を記載すればよいが、「主な検討事項」については何をどこまで記載するか、具体的にどのように記載するかは各会社が、それぞれの監査役・監査役会の活動に応じた記載をすることとなります。その際の考え方として、金融審議会のディスクロジャーワーキング・グループの次のような報告が参考になると思います。「監査役会等の具体的な活動状況は、監査役会等の実効性を判断する上で必要な情報である。監査人と監査役の連携状況等を理解するため、開催頻度や出席状況等の計数的な開示だけでなく、議論された内容や監査役会が監査人の指摘にどのように対応したか等も含まれるべきである。」あるいは、監査法人についてはKAMにより「監査上の主要な検討事項」を監査報告書に記載することになったのに応じたものとも考えられます。

実際には、すでに実質的に有価証券報告書への記載を開始している会社があり、参考となると思います。例えば、セブン&アイ・ホールディングスは、従来から記載が要求されている監査役等と内部監査・会計監査との相互連携・関係の記載の部分で、監査役の活動状況を詳しく開示しています。同社は、監査役の活動として、@代表取締役との意見交換、A定期的な取締役等からの業務執行状況の聴取、B稟議書等の重要な決裁事項の閲覧、C本社等における業務・財産状況調査、D子会社の取締役・監査役等との情報共有、E監査計画に基づく子会社の本社・店舗・物流センター等の訪問・調査、F常勤監査役と監査室の原則月1回のミーティング、業務監査結果、内部統制評価の経過報告、重点点検事項等の意見交換、社外監査役へのフィードバックなどを挙げています。

また、記載項目の中でも、とくに「主要な監査項目」については、味の素は、コーポレートガバナンスの状況のなかで、監査の状況の項目を設け、監査役の主な活動として、その中で、「重点監査項目」を挙げて、それぞれについて説明を加えています。それが、「主要な監査項目」の記載の参考になると思います。

また、有価証券報告書ではありませんが株式会社リコーの定時株主総会招集通知の中の事業報告に監査実績説明書を独自にき記載していて、それが大きな参考になると思います。

 

〔監査上の主要な検討事項「KAM」について〕

2021年3月期の有価証券報告書から監査報告書に監査上の主要な検討事項を記載しなければならなくなります。監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters)とは、監査を実施した公認会計士または監査法人が、監査の対象となった事業年度に係る財務諸表の監査の過程で、監査役等と協議した事項のうち、監査及び会計の専門家として当該監査において特に重要であると判断して事項で、監査意見とは別に区分して記載されます。監査人と監査役等との協議の一部が監査報告書に記載され、株主や投資家等に提供されることになります。

これは、標準的・画一的な文言が中心で、監査意見に至るプロセスがブラックボックス化した監査報告書では情報価値がないとの指摘等を背景に、これまでの基本的な枠組みを維持しつつ、監査報告書の情報伝達手段としての価値を向上させることを目的としたものです。

@KAMの決定プロセス

監査人は、リスク・アプローチに基づく監査計画の策定段階から監査の過程を通じて監査役等と協議を行う等、適切な連携を図ることが求められ、KAMは、そのような協議を行った事項の中から絞り込みを行い監査人により決定されます。手続きとしては、図の上段の監査人が「監査の過程で監査役等と協議した事項の中」から中段の「特に注意を払った事項」を決定し、さらに図の中段の「特に重要な事項」をKAMとして決定します。

AKAMの記載内容

監査人がKAMと決定した事項は、監査報告書に監査上の主要な検討事項の区分を設け次の4つの項目を記載します。

・関連する財務諸表における注記事項がある場合の当該注記事項への参照

KAMに関連する財務諸表における注記事項がある場合は、その注記事項への参照を付さなければならず、詳細な注記事項の場合は参照に付すだけでなく、財務諸表またはその他の記載内容に開示された特定の事象または状況等に言及します。

