新任担当者のための会社法実務講座
第392条 監査役会の招集手続
 

 

Ø 招集手続(392条)

@監査役会を招集するには、監査役は、監査役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各監査役に対してその通知を発しなければならない。

A前項の規定にかかわらず、監査役会は、監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

 

招集手続については、取締役会と実質的に同じです。

ü 監査役会の招集期間(392条1項)

監査役会を招集する者は、監査役会の開催日の1週間前までに、各監査役に対して招集通知を発出しなければなりません(392条1項)。この招集期間は、監査役会の決議をもって短縮することはできませんが、定款をもって短縮することができ、例えば「3日前」と定めることができます。さらに、定款に招集期間を定めている場合には、但書きとして、緊急の必要があるときは、期間短縮ができる旨を規定しているのが一般的です。

なお、この一週間とは、民法140条の期間計算の原則に基づき、招集通知を発した日と会日との間に中7日をおかなければならないという意味です。

なお、取締役会の場合と異なり、3か月に1回以上監査役会を開催しなければならない旨の規定は設けられていない(363条2項372条2項)で、必要に応じて解することでよいとされています。ただし、適宜に監査役会が開催されないときは、個々の監査役の任務懈怠を問われることになります。

ü 監査役会の招集通知の方法(392条1項)

招集通知の方法については明文の規定はなく、書面または電磁的方法によらず、口頭で行っても差し支えないとされています。しかしながら、実務上は、緊急事態等やむを得ない場合を除き、書面または電子メールによる通知を行っている場合が多いようです。

また、招集通知には、会議の日時及び場所を示す必要はありますが、目的事項を示す必要はないとされています。株主総会の招集通知は会議の目的事項を記載しなければなりませんが、監査役会の場合とは違います。株主総会の場合には、株主に対して、総会に出席するかどうかを判断する材料として、また出席するとしてその準備の材料として、議題の記載が要求されるのに対して、監査役会の場合には、監査役はその職務として監査役会に出席する義務があり、それに出席するかどうかの自由がなく、また、出席したら、監査に関する諸般の事項が議題とされることを予期すべきだからです。

ü 招集手続の省略(392条2項)

監査役会の招集手続きは、監査役に出席する機会を確保することを目的とするため、すべての監査役の同意があるときは、招集の手続を経ることなく、監査役会を開催することができます(392条2項)。この場合、監査役が全員出席する必要はありません。同様の趣旨から取締役会の決議及び監査役全員の同意をもって、一定の日時及び場所において、定期的に監査役会を開催する旨を定めた場には、開催の度に招集手続取る必要はないと考えられます。

この規定は、招集手続の省略を認めるだけであり、監査役会を開催すること、それ自体の省略に関する規定ではないということです。監査役会への報告の省略は認められていますが(395条372条)、監査役会決議の省略は認められていません(370条)。

 

 

 

関連条文

監査役の権限(381条) 

取締役への報告義務(382条) 

取締役会への出席義務(383条) 

株主総会に対する報告義務(384条) 

監査役による取締役の行為の差止め(385条) 

監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表(386条) 

監査役の報酬等(387条) 

費用等の請求(388条) 

定款の定めによる監査範囲の限定(389条) 

監査役会の権限等(390条) 

招集権者(391条) 

監査役会の決議(393条) 

議事録(394条) 

監査役会への報告の省略(395条) 

 

 
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