原則3−1.
【情報開示の充実】
 

2018年の改訂されたコードからまず見ていき、改訂前の原コードについての説明は、その下に続けます。 

 【原則3−1.情報開示の充実】

上場会社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、(本コード(原案)の各原則において開示を求めている事項のほか、)以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべきである。

(@)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

(A)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

(B)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

(C)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(D)取締役会が上記(C)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

参考として、比較のために改訂前の原則を下に示しておきます

 【原則3−1.情報開示の充実】

上場会社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、(本コード(原案)の各原則において開示を求めている事項のほか、)以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべきである。

(@)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

(A)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

(B)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

(C)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(D)取締役会が上記(C)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

 

〔変更された点〕

(C)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続き

(D)取締役会が上記(C)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

原則3−1の変更点は上記の2点で、内容は同じで、経営幹部の選任について方針を定め開示するという当初の原則に、解任についての方針と開示を追加するという内容です。形式的な文言の上での改訂として見れば、「解」の一字を挿入しただけの小さなものですが、内容としてみると大きな改訂になっていると思います。内容については、後で考えていくことにして、まずは形式的なところからの留意点についてひとつだけ指摘しておきます。

今回の改訂により、「解」の一字が挿入されましたが、その結果として、「選」と「解」が同列に並んだことになります。同列ということは、選任と解任の重要度は同じ水準であるということになります。従って、選任に関する方針や手続きはコーポレートガバナンス・コードに対応して、すでに決めてあって開示してあると思いますが、解任については選任の場合と同じ水準の内容と開示が求められるということになると考えられます。選任が重要なことは誰でも分かることですが、解任についての方針は選任の付録程度ではダメということです。

〔実務上の対策と個人的見解〕

さきほど、形式的な文言の上での改訂として見れば、「解」の一字を挿入しただけの小さなものですが、内容としてみると大きな改訂になっている、と述べましたが、その内容については改訂の趣旨に一度戻って考える野がいいと思います。コーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議では、上場会社を巡る課題として、グローバル化、技術革新の進展、少子高齢化、社会・環境問題への関心の高まりなど、上場会社をめぐる経営環境が変化し、経営課題が複雑化しているなかで、多くの企業において経営環境の変化に対応した果断な経営判断が行われていないという問題意識がありました。その要因のひとつとして、経営トップがそういう課題に対応した、先見性のある的確な経営判断ができていないということが考えられます。つまり、それができる経営者を選ぶということが企業にとっては経営の行方を大きく左右させる重要な経営判断であるということ。さらに、選んだ経営者が上手く機能しなかった場合には、経営を改める、つまり経営者を解任して、新たな経営者を選ぶということ。傷は早いうちに直せば、痛みは少ないということで、経営者を選ぶと同じように重要な経営判断だということです。つまり、適切な業績評価に基づき、経営者、経営陣において特に中心的な役割を果たすのはCEOですから、そのCEOに問題があると認められる場合には、適時に解任できる仕組みが必要であるということです。しかし、多くの企業の実情を調べてみると、CEOの選任基準の整備についても整備がそれほど進んでいない状況で、ましてや解任についてはなおさら整備されていないという結果がでています。そこで、解任もあわせて、CEOの選解任について整備する必要性をあらためて求めた。その総論的なものが本原則という位置づけであると考えられます。コーポレートガバナンス・コードでは、この具体的な内容については補充原則4−1B、4−3@ABで求めています。したがって、ここでの経営者の選解任の方針と手続きについては、それらの補充原則を踏まえて具体的なものを作成するということになります。

〔非財務情報としてESG要素への言及〕

原則の本文の記述にはありませんが、改訂版コード第3章の「考え方」のところで、非財務情報に、いわゆるESG要素に関する情報が含まれることが明確化されました。

 

 

 

原コードについての説明です。

 【原則3−1.情報開示の充実】

上場会社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、(本コード(原案)の各原則において開示を求めている事項のほか、)以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべきである。

(@)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

(A)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

(B)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

(C)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(D)取締役会が上記(C)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

 

〔形式的説明〕

@この原則が求めているもの

この原則は基本原則3.で「上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。」を具現化させるために、法令に基づく開示に加え、このコーポレートガバナンス・コードにおいて開示を求められている項目に、ここで(@)〜(D)の項目について主体的な情報発信を行うべきとしています。この「主体的に」の中には、基本原則の「正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべき」ということが含意されています。

ちなみに、ここで言うコーポレートガバナンス・コードにおいて開示を求められている項目として、東証がコーポレート・ガバナンス報告書において開示を求めているのは、この原則3−1.を含めた次の11項目です。

・原則1−4(政策保有株式)

・原則1−7(関連当事者取引)

・原則3−1(情報開示の充実)←本原則

・補充原則4−1@(経営陣に対する委任の範囲)

・原則4−8(独立社外取締役を3分の1以上とするための取り組みの方針)

・原則4−9(独立性判断基準)

・補充原則4−11@(取締役の多様性など)

・補充原則4−11A(取締役・監査役の兼任状況)

・補充原則4−11B(取締役会評価)

・補充原則4−14A(取締役・監査役に対するトレーニング)

・原則5−1(株主との対話に関する方針)

以下で、求められている(@)〜(D)の項目について検討していきます。

A(@)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

原則3−1.は、この(@)に限らず実効的なコーポレートガバナンスを実現するために基本的な事項であり、積極的な情報開示の対象ともすべき事項を記しています。その中で、この(@)は、経営理念やこれに基づき策定された経営戦略、経営計画は、企業がどのように中長期的な企業価値向上を図っていくのかを理解するための重要な非財務情報です。これは上場会社の多くで策定されているものと考えられるということから、その開示を求めているものと考えられます。そのため、もし経営計画を策定していない場合には、策定していないので開示することはできない、として取り扱うことはできず、この場合は策定して開示しない理由のエクスプレインが必要ということになると考えられます。また、東証のコーポレートガバナンス報告書では開示が義務付けられています。

では、コンプライとするためには、ここで言う会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画に当たるものとして、どのようなことを開示していればよいのでしょうか。それは、プリンシプル・アプローチの原則に基づいて、各企業の合理的判断に委ねられていて、詳細な中期経営計画を策定・開示するのか、より抽象的で長期的な計画を策定・開示するのかは、各企業が個別事情を踏まえて判断することとなります。ただし、これでは何も判断材料がないので、本原則の作成の際の議論などを踏まえながら、基本的な考え方を見ていきたいと思います。

1)経営理念

ここで言う経営理念とは、会社の価値観や事業活動の大きな方向性を定め、具体的な経営戦略・経営計画や会社の様々な活動の基本となるものであるとともに、株主を含むステークホルダーにとっては非財務情報の一つであって、企業が様々なステークホルダーに配慮しつつどのように中長期的な企業価値向上を図っていくのかを理解するために重要な情報であると考えられます。これは、あくまでも実態として、そのような本質を有するもののことで、必ずしも経営理念という文書を指すのではなく、社訓とか社是等も含まれることになるでしょう。

2)経営計画

上記のような経営理念に基づいて策定された経営戦略や経営計画は、経営理念が価値観や事業活動の基本的な方向性を定めているのに対して、より具体的であるものです。

したがって経営計画の策定・開示に当たっては、原則5−2が、経営戦略や経営計画の策定・公表に当たって、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すと共に、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために経営資源の配分等に関して何を具体的に実行するのかを説明すべきとしていることも踏まえて検討する必要があると考えられます。

この場合、上場企業が策定する経営計画としてよくあるのは3〜5年程度の中期経営計画です。とくに補充原則4−1Aにおいて、取締役会は中期経営計画の実現に向けて最善の努力を行なうべきこと、及び、中期経営計画が目標未達に終わった場合にはその原因の分析・説明等を行なうことを求めています。実際に、このような中期経営計画は、長期的な視点で対話を行なうための土台として有益であると投資家側からも評価されている場合もあります。だから、中期経営計画を策定・開示することでコンプライとすることもありうると考えられます。その際には、計画の名称は措いて実質で判断すればよいということになります。そこでは経営計画の対象期間(目標の達成年限)のほか、経営計画に掲げられた目標が努力目標にとどまるものか、あるいは株主に対するコミットメントであって目標未達の場合には株主に対する説明を行なうことが合理的なものか等について、実質的に判断することになると考えられます。

B(A)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

この項目は金融庁も非常に重視していると言われています。ここでは上場会社のコーポレートガバナンスに関する総論的な考え方である「基本的な考え方」と本コードの個々の原則に対する大まかな対応方針としての「基本方針」とを開示することが想定されていると考えられます。この原則で言っている「それぞれの原則を踏まえた」と記されていますが、73の原則一つ一つに対する基本方針の記載を求める趣旨ではなく、ある程度大まかにグルーピングした上で記載を行うことや、各上場会社が重要だと考える原則に絞って記載を行なうこと等が考えられます。

この項目が重視されているのは、各上場会社のコーポレート・ガバナンスに対する姿勢がここに端的に集約され得るからです。機関投資家も注目し、記載の工夫や差別化の努力の有無等を含め、上場会社の姿勢を見極めようとすると考えられ間。ガバナンスに関する総論的な考え方を意味する。このような考え方については、従来からのガバナンス報告書においても記載事項として開示を求められていたので、各企業において記載されているはずですが、コーポレートガバナンス・コードに対応するためには、コードのそれぞれの原則を踏まえた内容である必要があり、多くの上場会社で見直しが必要となります。また、「基本方針」はコードの個々の原則に対する大まかな対応方針を意味し、コードの策定に伴って新たに作成する必要があるものです。ただし、本原則は、補充原則まで含めた73の原則について個々に基本方針の記載を求める趣旨ではなく、ある程度グルーピングを行なった上で記載することや、各社が重要と考える原則に絞って記載すること等も考えられます。

