新任担当者のための会社法実務講座
第374条〜380条 会計参与制度
 

 

Ø 会計参与の権限(374条)

@会計参与は、取締役と共同して、計算書類(第435条第2項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)及びその附属明細書、臨時計算書類(第441条第1項に規定する臨時計算書類をいう。以下この章において同じ。)並びに連結計算書類(第444条第1項に規定する連結計算書類をいう。第396条第1項において同じ。)を作成する。この場合において、会計参与は、法務省令で定めるところにより、会計参与報告を作成しなければならない。

A会計参与は、いつでも、次に掲げるものの閲覧及び謄写をし、又は取締役及び支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。

一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面

二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの

B会計参与は、その職務を行うため必要があるときは、会計参与設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計参与設置会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。

C前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。

D会計参与は、その職務を行うに当たっては、第333条第3項第2号又は第3号に掲げる者を使用してはならない。

E指名委員会等設置会社における第1項及び第2項の規定の適用については、第1項中「取締役」とあるのは「執行役」と、第2項中「取締役及び」とあるのは「執行役及び取締役並びに」とする。

 

ü 会計参与制度について

会計参与制度は、会社法により創設されたもので、その狙いは、中小企業の会計を、信頼に足る適正なものとすることにありました。関連する規定は散在しています。

会計参与は、計算関係書類を取締役と共同して作成することを主要な任務とする会社機関です(374条1項)。計算関係書類等の備置きや開示にも、一役を担います(378条)。公認会計士・監査法人または税理士・税理士法人であることが、資格要件とされています(331条1項)。

会計参与は、いかなる株式会社も、定款に定めることによって設置できるとともに(326条2項)、その設置を義務付けられるものでありません。取締役会設置会社は監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社でないかぎり、監査役を置かなければならないので、その隙間をうめる制度と考えられます。会計参与を設置したことについては、登記しなければなりません。その際には、会計参与の氏名または名称に加えて、会計参与が定めた計算関係書類等の備置場所(378条1項)も登記しなければなりません(911条3項)。

会計参与は、役員と位置付けられ、多くの点で取締役や監査役と同様の規律に服する。例えば、選任(329条、341条)、会社との委任関係(330条)、解任(339条、341条)、欠員を生じた場合の措置(346条)、株主総会における説明義務(314条)、責任(423条〜427条、429条、430条)、責任追及の訴え(847条〜853条)、解任の訴え(854条〜856条)などがそうです。

会計参与の任期は、取締役に準じる(334条1項)。

会計参与は、監査役に類似した規律に服することが少なくありません。兼任禁止(333条3項)、選任・解任および辞任についての意見陳述(345条)、「会計参与報告」の作成(374条1項)、会計に関する調査権・子会社調査権(374条、389条)、報告義務(375条)、取締役会への出席(376条)、報酬(379条)、費用等の請求(380条)がそうです。

会計参与が、計算関係書類の作成に関する事項について取締役と意見を異にするときに、株主総会における意見の陳述が認められる(377条)のは、会計監査人が監査役と意見を異にするときの規定(398条1項)と似ています。

以上をみると、会計参与は、監査役にもっとも近く、会計専門家の資格で任務を果たす点では、会計監査人にも似ていることが分かります。会計監査人が外部機関であるのに対して、会計参与は内部監査機関であるとも言われています。

ü 会計参与制度の現実の利用

大会社は会計監査人を設置しなければなりせん。それ以外の株式会社も、監査役設置会社でさえあれば会計監査人を設置できます(326条〜328条)。したがって、会計の信頼性を高めたい会社にとっては、会計監査人設置会社となることが、1つの選択肢となります。会計監査人を置く会社が、重ねて会計参与を置いても差し支えないとされています。しかし、会計監査人と会計参与を併存させることは、コスト負担面を考えると、現実には想定しにくいので、会計参与制度の利用は、会計監査人を置かない中小会社にほぼ限られます。

日本の中小会社は、税理士や税理士業務を行う公認会計士を税顧問とし、税務の申告書の作成を依頼したり決算書の作成等を託したりすることが、すでに行き渡っています。税務顧問が会計参与を兼ねることについては、明文の禁止規定はありせん。これに対して、税務顧問は会計監査人を兼ねることができない旨が明文化されています。