・個々のKAMの記載内容

個々のKAMの記載内容は、経営者と監査人のそれぞれの責任を踏まえて決定されます。

KAMに決定した理由

監査人は、「KAMの決定に関する要求事項及び運用指針」、目的適合性、企業の特定の状況に直接関連付けること等を検討して記述内容を決めます。

・監査人の対応

何をどこまで書き込むかは監査人の職業的専門家としての判断にゆだねられています。監査上の対応に関する記載は、財務諸表利用者がKAMの重要性、監査意見等のその他の記載事項との関係を理解できるように留意し、監査人は@当該KAMに最も適合し、または評価した重要な虚偽表示リスクに焦点を当てた監査人の対応または監査アプローチの内容、A実施した手続の簡潔な概要、B監査人による手続の結果に関連する記述、C当該事項に関する主要な見解のいずれか、またはこれらを組み合わせて記載します。

※「重要な会計上の見積り」

重要な会計上の見積りは、KAMに記載される可能性が最も高い項目であると考えられています。会計上の見積りにより計上される金額は、会計基準の進展から経営者の判断により見積金額が変動する性質が大きなものが登場し、その不確実性の内容やその変動により企業の業績に予期しない影響を与える可能性があります。事業投資、のれんや固定資産の回収可能性等の事項について会計上の見積りが依拠している前提や仮定、主観・予測の介在する情報や不確実性の高い要因等に関する説明・開示の要求が高まることが想定されています。

このような会計上の見積りはIFRSでは財務諸表の注記として記載を求められます。例えば、固定資産の減損について、IFRSでは、有形固定資産については、兆候がある場合にのみ減損テストを実施しますが、のれんや無形資産については兆候の有無にかかわらず、年次で必ず減損テストを実施することを求められています。また、のれんや無形資産については償却が行われない残高が多額になることも多く、欧州ではKAMに選定されることが多くなっています。これに対して、現在の日本の会計基準では、重要な減損を認識した場合に注記をすることとされています。しかし、開示府令の改正によりMD&Aの項目で開示することとしました。もっとも、現在の実務では「経理の状況」に注記として記載することが行われています。

BKAMの影響による開示の充実

KAMは、財務情報だけでなく、財務情報補完する機能を果たす記述情報にも関連付けられため、KAMの実効性を確保するためには記述情報、具体的には「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」、「事業等のリスク」「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の充実も重要となってきます。

実際に開示府令の改正により、「コーポレート・ガバナンスの状況等」の(3)「監査の状況」において、新たに「監査役及び監査役会の活動状況」を記載することとなりました。この監査役会等の活動状況は、会計監査に関する情報と併せて、有価証券報告書に記載されます。この趣旨は、監査役会等の具体的な活動状況は、監査役会等の実効性を判断するために必要な情報であるため、監査人と監査役等の連携状況を理解する目的で、開催頻度、出席状況等の計数的な開示だけでなく、議論された内容、監査役会が監査人の指摘にどのように対応したか等の情報も記載することを意図されています。項目としては、監査役等のKAMに関する監査人とのコミュニケーションや経営者とのコミュニケーション等を「監査役会の主な検討事項」の例示として掲げられている「重点監査項目等」や「会計監査人の監査の相当性」に記載することが考えられます。具体的な記載としては、監査人がイニシアティブをとって監査役等との間で行ったコミュニケーションや、監査人と経営者とに見解のズレが生じた場合に果たした具体的な調整の役割等を記載すること等が想定できます。

CKAMの留意点

監査人が監査計画を立てて監査役等と協議したとき、あるいは、監査を行っている最中に、監査上の重要な事項に気がついて、KAMとして記載することが適切ではないかと判断した事項が、未だ経営者によって開示されていない場合が発生する可能性があります。例えば、急な災害や事業環境の変化により重要な資産の減損処理の要否を検討することが必要になった場合が考えられます。この場合、重要な資産の減損処理の要否を重点的に監査した旨を開示すれば、資産の価値が下落したのではないかと、投資家の憶測を呼び市場を混乱に招くおそれがあります。

この場合、事前に監査人は経営者と協議を行い、未開示となっている事項のうち、KAMと関係で追加の開示が必要な事項があると、経営者に自発的な開示を求めることになります。この協議により、経営者が追加開示を行えば、問題はないのですが、経営者があえて開示しないことにも事情があるので、追加開示が行われない可能性もあります。

このような場合、監査人は監査基準に基づき正当な注意を払ってKAMを記載している場合、会社の未公開情報が含まれていたとしても、監査人の守秘義務が解除される正当な理由と認められると考えられます。