この原則に基づく開示の内容は、ガバナンス報告書のT1(2)「コードの各原則に基づく開示」欄に記載することとなるのですが、同T1「基本的な考え方」欄に記載した上で、当該記載欄を参照すべき旨をT1(2)に記載することもあり得ます。なお、上場企業の中には、コードの制定以前から、ガバナンス報告書の記載とは別に自社のコーポレート・ガバナンスについての考え方をまとめたコーポレートガバナンス・ガイドライン等を自社のウェブサイト等において公表する例が見受けられ、これらには、コードの各原則に対応する内容を含むものも多いので、この原則を実施する方策として、このようなコーポレートガバナンス・ガイドライン等を策定することにより、コードの各原則を一定程度まとめて実施し、ガバナンス報告書において参照するという対応も考えられます。

C(B)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続きを、開示することを求めるもので、報酬の関する企業の意思決定の透明性・公正性を確保しようとするものです。この「方針」としては、例えば総額や種類(固定報酬・業績連動報酬・株式報酬・賞与等の構成や退職慰労金の有無・内容等)について、企業の考え方と言えます。また、「手続」としては、各企業における報酬・人事に係る取締役会等の意思決定プロセスを開示することが考えられます。例えば、補充原則4−10@で述べられている任意の諮問委員会を設置している場合には、諮問委員会の構成や審議の方法を開示することも考えられます。

有価証券報告書では、役員の報酬について、報酬の額又はその算定方法の決定に関する方針を定めている場合には、当該方針の内容及び決定方法を記載することとなっています。有価証券報告書では方針があれば開示するというものですが、コーポレートガバナンス・コードでは、これを策定するように求めていると考えられます。また、コードの中の「経営陣幹部」は執行役員を含むものと考えられます。

D(C)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行なうに当たっての方針と手続きを開示することを求めています。これは、株主等のステークホルダーへの説明責任を果たす観点から、経営陣幹部に選任と取締役・監査役候補の指名に関する一般的な方針と手続き(選任・指名の決定プロセス)をあらかじめ定めておき、開示することをもとめたものと考えられます。また、人事に係る「手続き」としては、各企業における人事に係る取締役会等の意思決定プロセスを開示することが考えられます。例えば、補充原則4−10@で述べられている任意の諮問委員会を設置している場合には、諮問委員会の構成や審議の方法を開示することも考えられます。

人事に関する「方針」としては、候補者選定の基準(適正な人数、選定に当たっての考慮要素等)や社外役員の独立性の判断基準について、企業の考え方と言えます。なお、補充原則4−11@では、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、原則3−1(C)の方針・手続と併せて開示することが求められているので、ここでいうバランス・多様性・規模に関する考え方を、原則3−1(C)の方針と一体のものとして開示することも考えられます。

E(D)取締役会が上記(C)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

これは、上記(C)に基づき開示された方針・手続きに則り、取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行なう際に、実際にどのように個々の選任・指名が行われたかの説明を求めるものです。

従来から日本企業の経営陣幹部や役員候補の選任・指名過程については、対外的に公表することを差し控える傾向があります。しかし役員候補について株主総会参考書類に名前と経歴のみが記載されても株主は議案の是非を判断しかねると言う意見が少なくありません。そこで、この原則は、取締役会が原則3−1(C)に基づいて開示された方針と手続きに則って経営幹部や取締役・監査役候補を選任・指名する際のここの選任・指名についての説明を開示することを求めているものです。なお、会社法上、社外取締役・社外監査役については、その選任議案に係る株主総会参考書類において、候補者として理由の記載が必要とされていますが、それ以外の取締役・監査役については、そのような理由の記載は求められていません。もっとも、すでに社外役員以外の役員候補についても候補者とした理由を株主総会参考書類に任意に記載する企業(例えば、日立製作所、エーザイ)もあり、この記載を参照するということでガバナンス報告書に引用することも可能と考えられます。そもそも、取締役・監査役候補の個々の指名についての説明は、株主総会における取締役・監査役の選任議案について株主が賛否を検討するに当たっての重要な情報であるため、定時株主総会後に提出されるガバナンス報告書よりも前の段階で開示することが望ましいのは、言うまでもありません。

 

〔実務上の対策と個人的見解〕

@既に開示された事例の分析

この原則については、コーポレートガバナンス報告書での開示義務があり、開示すべき内容が多岐にわたるので、すでに開示している企業は、どのように開示しているのかを簡単に分析して、いくつかのパターンにまとめてみたいと思います。他の原則の場合のように、数社の事例を目安とするには、内容が多すぎるので、求められている5つの項目別に少し整理してみましょう。

(@)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

 

(A)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

a)この内容を盛り込んだガイドラインを独自に作成し、コーポレートガバナンス報告書では、ガイドラインへの参照を指示する文を挿入している例

エーザイ、新生銀行、オムロン、みずほFG その他

b)コーポレートガバナンス報告書にコーボレートガバナンス・コードの開示事項として直接書き込んでいる例

b−1)コーポレートガバナンス報告書の最初にある「基本的な考え方」を参照してもらう例

愛三工業

(2)ガバナンスに関する考え方・基本方針

当報告書の1「基本的な考え方」をご参照ください。

1.基本的な考え方

<基本的な考え方>

当社は、長期安定的な企業価値の向上を経営の最重要課題としています。その実現のためには、株主の皆様やお得意先をはじめ、取引先、地域社会、従業員等の各ステークホルダーと良好な関係を築き、お客様に満足していただける商品を提供することにより長期安定的な成長を遂げていくことが重要と考えています。この考え方は、経営理念に基づいており、さらに愛三グループ行動指針、2020年ビジョンなどにより公表、展開しています。

また、当社は、東京証券取引所が定めるコーポレート・ガバナンスコードに賛同し、下記の基本方針のもと、経営の効率性と公正性・透明性を維持・向上に努めます。

<基本方針>

(1) 株主の権利・平等性の確保

株主の権利を尊重し、株主の平等性を確保するとともに、適切な権利行使のための環境整備に努めます。

(2) 株主以外のステークホルダーとの適切な協働

愛三グループ行動指針のもと、各ステークホルダー(お客様、仕入先、従業員、地域社会等)との信頼関係の維持・向上に努めます。

(3) 適切な情報開示と透明性の確保

法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報も主体的に発信し、透明性の確保に努めます。

(4) 取締役会の責務

透明・公正かつ機動的な意思決定を行うため、社外取締役の選任や執行役員制度の採用など、取締役会の役割・責務の適切な遂行に努めます。

(5) 株主との対話

株主の皆様とは、当社の長期安定的な成長の方向性を共有したうえで、建設的な対話に努めます。

b−2)コーポレートガバナンス報告書の該当欄に書き込む例

基本方針はコーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則を項目として開示している。

三菱UFJリース

c.原則3-1(ii)

■コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

<基本的な考え方>

当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることに主眼を置きつつ、透明かつ健全な経営を行うことが社会的責任の一つと認識しており、株主様、お客様、地域社会、従業員など当社を取り巻くすべてのステークホルダーの方々の権利・利益を尊重し、その信頼にお応えしながら、豊かな社会の実現に貢献するよう努めています。かかる社会的責任を果たすため、当社は、取締役会の活性化、監査役会及び内部監査制度の充実、適時適切な情報開示、並びに投資家向け広報活動(IR活動)の活発化等により、コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取り組みを継続的に進めています。

<基本方針>

【株主様の権利・平等性の確保】

当社は、株主様の権利が確保され、その権利が有効に行使されるよう、環境の整備を含め適切に対応し、少数株主様、外国人株主様を含む全ての株主様の平等な取扱いに配慮します。

【すべてのステークホルダーとの適切な協業】

当社は、全ての活動の指針となる「経営理念」と、全従業員の判断および行動の基準となる「倫理綱領・行動規範」のもと、株主様、お客様、地域社会、従業員をはじめとする様々なステークホルダーの方々との適切な協働に努めます。また、当社のステークホルダーのダイバーシティ(多様性)を尊重し、権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に努めます。

【適切な情報開示と透明性の確保】

当社は、ステークホルダーのみなさまからの信頼と適切な評価を得るために、積極的かつ継続的な情報の開示に努めます。また、当社の経営方針、事業戦略、事業活動、財務状況等に関する情報を正確、迅速かつ公平に開示するための社内体制の整備を行い、適正に運用します。また、法令等で開示が定められている項目はもとより、ステークホルダーのみなさまにとって有用と思われる非財務情報についても、自主的・積極的に開示します。

【取締役会の責務】

当社の取締役会は、社外取締役を含むメンバー全員が、その経験や知見を活かして自由闊達な議論により取締役会を活性化させると共に、適切なリスクテイクを支える環境のもと、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上と収益力・資本効率等の改善のために、その役割・責務を適切に果たします。

【株主様との対話】

当社は、決算説明会や国内外のIRイベント等を通じて、株主様との建設的かつ積極的な対話を行い、当社の経営戦略等に対する理解を得ると共に、株主様の立場に関する理解を踏まえた適切な対応に努めます。

b−2-A)コーポレートガバナンス報告書の該当欄に書き込む例─基本方針を基本原則毎ではなく、まとめて文章にしているケース

三菱商事

d. 原則3-1(ii)

■ コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方・基本方針

三菱商事は、『三綱領』を企業理念とし、公明正大を旨とする企業活動を通じ、継続的に企業価値の向上を図るとともに、物心共に豊かな社会の実現に貢献することが、株主の皆様やお客様をはじめとする全てのステークホルダーのご期待に応えるものと認識しています。

この実現のため、経営の健全性、透明性、効率性を確保する基盤として、コーポレート・ガバナンスの継続的強化を経営上の重要課題としており、監査役制度を基礎として、独立役員の要件を満たす社外取締役・社外監査役の選任や社外役員・社外委員を過半数とする取締役会の諮問機関の設置により、経営監督機能を強化するとともに、執行役員制度の導入等による意思決定や業務執行の迅速化・効率化を図るなど、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制の構築に努めています。

 

上記の基本的な考え方に従い、三菱商事では、「社外役員選任基準」を定め、社外取締役・社外監査役の機能と独立性確保を明確化するとともに、独立性を満たす社外取締役が取締役総数の3分の1以上を占める方針としています。