会計の適正化に意欲的な中小会社の立場からは、税務機関に対して、会計監査人への就任は依頼できせんが、会計参与への就任は依頼することができる、という違いは大きいのです。中小企業にとって、会計監査人を新規に設置するのは費用負担面で敷居が高い。それに対し、会計参与への就任要請であれば、税務顧問料への加算額を交渉する方法によることができます。監査役の設置を廃止して、従前の監査役の報酬分を会計参与に振り向けるという選択肢も、会社法においては用意されています。それらにより、中小会社が、比較的少ない負担で計算書類の適正性の担保を得られるようになることが、会計参与制度創設の狙いであったといえます。

ü 計算関係書類の共同作成(374条1項)

会計参与は、取締役と共同して、@各事業年度の計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)、A各事業年度の計算種類の附属明細書、B臨時計算書類(臨時決算日における貸借対照表、臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの損益計算書)、C各事業年度の連結計算書類(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書および連結注記表)の書類を作成しなければなりません(374条1項)。

これらの書類は、法務省令で計算関係書類と定義されているものです(会社計算規則2条3項)。上記@Aは、いずれの会社も事業年度ごとに作成しなければならないもので、Bは各会社が任意に作成するもの、としてCは大会社であって、金融商品取引法により有価証券報告書を提出しなければならない会社が作成を義務付けられているものです。

会計参与は、計算関係書類に記載すべき事項を記載せず、または虚構の記載をした場合には、過料の制裁の対象となります(976条7号)。その場合にはた、注意を怠らなかったことを証明しない限り、それによって第三者第三者に生じた損害の賠償責任を負います(429条2項2号)。さらな、会計参与は会社に対する任務懈怠責任を問われることがあり(423条)、この責任は株主代表訴訟の対象となります(847条)。公認会計士法または税理士法により行政処分の対象となることもあります。そして、例えば業務停止処分を受けると、その時点から業務停止期間が経過するまでの間、会計参与の資格を失います(333条3項2号)。

ü 会計参与報告の作成(374条1項)

会計参与報告は、会計参与が計算関係書類を共同作成する場合に、作成が義務付けられている資料です(374条1項)。その作成目的は、株主・債権者への情報提供にあり、会計参与は、これを5年間、共同作成した計算関係書類と同様に、会計参与が定めた場所に備え置かなければなりません。そして、株主・債権者・親会社社員からの閲覧等の請求に応じなければなりません(378条)。しかし、会計参与報告は計算関係書類の作成過程等を示す資料に過ぎないので、計算書類ないし監査報告・会計監査報告とは異なって、取締役会設置会社であっても、定時株主総会の招集通知への添付が求められているわけではありません。

会計参与報告は、計算関係書類と同様に、記載すべき事項を記載せず、または虚偽の記載をした場合には、過料の制裁の対象となります(976条7号)。その場合にはまた、注意を怠らなかったことを証明しない限り。それによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(429条2項)。

会計参与報告は、連結計算書類を共同作為する場合にも、作成義務があります。ただし、この場合は備置開示義務の対象とはなりません。

会計参与報告の記載事項は次の通りです(会社法施行規則102条)。

@会計参与が職務を行うにつき会計参与設置会社と合意した事項のうち主なもの

会計参与がその職務を適切に遂行するためには、会社側の協力が不可欠です。したがって、会計参与の就任に当たり、会計参与契約においてそのような協力に関する事項等があらかじめ定められるであろうから、それは例えば、会計参与の行動指針にあげられた会計参与契約書のひな形では、会計帳簿等の提出期限、取締役が所定の申述書を提出すべきこと、閲覧請求がされたときに株主や債権者であることを確認する方法、報酬、責任の限定等が定められています。そのような契約内容の内、主なものを会計参与報告に記載します。

A計算関係書類の内、取締役または執行役と会計参与が共同して作成したものの種類

それぞれの会計参与報告が、どの計算書類についてのものであるのかを明らかにする。

B計算関係書類の作成のために採用している会計処理の原則および手続ならびにその他計算関係書類の作成の基本となる事項であって、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く)

@)資産の評価基準および評価方法

A)固定資産の減価償却の方法

B)引当金の計上基準

C)収益および費用の計上基準

D)その他計算関係書類の作成のための基本となる重要な事項

これらについては、包括的に「中小企業の会計に会計に関する指針に従った」と記載すればよい、とされています。

C計算関係書類の作成に用いた資料の作成の種類その他計算関係書類の作成の過程および方法

例えば、総勘定元帳、各種補助簿、棚卸表等を用いたこと、会計参与がそれらの資料の提出を受けた時期、計算関係書類の原案作成者とその作成時期、協調が調って計算関係書類を共同で作成した時期などを記載します。

