新任担当者のための会社法実務講座
第4章.機関 第1節.株主総会
 

 

第4章.機関

第1節.株主総会及び種類株主総会

第1款.株主総会

最初に株主総会は何かということを簡単に述べておいたほうがよいと思います。会社法等の現在の法的な定義から言うと、株式会社の最高意思決定機関ということになります。「株主」というのは会社の所有者です。株式会社は法人の一種ですが、社団法人とか合資会社とか株式会社以外の法人では「株主」とは言わず「社員」と呼びます。この場合、一般的に会社の社員といえば、従業員、会社法上の言い方では使用人のことを指しますが、法令上では社員=株主です。ですから株主総会は社員総会と言い換えることもできます。株主総会というより、社員総会と言った方が株式会社の最高意思決定機関というイメージを伝え易いのではないかと思います。つまり、法人のメンバーが全員集まって、その総意により重要なことを決めていこうというわけです。

民法上の法人、例えば社団法人のような非営利法人であれば、メンバーである社員が全員で重要事項を決める社員総会、組合であれば組合員全員で決める組合大会が、これにあたります。ある解説書で、政府であれば国会が、これにあたるという説明がありましたが、これは間違いだと思います。国会は全員ではなくて国民から委託された代表者が集まって決めるもので取締役会に近いのではないか、全員で重要なことを決めるということからすれば選挙とか国民投票の方が近いと思います。古代ギリシャのアテネなんかのポリスでの直接民主制で市民全員が集まって重要事項を決めるのが株主総会に近いイメージではないかと思います。(詳しくは別のところで解説していますのでこちらに)

 

Ø 株主総会の権限(295条)

株主総会は株式会社の最高意思決定機関ですから、オールマイティな権限を持っているはずです。つまり、何でも決められる。そして株主総会で決められたことは絶対で、株主も経営者も従わなければならない。それは当たり前のことです。だから、そんなことは法律に、わざわざ断る必要はありません。しかし、実際のところ、規模の大きな会社になれば、株主が集まって全てを決めることは不可能です。そこで、取締役会が実際に経営を任せているわけです。しかし、その任された取締役会としてはオールマイティの株主総会に、いつちょっかいを出されるか分からないとすると、行動しにくい。取締役会に任せたわけですから、口を差し挟むのは控えるべきです。しかし、全部任せると、経営陣が暴走を始めても止められなくなる。もともと会社法の前身である商法には株主総会の権限を限定するような規定はありませんでした。それが1950年(昭和25年)の商法改正によって、現在の会社法で規制されている規制、つまり、株主総会の決議事項は会社の基本事項に限定されるという規定が設けられました。これによって、株主総会は会社の最高の機関であると同時に万能の機関であったのに対して、最高の機関ではあっても万能の機関ではないことになりました。これは株主の権利を制限したというものではなく、会社事業の経営に冠する株主の合理的意思を反映させたものと言われています。つまり、株主は原則として会社事業の経営についての専門知識や経験を有しておらず、したがって業務の具体的内容についてもすべて株主総会で決議ができるとすることは、会社事業の合理的経営の観点からみて適切とは言えず、株主総会の法定決定事項を基本的事項に限って、それ以外の事項の決定については、会社経営の専門家である取締役が構成する取締役会に委ねたということになります。しかし、株主が会社事業の経営に関心がある場合があり、また法定事項でないが総会の権限とすることを求めることもあるので、法定事項でなく、定款で定めることにより、総会の権限とすることができることになっています。このような趣旨から定款で株主総会の権限とする事項にはとくに制限はないと考えられます。それで、取締役会設置会社の場合には、株主総会の権限を限定しているわけです。それが会社法で規定されています。

@株主総会は。この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議することができる。

A前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

Bこの法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

ü 取締役会設置会社の特例(2項)

上で説明した、取締役会設置会社では株主総会の権限がオールマイティではなくて限定されるということを規定しているのが2項で、「株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」としています。

それでは、その限定された株主総会が決議できる事項というのは、どのようなものなのでしょうか。それは、それぞれの事項について規定した条文で、これは株主総会の決議を要するというようにバラバラになっていて、ひとつの条文にまとめて、株主総会で決議できる事項が一覧にされているというのはありません。一応、各条文から拾ってきたのをまとめると下のようになります。

