3.株主総会の実務(1)〜実務
(1)法定事項
 

 

株主総会を開催し、運営することに関しては会社法とその関連法規(会社法施行規則、会社計算規則)において手続きを細かく規制されています。これは、株主の権利である株主総会の議決権などの権利行使を保障するためという原則です。現在のように議事運営や招集手続などに詳細な規定が設けられたのは昭和56年の商法改正のときからですが、このときは、総会屋が跋扈し、会社と株主の間で、両者を分断させて、株主総会を混乱させることにより利益を得ていたのを規制することを目的としていました。しかし、総会屋を排除するためには会社が株主に対して適正な方法で株主総会を運営しなければならいわけで、そのために一定の基準が必要(株主に対して、どの程度の説明をしなければならないかといったこと)で、それを具体的に示したものと言えます。

簡単に説明していきましょう。

@株主総会の招集

1)招集権者

株主総会は招集権者による招集で開催されます(会社法296条)。その招集権者は原則として代表取締役です。(株主の総意に開催とか、少数株主による招集とか裁判所の命令によるとかありますが、例外的なことなので、ここでは触れません)代表取締役は、取締役会に株主総会招集の決議に基づき、その決議の執行として総会を招集します。もし、この決議なしに招集した場合には、招集手続の法令違反として、株主総会で決議された事項に対して決議取消の訴えを提起される可能性が生じます。

※取締役会による株主総会招集決議(会社法298条)

株主総会の招集決議の内容として、次の事項を決めなければなりません。

・株主総会の日時及び場所(前回と著しく異なる場合は、その理由)

・株主総会の目的事項(→報告事項と決議事項)

・書面投票あるいは電子投票する旨

・その他省令で定める事項(議決権の代理行使、不統一行使など)

この決議の内容は金融商品取引所の適時開示事項になります。また、議題の中に定款変更などの特別な議題があった場合は、そのこと自体が適時開示事項となります。

多くの上場会社は、この株主総会招集の決議を通期決算発表のときに併せて決議します。そのため、この時の取締役会は決算取締役会と呼ばれることがあります。なぜ、この時期に招集の決議をするのかという理由は、決算発表で開示される決算短信に配当の予定や取締役の異動の予定が記載されるためです。それらは、通常であれば株主総会の議題であるため決算短信に記載するためには決定していなければならず、その決定は株主総会招集の決議で決定されるべきものだからです。テレビや新聞で企業の決算発表と新社長の就任が報じられるのは、このためです。

2)招集の時期

株主総会には定時株主総会と臨時株主総会がありますが、ここでは定時株主総会に絞って説明していきます。定時株主総会は毎事業年度の終了後、一定の時期に年に1回必ず開催される株主総会のことをいい(会社法296条)、通常は、会社決算後3ヶ月以内に開催するべきとされています。

※定時株主総会の時期

多くの上場会社が定時株主総会を決算後3ヶ月以内に開催しているは、決算後に財務局への正式な報告である有価証券報告書を提出しなければなりません。その有価証券報告の記載項目(配当金等)について、取締役会や総会で決めておかないと、公的に承認された数字ではなくなってからです。

3)招集土地

4)招集通知

招集通知を対象株主全員に送らなかった場合、総会開催の2週間以前に送らなかった場合、招集通知の内容が不十分であった等は招集手続の法令違反として決議取消事由になります。

招集通知は株主総会開催日の2週間以前に株主に向けてはっそうしなければなりません

A株主総会の議事運営

株主総会の運営は、定款その他の自治規則、または会議体の一般原則に従って運営されます。

1)利益供与の禁止(会社法120条)

会社は、何人に対しても株主の権利行使に関して財産上の利益を供与することができない。これは総会屋対策として、会社が総会屋に金品を渡すことを実質的に禁止するという内容です。それだけでなく、最近では総会出席者への過度なお土産、株主優待などに関連して問題となる可能性も生じてきました。

2)取締役の説明義務(会社法314条)

株主が株主総会で会議の目的たる事項について質問することがてき、取締役(または監査役)がそれについて説明する義務で、一応の基準として会議の目的たる事項を合理的に判断するのに客観的に必要と認められる程度は説明しなければならないとされています。また正当な事由があれば説明を拒否することも出来るとされています(会社法施行規則71条)。こり説明義務が尽くされずに決議された場合には決議取消事由となります。

ここで実際に問題となるのは、株主総会の質疑応答をどの時点で切り上げて議案の採決に移るかというタイミングです。

3)株主総会の議長

株主総会の議長は定款で定められている会社が多いと思います。通常は代表取締役あるいは社長が務めると規定されています。また、定款の同じ条文には議長に万一のことがあって、議長を務めるのが困難になった場合には、予め取締役会で定めた順番に従って代わりのものが議長を務めると規定されています。そのため、株主総会においてひな壇に取締役が横一列に並んで座りますが、その席順は、この定款の条文にある議長を務める順番に並んでいるはずです。つまり、議長席に近い順に代わって議長を務めることになっているわけです。

また、会社法315条では議長の権限が定められています。総会の秩序を維持し、議事を整理する権限とされています。具体的には次のような内容です。

審議の方法、株主の発言時期を指定する権限

発言者を指定する権限

発言時間、質問数などを制限する権限

回答者を指名する権限

質問の打ち切りをする権限 等

B株主総会の決議

株主総会の決議には次の3種類があります。

1)普通決議(会社法309条1項)

次以降の特別決議または特殊決議以外の場合の一般的な決議です。議決権総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席して、その出席株主の議決権の過半数の賛成で成立します。

2)特別決議(会社法309条2項)

議決権総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席して、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成で成立する決議です。定款変更議案など、特別決議が必要な場合は会社法で規定されています。

3)特殊決議(会社法309条3、4項)

個別に特別決議より重い要件が定められている決議です。取締役の責任の免除及び株式譲渡制限の定款変更決議が、これに当たります。
 


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