4.株主総会の実務(2)〜文書
(2)狭義の招集通知 法定記載事項
 

 

説明が長くなりすぎたので、ページを改めて招集の決定事項について説明していきます。なお、この部分は招集通知の法定記載事項になります。

 

E招集の決定事項

 

株主総会の招集は取締役会が決定することになっていますが、それを取締役会で決定する場合には、いわゆる「株主総会招集の決議」を行い、決議事項は会社法で定められています。これは株主総会の開催に関して必要な事項であり、株主総会の主体である株主はこれを知らなければ株主総会に出席できないし、かりに出席できたとしても会議に参加できない事項です。だから、招集通知には必ず記載しなければならないとして会社法で規定されています。これらの事項を法定記載事項といいます。もし、この部分の記載がなかったり、要件を満たしていない場合には、招集通知は不備とされ、それが放置されたまま株主総会が開かれてしまった場合に、その株主総会の招集に瑕疵があったとされ、株主総会そのものが無効とされてしまうおそれがあります。

一般的な招集通知では、この部分は、これまで説明してきた招集通知の本文部分の中には記載しないで、「下記のとおり…」と記して、改めて「記」で区分して、それ以下に各事項を記載し「以上」で締めるという書き方が定着しています。

以下、その各事項についてはF〜Iで個別に説明していきたいと思います。

 

F日時

株主総会の開催日時は法定記載事項になっています(会社法299条4項298条1項1号)。ただし、その記載方法までは規定されていませんが、多くの場合は、日時は元号でも西暦でも、年月日までと曜日を記載し、開始時刻を記載します。時刻の表示方法は24時間方式ではなく、午前○時とか午後○時という方式が一般的です。

なお、開催日が次のいずれかに該当する提示株主総会の場合は、そのような日時を決定した理由を記載しなければなりません(会社法施行規則63条1号)。なおこの場合の記載場所は、開催日時の記載の下に注記として記載するケースが多いようです。

(a)開催日が、前回定時株主総会の開催日に当たる日から著しく離れた日である場合

(b)いわゆる集中日を開催日とする場合(ただし、この日に開催日を決めたことにとくに理由がある場合に限られる)

 

念のために説明しておきますが、株主総会の集中開催日とは、3月決算の会社であれば6月の末日が平日としてその前営業日で、月曜日でない日(月曜日であれば前の週の金曜日)をいいます。これは、金融商品取引法により上場会社等は決算日から3ヶ月以内に財務局に有価証券報告書を提出することを義務付けられています。その有価証券報告書には、剰余金の配当や役員の状況など定時株主総会の決議があってはじめて確定し、有価証券報告に書き込むことができる項目があります。有価証券報告書は財務諸表と定性的情報の部分があり作成には、かなりの時間と労力を必要とし、もし、後で訂正箇所が見つかった場合には訂正報告書を提出しなければなりません。そのため、作成した有価証券報告書は入念なチェック作業を課す会社がほとんどで、そのため有価証券報告書の作成には提出期限ギリギリまでかかってしまうことになります。ただし、だからといって月末に提出しようとして何らかの間違いが見つかってしまうと財務局では受け付けてくれません。それで提出期限が守れなくなってしまった一大事となるので、月末の1日前に財務局にだして、もし訂正を要する誤りがみつかったら、翌日再提出できるようにして、その提出に間に合う期限として定時株主総会の開催日の日程が組まれたというのが理由です。

そして、その上で、株主総会を各社で一斉に行なうようにすれば、今はほとんど影を潜めてしまいましたが、総会屋という株主総会で暴れるといって企業をおどしていくばくかのお金を払わせようとする団体が行動できなくするためにも行なわれていました。つまり、各社が一斉に株主総会を行なえば、総会屋は1社の株主総会に出ると、他の会社の総会には出られなくなります。その1社は不運ですが、他の会社は救われることになるので、各社で同じ日に開催するようになり、一時は3月決算の上場企業の9割以上が同じ日に株主総会を行なっていました。

