新任担当者のための会社法実務講座
第333条 会計参与の資格等 第334条 会計参与の任期 |
Ø 会計参与の資格等(333条) @会計参与は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければならない。 A会計参与に選任された監査法人又は税理士法人は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。この場合においては、次項各号に掲げる者を選定することはできない。 B次に掲げる者は、会計参与となることができない。 一 株式会社又はその子会社の取締役、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人 二 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者 三 税理士法(昭和26年法律第237号)第43条の規定により同法第2条第2項に規定する税理士業務を行うことができない者 株式会社は定款の定めにより会計参与を置くことができます(326条1項)。会計参与を置く株式会社が「会計参与設置会社」ということになります(2条8号)。会計参与は、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)の資格を有する者が就く会社の機関です。会計参与は、取締役と共同して計算書類を作成する権限を有します(374条1項)。 会計参与制度は、会社法の制定時に導入されました。主に会計監査人設置会社以外の会社で税理士をそれに選任する形で制度が運用され、中小企業の計算に会計専門家が関与することによって適正化を図ることを目的として導入されました。会計参与は、株式会社が任意に置くことができます(326条2項)。ただしも取締役会設置会社であって監査役を置かない会社は、会計参与を置く必要があります(327条2項)。 ü 会計参与の資格 会計参与は公認会計士もしくは監査法人、または税理士もしくは税理士法人でなければなりません(1項)。つまり、会計参与は自然人に限っているわけではないことになります。ただし、会計参与に選任された監査法人又は税理士法人は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない(2項)。 会社法は、会計参与の欠格事由を次のとおり定めていて、これらの事由に該当する者は会計参与になることができません。 ・株式会社またはその子会社の取締役、監査役、執行役あるいは使用人となっていること 会計参与は、その会社の業務執行者と兼任できません。これは、会計参与に期待される会社の業務執行からの独立性を保持するためです。また、監査役、会計監査人との兼務もできません。会計参与が自己の作成した計算書類を監査することができないのは当然ですから。 ・業務停止処分を受け、その停止期間が終わっていない者 会計参与は、この業務停止処分により、処分日にその地位を失うとされています。 ・税理士法43条の規定により同法第2条第2項に規定する税理士業務を行うことができない者 ü 会計参与の員数 会計参与の員数については規定がなく、とくに制限はありません。複数選任された場合には、それぞれが独任制の機関となるので、すべての会計参与と取締役の意思の合致がないと、計算書類を作成するもの支障となります。 Ø 会計参与の任期(334条) @第332条(第4項及び第5項を除く。次項において同じ。)の規定は、会計参与の任期について準用する。 A前項において準用する第332条の規定にかかわらず、会計参与設置会社が会計参与を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、会計参与の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。 ü 会計参与の任期 会計参与の任期については取締役と同じ規律が当てはまられます(1項)。つまり、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうちの最終の年度に関する定時株主総会の終結の時までです。全株式譲渡制限会社においては、定款の定めにより、任期を10年まで伸ばすことができます(332条2項)。このように、会計参与の任期に関する規律が取締役の任期に関する規律同一内容となっているのは、会計参与の任務が取締役と共同して計算書類を作成することであるため、その任期も取締役の任期と合わせることができた方が便利と考えられたためと言われています。 。
関連条文 役員の選任及び解任の株主総会の決議(341条) 累積投票による取締役の選任(342条) 監査等委員である取締役の選任等についての意見の陳述(342条の2) 監査役の選任に関する監査役の同意等(343条) 会計監査人の選任に関する議案の内容の決定(344条) 監査等委員である取締役の選任に関する監査等委員会の同意等(344条の2) |