DCに規定する資料が次に掲げる事由に該当する事由に該当するときは、その旨およびその理由

@)当該資料が著しく遅滞して作成されたとき

A)当該資料の重要な事項について虚偽の記載がされていたとき

著しく遅滞したか否か、あるいは虚偽の記載が重要な事項についてのものか否かは、会計参与が図からの裁量で判断し、取締役はその判断に異議を述べることはできません。

E計算関係書類の作成に必要な資料が作成されていなかったときまたは適切に保存されていなかったときは、その旨およびその理由

これについては、該当事項がなければ、何も記載しない。

F会計参与が計算関係書類の作成のために行った報告の徴収および調査の結果

G会計参与が計算関係書類の作成に際して取締役または執行役と協議した主な事項

取締役のケアレスミスを会計参与の指摘により訂正したような場合には、通常は「主な事項」に含まれない、とされています。

以上に加えて、会計参与の行動指針は、計算関係書類を共同作成した日付を記載すべきものとしています。

ü 会計参与の権限(374条2項)

会計参与は、会計帳簿またはこれに関する資料を、いつでも、閲覧・謄写することができます。また、いつでも、取締役および支配人その他の使用人に対して、会計に関する報告を求めることができます(347条2項)。

会計参与は、その職務を行うため必要であるときは、業務及び財務の状況の調査をすることができ、また、子会社に対して会計に関する報告を求め、または子会社の業務および財産の状況の調査をすることができます(347条3項)。347条3項が定めるこれらの権限の行使に関しては、「職務を行うため必要があるとき」という要件が課されている点が、上記の2項が定める権限とは異なります。なお、子会社は、正当な理由があるときは、このような報告または調査を拒むことができます(347条4項)。

取締役等が、正当な理由がないのに閲覧・謄写を拒み、たは調査を妨げた場合には、過料の制裁の対象となります(976条4、5項)。

会計参与の以上の権限は、定款の定めにより監査の範囲を会計に関するものに限定している監査役について認められている権限(389条)と同様のものと言えます。

ü 会計参与の補助者

会計参与は、計算関係書類を共同作成する際に、補助者を使用することがあり得ます。会計参与の補助者は、公認会計士資格を有するものである場合もあれば、そうでない場合もうります。そのうち、有資格者は、業務停止処分中の者、および税理士法43条の規定により税理士業務を行うことができない者であってはならない(374条5項)。それらの者は、会計参与となることができず(333条2項)、したがって、会計参与がそのような者を補助者として使用することも許されない。

 

 

Ø 会計参与の報告義務(375条)

@会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。

A監査役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査役会」とする。

B監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査等委員会」とする。

C指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「取締役」とあるのは「執行役又は取締役」と、「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは「監査委員会」とする。

 

監査役の報告義務(382条)や会計監査人の報告義務(397条)と同じ趣旨で、会計参与には報告義務が課せられています。すわち、会計参与は取締役と共同して計算関係書類を作成しまた会計参与報告を作成します(374条、会社法施行規則102条)が、この過程において取締役の職務の執行に関して不正行為または法令・定款に違反する重大な事実を発見したときは、株主(監査役設置会社の場合は監査役、監査役会設置会社の場合は監査役会、監査等委員会設置会社の場合は監査等委員、指名委員会等設置会社の場合は監査委員会)に、その旨を報告しなければなりません(375条)。

会計参与を設置するような小規模な会社では、会計参与の職務が取締役とともに計算書類の作成を行うことですから、社外の者である会計参与は、この作成過程で取締役の不正行為等を発見した場合、この報告義務はこのような行為を是正するために重要なものとなります。このような会社の多くはその株主数も少ないと思われます。会計参与は監査役とは異なり取締役の行為を直接的に是正する権限を有していないことから、会計参与がその事実を株主に報告することで、株主にこの報告に基づきその後の行動に関する判断を委ねることができるわけです。

ü 報告すべき事実

会計参与が報告すべき事実は、取締役が職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実です。これは監査役の取締役への報告義務(382条)における報告すべき事実と重なるところがあります。ただし、監査役は監査権限を有しており、またそれに基づく是正権も有しています。しかも妥当性の監査も含めた業務監査権限を有している一方、会計参与にはこのような権限は与えられていません。したがって、会計参与の報告すべき事項には、監査役が取締役に報告すべき事実のある、不正の行為をするおそれのある事実および著しく不当な事実を含まれていません。これは、監査役と会計参与の職務権限が異なることに起因します。

