新任担当者のための会社法実務講座 第414条 指名委員会等への報告の省略 |
Ø 指名委員会等への報告の省略(414条) 執行役、取締役、会計参与又は会計監査人が委員の全員に対して指名委員会等に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を指名委員会等へ報告することを要しない。 ü
指名委員会等への報告の省略 執行役、取締役、会計参与または会計監査人が委員全員に対し、指名委員会等に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を委員会へ報告することを要しないこととされています(414条)。執行役、取締役、会計参与または会計監査人が臨機にどのように報告すべきかが問題となり、報告の省略制度が設けられました。 ü
報告すべき事項 ここでいう「報告すべき事項」は、法定の報告事項が前提とされています。まず、会計監査人または会計参与は監査委員会に対する報告義務があります。執行役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれがある事実ことを発見したときは、ただちに当該事実を監査委員に報告しなければならないとされています(419条)。しかし、指名委員会や報酬委員会に対する報告義務の定めはありません。 執行役等の説明義務要求が411条3項に規定されていますが、これは「報告すべき事項」ではないので、取締役会に出席して説明しなければならないことになっています。 会計監査人は、その職務を行うに際して執行役または取締役の職務執行に関して不正の行為または法令定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査委員会に報告しなければなりません(397条)。会計参与についても同様です(375条)。これらの場合、会計監査人または会計参与は、委員会の招集を求めることなく、すべての委員に通知することにより、報告義務を履行したことになります。この報告を受けた委員が監査委員会を開催して会計監査人または会計参与からより詳細に報告を聴取する必要があると考えるときは、適宜、監査委員会を招集することになります。 ü
議事録 取締役会や監査役会への報告の省略の場合と同様に、委員会への報告の省略の場合についても、議事録の作成が求められます(会社法施行規則111条4項)。そして、その議事録は413条の規定による備置及び閲覧等の対象となります・ 委員会への報告が省略される場合の議事録は、次の事項を内容とします(会社法施行規則111条4項)。 ・委員会への報告を要しないものとされた事項の内容 ・委員会への報告を要しないものとされた日 ・議事録の作成に係る職務を行った委員の指名
関連条文 第1款.委員の選定、執行役の選任等 第2款.指名委員会等の権限等 指名委員会等設置会社の執行役又は取締役との訴えにおける会社の代表等(408条) 第3款.指名委員会等の運営 第4款.指名委員会等設置会社の取締役の権限等 |