また、社外役員が過半数を占めるガバナンス・報酬委員会にて、取締役会・監査役会の構成、取締役・監査役候補者の選任方針、経営者の要件及びその選任に関わる基本方針、報酬の決定方針や報酬水準の妥当性などの役員報酬制度のあり方、取締役会の運営に関する評価等について審議・確認を行うほか、ガバナンス・報酬委員会の下部機関として取締役会長及び社外役員による社長業績評価委員会を設置し、社長の業績評価を審議・決定するなど、独立性のある社外役員による経営監督の実効性を確保する体制・仕組みを整備することとしています。

さらに、株主との対話方針として、株主・投資家との対話を積極的に行うこととし、経営計画の進捗をはじめとする経営状況に関する情報、定量的な財務情報、コーポレート・ガバナンスや環境・CSRなどの非財務情報の開示を適時・適切に行うほか、株主の権利行使のための適切な環境整備に努めるなど、株主・投資家を含めたステークホルダーからのご期待に応えるよう努める方針としています。

 

以上の基本的な考え方・基本方針に基づく具体的な方針や取組みについては、本報告書の各項目をご参照ください。

(B)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

a)この内容を盛り込んだガイドラインを独自に作成し、コーポレートガバナンス報告書では、ガイドラインへの参照を指示する文を挿入している例

エーザイ、新生銀行、オムロン、みずほFG その他

b)コーポレートガバナンス報告書にコーボレートガバナンス・コードの開示事項として直接書き込んでいる例

b−1)コーポレートガバナンス報告書の「2.1.【取締役報酬関係】報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」を参照してもらう例

b−1-@)コーポレートガバナンス報告書の「2.1.【取締役報酬関係】報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」を参照してもらう例─基本報酬と賞与のみのケース、報酬の決定に際して報酬委員会で検討しているケース

アサヒグループHD

(3)当社経営陣幹部・取締役の報酬等は、本報告書の「2.1.【取締役報酬関係】報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」に記載しておりますので、ご参照ください。

報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容

取締役会は、経営陣の報酬等につき、透明性・客観性を高めるため、取締役会の諮問機関として半数が社外取締役で構成される任意の報酬委員会を設置し、報酬委員会にて内容を検討した上、取締役会の決議により決定しています。

経営陣の報酬等は、その役割と責務に相応しい水準となるよう、企業業績と企業価値の持続的な向上に対する動機付けや優秀な人材の確保に配慮した体系としています。具体的な報酬等の構成は、基本報酬と賞与としており、各項目の水準は、外部専門機関の調査データを活用し、職責や社内・社外の別に応じて設定しています。また、賞与については、中期経営計画に基づき設定する年次計画の達成状況と連動するなど、適切なインセンティブを付与しています。

当社は、経営陣の報酬について、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に対する動機付けのため、中長期的業績連動報酬の割合、現金報酬と自社株報酬との割合が、より健全かつ適切なインセンティブの設定となるよう、今後も継続して、報酬委員会にて議論を行っていきます。

b−1-A)コーポレートガバナンス報告書の「2.1.【取締役報酬関係】報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」を参照してもらう例─ストックオプションがあり、さらに加えて固定報酬と業績連動報酬の割合を記載しているケース、報酬は取締役会で決定しているケース

三菱UFJリース

d.原則3-1(iii)

■報酬の決定方針と手続

取締役の報酬の基本方針と決定方法は、本報告書II1.「取締役報酬関係」の内、「報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」をご参照ください

報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容

1.基本方針

・当社の役員報酬は、事業戦略の遂行を通じて、企業価値を増大させることを目的とし、役員のインセンティブにも考慮して決定することとしております。

・報酬の水準は、中長期の企業価値の増大及び短期の業績向上の双方の観点から、市場水準も踏まえて、各役員の役割と職責に相応しいものにすることとしております。

2.取締役の報酬等の決定方法

・取締役(社外取締役を除く。以下同じ)の報酬等は、原則として、固定報酬である基本報酬と業績連動報酬(年次インセンティブ報酬、長期インセンティブ報酬)により構成され、年次インセンティブ報酬については賞与として支給し、長期インセンティブ報酬については株式報酬型ストックオプションを付与することにより支給しております。

報酬等の比率については、基本報酬と業績連動報酬との比率を、概ね、1:0.6とすることを基本としつつ、個別の役員毎の役割や職責等を総合的に考慮して決定することとしております。また、業績連動報酬の内訳は、年次インセンティブ報酬である賞与と長期インセンティブ報酬である株式報酬型ストックオプションの比率を、概ね、1:1とすることを基本として決定しております。

・株主総会の決議により、報酬等の額は基本報酬と賞与の合計で年額480百万円以内、株式報酬型ストックオプションの付与に係る報酬等の額は年額150百万円以内とされております。取締役会では、代表取締役社長が上記のような報酬等の決定方針と決定方法を説明し、審議した上で、株主総会が定めた上限の範囲内で各取締役の報酬等を決定しております。

・取締役(社外取締役を除く)が、担当又は駐在地の変更を伴う異動により、自宅と離れた地域に居住する必要が生じた場合、当社は、当該取締役に対し、適当な物件を社宅として提供することとしております。当社が社宅を借り上げることに要する1か月あたりの賃料の総額と、取締役より徴収する1か月あたりの社宅料の総額との差額は、月額2百万円以内であります。

・なお、社外取締役については、基本報酬のみの構成としております。

b−1-B)コーポレートガバナンス報告書の「2.1.【取締役報酬関係】報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」を参照してもらう例─株価連動報酬や中期業績連動賞与を記載しているケース、また、取締役の報酬の決定に際して諮問委員会に諮問しているケース

オムロン(全体としては独自のコーポレートガバナンス・ポリシーへの参照としているが報酬は報告書の「取締役報酬関係」の内、「報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」に記載)

報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容

【報酬等の額またはその算定方法に係る決定に関する方針】

・当社は取締役の報酬等について、判断の客観性と透明性を高めるため、取締役会の決議により、取締役会の中に社外取締役を委員長とし、会長および社長を除く4名の取締役で構成する報酬諮問委員会を設置しております。報酬諮問委員会は以下のとおり「当社の役員報酬の原則[考え方]」等を定めております。

・各取締役の報酬等の額については、報酬諮問委員会に諮問を行い、報酬諮問委員会は諮問に対して当該原則等に基づき審議のうえ答申しております。

・当社は、その答申を経て、株主総会の決議により決定した取締役全員および監査役全員のそれぞれの報酬等の総額の範囲内で、各取締役の報酬等の額を取締役会の決議により、各監査役の報酬等の額を監査役の協議により、それぞれ決定しております。

・なお、取締役の中期経営目標達成の意欲を高め、報酬ガバナンスを強化することを目的として、平成26年度より中期業績連動賞与を導入するとともに、業績達成条件付新株予約権を発行いたしました。これらの新しい制度の導入によって、取締役の報酬等のガバナンスの体系は、(1)基本報酬、(2)単年度業績連動賞与、(3)中期業績連動賞与および持株連動報酬ならびに業績達成条件付新株予約権となります。これにより取締役が短中長期に経営目標を達成し、企業価値を持続的に向上させていくための動機付けを図っております。

当社の役員報酬の原則および基本方針は以下のとおりです。

<役員報酬の原則[考え方]>

◎社憲・企業理念の実践に根ざした報酬とする。

◎優秀な人材を経営者として登用(採用)・確保できる報酬とする。

◎役員が動機づけされ、企業価値の長期的最大化の貢献につながる報酬体系とする。

◎株主をはじめとするステークホルダーに対し、説明責任を果たせるよう「透明性」「公正性」「合理性」の高い報酬体系とする。

・個人別の役員報酬における「透明性」「公正性」「合理性」を担保するために、全ての役員報酬について、報酬諮問委員会の諮問を経る

こととする。

◎報酬の目的を明確にし、役員各位の役割に応じた報酬体系を構築する。

<取締役報酬等の基本方針>

◎取締役の報酬は、基本報酬、単年度業績連動賞与、中長期業績連動報酬により構成する。

・社憲・企業理念を実践する優秀な人材を登用(採用)・確保するために、基本報酬を支給する。

・年度業績を重視し、成果報酬として単年度業績連動賞与を支給する。

−単年度業績連動賞与の算定方法は、役位ごとの基準額を基本に、税引前当期純利益、投下資本利益率(ROIC)、当社株主に帰属する当期純利益および1株あたりの配当を賞与の評価指標とし、評価指標の達成率、伸び率に応じて決定する。

・長期経営計画の実現を確かなものとするため、中期経営目標の達成に向けた動機づけを目的として、以下の2種類を中長期業績連動報酬として支給する。

−中期経営目標の達成度に連動する中期業績連動賞与を支給する。

−企業価値(株式価値)の最大化と連動する株式報酬として、持株連動報酬を支給する。

◎上記の報酬とは別に、業績達成条件付新株予約権を発行する。

−業績達成条件付新株予約権は、取締役の中期経営目標達成および株価上昇を条件とし、中長期の株主価値創造と取締役の自社株保有の促進を目的とし発行する。

◎社外取締役の報酬は、その役割と独立性の観点から、基本報酬のみで構成する。

◎退職慰労金は、支給しない。

◎報酬の水準は、外部専門機関を使い調査した他社水準を考慮し決定する。

b−2-@)コーポレートガバナンス報告書の該当欄に書き込む例─報酬の決定を代表取締役に一任しているケース

ユシロ化学工業

3.経営陣幹部・取締役の報酬決定方針

[方針]

経営陣幹部・取締役の報酬決定に際しては、株主総会で決議された取締役の報酬限度額、個々の職責及び実績、会社業績や経済情勢、他社動向、中長期業績や過去の支給実績等を総合的に勘案しております。

[手続]

上記方針に基づき、取締役会が代表取締役社長に一任し、決定しております。

(C)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続き手続

a)この内容を盛り込んだガイドラインを独自に作成し、コーポレートガバナンス報告書では、ガイドラインへの参照を指示する文を挿入している例

エーザイ、新生銀行、オムロン、みずほFG その他

b)コーポレートガバナンス報告書にコーボレートガバナンス・コードの開示事項として直接書き込んでいる例

b−1-@)コーポレートガバナンス報告書の原則4−11@を参照させている例─詳細な選任基準を定めているケース、指名委員会が候補者を選ぶケース

マネックス・グループ

【原則3−1. 情報開示の充実】

4)指名委員会が取締役候補者の決定を行うに当たっての方針と手続

「補充原則4−11(1)」(後述)の記載をご参照ください。

補充原則4−11(1)