ü 会計参与による報告方法

会計参与が取締役と共同して計算書類を作成する過程において取締役の職務の執行に関して不正行為または法令・定款に違反する重大な事実を発見したときは、株主(監査役設置会社の場合は監査役、監査役会設置会社の場合は監査役会、監査等委員会設置会社の場合は監査等委員、指名委員会等設置会社の場合は監査委員会)に、その旨を報告しなければなりません(375条)。この際の報告の方法については具体的な規定はないので、会社と会計参与との契約によって定められているかもしれませんが、少なくとも、監査役、監査役会、監査等委員会、監査委員会の場合には、357条や382条や419条1項で述べられている報告方法と同様に、会社ごとに報告の方法を定め、それに従い報告が行われます。株主が報告の相手方の場合には、357条で取締役が株主全員を把握して報告することを同様に、内部規則が定められているときにはそれに従い、定められていない場合には、会計参与が株主を把握して、すべての株主に、その事実を報告することになります。

ü 報告を受けた者の対応

報告を受けた者が株主か、監査役、監査役会、監査等委員会、監査委員会かによって、対応が違ってきます。

・監査役、監査役会、監査等委員会、監査委員会

この場合、監査役に代表させて説明します。

監査役は、その調査権限を利用して取締役から報告を受けた事実を確認する(381条)ことのみならず、取締役会の招集を取締役や招集権者に求めることができます(383条2項)。そして、この請求をした日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を会日とする取締役会の招集通知が発せられないときは、請求した監査役が取締役会を招集することができます(383条3項)。招集された取締役会では、報告を受けた事実について取締役に確認し、さらに必要がある時は意見を述べなけれはなりせん。また、報告を受けたような事実が現にあり、それが会社の目的の範囲外の行為その他法令・定款に違反する行為であったり、またはこれらの行為をするおそれがある場合には、その行為によって著しい損害が生ずるおそれがある時は、取締役の行為を差し止めることができます(385条)。一方、監査役が報告を受けて何もしない、またはこのような一連の対応を適切に行わない場合には、このような取締役の行為により会社または第三者に損害が生じた場合には、監査役はその職務の遂行にあたり任務懈怠があったとして、損害賠償責任を負うことになります(423条1項、429条1項)。

報告を受けた監査役は、受けた報告について検討したことを記録しておくことが求められます。例えば、監査役会議事録に記録する(会社法施行規則109条3項)。その他、監査報告(381条、390条)において、その事実が報告されます。例えば、取締役の不正行為について報告され、直後の株主総会で株主の質問を受けた場合は、監査役はその説明義務を負います(314条)。

※内部統制システムが整備されている場合

大会社はいわゆる内部統制システムを整備しなければなりません(348条4項、362条5項)。この場合は、内部統制システムを通じて対処することになります。ここでは、内部統制システムを整備していない公開会社の場合を考えてみます。報告を受けた監査役が対応しなければならないことは、基本的には内部統制システムがあってもなくても同じです。上記の対応と同じですが、違いは監査役は内部統制システムを通じて調査をするということです。会社法施行規則に従い、報告の方法を含めて会社内部での情報に関する体制を会社で決めることができます。

・株主

株主は、報告を受けても何かをしなければならないという職責があるわけではありません。すべての株主に報告し、株主から何もなけくでも、取締役の報告義務の履行について責任を問われることはないと言えます。非公開会社の取締役会設置会社の場合、株主は、取締役が会社の目的の範囲外の行為その他の法令・定款に違反する行為をし、またはこれらの行為をするおそれがある時は、取締役会の招集を請求することができます(367条1項)。またこの請求によっても請求の日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を会日とする取締役会の招集通知が発せられないときは、請求した株主が取締役会を招集することができます(367条3項、366条3項)。これらによって、株主は、取締役に事実の確認、さらにその事実に対する措置の検討を求めることができます(367条4項)。さらに、取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令・定款に違反する行為をしたり、またはこれらの行為をするおそれがある場合において、その行為が会社に著しい損害を及ぼすおそれがあるときは、取締役の行為を差し止めることができます(360条)。さらに、議決権の3%以上を有する株主は、株主総会を招集して(297条)取締役に確認・質問をし、また解任などの対応をすることができます。しかも、会社に損害が生じていたら、その損害を賠償することを求めることができます(423条)。

 

 

Ø 取締役会への出席(376条)

@取締役会設置会社の会計参与(会計参与が監査法人又は税理士法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員。以下この条において同じ。)は、第436条第3項、第441条第3項又は第444条第5項の承認をする取締役会に出席しなければならない。この場合において、会計参与は、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

A会計参与設置会社において、前項の取締役会を招集する者は、当該取締役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各会計参与に対してその通知を発しなければならない。

