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第226条 株券喪失登録者 による抹消の申請 |
Ø 株券喪失登録者による抹消の申請(226条) @株券喪失登録者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、株券喪失登録(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合にあっては、前条第2項の規定により提出された株券についての株券喪失登録を除く。)の抹消を申請することができる。 A前項の規定による申請を受けた株券発行会社は、当該申請を受けた日に、当該申請に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。 株券喪失登録された株券を所持している者は、会社に喪失登録の抹消申請をすることができます(225条)が、もとの喪失登録者が抹消申請をする場合については別に定めがあります(226条)。 株券喪失登録制度の目的は、株券喪失者のために、存在する株券の効力を失わせ(228条1項)、株券の再発行を認めること(228条2項)を認めることにあります。登録の抹消は、その制度の発動を求めた喪失登録者が、株券の失効、再発行を不要として喪失登録の効果が解除されるだけなので、喪失登録された株券の取得者・所持人にとっての不利益はなく、利益とけとなります。 その例外として226条1項括弧書があり、株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の定めを廃止する定款の変更が効力を生じて、株券としては無効となった株券について喪失登録があるときは、その無効株券を提出して喪失登録抹消申請があった株券について、抹消申請のあったことの登録者への通知から2週間後に抹消するまで、喪失登録者自身による抹消申請を許さない。 ü
株券喪失登録者による登録抹消の請求およびその制限(226条1、2項) ・即時抹消の原則 登録申請者は自ら登録抹消を請求することができます(226条1項)。それは、喪失したと思っていた株券が発見された場合、喪失したと思っていたが第三者に譲渡していたことを思い出した場合、あるいは相続人が喪失登録をしたが後に被相続人が第三者に譲渡したことを知った場合などによります。これらのような場合、法務省令により、抹消申請できるとされていますが、それによる申請の手続きは、株券喪失登録者の氏名、住所および喪失登録した株券の番号を明らかにしなければなりません(会社法施行規則49条)。その際、抹消申請の理由を示す必要はなく、それを証明する資料の提出も不要です。 株券喪失登録者からの抹消申請により喪失登録を抹消しても、登録株券の所持人に不利益となることはないので、喪失登録者からの抹消申請に対しては、会社は申請を受けた日に喪失登録を抹消しなければなりません(226条2項)。 ・株券廃止の場合(226条1項括弧書) 株券を発行する旨の定めを廃止する定款変更を行った会社の場合、喪失登録されていた株券を所持する者による喪失登録の抹消申請に際して提出された株券については、喪失登録者が自ら登録抹消を申請することはできません(226条1項括弧書)。この場合、喪失登録は維持され、抹消申請があった旨の喪失登録者に対する通知の2週間後に登録が抹消されます(225条4項)。また、上記定款変更の効力が生じると、従前の株券はすべて無効となります。それには喪失登録されている株券も含まれます。それゆえ、新たな喪失登録をすることはできなくなります。
関連条文 第9節.株券 第1款.総則 株券不所持の申出(217条) 株券を発行する旨の定款の定めの廃止(218条)第2款.株券の提出 株券を提出することができない場合(220条) 第3款.株券喪失登録名義人等に対する通知(224条) 株券を所持する者による抹消の申請(225条)株券喪失登録者による抹消の申請(226条) 株券を発行する旨の定款の定めを廃止した場合における株券喪失登録の抹消(227条) 株券の無効(228条) 異議催告手続との関係(229条) 株券喪失登録簿の効力(230条) 株券喪失登録簿の備置き及び閲覧等(231条) 株券喪失登録簿に対する通知等(232条) 適用除外(233条)
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