取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を含む、取締役の選任に関する方針・手続きとして指名委員会が定める内容は以下のとおりです。

 

指名方針

1.取締役に求められる資質

取締役候補者を決定するにあたり指名委員会が特に考慮すべき事項は以下のとおり。

(a)高い倫理観を有すること

(b)職責に対する十分な理解があること

(c)取締役会およびその所属する委員会に対し積極的に貢献することに対する高い意識と時間的なコミットメントがあること

(d)次に掲げる経験・専門性の1つ又は複数を有すること

(1)証券その他の金融ビジネス経験

(2)インターネット関連や個人顧客向けのビジネス経験

(3)IT技術やマーケティングに関する知見

(4)上場企業又はグローバル企業の経営

(5)法律や会計などの専門家

(6)その他、事業環境を勘案して指名委員会が必要と認める経験・専門性

2.取締役会の全体構成

(a)独立社外取締役の確保

指名委員会等設置会社における取締役会および各取締役の重要な役割の1つが、代表執行役をはじめとする執行役による職務の執行状況の監督であることに鑑み、独立社外取締役が少なくとも3分の1以上とする構成が適切と考える。

(b)多様性の確保

当社企業価値の維持・向上のために幅広いバランスのとれた視点からの議論が重要であると考える。そのため、取締役の経験、知識、能力が取締役会全体としてバランスのとれたものとなるよう配慮する。

(c)規模

取締役会における活発な討議を実現しやすい規模とすることが重要と考える。10名程度の規模を1つの目安とする。

 

指名手続き

指名委員会は、以下の手順に従い取締役候補者を決定する。

・現任の各取締役についての評価を実施。

・取締役会全体としての評価を実施。

・これら評価をもとに取締役会の構成について検証し、構成変更の要否を判断。

・各取締役候補者について資質等を確認し、かつ取締役会の全体構成としてのバランスにも考慮の上、取締役候補者を決定。各候補者が他の上場企業等の役員等を兼任している場合には、当社取締役としての責務を十分に果たせる状況であることを確認する。

・重任候補者の場合、取締役会および所属する各委員会の出席状況を勘案する。

b−2-@)コーポレートガバナンス報告書の該当欄に書き込む例─指名委員会の推薦に基づき取締役会が決定しているケース

アサヒグループHD

(4)取締役会は、経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補者の指名を行うに当たっては、実効的なコーポレートガバナンスを実現し、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資する、経営陣幹部又は当社の取締役・監査役として相応しい豊富な経験、高い見識、高度な専門性を有する人物を指名しています。また、取締役会は、役員人事の決定における公正性・透明性を徹底するため、取締役会の諮問機関として半数が社外取締役で構成される任意の指名委員会を設置し、取締役・監査役及び執行役員の候補者の推薦などを受けることとしています。取締役会は、取締役・監査役候補者の指名を行うに当たり、経営陣幹部・取締役については指名委員会の推薦を受けて、監査役については監査役会の同意を得て、それぞれ取締役候補者、監査役候補者として指名しています。

b−2-A)コーポレートガバナンス報告書の該当欄に書き込む例─代表取締役が決定しているケース

三菱UFJリース

e.原則3-1(iv)

(4)取締役・監査役の選任と指名

■指名の方針と手続

取締役会に対する取締役及び執行役員の候補者の提案は、以下の選任基準に基づき、知識・経験・能力等を総合的に勘案して、代表取締役社長が行います。また、取締役会に対する監査役候補者の提案も、以下の選任基準に基づき、監査役会の同意を得た上で、代表取締役社長が行います。取締役会では、代表取締役社長より各候補者の選任理由を丁寧に説明した上で、社外取締役、社外監査役も交えて慎重に審議いたします。

【選任基準】

1.心身ともに健康で、業務の遂行に支障がないこと。

2.人望、品格に優れ、高い倫理観を有していること。

3.遵法精神に富んでいること。

4.経営に関し客観的判断能力を有するとともに、先見性、洞察力に優れていること。

5.社外取締役については、上記1.〜4.に加え、()出身の各分野における経験・実績と識見を有していること、及び、()取締役会の適切な意思決定及び経営監督の実現に貢献できること。

b−3-@)コーポレートガバナンス報告書のIIの2「業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)」を参照してもらう例─委員会の答申により代表取締役社長が決定しているケース、執行役員の決定にも言及しているケース

愛三工業

当報告書IIの2「業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)」をご参照ください

2.業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)

[役員人事]

(1)取締役候補、執行役員の選定

ものづくりの基本である現地現物を理解し、ビジョンの具現化に貢献できることを基本に、(a)経営判断能力、(b)改革マインド、(c)リーダーシップ、(d)課題解決能力、(e)人格、(f)健康などで、評価し、選定しています。

(2)社外取締役候補の選定

自動車業界または財務などの専門分野において、抱負な経験と高い見識を持ち、より公正な立場で当社のものづくりや経営体質強化に寄与いただける人を選定しています。

(3)監査役候補の選定

専門分野を中心とした幅広い経験・見識があり、業務執行状況の監査に加え、公正・中立的な立場で経営に対する意見・助言をいただける人を選定しています。

(4)手続

代表取締役で構成する「役員人事報酬委員会」の答申のもとに、取締役社長が決定し、株主総会・取締役会に上程します。なお、取締役社長は、「役員人事報酬委員会」の答申内容に関して、社外取締役からも意見を聴取することとしています。

(D)取締役会が上記(C)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

a)招集通知及びホームページを参照させる例

多数の会社

これらのうち、豊田自動織機、デンソー、ユシロ化学工業、住友商事などは参照しても選任理由が開示されていない。

b))コーポレートガバナンス報告書に直接選任理由を開示している例

三菱UFJリース

f.原則3-1(v)

■選任・指名についての説明

第44期定時株主総会(2015年6月26日開催)における、取締役・監査役候補者の指名の理由は以下の通りです。

【取締役候補者の指名理由】

1.●●●●

取締役会長(代表取締役)として経営の重要事項の決定及び業務執行の監督に十分な役割を果たしており、引き続き取締役会長(代表取締役)として経営の指揮を執り、持続的な成長を目指していくことが最適であると判断。

2.●●●

取締役社長(代表取締役)として取締役会での決議事項や報告事項において適切な説明を行い、経営の重要事項の決定および業務執行の監督に十分な役割を果たしており、引き続き取締役社長(代表取締役)として経営の指揮を執り、持続的な成長を目指していくことが最適であると判断。

3.●●●●

商社での豊富な経営経験と金融事業に対する高い識見に加え、当社の経営に携わりつつ培った国内営業部門での経験を活かし、引き続き業務執行取締役として当社の持続的な成長に貢献頂くことを期待。

4.●●●●●

銀行での豊富に経験に加え、当社の経営に携わりつつ培った国内営業部門やコーポレート部門での経験を活かし、引き続き業務執行取締役として当社の持続的な成長に貢献頂くことを期待。

A個人的見解─本来のコードの趣旨に応える開示には原則の各項目を尊重しつつ、超越すべきではないか

以上で、各項目に対して早期に報告書を提出した企業事例の大雑把な分析です。早期に報告書を提出する企業は、概してコーポレートガバナンスに積極的に取り組んできた企業と言えるので、日本企業のなかでも質の高いガバナンスの部分ではないかと思います。各項目の事例として、こんなことを、このように行なっているということは大いに参考になるのではないかと思います。

しかし、この原則の開示方針を見ていると、この原則の開示項目はコーポレートガバナンス・コードの中心となる方針を開示するものと考えられるものですが、先端的な取り組みをしている企業とはいえ、開示からは企業がどういう方向に行こうとしているか具体的なイメージを見ることができませんでした。

というのも、コーボレートガバナンス・コードは日本再興戦略の一環と位置づけられていて、そこでは海外の中長期の投資を呼び込んで、株式市場を活発にして全体の企業の資金面での底上げと派生的にベンチャー等の新たな事業を興す活力をつけさせようというものだったと思います。一方上場企業はその半面で海外からの投資を受ければ投資家からの期待に応えるため成長へのプレッシャーにさらされ、自発的な経営の改善に向かうという効果も期待された、というのが本来的な意図ではなかったかと、考えられます。

従って、現在以上に海外の中長期の投資家に投資をしてもらうためには投資先としての魅力を理解してもらわなくてはならない。その前にこちらを振り向いて興味を持ってもらわなければならない。そのためにも、企業が中長期的な将来の姿をイメージできるようなビジョンや計画を提示するのが第一ということで、今の企業の開示には、そういうところが見られないから、これからは開示を海外投資家に興味を持たせるものにしていこう。そのために企業の側ではどのような体制とか人材を揃えるとか、等の姿勢を明らかにしよう、というのがこの原則の大元の趣旨ではないかと考えます。さらにまた、補充原則3−1.@でも触れてしますが、そういう開示はひな型の特徴のないパターンでは、企業の個性が感じられず、平凡な印象の残らないものになって、それこそ誰も振り向いてくれないものとなってしまうだろうから、各企業で、個性的な開示を考えることを求めているということです。このような開示をしていくための方針としては、そのような求められる個性的開示を生み出すような企業の独自性に根ざしたものであることが、ある程度必要なのではないか。そのためには、企業の将来ビジョンの即した方針であるべきはずです。だから、方針を見れば将来ビジョンが逆照射されるはずです。

この原則で、そういう方針を構築していくためには、この原則で求められているままに問題に回答するようなパターンでは回答がどうしても決まってきてしまいます。だから、ここであえて回答のパターンから外れる必要があるのではないか。脱線です。そして、企業のコーポレートガバナンス報告書そのものを投資家がガバナンスがどの程度の企業かを測る以上に投資対象として興味を覚えるようなものにするために方針の開示を考えていく、ということころまで羽目を外すことを狙ってもいいのではないか、むしろ狙うべきなのではないか、と。それが結果的には、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に適うことになるのではないかと考えます。

 