B会計参与設置会社において、第368条第2項の規定により第1項の取締役会を招集の手続を経ることなく開催するときは、会計参与の全員の同意を得なければならない。

 

取締役会設置会社の会計参与は、計算関係書類を承認する決算取締役会に出席する義務があり、そして必要があると認めるときは、その決算取締役会で意見を述べなければなりません(376条1項)。そのため、計算関係書類を承認する決算取締役会の招集通知は、会計参与にも発しなければなりません(376条2項)。取締役会の招集手続きは、関係者全員の同意がある時は、これを省略することができます(368条2項)。計算関係書類を承認する決算取締役会で招集通知を省略するには、会計参与の全員の同意も必要な要件となります(376条3項)。

ü 会計参与の決算取締役会への出世席義務・意見陳述義務(376条1項)

取締役会設置会社においては、各事業年度の計算関係書類及び事業報告ならびにこれらの附属明細書は、定時株主総会への提出に先立って、決算取締役会の承認を得なければなりません(436条3項)。臨時計算書類や連結計算書類が作成される場合も、同様に、決算取締役会の承認が必要となります(441条3項、444条5項)。

監査は、監査役・監査役会・会計監査人・監査等委員会・監査委員会のいずれによるものであれ、この決算取締役会の承認を受ける前に行われます(436条3項括弧書、441条3項括弧書、444条5項)。会計監査人は、監査して会計監査報告書を作成すれば、それで任務を果たしたことになるから、取締役会には、決算取締役会でも出席しません。

これに対して、会計参与は、計算関係書類を取締役と共同して作成することを任務としています。もっとも、会計参与についても、共同作成した計算関係書類を決算取締役会に提出すれば、それで任務を果たしたと扱うことも考えられないわけではありません。しかし、決算取締役会では、計算関係書類の内容について議論されることがあり得ます。そのために会計参与は取締役会に出席する必要が生まれたと考えられます。

また、監査役については、取締役会への出席義務・意見陳述義務が規定されています(383条)。そこで、会計参与は、これに準ずる形で、計算関係書類を承認する決算取締役会に対してのみですが、出席義務・意見陳述義務を負います。会計参与がその決算取締役会で議決権を行使するわけではないことも、監査役の場合と同じです。

ü 決算取締役会の招集手続とその省略(376条2、3項)

会計参与に、計算関係書類を就任する決算取締役会への出席が義務付けられることから、決算取締役会については、招集通知を発する宛先に、会計参与も加える必要があります。会計参与が複数名いる場合には、それぞれの会計参与に招集通知を発しなけれはなりません(376条2項)。

会計参与設置会社は、計算関係書類を承認する決算取締役会の招集手続を省略するには(368条2項)、取締役の全員の同意に加えて、会計参与全員の同意を得なければなりません(376条3項)。取締役会の招集通知を省略できるのは、招集通知を受けるべき者の全員の同意がある場合に限られるからです。なお、取締役会の決議について、定款の定めがあることを条件に、議決に加わることができる取締役全員の同意により、決議を省略できることを認めています(370条)。計算関係書類を承認する決算取締役会の決議については、この決議省略手続きを取る場合には、会計参与の承認は要件とされていません。また、異義を述べないことが要件とされているわけでもありません。これは監査役は異議を述べないことが要件になっています。この点が監査役の場合とは違います。これは、会計参与は計算関係書類の内容に異議があれば、その作成に同意しないことができます。取締役が会計参与の意見の一致を得られないまま決算取締役会に計算関係書類を提出し、取締役会の承認決議を得たとしても、法的には意味がないと解されています。したがって、会計参与が同意しない計算関係書類を、決算取締役会の承認を得て株主総会にかけても、これを適正に確定したことにならないのです。そのた、決算取締役会の決議の省略に会計参与が関与去る必要がないからです。

 

 

Ø 株主総会における意見の陳述(377条)

@第374条第1項に規定する書類の作成に関する事項について会計参与が取締役と意見を異にするときは、会計参与(会計参与が監査法人又は税理士法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員)は、株主総会において意見を述べることができる。

A指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「取締役」とあるのは、「執行役」とする。

 

計算関係書類の作成に関する事項について、会計参与が取締役と意見を異にするときは、計算関係書類は共同制作することができないことになり、困難な問題が生じます。この問題の最終的解決は、株主総会の判断に委ねられることになります。株主総会は、取締役と会計参与のいずれかについても選・解任の権限を有するから、そのどちらかを差し替える等の方法でこの問題に対処することができるというわけです。

