新任担当者のための会社法実務講座 第391条 監査役会の招集権者 |
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招集権者(391条) 監査役会は、各監査役が招集する。
監査役会は、各監査役が招集できるとされています(391条)。監査役会は、取締役会と同様、会議体の組織であり、監査役会を招集する権限を有する者による適法な招集手続により、招集されなければなりません。 監査役会は、取締役会とは異なり、各監査役に招集権限が認められています。取締役会の場合(366条)とは異なり、監査役会の決議によってはもちろん、定款をもってしても、特定の監査役に、排他的な招集権限を認めることはできません。これは、監査役会の機能は主として、監査役間の連絡調整であり、各監査役に適宜招集権を認めても、取締役会に置けるように、実務が混乱するおそれが少ないこと。また、監査役間の緊密な連携のためには各監査役に適宜監査役会を招集することを認める必要があること。さらに、各監査役は、独立の監査機関として、それぞれ対等の立場で監査業務を遂行することが求められるが、特定の監査役に排他的な招集権限を認めると、監査役の間に、事実上、上下関係を生じさせるおそれがあること。これらの事情に配慮して、各監査役に監査役会の招集権限が付与されています。 各監査役の招集権を否定することは認められませんが、監査役会の招集を円滑に行うため、特定の監査役を原則的な招集者とすることは認められます。実務上は一般に、招集権者を社内規程等で定めることがおおいです。ただし、この場合には、事実上の一応の拘束力は認められますが、それは絶対的なものではなく、それ以外の者が招集した場合には、その招集も効力があり、その定めは拘束力を有しないと考えられます。 〔参考〕社団法人日本監査役協会の監査役会規程のひな型 第6条1項 監査役会は、その決議によって監査役の中から議長を定める。 第10条1項 監査役会は、議長が招集し運営する。 監査役全員の同意がある時は、招集手続きを経ることなく監査役会を開催することができます(392条2項)。また、監査役会への報告については、取締役会の場合と同様の省略制度(書面による通知制度)が認められています(395条、372条)。ただし、取締役会とは異なり書面決議は認められていません。 〔参考〕取締役会の招集権者(366条1項) 取締役会は、各取締役が招集権を有します(366条1項)。代表取締役だけでなく他の業務執行取締役あるいは社外取締役でも、つまり取締役であれば、誰でも取締役会を招集できるということです。 ただし、定款または取締役会の決議で招集権者を定めたときは、その定められた招集権者が取締役会を招集します(366条1項但し書き)。これは、招集権を有する各取締役が、それぞれに招集すると、同一の議題について矛盾した決議がされたり、また他の取締役が招集するだろうと考えて誰も招集をしなかったりして、適切に取締役会の招集が為されないようなことが起こらないように、誰かにマネジメントを一任しようとしたためと考えられます。実務上は、定款で招集権者を定めているのが通例であり、定款で指定される招集権者は、経営を取り巻く環境を迅速かつて的確に把握するという観点から、経営トップが(代表取締役、社長、会長など)選定されるのが一般的です。
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