では、なぜ、招集通知に定時株主総会の開催日をとくに集中日にした理由を、わざわざ記載しなければならなくなったのでしょうか。

それ理由は、まずは企業サイドから、一つには総会屋と言われる人たちが法改正や警察の取り締まりによって活動を制限され活動できなくなって、一時の隆盛がうそのように、ほとんどいなくなってしまったためです。このため、企業が定時株主総会の開催日を集中させる理由の一つがなくなってしまったことになります。二つ目の理由として、会場の確保が難しくなったという事情です。これは、業界再編が行なわれ企業合併が行なわれた結果、中規模の企業同士の合併により大企業が生まれ、新会社の株主数は大きなものになりますが、従来のその会社の施設では倍増した株主数を収容可能な会場がなく、社外の会場を借りることになります。また、そうでない企業も景気低迷が続く中でスリム化を進める中で自社で株主総会に使うような施設を持たない企業が増えた結果株主総会の会場を社外で借りる方が経費面で有利となりました。その結果、都内の会場は企業の取り合いとなってしまいました。総会の開催日が集中してしまえば、会場を借りることができなくなる企業がたくさん出てくる事態となったのです。三つ目の理由として、議決権の確保です。実は、総会屋対策のために株主総会の開催日を集中日にしたり、書面投票制度という事前議決権行使書を送付して決議に参加する制度などの施策は、企業が株主総会の議決権の票読みを確実にできていたからこそ可能なものでした。そして、それを可能にしていたのは、いわゆる株式持合いを企業同士で、あるいは金融機関としていたからです。しかし、景気低迷が続き企業の業績が厳しくなってくると、各企業の資金的な余裕がなくなってきたり、株価が低迷して利益数字の足を引っ張る事態が起こってくると、各企業は保有していた持ち合い株式を手放さざるを得なくなりました。とくに金融機関がシビアな状態となり、その結果、各企業が株主総会の票読みができなくなってきた、甚だしい場合には株主総会が成立するための定足数を確保することすら難しくなってきたのです。そうなると、株主に株主総会に出席してもらわなければなりません。そのために、他社と同じ日に開催していたのでは、2社以上の株式を保有している株主(株を持っている人のほとんどはそういう人です)は、自社の株主総会に来てくれない可能性が高くなります。それで他社と開催日を重複しないように考える企業が出てきたというわけです。

また、これを株主総会に出席する株主の側から見ていくとどうでしょう。ひとつは、企業側からの理由にもありましたが、企業間の株式の持ち合いが少なくなって、株主構成が変わってきたという事情があります。企業が株式の持ち合いを続けられなくなり、保有している株式を売却した場合、その株式を市場で買ったのは、機関投資家や個人株主と言われる人たちだったと言われています。株式の持合をしている企業であれば、議決権行使書を郵送するか、社員が総会に出席すればよかったのですが、機関投資家や個人投資家は一人、または数人の所帯なので、株式を持っていた会社が一斉に株主総会を開催してしまうと出席できません。投資する側としては社長をはじめ経営者を実際に見ることができる数少ない機会でもあるので、参加することに意義があるはずです。とくに、このような環境変化に伴い、株主と経営陣との対話であるとか、企業が個人株主を熱心に勧誘するようなことも始まり、「開かれた総会」ということが言われ始めました。そのためには、株主にまず株主総会に参加してもらわなければなりません。そこで、各社が総会の開催日を重複しないように分散化すれば、数社の株式をもっている株主はそれぞれの企業の株主総会に参加しやすくなるというわけです。

このような動きを法律面で後押ししようとしたのが、この規制というわけです。現在、集中日に株主総会を開催する企業の比率は、かつての9割から4割ほどに大きく減少しました。

 

G場所

株主総会の開催場所は法定記載事項です(会社法299条4項298条1項1号)。記載方法については、とくに規制はありませんが、株主が株主総会に出席する場合には容易に会場が分かることが必要で、住所、建物の名称、階、会場の名称(部屋名)を具体的に記載する程度は必要でしょう。末尾に案内図を掲載して、その旨を注記している例が多い。また、前回と開催場所を違う場所に変更した場合には、「会場を変更しておりますのでご注意下さい」と注記している例もあります。

また、過去に開催したどの場所からも遠く離れた場所で開催する場合には、そのような場所に決めた理由を記載しなければなりません(退社方施行規則63条2号)。ただし、その場所が定款で定められている、あるいは、その場所で開催することについて株主総会に出席しない株主全員の同意がある、そのいずれかの場合は記載しなくてもいいとなっています。