〔開示事例〕

亀田製菓

1.経営理念等や経営戦略、経営計画

(1) 経営理念等

経営理念、経営基本方針及び行動規範については、「1.基本的な考え方」に記載のとおりです。

(2) 経営戦略、経営計画

当グループは、平成28年3月期からの3年間を、長期ビジョン「グローバル・フード・カンパニー」の実現に向けた道筋を盤石なものとする重要期間と位置付けております。

当グループの目標とする経営指標は、平成30年3月期においては、売上高1,080億円、海外売上高比率9.0%、売上高営業利益率7.0%、ROE10.0%とし、平成33年3月期においては、売上高1,500億円、海外売上高比率30.0%、売上高営業利益率10.0%、ROE10%以上を目標としております。なお、中期経営計画の詳細については今後当社ホームページにて開示していく予定です。

2.コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

当社は、事業活動を通じてステークホルダーとの最良の関係を図り、企業価値を高めるガバナンス機構として、以下の体制を採用し、経営の健全化と透明性の向上を図っております。

当社は、監査役会設置会社の形態を選択するとともに、取締役会による経営監督と執行機能の役割分担を明確にし、迅速な意思決定を図るため、執行役員制度を導入しております。また業務執行に係る重要な意思決定は取締役(社外取締役を除く)及び執行役員で構成される経営会議による審議を経て取締役会に付議しております。

取締役会は取締役7名のうち社外取締役を4名、監査役会は監査役4名のうち社外監査役を2名としており、意思決定における客観性を高めるとともに、監査役による経営者に対する監督機能の強化を図っております。

当グループ会社の経営管理に関する討議と経営報告、ならびに情報共有を図るため、グループ各社の社長で構成するグループ経営会議を設置しております。さらに、当社は社外の有識者によるアドバイザリーボード「経営懇談会」を定期的に開催し、コーポレート・ガバナンスの強化及びコンプライアンス確保について、客観的な評価・助言を得ております。なお、当社の内部監査を担当する監査部は、当社におけるコンプライアンスの確保及び内部統制の状況に関するモニタリングを行い、代表取締役社長COO及び監査役会に報告するとともに改善指導を行っております。

食品企業にとって最も重要な食の安全・安心の確保については、品質保証委員会を設置し、グループ全体の品質保証体制の構築と改善・指導にあたっております。

さらにコンプライアンスの確保についてはコンプライアンス委員会が、予見されるリスクや顕在化した危機への対応についてはリスク管理委員会が、それぞれグループ全体における統括機能を担っております。

3.取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

当社の取締役の報酬については、基本報酬と賞与から成り立っております。取締役の基本報酬については、業界あるいは同規模の他企業の水準を勘案の上、株主総会にその総額の上限を上程し、決定された範囲内で各取締役の職位に基づき設定しております。また、賞与については、当期の業績に基づいた総額を毎年株主総会に上程し、決定された範囲内で各取締役の業績に対する貢献度に基づき配分額を決定しております。

執行役員の給与については、取締役会で定めた体系に基づき、業績・能力の評価を反映して決定しております。また、賞与については、各執行役員の業績に対する貢献度に基づき決定しております。

なお、社外取締役の報酬については、業務執行から独立した立場であり、一定の金額の基本報酬と賞与を設定することとしております。

4.取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(1) 執行役員(経営陣幹部)選任の方針と手続き

当社では取締役会による経営監督と執行機能の役割分担を明確にし、迅速な意思決定を図るため、執行役員制度を導入しております。

当社執行役員は、取締役会で決定した経営の基本方針に基づき、経営・業務の執行を、責任を持って行う者と定義しており、その選任については、以下の基準に従って代表取締役会長CEOが候補者を提案し、取締役会で決議しております。

  (執行役員の選任基準)

・次の世代を担うことができる年齢で、心身ともに健康でバイタリティーがあること

・組織のモチベーションを高めるリーダーシップを有し、責任をもって最後まで業務を遂行できること

・中長期的な経営戦略を具体化し、大胆にチャレンジして企業目的に貢献できること

・得意とする専門分野における豊富な能力・知識・経験・実績を有すること

・次世代の幹部候補育成に貢献できること

・執行役員の職務執行に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと

(2) 取締役・監査役候補の指名方針と手続き

(a) 取締役候補の指名方針と手続き

当社の取締役会は、活発な審議と迅速な意思決定ができるよう上限を9名とし、3分の1以上を独立性の高い社外取締役で構成することとしております。

取締役候補の指名については、以下の基準に従って代表取締役会長CEOが提案し、株主総会付議議案として取締役会で決議し、株主総会議案として提出しております。

  (取締役候補の指名基準)

・心身ともに健康でバイタリティーがあること

・高い人望、人脈、品格、倫理観を有していること

・高い経営的知識と客観的判断能力を有するとともに、先見性、洞察力に優れていること

・取締役の職務執行に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと

・社内取締役においては、得意とする専門分野における能力・知識・経験・実績を有するとともに、業務全般を把握し活動ができるバランス感覚と決断力を有すること

・社外取締役においては、出身の各分野における豊富な経験と高い見識を有していること、当社取締役として職務遂行を行うための十分な時間が確保できること、独立した立場から取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するための助言・提言ができる資質を有していること

・その他、上場会社として経営の健全化と透明性の向上を図るコーポレート・ガバナンス構築の観点から、取締役に求められる資質を有していること

なお、社外取締役の独立性確保のための基準は、【原則4−9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】に記載のとおりです。

(b) 監査役候補の指名方針と手続き

当社の監査役会は、監査役の機能強化を図るため上限を5名とし、会社法第335条第3項の定めに基づきその半数以上を社外監査役で構成することとしております。さらに、監査部門と会計監査人と連携し、三様監査が各々有効となるよう努め、当グループの業務全般に対する監査の充実を図っております。

監査役候補の指名については、以下の基準に従って代表取締役会長CEOが提案し、監査役会で協議し同意を得た上で、株主総会付議議案として取締役会で決議し、株主総会議案として提出しております。

   (監査役候補の指名基準)

・心身ともに健康でバイタリティーがあること

・高い人望、人脈、品格、倫理観を有していること

・常に公正不偏の態度を保持し、自らの信念に基づき行動できること

・監査品質の向上のため常に自己研鑽に努めることができること

・経営的知識と客観的判断能力を有すること

・経営全般の見地から経営課題を認識することができること

・監査役の職務執行に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと

・常勤監査役に関しては監査役会の役割・責務を十分に果たす上で必要な情報収集能力を有していること

・財務及び会計に関する相当程度の知見、又は、得意とする専門分野における能力・知識・経験を有していること

・社外監査役においては、出身の各分野のおける豊富な経験と高い見識を有していること、当社監査役として職務遂行を行うための十分な時間が確保できること、独立した立場から取締役会の意思決定の妥当性・適性性を確保するための助言・提言ができる資質を有していること

・その他、上場会社として経営の健全化と透明性の向上を図るコーポレート・ガバナンス構築の観点から、監査役に求められる資質を有していること

なお、社外監査役の独立性確保のための基準は、【原則4−9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】に記載のとおりです。

5.取締役会は、上記4.を踏まえて、経営陣幹部及び取締役・監査役候補者の個々の内容を検討した上で、選任・指名を決議しています。また、

個々の選任・指名の理由については都度開示することとしております。 

 

新生銀行

当行では、意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、次の事項について公表し、主体的な情報発信に努めています。その際には、それぞれの事項の利用者にとって付加価値の高い記載となるよう努めています。

1)経営理念と経営計画

当行では、当行グループの目指すべき姿を示し、今後の業務運営の柱と位置付けられる経営理念を定めるとともに、第二次中期経営計画において、「特色ある事業基盤の確立」、「収益の増加と財務体質の一層の改善」、「顧客から共感され、社会・市場から必要とされる金融グループ」の三つを目標に掲げ、個人向け業務、法人向け業務それぞれの業務戦略を定めています。また、その進捗については、ディスクロージャー資料(アニュアルリポート)における社長メッセージ、第二次中期経営計画の進捗状況等において、定期的に公表しています。

2)コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

当行では、当行のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方及びコーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則を踏まえた当行の対応方針を、本稿「1.コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方」及び「コーポレートガバナンスに関する基本方針」にて述べています。

3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

経営陣の報酬については、公的資金注入行として経営健全化計画を履行中である立場を踏まえて、成果主義の理念のもと、職責や業績貢献度を適正に評価した上で、銀行の業績、マーケット水準等を考慮して適切な運営を行っています。また、取締役の報酬については、履行中である経営健全化計画の内容を前提に、株主総会において決議された報酬総額の範囲内で、最終的に取締役会において報酬額を決定しています。

4)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

当行は、経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名について、当行の定める社内規程に基づき、取締役会が決定しています。執行役員の選任については、一定の対象者の中からその評価や業績等を踏まえて選定し、候補者を決定する透明性の高い手続を策定しています。取締役候補の指名に当たっては、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス及び多様性を重視し、当行の規模を踏まえ、十分議論の上、最終的に取締役会で決定しています。監査役候補の指名は、当行取締役の職務の執行の監査を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を持っていること等を踏まえ、決定しています。

5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

当行では、業務執行取締役である経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名については、その理由を株主総会参考資料の中で説明しています。

なお、当行では、実質株主ベースの所有者別状況において外国法人等の保有比率が半数を超える状況に鑑み、原則としてすべての開示資料を和英二か国語で提供しています。

 

〔Explainの開示事例〕

スタートトゥデイ

【原則3-1-3.取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続】

取締役及び監査役の報酬等については、社内規程等において決定に関する方針を定めておりませんが、株主総会の決議による取締役及び監査役それぞれの報酬総額の限度内で、会社の業績や経営内容、経済情勢等を考慮し、取締役の報酬は取締役会の決議により決定し、監査役の報酬は監査役会の協議により決定しております。なお、報酬決定に関する具体的方針と手続きの開示については今後検討してまいります。

 

住友商事

(原則3−1(v))

社外取締役・社外監査役候補者の選任理由につきましては、「株主総会招集ご通知」の参考書類及び本報告書の「II 経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況」の「1.機関構成・組織運営等に係る事項 【取締役関係】及び【監査役関係】」に開示していますので、ご参照ください。