会計参与は、株主総会で特定の事項について説明を求められた場合には、必要な説明をする義務があります(314条)。したがって、会計参与は株主総会に出席する義務があるものと解されています。したがって会社は、取締役や監査役に対してと同様に、会計参与にも株主総会の日時場所等を通知しなければなりません。

会計参与は、このように株主総会に出席し、説明を求められた場合に必要な説明をするだけでなく、計算関係書類の作成に関して意見を異にした事項について、株主総会で自分から積極的に意見を述べることができます(377条1項)。

会計参与が監査法人または税理士法人である場合には、株主総会で意見を述べることができるのは、法人が会計参与の職務を行うべき社員として選定し、会社に通知した者です(333条2項)。

このような規定は、会計監査人が監査役と意見を異にするときの規定(398条)によく似ています。しかし、会計監査人は、株主総会における一般的な説明義務は課されていないので、定時株主総会に出席を求める決議があった時に出席して意見を述べなければならないのでみです(308条)。

 

 

Ø 会計参与による計算書類等の備置き等(378条)

@会計参与は、次の各号に掲げるものを、当該各号に定める期間、法務省令で定めるところにより、当該会計参与が定めた場所に備え置かなければならない。

一 各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書並びに会計参与報告 定時株主総会の日の1週間(取締役会設置会社にあっては、2週間)前の日(第319条第1項の場合にあっては、同項の提案があった日)から5年間

二 臨時計算書類及び会計参与報告 臨時計算書類を作成した日から5年間

A会計参与設置会社の株主及び債権者は、会計参与設置会社の営業時間内(会計参与が請求に応ずることが困難な場合として法務省令で定める場合を除く。)は、いつでも、会計参与に対し、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該会計参与の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項各号に掲げるものが書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項各号に掲げるものが電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって会計参与の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

B会計参与設置会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該会計参与設置会社の第1項各号に掲げるものについて前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該会計参与の定めた費用を支払わなければならない。

 

株式会社は、その計算書類等を5年間、会社の本店に備え置かければなりません。そして、その写しを3年間、会社の支店に備え置かければなりません。株主および債権者は、会社の営業時間内はいつでも、その閲覧および謄抄本の交付を請求することができます。株式会社の親会社社員も、権利行使のため必要がある時は、裁判所の許可を得て、同様の請求をすることができます(442条)。

会計参与設置会社では、以上に加えて会計参与もまた、会社とは別に、計算関係書類および会計参与を報告書5年間も会計参与が定めた場所に備え置かければなりません(378条1項)。株主および債権者は、会社の営業時間内はいつでも、その閲覧および謄抄本の交付を請求することができます(378条2項)。株式会社の親会社社員も、権利行使のため必要があるときは、裁判所の許可を得て、同様の請求ができます(378条3項)。会計参与は、これらの書類を備え置かず、または、正当な理由がないのに閲覧・謄写を拒んだ場合には、過料の制裁の対象となります(976条)。

会社とは別の場所で、会計参与が計算関係書類等を備え置き、株主・債権者・親会社員からの閲覧等請求に応じるべきものとしていることは、計算関係書類については、事後的な改竄等を防止する点で役に立つ、また、会社が閲覧等の請求にただちに応じてくれなくても、会計参与に請求する途があるという点で、二重の開示規制が役立つこともあり得ないわけではありません。一方、会計参与報告については、会計参与が定めたこの場所でのみ備置・閲覧等がなされるから、この制度での開示規制の意味はより大きいと言えます。会計参与報告備置場所は、登記事項とされ(911条3項16号)ているので、誰でも容易に知ることができます。

ü 計算関係書類の備置き(378条2、3項)

・備置場所

会計参与は、会計参与設置会社の本店または支店と異なる場所を、会計参与報告等備置場所として定め(会社法施行規則103条3項)、遅滞なくその場所を会社に通知しなければなりません(会社法施行規則103条4項)。この通知を受けて、会社はその場所を登記します(911条3項16号)。

会計参与はその場所を、会計参与である公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人の事務所の中から定めなければなりません(会社法施行規則103条2項)。

・備え置くべき種類および期間

会計参与は、各事業年度の計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)およびその附属明細書を、会社本店での備置期間と同様に、定時株主総会の日の1週間1週間前の日から5年間、会計参与報告等備置場所に備え置かなければならない。5年間の起点は、会社本店での備置期間と同様に、取締役設置会社の場合は、定時株主総会の日の2週間前であり、株主総会決議に関する提案に株主全員が同意したことにより株主総会の決議を省略する場合(319条1項)は、その提案があった日です。会計参与はまた、上記の書類に関する会計参与報告を備え置かなければならず、その期間は以上と同一です。