かつて、旧商法の時代には、株主総会の開催場所は本社所在地とされて、そうでない場合には定款に株主総会の開催場所を規定しなければならないとされていました。これは、以前の株主総会において社内の経営の主導権をめぐる対立が株主にも波及して、反対派の株主を総会に出席させないために、出席し難い場所で総会を開いたという事例が発生したことへの対策の意味合いでした。しかし、この旧商法の規定は持ち株会社が認められたり、業界再編で大規模なM&Aが行なわれたことや、株式の持合解消が行なわれて個人株主が増加するという株主構造に変化が生じ、株主総会自体も「開かれた総会」という株主と企業との対話の場とする傾向などから、株主総会の出席者が飛躍的に増加し、株主数の多い企業は株主総会の出席者が数千人という規模に拡大し、会場の確保が困難になりました。それは一方で開催日の拡散に繋がりましたが、開催場所の制約があると本社所在地(同じ市区町村)に株主総会の開催が可能な大規模な会場施設がなかったり少ない場合は、わざわざ理由を明確にして定款変更を行なわなくてはならなくなります。そのような事情もあって会社法では株主総会の開催場所についての制約をなくすことになったというわけです。ただし、前年と違う会場で遠隔地に変えた場合には、何らかの恣意が働いているとして説明を義務付けています。

 

HI目的事項

招集通知には株主総会の目的事項を記載または記録しなければならない(会社法298条1項2号、299条4項)とされています。株主総会の目的事項とは、株主総会での報告事項と決議事項の2種類の事項を総称していいます。一般的には「報告事項」を「日時」や「場所」と並べてタイトルとして、その内訳として「報告事項」と「決議事項」に分けて、それぞれについて複数ある場合は、別々に番号を付して列記しています。

なお、ここでの目的事項の記載は、株主が株主総会で何が報告され、何が決議される予定であるのかが事前に知っていてもらうためのもので、詳しい内容は、それぞれ事業報告や参考書類で、別に説明されます。

以下で、報告事項と決議事項に分けて説明していきましょう。

 

H報告事項

報告事項とは、定時株主総会で通常は議長が出席株主に報告するもので、何を報告しなければならないかは法律で規定されています。そして、会社法上の会社の経営体制の違いによって報告すべき事項が違います。

@)すべての株式会社に共通する報告事項:事業報告(会社法438条3項)

A)会計監査人設置会社の報告事項

取締役会の承認を受けた計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)が会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして、次のような法務省令の要件(計算書類規則135条)を満たす場合は、決議事項でなく、報告事項となります(会社法439条)。

・会計監査人による監査報告の内容が無限適正意見であること。

・監査役、監査役会あるいは監査委員会の監査報告で、このような意見となった会計監査人の監査の方法や結果を相当でないとしていないこと。

・取締役会設置会社であること

また、連結計算書類(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表)を作成する会社で、事業年度末に大会社であって、有価証券報告書提出会社については、監査手続き、取締役会の承認を経た上で定時株主総会に提出し、その内容及び監査の結果を報告しなければなりません(会社法444条)。

そして、事例は少ないかもしれませんが、監査役、監査役会あるいは監査委員会の決議で会計監査人を解任した場合には、その報告を定時株主総会で報告することになっています(会社法340条)。

サンプルとして表示している招集通知を見てもらうとHの赤い番号がつけられた報告事項が1.と2.に分けられて記載されています。これは上の説明の会計監査人設置会社の場合の一つ目の計算書類と二つ目の連結計算書類に関する報告事項ということになります。

ここまでは、一般的な教科書の説明です。ここからは、もう少し突っ込みます。どうして、二つの場合に分けなければならないのでしょうか。全部ひっくるめて一発で報告したほうが面倒でなくていいでしょう。実際の株主総会の報告では、いちいち分けて説明すると重複部分が多くて聞く方も混乱してしまうので、一本にまとめて報告しているケースがほとんどだと思います。それなのになぜ二本立てになっている(会社法で規定されている)のでしょうか。