社外取締役・社外監査役以外の取締役・監査役候補者につきましても、今後、株主総会において候補者を提案する場合には、「株主総会招集ご通知」の参考書類において当該候補者の選任理由を開示します。 

 

基本方針の試み

 実例からは乖離しているようですが、コードの趣旨により沿うように、基本方針のサンプルを個人的に作成してみました。コードで求めらている項目別ではなく、基本方針について、どうして、そのような内容としなければならないかを経営ビジョンからストーリー仕立てで作成しました。

 

1.経営理念(原則3−1(@))

「技術と信頼」

わたしたちは、制御、計測、検査技術を活かした製品ときめ細かいサービスの提供により、お客様から厚い信頼を獲得し、よきパートナーとして共に成長する、ひいては、パートナーシップにより生み出された価値が広く社会において歓びと感動をもたらす経営を目指します。

 

2.過去と未来(原則3−1(@))

(1)過去

当社は創業以来、油圧を主とした計測と制御のパイオニアとして、鉄鋼から液晶フィルムや印刷までといった広範な分野での製造メーカーの生産ラインに不可欠の機器を提供し、製造メーカーの成長を支えることで、企業として成長してきました。当社の前進であるアスカニア合資会社は、わが国の産業界に自動制御という考えを初めて導入したもので、当社は制御と、その前提である計測という新たな分野をわが国の工業に広め、工場の生産のあり方に変革をもたらしてきました。それが当社の経営理念の一方の「技術」です。

他方で、鉄鋼や化学工業の生産ラインは24時間恒常的に稼動を続けていなければならないため、そこで使用されている当社の機器は、製品の高い品質ときめ細かなサービスによって、その稼動を長年にわたり当たり前のことのように支えてきました。その結果が、経営理念のもう一方の「信頼」です。

この「技術と信頼」の両輪により、当社は顧客である製造メーカーの拡大に伴って成長してきました。技術を追求した品質の高い製品を作ることにより、顧客に貢献し、業績が伸びるといったサイクルは、低成長時代に入り、中国等のグローバルでの新たなライバルの登場によって、製造メーカーが国内で生産規模を拡大することに慎重になった結果、時代にそぐわないものとなってきました。

(2)未来

当社グループは未来に向けて、「技術と信頼」の方向を若干新たにして、独自の技術開発で顧客に新たな可能性を提案するという姿勢から、より顧客の状況に寄り添い、きめ細かく潜在的なニーズを掘り起こし、より小さな改善を積み重ね、結果的には大きな貢献に結実させる方向も追求していくこととします。そのためには、今まで以上に顧客に密着して、眼に見えないニーズを掘り起こし、時を逃さず速やかに提供していかなければなりません。そこで、経営理念である「技術と信頼」の下に、顧客密着度を高めて、さらにサービスによる収益に注目し、いままで「技術」に傾いていたものを「信頼」の面からも業績をあげていくように方向性を変化させる。それは顧客の小さな変化にも敏感に対応することを必要とするため、当社の意思決定をはじめとした社内の流れのスピードアップをしていくことになります。そのスピードアップのためには、従来のオーガニックな企業努力にこだわらず、M&Aを含めた瞬時のパワーアップも経営戦略に含めて検討することも排除することはなくなります。海外展開はもちろんですが、これにより国内の市場においても新規市場を作り出す余地が残されており、ここ数年は業績の成長の点では停滞を余儀なくされていましたが、その壁を乗り越えて成長することを期待しています。

 

3.事業戦略・計画(原則3−1(@)、原則5−2)

(1)事業戦略(原則3−1(@)、原則5−2)

 

(2)資本政策の基本的方針(原則1−3、原則5−2)

(@)従来の資本政策のあり方

前項の2.過去と未来(1)過去で述べたように当社グループは1950年の会社設立以来、製造業向けに計測・制御機器を提供することで産業界に貢献し、事業を成長させてきました。当社グループの機器は製鉄所をはじめとして様々な工場の生産ラインで稼動し、日本の工業製品の高い品質を支える一翼を担っているものと自負しております。もし、何らかの事故などにより当社の製品やサービスの供給がストップした場合には、各地の工場の稼動に関して大きな影響を受ける懸念があり、当社グループにとって、経営の安定はユーザーのニーズであり、当社グループの強みである顧客の信頼の大きな基盤となっているものです。

このような当社グループの業態の要請から、安定した経営基盤を確保した上で、持続的な成長に努めていくことが当社グループの基本的な経営姿勢となっております。

資本政策に関しても、このような経営姿勢の一環として位置づけております。それは、収益性を向上させ、効率を上げることにより資産回転率を改善することにより資本効率を改善して、株主価値を高めていくというものです。とくに、当社で力を入れるのは、総資産に対する売上高の比率を高くしていくことです。これにより資本回転率が向上するだけでなく、派生して収益性も高まることになって、最終的にROEの改善に結実するからです。さらに、IRの推進と配当政策等の株主還元を総合的に進めることによって、少なくとも株主資本コストを上回るように、株主価値を持続的に向上させて、ついには最大化を目指していくものであります。

当社グループは、これまで、堅実な財務政策と企業努力の積み重ねにより、内部留保を厚くし、自己資本比率を高い水準で維持してきました。(下のグラフは最近5年間の自己資本比率の推移を示しています。)その主な理由(メリット)として、次の3点が上げられます。

@受注から売上までのリードタイムが半年〜数年と長期間で、売上を現金として回収するには更に期間を要し、その間の仕入れの負担のような安定した事業運営には、現金の備えを手厚くする必要があったこと。

A当社はもともとユーザーが資本を出し合って設立された会社で、B to Bの事業形態をとっているため、事業を拡大するための戦略の一環として資本政策を機動的に行ってきたことから、保有している投資有価証券が多くなっていること。

B安定した財務基盤をベースに長期的な視野にたった研究開発や事業展開ができることで、他社が入ることのできないような開拓の困難な市場にフロンティアとして入ることを可能にしていること。

C外注や仕入先への支払を現金払いとすることにより、業者の経営の安定と信頼関係の強化を図り、協同で技術開発やコスト削減を進めるなど、質の高い協力体制をかためることができていること。

しかし、ここ数年当社グループの事業規模の拡大は進まず、売上高等の業績は横ばいもしくは減少の傾向が続き、ROEに代表される資本効率は低迷しています。

(A)今後のビジョンに向けての新たなあり方

前項の(2)未来のところで述べた将来の当社のビジョンをめざし、説明した事業戦略の一環として、資本政策においても、基本的には従来の方針を継続しつつも、事業戦略上の迅速な意思決定による技術開発や新たな事業への進出に機動的に対応するため、これまで財務基盤の安定性のメリットを活かすことを主目的としていた内部留保を、中長期の投資に積極的に振り向けてまいります。それだけでなく、当社グループを取り巻く環境変化のスピードやグローバル化への対応について、これまで以上に真摯に取り組むことは避けられないとして、M&Aをはじめとした大胆な戦略的行為にも積極的になるための資金として、内部留保を振り向けていくという方向性に転換してまいります。これに伴って、最適資本構成に変化が表われてくることになると思われますが、安定性を維持するために自己資本比率を指標として一定基準を保ちながらも、積極的姿勢に沿った最適資本構成を模索してまいります。

また、資本コストの面では、これらの点に加えて、株主に対する情報発信を質量ともに充実させていくことで、株主のエージェンシー・リスクの軽減を図って、ROE等の数字に表われない面も重視してまいります。

(B)利益還元について

当社の経営理念である「技術と信頼」は顧客との長期的な信頼関係を事業戦略の基盤としていることや、技術や製品も、そのようなせいかくのものであることから、株主との関係も長期的な信頼関係の構築を望んでおり、したがって利益還元についても、短期的リターンよりも中長期のスパンで投資の期待値に応え体期待と考えております。当社の事業の特徴として、毎期、コツコツと利益を継続して積み上げていく傾向にも即して、配当で毎期、利益還元を続け、長期のトータルでの成果に結実していくために、配当性向を重視しています。

(C)政策保有株式(原則1−4)

当社は、純投資目的以外の目的の、いわゆる政策保有株式を保有しております。これは、「技術と信頼」の経営方針の一環として、具体的には、顧客である製造メーカーの生産設備という、時には企業の強みにかかわる秘密に触れる分野を取り扱うために信頼関係を構築するために不可欠の手段として、また、資本政策の基本方針にある安定的な財務基盤として、戦略的に進めてきました。

また、保有している株式の議決権行使については、提案された議案が発行企業の価値毀損につながるものであると判断した場合、その企業を取り巻く状況及びと社とのパートナーシップへの影響を勘案した上で賛否について決定し、議決権を行使します。

(D)株主のエージェンシー・リスクへの配慮(原則1−1、1−2、1−5、1−6)

当社では、株主の権利や平等性の保障については、エージェンシー・リスクの軽減に結びつくこともなることから、資本コストとしても位置付けています。具体的には、現在の当社の株主に長期保有を期待することから、株主構成や株主の意向の方向性に配慮を怠りません。例えば、株主総会においてより多くの株主の参加を可能にするために開催日を集中日から外しながらも、総会を自主的で真摯な場とするために会場を敢えて自社会場に移し、その株主総会の決議における反対票の動向を検証しています。これは、現在の株主を最優先で考えており、例えば、外国人株主の保有比率はきわめて低いことから、将来増えるかもしれない外国人株主にかける配慮は、現在の株主に向けています。そのため、主に外国人株主に対する配慮の一環であろう英文の招集通知、議決権行使プラットフォーム等の電子投票制度の導入、招集通知の早期発送は実施していません。ただし、これは現時点のことであり、外国人株主が増えた場合には、相応の配慮をすることとしています。同様の理由で、敵対的買収に対するいわゆる買収防衛策を導入しておりませんし、株式価値の大幅な希釈を伴うような資本政策上の施策を行うことは考えておりません。

(E)情報開示(補充原則3−1@、原則4−2、原則5−1、原則5−2)

 

4.コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方及び基本方針(原則3−1(A))