臨時計算書類は、会社本店での備置期間と同様に、臨時計算書類を作成した日から5年間、会計参与報告備置場所に備え置かなければならない。臨時計算書類に関する会計参与報告も、同様です。

連結計算書類およびそれに関する会計参与報告は、会計参与が備え置くべき書類に含まれていない。会社法は、連結計算書類の備置開示義務を会社に対して課しておらず、したがって会計参与に対しても同様としています。

会計参与が備え置かなければならないのは、自分が取締役と共同作成した書類およびそれに関する会計参与報告のみです。退任時に、備置書類を後任者に引き継ぐ義務は、法令上課せられていないし、たとえそれを引き継いだとしても、後任者は、前任者の作成した書類については、法令上の備置開示義務を負わない。また、退任者が退任時までそれらの備置開示義務を負うわけでもありません。

ü 計算関係書類の開示

・会社の本支店の開示と会計参与の開示の比較

株主および債権者は、会社が備え置く計算書類などについて、いつでも閲覧謄抄本交付請求をすることができます(442条3項)また、株式会社の親会社社員も、権利行使のため必要があるためには、裁判所の許可を得て、同様の請求をすることができる(442条4項)。それに加えて、これらの者は、会計参与にしても、計算関係書類の閲覧・謄抄本交付請求をすることができます(378条2、3項)。

会社に対する閲覧等請求と、会計参与に対する閲覧等請求では、対象とし得る書類がすべて重なっているわけではありません。各事業年度の事業報告およびその附属明細書、監査役設置会社である場合の監査報告、会計監査人設置会社である場合の会計監査報告は、会社に対してのみ、閲覧等請求をすることができます。それ以外の、各事業年度の計算書類およびその附属明細書ならびに臨時計算書類は、会社と会計参与のいずれに対しても、閲覧等請求をすることができます。連結計算書類は、いずれに対しても閲覧等請求をすることができません。

・閲覧等請求者資格の確認方法

会計参与に対して閲覧等請求をすることができるのは、株主、債権者、および親会社社員です。

会計参与が閲覧等請求を受ける場合のうち、親会社社員からの請求は、裁判所が要件の充足を判断します。会計参与は、閲覧等請求者が裁判所の許可を得ていることを確かめて請求に応じればよい。それに対し、株主または債権者から請求を受けた場合は、請求者が株主または債権者であるかを、どのように確認するかが問題となります。

例えば、請求者に「閲覧・交付請求者資格証明書」を会社から入手してもらい、会計参与は、その書面を提示した者を資格者として扱う。この場合、会社は請求者の閲覧・交付請求資格の有無を判断する責任があります。

 

 

Ø 会計参与の報酬等(379条)

@会計参与の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

A会計参与が2人以上ある場合において、各会計参与の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、会計参与の協議によって定める。

B会計参与(会計参与が監査法人又は税理士法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員)は、株主総会において、会計参与の報酬等について意見を述べることができる。。

 

会計参与の報酬等については、定款または株主総会の決議によってその額を定めなければなりません(379条1項)。これは監査役の場合と同じように、会計参与の報酬等の決定を取締役または取締役会ではなく株主総会にさせることを通じて、会計参与の取締役からの独立性を確保することを図ったものです。

ü 会計参与が2人以上の場合(379条2項)

会計参与が2人以上の場合であって、定款または株主総会の決議で報酬の総額のみが定められている場合には、その範囲内で会計参与の協議により、各会計参与の報酬の額を決めることができます(379条2項)。会計参与の取締役会や代表取締役からの独立性を保障するためには、会計参与の報酬の総額を、取締役の総額とは別に定めることとするだけでは十分でなく、各会計参与が受ける報酬の額も、取締役会や代表取締役の意思とは独立に決められなければならないので、それを会計参与の協議で決められることとなったということです。会計参与監査役の協議とは多数決による決議ではなく、全員一致の決定を言います。協議が不調の場合には、報酬額が決まらず、会社は報酬を支払うことはできません。なお、各会計参与の報酬の決定を代表取締役に一任するという会計参与の協議は、会計参与の独立性を保障するという規定の趣旨に反するので効力が認められないということになりますが、代表取締役に原案の作成を依頼し、それについて各会計参与が了承して協議が成立するとすることは差し支えないと考えられます。

ü 会計参与の意見陳述権(379条3項)

会計参与の報酬を取締役とは別に定めることにしても、株主総会で決議するには議案として提起しなければなりません。株主総会の議案は取締役会で決められます。そこで、会計参与の独立性の保障という立場から、塊茎参与役には報酬等について意見を述べることができます(379条3項)。

