新任担当者のための会社法実務講座
第430条 役員等の連帯責任
 

 

Ø 役員等の連帯責任(430条)

役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

 

ü 役員等の連帯責任

株式会社の複数の取締役、監査役、執行役、会計参与会計監査人が会社に対する損害賠償責任または第三者に対する損害賠償責任を負う場合に、これらの者の責任を連帯責任と言います。また、430条の規定は、同一の責任原因事実から複数の役員等が損害賠償責任を負う場合には、それも連帯責任に入ることを明確に定めています。この430条は「役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において」という文言で規定している通り、取締役などの役員が会社に生じた損害を負う場合(423条)と第三者に生じた損害(429条)を賠償する責任を負う場合にのみ適用されます。それ以外の場合、例えば、取締役が任用契約以外の会社との契約の債務不履行責任を負う場合や、役員等が第三者に対して不法行為背に負う場合などでは、どの範囲で連帯責任が生じるかは、契約法及び不法行為の規定の解釈の問題となります。

また、代表取締役の業務執行に任務懈怠があり、他の取締役が業務執行の監視を怠り、監査役が業務監査を怠ったことから会社に損害が生じた場合、代表取締役、取締役、監査役は、それぞれ会社の損害の全額について賠償責任を負うことになります。それぞれの被告相互の内部関係については、任務懈怠の軽重に応じて負担部分が決められます。また、会社または第三者の損害の賠償をした者は他の賠償義務者の負担部分について求償することができます。

ü 役員等の連帯責任の性質

債務者の一人が債務の全額の賠償をすれば他の債務者も債権者に対する関係で債務を免れる点を除いて、債務者の1人に生じた事由が他の債務者に影響を与えない不真正連帯債務であると一般に解されています。の場合、会社が一部の役員等の責任を免除した場合、その役員等の負担部分については、他の役員等も会社に対する責任を免除されるという「免除の絶対効(民法437条)」は生じることはなく、他の役員等が債務の全額を賠償しなければならないと解されています。このように解されている理由は、会社又は第三者の損害を確実に補填することにあるとされています。

ただし、この見解に対しては、学説上では異議も生じており、これについての裁判例も生じてしません。しかし、社外取締役や監査役との間で責任限定契約を締結する会社が増加しているという事情を考えると、この問題は素通りできないと言えます。

例えば、会社に対する責任について、社外取締役Aと会社との間で責任限定契約が締結されている場合に、Aが契約上の限定責任額を会社に対して支払ったとします。この場合に、不真正連帯債務であるので、会社は賠償額の残額をA以外の取締役Bに請求することができることになります。それを弁済した取締役Bは社外取締役Aに対して求償権を有することになります(民法544条)。しかし、その求償権が行使されることは、取締役の責任限定制度の目的を台無しにすることになってしまいます。そこで、会社は、このような求償権行使をさける措置をとる必要があります。例えば、次のような措置が考えられます。

1)他の連帯債務者に対して責任限定契約を締結した者の負担部分が請求されないよう、他の連帯者債務の、その分の責任が免除が可能になる定款の定めをおくこと

2)教務執行取締役等、将来他の連帯債務者となる可能性がある者すべてとの間で、会社が、責任限定契約を締結した者に対する求償権を放棄させる旨の契約(民法537条)を締結しておくこと

3)旧省が行われることは容認し、責任限定契約を締結した者が求償に応じた額を、事後に会社が補償すること

ü 複数の取締役が責任を負う場合における減責可能性

連帯責任であるところから、各取締役は会社に対して常に全額の責任を負うことになりそうですが、取締役の責任の抑止機能を重視する立場から各人の間に、次の点で差異がある場合には、各人が賠償すべき額は異なるべきであるという見解があります。

・損害の予見可能性

・任務懈怠の認められる期間

・関与の度合い(直接行為者か監視義務違反か等)

 

前条について説明してきたって対応すると解されています。

 

 

関連条文

役員等の株式会社に対する損害賠償責任(423条) 

株式会社に対する損害賠償免除(424条) 

責任の一部免除(425条) 

取締役等による免除に関する定款の定め(426条) 

責任限定契約(427条) 

取締役が自己のためにした取引に関する特則(428条) 

役員等の第三者に対する損害賠償責任(429条) 

補償契約(430条の2) 

役員等のために締結される保険契約(430条の3) 

 

 
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