原則4−7.
【独立社外取締役の役割・責務
 

 

 【原則4−7.独立社外取締役の役割・責務】

上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。

(@)経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し、中長期的な企業価値の向上を図る、との観点から助言を行うこと

(A)経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと

(B)会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること

(C)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること

 

 

〔形式的説明〕

原則4−7は、原則4−6で示されている「経営の監督と執行の分離」を推進し、経営の監督における取締役会の独立性及び客観性を確保するための、主要な施策としての経営陣から独立した社外取締役の活用を図るというものです。そして、独立社外取締役に期待される役割・責務として4点が列挙されています。4点のうち、最初が助言機能で、後の3点が監督機能に関するものです。そして、この4点は例示ではないので、この4点について活用されているかを検討しなければなりません。

なお、これらの4点は原則4−8あるいは原則4−9などとともに、独立社外取締役の候補者を具体的に選定する際にも参照されるべきものになると考えられます。

 

〔実務上の対策と個人的見解〕

@海外投資家の社外取締役に対する認識

日本の上場会社でも社外取締役を選任する会社が増えてきました。とくに2014年の会社法改正により社外取締役の選任が半ば義務化されたことにより、多くの会社で社外取締役が選任されました。しかし、外国人投資家から見れば、形式的に過ぎないのではないかという疑念が残っています。そこで、社外取締役の実効性を確保し、それを明らかにするために、この原則があると考えられます。この原則では社外取締役の役割・責務として具体的に4項目をあげています。

日本では、この中で(@)の助言機能が社外取締役の役割と考えている会社が多く、会社の事情に精通していないと取締役会で有効な意見を述べることができないという議論が避けられません。しかし、外国人投資家は、むしろ(A)〜(C)の監督機能、特に(A)の経営陣幹部の人事に関するものと(B)の利益相反の監督を重視します。これらに関しては、必ずしも会社の事業に精通している必要はないといえます。ここにおいて、日本の会社側と外国人投資家の理解のズレが明らかになったと思います。このようなズレを理解したうえで、会社として社外取締役に実効性を持たせていることを外国人投資家をはじめとして社外に説明することを狙ったのが、この原則ということができると思います。

A4項目に対する実務的な対応

この原則で挙げている4項目について社外取締役の実効性について確認していくわけですが、その実際について考えてみたいと思います。

(@)社外の視点による助言機能というべきもので、これについては社外取締役の実効性についての一般的な議論で、散々たたかわされていることなので、ここでは述べません。

(A)経営陣幹部の監督機能については、経営者の意思決定に違法性がある場合、合理性を欠く場合、経営陣の選解任に指導的な役割を果たすことで監督を果たすものです。この場合、社外取締役は独立の立場から、検討に必要な情報が十分に出され、議論が十分に尽くされ、その結論に客観的な合理性があるか、を見て、意思決定について判断することになるといいます。だから、この3点が社外取締役の前で見られるようになっているか、を確認すればよいというわけです。これは、取締役会の議論の中身の問題です。

(B)利益相反の監督機能について、社内の論理で判断した場合には見落とされる可能性があるものを社外取締役が独立した立場からの判断を期待されるというものです。実務上は次の2つの場面を明確に意識しておくことが必要ではないかと思います。一つは親子会社との関連当事者との取引です。例えば親会社から派遣されている取締役、あるいは子会社に派遣している取締役・経営陣の判断が会社の利益に反していないを判断すること、もうひとつは買収提案が行われたときで、買収提案に対して自己保身から比較的自由に第三者の立場から企業価値に対する判断ができるのは社外取締役です。これらを制度化するとすれば、例えば、買収提案があったときの第三者委員会のメンバーに社外取締役を入れることを明記する等があり得ると思います。

(C)少数株主などのステークホルダーの意見を代弁については、原則5−1@の株主との対話に社外取締役が含まれることも関連していると思います。

ここでは、外国人投資家が重視していると考えられる(A)と(B)に重点を置いていますが、従来は会社内で、あまり考慮していなかった部分でもあると思います。このチェックをクリアしたということでコンプライ、またさらに開示をするというのであれば、この内容を踏まえて記述を考えればよいのではないかと思います。

 

〔Explainの開示事例〕

三菱UFJリース

■独立社外取締役によるステークホルダーの意見の反映

社外の意見を経営に生かす枠組みを整えるため、代表取締役、常勤監査役、社外役員を構成員とする任意の「社外役員・代表取締役との意見交換会」を設置し、IRの機会等を通じて得た株主様からのご意見は、その重要性も考慮しつつ、独立社外取締役を含めた社外取締役には、直接または、“意見交換会”の場を活用して伝えることとしております。独立社外取締役をはじめとした社外取締役には、取締役会等の場で、株主様をはじめとするステークホルダーからの意見も踏まえた貴重な助言を頂いております。


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