塊茎参与の報酬は株主総会が決するといっても、その報酬議案を株主総会に提案するのは取締役会(298条)ですから、報酬等の増額が相当な状況においてもそのための議案を提出しないとか、提出するとしても不相応に低額の報酬議案を提出するといった問題は起こりえます。これに対して、会社法では、株主総会における意見陳述権を認めています(379条3項)。これにより、取締役の判断に一定の掣肘を加えることが期待されています。

ü 不確定額報酬、非金銭報酬の支給の可否

会計参与については取締役と異なり(361条1、2項)、不確定額報酬や非金銭報酬に関する規定がないため、これらの報酬の種類を支給できるかが問題となります。監査役の場合と同様に、会計参与についても、株主がそれを望むのであれば不確定額報酬を禁じる理由は必ずしもないと考えられます。しかし、指名委員会等設置会社では会計参与については確定型報酬の定めしかできない旨の明文の規定があり(409条3項但書)、会計参与の報酬等に関して、指名委員会等委員会設置会社とそれ以外の会社とを別と解釈する理由はないことから、現行法の解釈としては、会計参与の報酬等については、確定額報酬のみ認められると考えるのが適当だと思われます。

ü 会計参与の報酬等に関する開示

会計参与の報酬等に関する議題に関する株主総会参考書類で開示すべき事項について、取締役・監査役の報酬等と同じ規制があります(会社法施行規則83条)。また、会計参与が株主総会で意見を述べるときは、その意見の内容の概要の記載も認められています(会社法施行規則83条1項)。

公開会社では、会計参与に支払った報酬等の額(総額)は、事業報告の内容の形で、株主・会社債権者・親会社社員に対し開示されます(435条2項、会社法施行規則121条4号)。 

 

 

Ø 費用等の請求(380条)

会計参与がその職務の執行について会計参与設置会社に対して次に掲げる請求をしたときは、当該会計参与設置会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該会計参与の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。

一 費用の前払の請求

二 支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求

三 負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求。

 

会計参与に関して、監査役の費用等の請求(388条)と同じ趣旨で、会計参与の費用等についての規定をしています。会計参与設置会社と会計参与との関係は委任契約であるから(330条)、会計参与は職務の執行に関する諸費用の支払いを求めることができますが(民法649条、650条)、民法上からは会計参与会計参与の職務執行に当たりこれらの諸費用の必要性を証明しなければならないことになります。会社法では380条で委任契約における立証責任を転換し、会社がその必要性のないことを証明しなければならないことになります。

会計参与の職務は取締役と共同して計算書類を作成し、会計参与報告書を作成することです(374条4項、会社法施行規則102条)。会計参与がこの職務に当たり、調査を要する等の必要な費用等について、会計参与が会社に請求することができます。

ü 必要な費用等

ここで対象となっている費用は、会計参与の職務の執行に必要な一切の費用です。例えば、会計参与が調査に必要とする出張旅費、職務の遂行のために補助者の雇用を求めたが会社がこれを雇用しなかったときに補助者を雇用したこと、職務のために専門家から助言を受けること等、これらの必要な費用を意味すると解されています。

ü 費用の請求

会計参与が職務執行上必要とする費用の会社による支払いについては、次のように規定されています。

@)会計参与がその費用の前払を請求した場合には、会社は、その費用が会計参与の職務の執行に必要でないことを証明しない限り前払いを拒めない。

A)会計参与が、その費用を立替払いして会社に対し費用・利息の償還を請求した場合も同様となる。

B)会計参与が、その費用につき負担した債務を自分に代わり弁済するよう会社に対し請求した場合も同様となる。

会計参与は、会社が費用の請求を拒んだときには、これを訴訟上請求することができ、その場合には、それらの費用が監査のために不必要であることを会社が立証しない限り、勝訴することができます。また、そのことを取締役の法令違反としての責任を追求することもできます。

 

 

関連条文

監査役の権限(381条) 

取締役への報告義務(382条) 

取締役会への出席義務(383条) 

株主総会に対する報告義務(384条) 

監査役による取締役の行為の差止め(385条) 

監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表(386条) 

監査役の報酬等(387条) 

費用等の請求(388条) 

定款の定めによる監査範囲の限定(389条) 

監査役会の権限等(390条) 

招集手続(392条) 

監査役会の決議(393条) 

議事録(394条) 

監査役会への報告の省略(395条) 

 

 
「実務初心者の会社法」目次へ戻る