(1)コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、本報告書Tの1.基本的な考え方において詳しく説明しているように、もともと顧客が資金を出し合って設立された会社であり、独立の経営を続けるなかで様々なステークホルダーとの良好な関係を築くことに力を注いできた経緯から、また、当社の経営理念である「技術と信頼」に基づいた経営においては、顧客との長期的な信頼関係をベースに、受注、販売そして収益の回収は中長期のスパンで実行していかなければなりません、そのためには事業の安定的な継続が前提となることなどから、コーポレートガバナンスは重要な経営課題でありました。

上記の経営理念と、その理念による未来への方向性に向かって経営を進めていくためには、従来からの顧客である製造メーカーとの信頼関係を続けていくだけでなく、従来の経験の枠を超えた経営政略に挑戦するだけでなく、スピード感を求められるために迅速な意思決定を迫られることになります。そのために、経営陣には強い意志とリスク管理が今まで以上に求められることになります。それを支え、経営の意思決定の妥当で適正であるため手続や体制の透明性や公正性が従来以上に求められることになるため、コーポレートガバナンスを強化することは経営を側面かに支えることと認識しております。その具体的な方向性については、コーポレートガバナンス・コードの原則に沿って、基本方針を次のとおりとしております。

(2)コーポレートガバナンスの基本方針

以下では、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に対する基本方針を、当社が各基本原則に取り組む動機に遡って説明いたします。

(@)株主の権利・平等性の確保

当社の経営理念である「技術と信頼」に基づいた経営においては、顧客との長期的な信頼関係をベースに、受注、販売そして収益の回収は中長期のスパンで進めていかなければなりません。そのためには、当社の経営は長期的に視野で投資を考える株主と長期的な信頼関係を構築し、共に企業価値の向上に向けて協力しあうことを理想と考えております。そのためには、株主の権利を尊重し、平等が保障させるように最大限の配慮を払い、株主の皆様には、当社の株主になってよかったと思っていただけることを目指します。

(A)ステークホルダーとの適切な協業

当社の経営は長期的に安定した経営を継続させた基盤を磐石にし、その上で戦略的な施策を展開しております。とくに、従業員、取引先、社会、環境との関係は、当社の経営の安定した継続の重要な要素であり、一方で、当社の製品は環境やエネルギーの節減など社会的な貢献性の分野での展開も期待できるものであります。

(B)適切な情報開示と透明性の確保

情報開示は株主や投資家の皆様との間に理解と信頼を得るために必要なばかりではなく、当社への投資を誘因するために最大限活用しなければならないと考えており、戦略的に進めていくものであります。さらに、適切な開示のためには経営の透明性が確保されていることが不可欠であり、経営がこのような状態にあることは、同時に外部の眼にさらされるというガバナンスの機能を望むことができ、資本コストの低減にも資するものと考えております。

(C)取締役会の責務

経営理念の当社の未来の姿で説明したとおり、将来に向けて、当社の経営は迅速で小回りの利く経営体制が求められる。

(D)株主との対話

当社が、株式市場において有名企業や大規模な企業に伍して競争していくためには、企業規模や株主数が小規模であることメリットとして、株主や投資家との対話を積極的に進めてまいります。

 

5.経営体制について(原則3−1(B)(C)、基本原則4)

(1)経営体制(基本原則4、原則4−1、4−2、4−3、4−11)

2.過去と未来(2)未来で示した当社グループの今後の方向性に向けての戦略の一環として、当社は、2016年6月をもって経営体制を監査等委員会設置会社に移行しました。これに伴い、全体として役員の数を減らし経営陣のスリム化を図りました。これは、2.過去と未来(2)未来で示した当社グループの今後の方向性にもありますように、迅速な意思決定を強く求められることと、従来には経験しなかったような大胆な組織再編などの経営課題を議論しなければならなくなるため、充実した議論が可能なコンパクトな体制とするためです。そのために、業務執行に関する決定権限を代表取締役をはじめとした取締役に委任し、実際には業務執行機関である執行役員会を代表取締役が招集し、そこで決定されることになります。一方取締役会では、経営の根幹に絞った議論を行いますが、従来に比べて大きなリスクテイクも避けられなくなることから、従来の監査役会以上の強い権限と責務をもった監査委員により、取締役会の議論を監視という体制となります。

これにより、当社の取締役会は、よりスピーディーでアクティブな経営を推進する一方で、同時にこれに伴うリスクを独立した立場と強い権限の監査委員が監視する体制となります。

(@)権限の委任(原則4−1、補充原則4−1@)

当社の経営体制は、リスクテイクを加味した積極的な経営施策をタイムリーに判断し、実行していくものです。そのためには、取締役会の権限の一部を代表取締役に委任し、代表取締役が議長を勤める業務執行の主体である執行役員会で判断し、速やかに実行する体制の構築を進めています。その概要は、各事業及び部門の業務執行を主として、原則として、具体的な業務執行に関する決定は代表取締役が議長を務める執行役員会に委任することとし、とくに当社及び当社グループ全体の方向性あるいは将来性に関する重要なケースは取締役会の意思により判断することとしています。詳しくはUの2.業務執行、監査・監督、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレートガバナンス体制の概要)の記述を参照願います。

(A)モニタリング

取締役会が、前項にとおり業務執行の権限を委任し、より経営に専念し、意思決定をスピードアップさせていく一方で、その判断リスクが大きくなることを勘案し、取締役会での議論の内外において、監査等委員による監視監督と、それに対する支援体制を中心にとしたモニタリング体制の構築を図っています。

・監査委員(原則4−4、4−6)

当社は監査等委員会設置会社であるため、監査役会に比べて取締役の適法性のみならず、妥当性への監視権限も有し、取締役会で意見を述べるだけでなく、議決にも影響力を行使しています。

・社外取締役(原則4−8)

当社は監査等委員会を3名の取締役で構成し、その過半数を社外取締役としているため、少なくとも2名の社外取締役を必ず選任しなければならない体制として、社外取締役による独立性かつ客観性の議論を確保する体制としています。

・独立性判断基準(原則4−9)

当社は社外取締役2名とも独立役員に選任しております。その際の独立性判断は会社法の社外役員の要件や東京証券取引所の示す独立性判断基準に従うものとしていますが、これらの基準の記載をより明確にして、数値的な判断基準を設けたことと、より少数株主の立場に立つために新たに大株主の関係者に対する独立性基準を加えた内容の当社独自の以下のような判断基準を作成し、その基準に従って社外取締役の候補者を指名しております。詳しくはU.1.の中の【独立役員関係】の説明を参照願います。

(1)当社グループの会社の業務執行取締役又は使用人(以下、「業務執行者」という)、または、社外取締役となる前の10年間において当社グループの業務執行者であった者

(2)当社の株式の持株数で上位10位以内の大株主又はそれが法人・団体である場合の業務執行者である者

(3)当社グループと重要な取引関係(それぞれの連結売上高2%以上)がある会社又はその親会社もしくはその重要な子会社の業務執行者

(4)当社グループから役員報酬以外に、直近事業年度において1000万円以上の金銭その他の財産上の利益を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家。

(5)当社グループから、直近の事業年度において年間100万円以上の寄付を受けている法人・団体等の業務執行者

(6)上記(2)から(5)について過去5年間において該当する場合

(7)配偶者または二親等以内の親族が上記(1)から(5)のいずれかに該当する者

(8)社外役員としての在任期間が通算で8年を経過した者

・関連当事者(原則1−7)

当社は会社法に基づき、取締役の利益相反取引に対して事前承認と結果確認を行う旨、取締役会規則で定め、関連当事者間の取引実績については、法令に基づき開示しております。なお、その場合の取引条件については、一般的取引条件と同様に決定しています。

・任意の仕組み(原則4−10)

当社は監査等委員会設置会社であり、役員の指名や報酬に関して任意の委員会の設置を検討しておりますが、現在は監査等委員会の取締役の選任候補者や報酬に関する株主総会での意見陳述権に効果的に活用するため、取締役候補の指名や報酬の決定の前に監査等委員会に取締役会が実質的に諮問を行っており、その決定手続について、客観性と透明性を確保しているとともに、モニタリングの一環としても機能しております。

(B)実効性の向上

・役員の兼任状況(原則4−11)

取締役及び監査役の他社との主な兼任状況は、従来から株主総会参考書類、事業報告書及び有価証券報告書等において適切に開示を行っており、また、新たに、他社の役員を兼任する場合には利益相反及び当社の取締役の業務に時間や労力を振り向けられるかを勘案し、取締役会で事前承認の決議をしております。各取締役の兼任状況については、前述の文書の他、本報告書のU.2〔取締役関係〕の説明を参照願います。

・取締役会の評価(原則4−11)

今般の監査等委員会移行により、監査等委員会が取締役会の実効性の評価を監査・監督の一環として実施することにし、その結果は取締役の指名や報酬に関する意見陳述権の検討の際にも利用する予定でおります。今期は移行初年度となるため、次年度以降の開示を予定しております。

・トレーニング(原則4−14)

現時点では、取締役に対するトレーニングの計画等はありません。各取締役が必要性を感じて、自主的に講習等への参加を申し出た場合には、

詳しくはT.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性そのた基本情報 5.その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情の記述を参照願います。

(2)取締役会の構成と役員の選任(原則3−1(C)、4−3、4−9、4−10、4−11)

経営陣である取締役会は、前述のような機能が期待され、そのために権限の委任等の実効性を高める施策を講じておりますが、当の取締役会自体も、期待に応えるために規模を抑えることで機動性を高めるという、少数精鋭のスリムな体制としています。そのためには、取締役には相応しい人材を選任することが、従来以上に要請されております。

取締役会の構成は、業務執行取締役は代表取締役を含めて3名、一方監査等委員会は3名の計6名で、監査等委員の過半数、つまり2名は社外取締役となり、現時点で、社外取締役は全体の3分の1を占めております。監査等委員のうち1名は常任の監査等委員として社内の業務や事情に精通した者があたり、社外取締役はそれぞれ、技術分野と会計・法務分野の専門性をもった人材であり、取締役会において多様な議論ができるようになっております。(原則4−11)