1)KAMと監査人の責任への影響

監査人は会社に対して監査契約に基づく監査の実施及び報告書の作成義務を負っています。監査人は、監査基準に基づく監査及びKAMの記載を行う限り、監査契約の義務を遂行することにかわりはありません。また、金商法や会社法による監査報告の記載についても、監査基準に従う点では変わりはなく、監査人の責任に大きな変更は生じないと考えられます。

2)KAMと監査役等の責任への影響

会計監査人設置会社の監査役等の監査報告には、会計監査人の監査の方法または結果を相当でないと認めたときは、その旨及び理由を記載しなければなりません。そこで、監査人がKAMを記載した場合には、監査役等は考慮に入れて、会計監査人の監査の方法及び結果の相当性を判断することになると考えられます。

したがって、監査役等の責任については建前としての変更はないものの、監査会計監査人との協議の内容などが外部に開示される可能性が生じたため、監査役等が適正に業務を行っているか、外部から見られることとなります。

3)KAMと取締役の責任への影響

KAMの記載により、取締役の通常の業務に影響を及ぼすことがあるとは考えにくく、取締役の義務への影響は基本的にはないと考えられます。もし、KAMに関連した事項の不適切会計その他の問題が事後的に生じた場合に、KAMの内容について必要に応じて確認が必要な場合がある可能性があります。

DKAMの実務上の影響

1)会社法の会計監査人による監査報告書への影響

KAMは会社法上の会計監査人の監査報告書には、連結・単体とも記載する義務はないことになっています。しかし、有価証券報告書上の監査報告書にKAMが記載されるということは、株主総会の翌日には公開されるということで、株主総会の当日には、書類は完成していることを株主も分かります。そこで統一性を図り、株主総会でのKAMの記載内容についての質問が想定され、将来的には、会社法上の監査報告書においても同様となる可能性は想定できます。

もし、会計監査報告にKAMを記載するとすれば、会計監査報告の記載事項である、「会計監査人の監査の方法及びその内容」あるいは追記情報である「その他の事項」として記載することが考えられます。「監査の方法及びその内容」は、会計監査人の監査の方法が適切なものとなるようにインセンテイブを与えるとともに、会計監査報告の読み手が、会計監査人が適切な監査を行ったことを認識できるようにすることを目的とする記載になると考えられます。また、追記情報に記載する場合は、計算関係書類の利用者に対して注意を喚起し、情報を提供する趣旨から要求される記載ということになります。

2)監査役等による監査報告書への影響

監査役等による監査報告書にKAMが記載される可能性については、会計監査人の場合とは別論です。

もっとも、監査役等は業務執行全般について監査計画を立てて監査を行っていることから、監査上の論点から特に重要な事項を絞り込む作業も当然行っていると考えられます。そうだとすれば、監査人の場合と同様に、監査報告書にKAMを記載することは、これまでの監査実務にそれほど大きな変更を及ぼすものではないと考えることもできます。したがって、任意にKAMの記載をする会社がでてくる可能性はあると思います。

3)株主総会における説明への影響

会社法上の監査報告書にKAMの影響が及ぼすのであれば、当然、株主総会の議場において、株主からの質問を想定することになります。取締役や監査役等に対して、会計監査人とコミュニケーションを行った事項について説明を求められれば、回答せざるを得ないでしょう。あるいは、質問を見越して監査役等による報告において詳しく説明することもあり得るでしょう。その場合、次のようなことが質問に対する回答や説明の項目と考えられます。

・監査役会が取り上げた主要なリスク

・当該リスクをとり上げた理由

・当該リスクに対する監査上の対応

・当該リスクに関する監査の結果

DKAMの先行事例

KAMの記載は2021年3月期の有価証券報告書から適用開始となりますが、すでに2019年3月期から任意で記載している事例があります。株式会社三菱ケミカルホールディングスの「監査上の主要な検討事項に相当する事項の報告」です。

 


関連するコード        *       

原則1−7.

基本原則2.

原則2−2.

補充原則2−2.@

基本原則3.

原則3−2.

補充原則3−2.@

補充原則3−2.A

基本原則4.

原則4−7.

補充原則4−8.@

補充原則4−8.A

原則4−9.

原則4−10.

 

 
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