原則2−2.
【会社の行動基準の策定・実践】
 

 

 【原則2−2.会社の行動基準の策定・実践】

上場会社は、ステークホルダーとの適切な協働やその利益の尊重、健全な事業活動倫理について、会社としての価値観を示しその構成員が従うべき行動基準を定め、実践すべきである。取締役会は、行動準則の策定・改訂の責務を担い、これが国内外の事業活動の第一線にまで広く浸透し、遵守されるようにすべきである。

 

〔形式的説明〕

@「行動基準」について

この原則でいう「行動基準」とは、原則で言っている「ステークホルダーとの適切な協働やその利益の尊重、健全な事業活動倫理などについて、会社としての価値観を示しその構成員が従うべき行動基準」を指します。その内容は、法令遵守にとどまらず、CSR(企業の社会的責任)に対する認識・方針を含み得るもの(参考とされるOECDコーポレート・ガバナンス原則の注釈で言及されているOECD多国籍企業行動指針、あるいはISO26000─社会的責任に関する手引き、日本経済団体連合会の「企業行動憲章」など)で、適用対象には、上場会社自体の役職員のほか、グループの全役職員が含まれるものとされることも多いです。

なお、行動基準、原則2−1で策定すべきとされている経営理念を実現するために遵守すべき規範として位置づけられるとも考えられ、その場合は経営理念と結びつけて定められていることになります。

Aこの原則で求められていること

「行動基準」は、具体的には、倫理基準、行動規範などと呼ばれているもので、多くの上場企業において、すでに定められ、中には自社のウェブサイトなどに公表されているところもあると思います。したがって、今まで馴染みのない新たな原則の策定が求められる、というよりむしろ課題は、「行動基準」の実践あると考えられます。つまり、原則で言う、「国内外の事業活動の第一線にまで広く浸透し、遵守されるようにすべき」という点です。これは、取締役会の責務とされています。具体的には、実践のモニタリングについては補充原則で規定されています。 

 

〔開示事例〕 

大東建託

当社では、経営判断から日常の業務遂行に係る「経営基本方針」、日常のビジネス活動における指針・基準とする「大東建託行動規範」、及び当社の一連の規則の中で特に重要な禁止事項である「大東御法度7箇条」を定めています。毎年開催される経営計画発表説明会において、役員・社員が上記の各行動準則を読み合わせ、確認を実施しています。

また、上記の各行動準則は、社内イントラや社員手帳へ掲載し、随時確認できる環境を整備しています。

 

エーザイ(V株主その他の利害関係者に対する施策の実施状況の3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況のところで説明している)

当社では、定款に条文として定めている企業理念のなかで、ステークホルダーズの皆様に対する立場の尊重について明記しております。その概要は以下のとおりです。 当社は、主要なステークホルダーズを、患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員であると考えており、以下の活動をとおしてステークホルダーズの皆様の価値の増大をはかるとともに良好な関係の発展・維持につとめております。

1.未だ満たされていない医療ニーズの充足、高品質製品の安定供給、薬剤の安全性と有効性を含む有用性情報の伝達

2.経営情報の適時開示、企業価値の向上、積極的な株主還元

3.安定的な雇用の確保、やりがいのある仕事の提供、能力開発機会の充実

 また、 当社グループは、201210月に「エーザイ・ダイバーシティ宣言」を掲げ、全役員および従業員に周知徹底をはかりました。

 取り組みのスタートとして、ダイバーシティ委員会を立ち上げ、3つの活動の柱を掲げました。女性が、いきいきと活躍できる環境の整備、グローバル展開を支える人財(社員を大切な財産と位置づけ、人材を人財と表現)の育成、ミドル・シニアが世代の差を超えて新たな価値を生み出す仕組みづくりを推進します。自尊他尊の精神のもと、自己の成長を組織の成長へと発展させ、多様な社会のニーズに柔軟かつ迅速に応え続ける人財を次々と輩出するシステムを構築し、人財開発のイノベーションへとつなげていきます。

 

資生堂(V株主その他の利害関係者に対する施策の実施状況の3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況のところで説明している)

資生堂グループ企業理念である「Our Mission, Values and Way」の実現に向けて、資生堂グループの根幹をなす存在意義であるOur Missionと、これを実現するために共有すべき心構え(Our Values)およびよるべき行動(Our Way)、そして「資生堂グループ倫理行動基準」を定めています。

Our Way」では、「お客さま」「取引先」「株主」「社員」「社会・地球」というステークホルダーに対してどのような企業行動を取っていくのかを定め、国ならびに地域の法令や社内規則の遵守はもちろんのこと、より高い倫理観をもって業務に取り組むための行動基準を定めています。 


関連するコード        *       

基本原則2.

原則2−1.

補充原則2−2.@

原則2−5

補充原則2−5.@

基本原則4.

基本原則5.

 
コーポレートガバナンス・コード目次へ戻る