役員報酬と並んで役員の指名は、経営体制を構築するに当たり、重要な事項です。今般の監査等委員会設置会社への移行という経営体制の変化の目的に伴い、当社の取締役にどのような人物を登用するかという点において、取締役会が従来に比べ、より全体的な視点に立ってスピーディーな判断を行うための議論を求められることに応じた人材、業務執行は権限委任により執行役員に託し経営にスペシャリティをより発揮する人材に重点を移していく方向性を基本とします。

詳しくは本報告書Uの1.機関構成・組織運営等にかかる事項の【取締役関係】の補足説明を参照願います。当社の取締役は、これまで述べてきた、経営理念に基づいた将来の当社の姿の方向に沿うべく、経営を担っていく人材を登用することを基本的な考え方としています。その一方で経営が独善に陥ることのないように(原則4−10)、また株主のエージェンシーコストの面からも独立した客観的な視点が必要であるとして、独立性基準を設定し、それに則った社外取締役を指名することとしております。この独立性の基準(原則4−9)は会社法の社外役員の要件や金融商品取引所の規則の独立役員の要件に則して、その上に当社独自の基準として取引企業や大株主の関係者で少数株主の権利を侵食しない範囲を加えたもので、詳しくは本報告書Uの1.機関構成・組織運営等にかかる事項の【独立役員関係】で説明しております。また、指名のプロセスについては、指名委員会のような任意の委員会こそ設けませんが、候補者の指名の前に監査等委員会に諮問し意見を求め、その意見を取締役会が最大限に尊重することで、透明で客観的になる段階を設定しています。

(3)役員報酬の方針と手続(原則3−1(B)、4−2)

上記のとおり、当社は経営体制を監査等委員会設置会社に移行しました。これに伴い、取締役を選任し直すとともに、役員報酬についても決め直しましたが、基本的な考え方としては、人事の面からは、経営者としての処遇が十分であること、具体的には、内外の優秀な人材を登用できるものであること、そして経営面からは経営者のモチベーションを維持し、企業価値向上へ向けたインセンティブを効率的に引き出すものであること、そしてガバナンス面からは、会社の企業戦略を踏まえ、株主への説明責任を果たすことのできる公正で透明性のある制度であるということです。詳しくは、Uの1.機関構成・組織運営等にかかる事項の【取締役報酬関係】で説明してありますが、業務執行取締役の報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成され、業績連動報酬は年度業績である連結営業利益率と連動した短期インセンティブとしての業績連動型の賞与、長期インセンティブとしての株価報酬型のストックオプションに分けられます。業績連動賞与は短期インセンティブとしていますが、当社の経営スタイルでは、単年度の業績を地道に積み上げた結果が長期的な成長に結実するので、目の前の課題に集中することを重視するためです。そのために、固定報酬と業績連動報酬の比率を固定報酬に重くして、一時的な業績のみで報酬額が大きく変動することを抑え、取締役が在任期間を通じての報酬をトータルで考えられるように図っています。例えば、ある取締役が5年間の在任期間であったとして、毎年の目標達成に努めた結果として5年トータルの報酬が積み上がるという結果を意図しています。また、報酬の支給基準となる計算方法は本報告書でも公開されており、報酬額の決定には透明性が確保されています。

 

〔2016年に開催された定時株主総会の実際の状況と今後の傾向〕

このコーポレートガバナンス・コードでは情報開示として全般的な記述になっていますが、株主総会において議案であったり、株主に説明する場合は経営の義務ですから、そこにコーポレートガバナンス・コードを反映させることについて、考えてみます。この場合、株主総会の議案として直接関係するのは取締役の選任に関するもので、株主総会の主要な議案であり、それに関連する情報開示は株主総会の運営を左右するものであり、株主との対話においても、株主の関心は非常にたかいものです。従って株主総会の招集通知などの記載について、会社法の規定に加えてコーポレートガバナンス・コードを反映させるのは、ある意味当然と言えると思います。

・個々の取締役や監査役候補の指名理由の説明

◇参考書類への記載が多い

会社法では社外取締役(会社法施行規則74条4項2号)と社外監査役(会社法施行規則76条4項2号)は候補者とした理由を記載しなければならないとしていますが、それ以外には、規定上求めていません。従って社内の取締役や監査役の氏名理由の記載は企業の任意ということになります。

実際に上場企業の約半分の企業が記載しているようで、参考書類か事業報告のどちらかに記載しているということです。おそらく、参考書類に記載しているケースが大半ではないかと思われます。

◇参考書類での記載は取締役候補の指名理由の説明として

指名理由の説明において、取締役指名の方針や手続を踏まえた説明をする。

※コーポレートガバナンス・コードで示されている取締役指名の方針や手続自体を直接記載する事例は少ない。

どのように指名理由を説明しているか→指名方針を充たしていることが分かるように、経歴や視覚、経験、知見、実績を説明するケースが多い。

@)指名方針や手続を参考書類に記載しているケースでは、人格、遵法精神・倫理観、業務上の専門知識、経験、能力、多様性などが選任基準としてあげられている。

エーザイ(参考書類)

当社は指名委員会等設置会社であり、指名委員会の構成のほか、取締役会が専門知識や経験等が異なる多様な取締役で構成されることを考慮した上で、各候補者を決定しています。

三菱重工(参考書類)

取締役候補者選定の方針およびプロセス

当社では、性別、年齢および国籍の区別なく、それぞれの人格および識見等を十分考慮の上、取締役として株主からの経営の委任に応え、その職務と責任を全うできる適任者を取締役候補者として選定する方針としています。この方針に基づき、役員氏名諮問委員会の答申を得て、取締役会において候補者を決定いたしました。

小松製作所(参考書類)

当社取締役会は、適切な意思決定および経営監督の実現を図るため、社内および社外から、豊富な経験、高度な知見および専門性を有する者を複数選任しています。また、取締役および監査役候補者の選定にあたっては、判断の客観性と透明性を高めるため社外取締役が過半数を占める人事諮問委員会の助言・提言を得て決定しました。

A)取締役会の規模や構成、多様性などについての方針を増員理由の説明の中に入れている。

←機関投資家は理由なき増員に反対する傾向があり、その対策にもなっている

花王(参考書類)

当社は取締役会において当社の使命である“豊かな生活文化の実現”に貢献するイノベーション戦略の立案・審議を深め、当社グループの企業価値向上につなげるために取締役の員数を1名増員し、社外取締役3名を含む取締役7名の選任をお願いします。

伊藤忠商事(参考書類)

取締役候補者の選任の方針と手続

広範囲な事業領域を有する総合商社の取締役会として、適切な経営の監督及び重要な業務執行の意思決定を行えるよう、原則として、取締役会長及び取締役社長の他、各カンパニープレジデント、総本社職能担当オフィサー等を取締役(社内)として選任するとともに、取締役会の経営監督機能を強化するため、複数名の社外取締役を選任します。社外取締役については、独立性を重視する観点から、鞄結桴リ券取引所が定める「独立役員」の要件及び当社の「独立性判断基準」に定める独立性の要件を満たすとともに、各分野における経験を通じて培った高い見識をもって当社の経営に貢献することが期待される者を優先的に選任します。取締役候補者については、上記の方針を踏まえて社長が原案を作成し、指名委員会での審議を経て、取締役会にて決定します。

B)社外取締役以外の取締役の選任事由については会社法の記載義務はないが、記載している。そのなかで、取締役指名の方針を充足していることが分かるような説明を加えている。

オムロン(参考書類:取締役選任議案)

○○氏は、代表取締役社長として経営の監督を適切に行なっております。取締役会においては、経営上重要な案件について十分かつ適切な説明を行ない、取締役会の意思決定の機能を高めております。また、CEOとして経営の指揮を執り、企業理念の実践を通じて、持続的な企業価値の向上を図っております。これらのことから、長期ビジョン実現の牽引者として適切な人材と判断し、引き続き取締役としての選任をお願いするものであります。

花王(参考書類:取締役選任議案)

○○氏は、平成24年に代表取締役社長執行役員に就任以来、研究開発を重視した“よきモノづくり”を推進するとともに、グループ資産の最大活用により、“グローバルで存在感のある会社”をめざし、“利益ある成長”と“社会のサスティナビリティ(持続可能性)への貢献”との両立を図り、企業価値の向上に邁進すべく陣頭に立ってまいりました。また、「花王グループ中期3カ年計画(K15)」の策定を指揮し、豊富な経験と幅広い知見に基づく強いリーダーシップにより、同計画を着実に遂行し所期の目標を全て達成し、過去最高の売上高・利益の更新と海外売上比率の向上を果たしました。全てのステークホルダーを意識した経営の監督と執行、取締役会における重要な意思決定機能の強化を通じて、当社グループの持続的成長につなげるべく、○○氏を引き続き取締役候補者としました。

資生堂(参考書類:取締役選任議案)

○○氏につきましては、上記略歴に記載のとおり経営者として十分な実績を有しており、特にマーケティングにおいてその手腕が高く評価されていることなどから、当社が執行役員社長として招聘し、2014年4月に同職に就任しました。同年6月25日開催の第114回定時株主総会での当社取締役への選任後、取締役会において当社代表取締役に選定され、株主のみなさまの負託に応えるべく、経営の舵取りを担ってきました。2015年度も引き続き高いレベルのマーケティング能力とリーダーシップを発揮し、中長期戦略VISION2020をスタートさせました。「世界で勝てる日本発のグローバルビュータテーカンパニー」に向け、事業基盤の再構築に注力し、“Think Global, Act Local(グローバルな視点で考えながら、現地・現場に密着した活動を進める)”の考えのもと、2016年1月からの本格稼動に向け、責任と権限を現地に委譲したグローバル新組織を構築しました。これらの実績を考慮し、取締役会は同氏引き続き取締役候補者に定めました。


関連するコード        *       

原則1−3.

原則1−4.

原則1−7.

基本原則2.

原則2−1.

基本原則3.

補充原則3−1.@

補充原則3−1.A

基本原則4.

補充原則4−1.@

補充原則4−1.A

原則4−8.

原則4−9.

補充原則4−10.@

補充原則4−11.@

補充原則4−11.A

補充原則4−11.B

補充原則4−14.A

基本原則5.

原則5−1.

原則5−2.

 
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