新任担当者のための会社法実務講座 第181条 株主に対する通知等 |
Ø 株主に対する通知等(181条) @株式会社は、効力発生日の二週間前までに、株主(種類株式発行会社にあっては、前条第2項第3号の種類の種類株主。以下この款において同じ。)及びその登録株式質権者に対し、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。 A前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。 会社は、@単元未満株主以外からは1株未満の端数が生じない場合には効力発生日の2週間前までに、A祖型外の場合には効力発生日の20日前までに、株主(併合する種類株式の株主)・登録質賢者に対し、併合の割合・効力発生日等を通知し、または公告しなければなりません(181条)。このうち@は単なる公示目的にすぎませんが、Aは、反対株主の株式買取請求権の行使に関わるものです。 株主等に対して会社が各別の通知をしなければならないのは、株式の併合は株主やその登録株式質権者の地位に影響し不利益を被らせる可能性があるので、株主総会決議で定められた株式併合事項の周知を図るためです。通知は株主名簿上の名義人に送られることになります。公告をするならば、名義書換未了株主や略式株式質権者にも株式併合事項の周知を図ることができますが、公告は義務づけられてはいません。ただし、振替株式の場合には公告が義務づけられ、また株券発行会社の場合には株券提供の公告が求められます。これに以外の場合には、株主名簿への登録が会社その他の第三者に対する対抗要件となるので(130条1項、147条1項)、通知に重ねて会社に公告まで強制されているわけではありません。ただし、公告をもって通知に代えることは認められています(181条2項)。 上場会社の場合、振替株式となりますが、上記の通知に代えて、株式併合事項の公告が義務づけられています(社債株式振替法161条3項)。振替株式については、その株式併合が効力を生じる日の株主を、振替機関は発行会社に速やかに通知しなければならず、この通知を受けた発行会社が、株式併合の効力発生日に株主名簿が書き換えられます。直前の基準日以降、株式併合の効力発生日までの間には、多数の名義書換未了株主の存在が予想されます。そこで、一方で、株式が併合される旨を知らない名義書換未了株主やその略式質権者の利益保護を考慮し、他方で、多数存在するであろう、もはや株主でない株主名簿上の名義人に対する通知には実質的な意義が認められないので、株式併合の効力発生日の2週間前までに、通知に代えて公告が要求されます。 株券発行会社の場合は、株式併合後株券を失効させ新株券と交換するために、株券提出手続きをやってもらう必要があります(219条1項2号)。すなわち、株式を併合する会社は、株券を会社に提出しなければならない旨を公告し、かつ併合する株式の株主・登録質権者に各別にこの旨を通知しなければなりません。ただし、併合する株式全部について株券が発行されていない場合は。株券提出手続きは不要です。1株に満たない端数は金銭交付によって処理しますが(235条1項)、株券発行会社は、株券を提出しない者にはこの金銭の交付を拒むことができます(219条2項)。 ü
株式併合事項の通知・公告の瑕疵 この通知・公告は、株主総会決議で定められた株式併合事項について、株主等への周知を図るために求められるのであり、これによって株式併合の効力発生日が定まったり、端数処理のための金銭を交付すべきものが定まるわけではありません。したがって、株式併合事項の通知・公告に瑕疵があっても、それは株式併合の効力に影響を及ぼすものではありません。ただし、公告・通知の懈怠、不正の公告・通知は過料に処せられます(976条2号)。 関連条文 第1款.株式の併合 第2款.株式の分割 第3款.株式無償割当て 株式無償割当て(185条) 株式無償割当てに関する事項の決定(186条) 株式無償割当ての効力の発生等(187条) |