それは、そもそも報告事項になった経緯、出自が全く異なるために、意味づけが違って一緒にできないからなのです。

まず、計算書類の報告─招集通知のサンプルで報告事項「2.第88期計算書類の内容」の方ですね─についてです。これは上記の説明をよく読んでもらうと分かるのですが、会計監査人設置会社で一定の要件を充たしている限りで報告事項なのです。そうでないならば、ということは原則としては、決議事項なのです。会計監査人設置会社でない場合、たとえ会計監査人設置会社であっても会計監査人と会社の意見が衝突した場合や監査が受けられなかった場合などは、報告事項とすることが出来ないので、決議事項として計算書類について決算承認を決議しなければならないのです。

決算というのは1年間の企業の成績表のようなものです。そして、これを評価するには企業の所有者である株主です。これは、総会という会議では常識的なことではないでしょうか。規模の大きなところでは国会には通常国会と臨時国会がありますが定例会的な性格の通常国会で最も重要な議題は予算と決算の承認です。小さく身近なところでは、地域の町内会やPTAあるいはサークルの年次総会の主な議題は予算と決算の承認です。この1年間の活動を総括して、これからのことを決めていくという、一番基本的なことです。しかし、企業の所有者である株主が集まる株主総会では、普通は一番基本的なことである決算や予算が議論されたり、決議されたりしません。これは、一般的な総会という会議形態の常識では考えられないことです。企業の所有者なのだから、その企業がどのような方向で行くのかは自分で決めたいだろうし、そうすべきというのが一般的な常識です。それが株主総会では常識外れのことをしている。それはどうしてなのか。

一つは理論面で、企業の経営は専門性が高いので、経営に関することは専門家である経営者による取締役会に委ねるという議論です。慥かに、企業の決算や予算は専門性を要求されます。しかし、それは細かな事象や個々の具体的判断であって、全体としての方向性とか年間の結果について、株主全体で議論して承認することを否定できるほどのことでしょうか。とくに、コーポレートガバナンスの議論もそうですが、企業の事業や成長力を判断して投資した株主が、企業の経営の方向性や1年間の業績に関して議論するということは、むしろ、エンゲージメントの場として生かすべきではないかと考えてもいいわけです。(⇒IR総会の提言で詳説)

もう一つは、総会実務面、これは企業サイドが株主総会の運営をする際に生じてきた要請です。国会中継の予算委員会や決算委員会のテレビ中継を見てもらうと分かるのですが、このような審議はもめるのです。他の委員会に比べて紛糾することが多いのです。それは、重要度の高い委員会であるため各政党がエース級の論客を投入するので、議論が自然と白熱することもあります。しかし、それ以上に予算とか決算というのは政府のやっていること全般が対象になり、しかもお金の使い方に関する議論ですから、話のネタはどこからでも持ってこられる。しかもお金に関することなのでキレイごとだけを言っているわけにはいかない。そうであれば、追及する方はやりやすいわけです。つまり、議論をまとめるのが大変なのです。しかも、一時期総会屋と言う人々が企業の株主総会の場で跳梁跋扈していました。このような人々にとって、総会が収拾つかないような場になることは商売上好ましいわけです。そこで、企業としては総会を紛糾させる危険のあることは、できる限り避けたいということで、経済界が盛んに運動したとしても不思議はないでしょう。また、政府でも総会屋対策として、動いた。それが、もともと株主総会で決算承認議案を提起していたのを、一定の条件及び手続きを踏むことによって、報告事項として認められることになったわけです。報告事項であれば、承認決議は必要ありません。質疑応答で質問には答えなければなりませんが、答えればいいのです。株主の過半数の賛成を得る必要はないわけです。

