新任担当者のための会社法実務講座
第340条監査役等による会計監査人の解任
 

 

Ø 監査役等による会計監査人の解任(340条)

@監査役は、会計監査人が次のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。

一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。

二 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。

三 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。

A前項の規定による解任は、監査役が2人以上ある場合には、監査役の全員の同意によって行わなければならない。

B第1項の規定により会計監査人を解任したときは、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)は、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければならない。

C監査役会設置会社における前3項の規定の適用については、第1項中「監査役」とあるのは「監査役会」と、第2項中「監査役が2人以上ある場合には、監査役」とあるのは「監査役」と、前項中「監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは「監査役会が選定した監査役」とする。

D監査等委員会設置会社における第1項から第3項までの規定の適用については、第1項中「監査役」とあるのは「監査等委員会」と、第2項中「監査役が2人以上ある場合には、監査役」とあるのは「監査等委員」と、第3項中「監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは「監査等委員会が選定した監査等委員」とする。

第342条第1項中「の取締役」の下に「(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この条において同じ。)」を加える。

E指名委員会等設置会社における第1項から第3項までの規定の適用については、第1項中「監査役」とあるのは「監査委員会」と、第2項中「監査役が2人以上ある場合には、監査役」とあるのは「監査委員会の委員」と、第3項中「監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは「監査委員会が選定した監査委員会の委員」とする。

会計監査人に信頼関係を失わせるような重大自由または業務の遂行に支障をきたし、またはこれに堪えがたい事由が生じたときには監査役会(監査役、監査等委員会、監査委員会に場合も当てはまりますが、ここでの記述は代表して監査役会で行います。ここの説明での「監査役会」を適宜「監査役」「監査等委員会」「監査等委員会」に置き換えて、もらうと説明が一度で済みますので)の決議でその会計監査人を解任することができます。この決議は、監査役の全員一致をもって行うものです。会計監査人の解任は、株主総会でなされるのが原則ですが、緊急に会計監査人を解任しなければならない事由が生じたときには、臨時株主総会を招集するまでもなく、監査役会の決議による解任の方法が認められています。

解任の事由は次の3点です。

@職務上の義務に違反し、または職務を怠ったとき

(例)粉飾決算がなされていることを知りながらそれを指摘せず、または当然行うべき監査をしなかったとき等

A会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき

(例)帆の会社の監査において、粉飾決算を見逃したとき等。また、私行上の非行も破廉恥罪に該当するような場合

B真摯の故障のため職務の遂行に支障があり、またはこれに耐えられないとき

(例)心身の病気により、補助者を使用しても、その職務を遂行することができないとき等

監査役会が会計監査人を解任したときは、監査役会が選任した監査役は、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければなりません。また、監査役会によって解任された会計監査人は、その株主総会に出席して、その解任について意見を述べることができます。

 
 

関連条文

選任(329条) 

株式会社と役員等との関係(330条) 

取締役の資格等(331条) 

取締役の任期(332条) 

会計参与の資格等(333条) 

監査役の資格等(335条) 

会計監査人の資格等(337条) 

解任(339条) 

役員の選任及び解任の株主総会の決議(341条)

累積投票による取締役の選任(342条)

監査等委員である取締役の選任等についての意見の陳述(342条の2)

監査役の選任に関する監査役の同意等(343条)

会計監査人の選任に関する議案の内容の決定(344条)

監査等委員である取締役の選任に関する監査等委員会の同意等(344条の2)

 

 

 
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