@会社の基礎に根本的変動を生ずる事項(定款変更、合併、会社分割、株式交換(移転)、事業譲渡、資本金額の減少等)

A機関等(取締役、監査役、会計監査人等)の選任・解任に関する事項

B計算に関する事項(計算書類の承認等)

C株主の重要な利益に関する事項(剰余金の処分、株式の有利発行等)

D取締役等の専横の危機のある事項(役員の報酬等)

E株主総会の運営に関する事項

※定時株主総会の権限

計算書類の承認、剰余金の配当の決定等(438条、439条、454条)

ü 法定権限の委譲の無効(3項)

第1項及び第2項で株主総会の権限とされた事柄を、例えば取締役会に権限を委譲して、取締役会の権限とすることは出来ないという内容です。

なお、取締役には忠実義務があって、その内容とし、株主総会の決議が妥当でなくても従わなくてはなりません。しかし、違法な決議には従う義務はない(830条2項)のはいうまでもありません。

Ø 株主総会の招集(296条)

株主総会を開催するためには、まずメンバーを集めなければなりません。それが招集です。招集が株主総会のスターと言えます。したがって、招集について決めるということは、開催について決めることと同じことになります。

@定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。

A株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。

B株主総会は、次条第4項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。

ü 招集時期(1、2項)

招集しないことには株主総会を開催することは出来ません。いつ招集するかで、株主総会をいつ開催するかが決まってきます。そこで、いつ招集するかによって株主総会を二種類に分類します。

ü 定時株主総会(1項)

条文の中で「定時株主総会」と言っていますので、この第1項は株主総会の中でも定時株主総会ということに限定してわけです。ここで書かれている内容を分解して箇条書きにしていきましょう。

@定時株主総会は事業年度ごとに招集する。

定時株主総会は、事業年度に1回は招集するということです。だから、事業年度で最低1度は招集しないといけないのです。

A定時株主総会は事業年度終了後一定に時期に招集する。

定時株主総会は事業年度の中でいつごろ招集するのかを決めています。つまり、事業年度が終わった戸で、一定期間のうちに招集するわけです。では、その一定期間とはどのくらいか。

※定時株主総会の招集時期

公開会社であれば、株主総会の招集について定款で基準日を規定しています。例えば、こんな具合です。

「当会社は毎年3月31日の最終の株主名簿に記載または記録された株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。」

では、この基準日とは何かというと、会社法124条で次のように規定されています。

@株式会社は、一定の日(以下この意において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。

A基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使できる権利(基準日から3箇月以内に行使するものに限る)の内容を定めなくてはならない。

(以下略)

このように、定時株主総会で権利を行使できる株主を特定するのは、基準日を設けて、その日現在の株主(株主名簿に登録されている者)とするわけです。一般的には、事業年度の末日、例えば3月決算の会社であれば3月末日を基準日とします。しかし、会社法の規定で、その権利の有効期限は3ケ月間で。したがって、3月末から3ケ月以内に株主総会を開かなければならないことになります。

〔参考〕有価証券報告書の提出期限

上場会社等は金融商品取引法に従って、有価証券報告書を決算期末から3ケ月以内に提出しなければなりません。この有価証券報告書の記載項目の中に、剰余金の配当や役員の状況などの株主総会の決議がないと記載できない項目があるため、株主総会を有価証券報告書の提出期限内に開催しなければならない理由となっています。ただし、今は、株主総会前に有価証券報告書を提出するのは可能になっており、実際に提出している会社が何社もあります。

〔参考〕定時株主総会の開催時期を一ヶ月ずらす

会社法やコーポレートガバナンスについて、政府の関係省庁で研究会や有識者会議で様々な検討が行われていますが、その中で、3月決算の会社であれば7月に定時株主総会を開催するということが検討されています。これは海外の機関投資家からの要求があるという事項です。7月とすることによって、会社は準備期間を十分に取ることができるし、機関投資家の側からすれば、招集通知をかなり早期に受け取ることが出来て、招集通知の内容を分析する時間を余計に取ることができるというメリットがあります。現に、アメリカでは、実際に行われています。

これは、日本の株主総会の場合でも、理論的には可能です。それは、上記で説明してきた基準日を4月30日に変更すればいいのです。そのための定款変更が必要になりますが。この場合の問題として、剰余金の配当は3月31日現在の株主に対して行われますので、配当と定時株主総会の株主が同じでないことになることです。剰余金の配当を株主総会で決議する場合、4月10日に株式を売却した株主は、その自分が受け取る配当金の決議に参加できないことになるわけです。