さて、話を戻しましょう。報告事項には二種類あるという説明のもう一つのほうは、連結計算書類─招集通知のサンプルで報告事項「1.第88期事業報告の内容、連結計算書類の内容並びに会計監査人及び監査役会の連結計算書類監査結果報告」の方ですね─についてです。この報告事項のタイトルだけでも、前に説明した計算書類の場合との違いに気付いたと思います。それは、こちらの連結計算書類の報告については会計監査人と監査役会の監査結果の報告も一緒にあるということです。これに対して、計算書類の報告の時は監査結果報告はタイトルには入っていません。これはどうしてかというと、もともと連結決算の結果について、企業の株主は、その企業に投資していて、その企業の株主ではありますが、企業集団に投資しているわけではないので、企業集団全体に対する決定権限を持っているわけではないのです。つまり、計算書類の場合は、もともと決議事項だった事項が一定の要件を満たしているので報告事項になっているのに対して、連結計算書類に関しては、決議事項にはなり得ない事項なのです。ではなぜ、報告事項になっているかと言うと、もともと、株主総会では決算承認という決議事項があったのが、種々の事情で決議事項ではなくなった、というのは説明しました。しかし、決議事項ではなくなったとは言っても重要事項です。だから報告しなければならないとして、新たに報告事項ということになった。そこで株主総会の招集通知に報告事項というものが新たに記載されるようになった。それが、後に報告事項が既成事実のようなものになった。企業が多角化したり海外進出したりして子会社をたくさん設立してグループ(企業集団)経営をするようになってくると、企業を単独だけでは経営の実態が見え難くなってきた。そこで、すでにあった計算書類の報告事項に追加して、連結計算書類に関しても報告するようにしようと追加されたので、報告事項になったという経緯のものなのです。だから、報告が正確であることを明らかにするために監査を受けたということを併せて報告者である企業の代表取締役が株主総会の場で報告するということなのです。この連結計算書類の報告事項が追加された当時は、計算書類の参考程度だったのですが、時代が進むにつれて連結決算の方が企業の実態を表わすものだとして、主役のような立場になってしまった。例えば、上場企業は株主総会の前に決算短信を証券取引所やマスコミに公表しますが、連結決算が主で、企業単体は参考程度が、公表しないケースも出てきています。株主総会の場で、実際に議長が説明するのは、ほとんどの場合連結決算についてで、企業単体の計算書類については補足的に触れられる程度か、あるいは招集通知に記載してあるとおりですと言う程度になってしまっています。

しかし、株式会社の株主総会のもともとの成り立ちから考えると、計算書類の方が主要なものなのです。それが、二種類の報告事項の違いです。

そして、報告事項の具体的な中身については、その内容が記載されているのは、計算書類と事業報告という書類になりますので、そちらで説明していきたいと思います。

 

I決議事項

決議事項で審議される議案には様々なものがありますが、これらについては参考書類のところで説明していきたいと思います。

ここでは、議案の記載について簡単に説明することにします。取締役会設置会社の株主総会では会社法または定款に定められた事項に限って決議することができるとされています(会社法295条2項)。

@)議題(議案)の表示方法

「議題」と「議案」は厳密にいえば同義ではありませんが、招集通知の決議事項では「議案」として表示します。そして議案が複数の場合には、第1号議案から順次番号で配列し表示するのが一般的です。ただし、議案がひとつの場合には、第1号議案とせずに、単に議案として表示します。

これは、議決権行使書による書面投票をする際に、議案を区別するためと、結果を集計するために、このように第○号議案と番号順にすることが効率的で間違いが少ないためで、書面投票の議決権の集計を代行する証券代行の信託銀行が、そのようなシステムをとっているため、それに各企業があわせているためです。

A)議案の配列順序

議案の配列順序については法律上の規定はありません。しかし、実際上は株主総会での審議の順序によって、そうしなければならないケースもあります。例えば、ある議案の可決成立を条件とする議案がある場合には、その条件の議案を先に審議しなければなりません。例えば、定款変更で取締役の員数の上限を増やして、その定員枠を増やしたことを踏まえて増員した取締役の選任議案を問う場合では、定款変更の議案を先にしなければなりません。

それ以外の場合には、株主の関心や重要性、あるいは総会運営の便宜を考えて順番を考えます。一般的には、剰余金の配当に関連するものを先の順番として、(決算承認を議案としなければならない場合には、配当金議案の前に決算承認を配列します)役員選任議案などが続くパターンが多いようです。

なお、株主提案がある場合には、会社提案の議案と区別して、会社提案の議案がひととおり終わった後で、株主提案の審議を別に行なうのが一般的です。

B)議案の概要の記載

役員等の選任、役員の報酬等、定款の変更等一定の事項(法務省令で定める事項)が株主総会の目的であるときは、これらの議案の概要を記載しなければなりません。しかし、書面投票を行う場合には、参考書類に議案の概要を記載し添付するため、それでよいということになります。

 

なお、思います。
 


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