〔参考〕3月決算の会社の6月定時株主総会スケジュールのモデル案

期間の計算方法

事務日程

主 要 項 目

 

 3月31日

 事業年度末日
 

 4月25日

・計算書類等の提出

  @社外役員に対する事業報告等記載事項の照会

 A取締役は

ア.事業報告を監査役に提出

イ.計算書類(附属明細書を含む)を監査役、

  会計監査人に提出

ウ.連結計算書類(附属明細書を含む)を監査役、会計監査人に提出

総会日から8週間前 

(法定5/3

[303,305]

5月6日 

・株主提案権行使期限(株主総会の議題・議案を会社に提案)
計算書類・連結計算

書類・事業報告受領

日から4週間経過日

までに(法定5/21

[会算規130]

 5月10日

・会計監査人は、

   ア.計算書類の監査報告の内容を特定監査役・特定取締役に通知

   イ.連結計算書類の監査報告の内容を特定監査役・特定取締役に通知

事業報告受領日から

4週間経過日までに

(法定5/21

[会施規132]

会計監査人の監査報

告の受領日から1

間経過日までに

(法定5/18

[会算規132]

 5月12日

・特定監査役は、

   ア.事業報告の監査報告の内容を特定取締役に通知

   イ.計算書類の監査役会監査報告の内容を特定取締役・会計監査人に通知

   ウ.連結計算書類の監査役会監査報告の内容を特定取締役・会計監査人に通知

 

 5月15日

・決算取締役会

@計算書類・連結計算書類・事業報告・それらの附属明細書承認

A定時株主総会招集事項及び付議議案決定

・決算発表

総会日から2週間前

[299@]

[442@A]

 6月14日

・独立役員届出書の証券取引所への提出(変更のとき)

・招集通知を電磁的方法により証券取引所に提出

・招集通知の発送

・書類の備置

@計算書類、事業報告、それらの附属明細書、監査報告本店・支店(写し)に備置

 A役員退職慰労金規程を本店に備置(議案あるとき)

総会前日

[311@、会施規69]

 6月28日

・議決権行使書提出期限
基準日から3月以内

[124A]

 6月29日

・定時株主総会、決議通知発送

・取締役会(代表取締役・業務執行取締役選定)

・監査役会(監査方法、報酬配分の協議)

 

 6月30日

・株主総会議事録を作成・備置

・議決権行使書(委任状)備置

・有価証券報告書・内部統制報告書の提出(EDNET

変更が生じたとき

から2週間以内

[915@]

 7月1日

・商業登記申請(役員及び会計監査人等登記)【期限7/13

・議決権行使結果の開示(EDNET)【遅滞なく】

・コーポレートガバナンス報告書提出

総会日から3月間

[310E、311B]

決議日から3月以内

[831@]

 9月30日

・議決権行使書(委任状)の備置期限

 

・決議取消しの訴提起期限

ü 臨時株主総会(2項)

条文は、「株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。」となっていて、第1項は「定時株主総会…」で始まっていましたから、そこが違います。つまり、第1項で定時株主総会について規定していて、第2項は定時株主総会という限定がない株主総会についての条文です。つまり、定時株主総会以外の株主総会について、ここではいつでも招集できることになっている、これを普通は臨時株主総会と呼んでいます。定時株主総会は毎事業年度の一定の日に招集しなければなりませんが、臨時株主総会は、やらなくてもいいし何回やってもいい、いつでもいい。だから臨時です。株式会社で決議しなければいけない必要性が生じたときに招集されるということになります。

※臨時株主総会の出席株主

定時株主総会で権利行使する株主は3月決算の会社であれば3月31日現在の株主でした。では臨時株主総会の場合は、どうなっているのでしょうか。それには、定時株主総会の場合と同じように会社法124条の基準日を特定することできまってきます。そのために、多くの会社は、定款にこのような規定を置いています。

「必要ある場合は取締役会の決議によって、予め公告して一定の日の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録質権者をもって、その権利を行使することができる株主または登録質権者とすることができる。」

つまり、取締役会の決議で基準日を決めることができるわれです。ただし、この場合は定款の文言にもありますが、会社法124条3項によって公告しなければなりません。

〔参考〕臨時株主総会の株主名簿

定時株主総会の場合は、基準日の株主名簿が定例的に作成されて、その会社に届けられていると思います。これは、株主名簿管理人との契約で、期末現在の株主名簿を作成することになっている。そこに登録された株主に株主総会の招集通知を送るわけです。その場合、上場株主の取引による名義書き換えは実質的に保振を介してデータのやり取りが行われています。したがって、株主の状態のデータは保振にあります。しかし、上場会社は定時株主総会のために基準日の株主名簿が必要になってくるので、保振は年2回、すなわち期末現在と中間期末現在の株主名簿のデータを名簿書き換え代理人を通じて会社に提供することになっています。そのデータを総株主通知といいます。

株主名簿は臨時株主総会を招集する際にも、定時株主総会の場合と同様に必要となります。この場合は、臨時株主総会のために臨時で保振に取締役会で決めた基準日現在の総株主通知の作成を保振に依頼することになります。この臨時の場合には作成手数料を保振な支払うことになります。

ü 招集権者(3項)─取締役

株主総会は、原則として取締役が招集します。取締役会設置会社では、株主総会招集の決議を行なって、それに従って代表取締役が招集しています。実際に株主総会の招集通知を見てもらうと、右上のところに通知を発するものとして代表取締役が招集者として記載されています。

これは、多くの会社では次のように定款に記載しています。

「当会社の株主総会は法令に別段の定めがある場合を除き、取締役社長がこれを招集し、その議長となる」

Ø 株主による招集の請求(297条)←少数株主権の行使

株主総会の招集は、いわゆる少数株主権のひとつです。少数株主権とされたのは権利の濫用を防ぐためです。この権利は取締役の解任等を議題とする臨時株主総会の招集のために行使されるケースがほとんどではないかと思います。

実際にはめったに起こらないことですが、法律にある以上は可能性はあるということで知っておく必要はあるでしょう。

@総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

A公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは「有する」とする。

B第1項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。

C次に掲げる場合には第1項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。

1.第1項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行なわれない場合

2.第1項の規定による請求があった日から8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会招集の決議が発せられない場合

ü 少数株主権の持ち株要件(1項)

総株主の議決権の100分の3(定款による条件引き下げは可能)以上の議決権を、6ヶ月前から引き続き有する株主は、取締役に株主総会の招集を請求することができます。

・「総株主の議決権の100分の3」の数え方

この議決権の数は単独の株主によるものとは限らず、複数の株主の有する議決権を合わせて、その合計でもこの持ち株要件を満たすことができます。ただし、この場合には端株や単元未満株は除きます。

また、総株主の議決権の数というのは行使可能な議決権の数で単元未満株や端株は対象外とされます。(第3項)

・株式の保有期間

6ヶ月間という持ち株保有期間は請求の時から遡って算定されることになります。

※上記の6ケ月の保有期間の議論については株主提案権のところを参照して下さい。

※公開会社でない取締役会設置会社設置会社の場合には、この6ヶ月間という保有期間の制限はなくなります。つまり、請求の時点で100分の3以上の保有があればいいわけです(2項)。

ü 総会招集の手続(1項、4項)

上記の要件を満たした少数株主は。会議の目的である事項及び招集の理由を示して、取締役に株主総会の招集を請求します。この請求は、旧商法では書面による請求とされていましたが、会社法ではその制限はありません。ただし、いつ請求したかが明らかになっている必要があるので、公的な証拠が残るものとして書面を書留郵便で送ることが手堅い方法と考えられます。

この請求を受け取った取締役は遅滞なく総会招集の手続を始めることになります。もし、この請求後遅滞なく総会招集の手続が行われない場合、あるいは請求の日から8週間以内を開催日とする株主総会招集通知が発せられない場合(つまり、請求の日から6週間以内に招集通知が届かない場合)には、その請求をした株主は裁判所の許可を得て、みずから株主総会を招集することができます(4項)。

※この株主には総会を招集する権利があることとなり、株主名簿やそのほかの総会に招集すべき株主を通知するために必要な書類を閲覧、謄写することができます。また、株主総会招集の決定は、この場合取締役会ではなく、この株主が決定することになり、招集通知の発出や参考書類の交付等も株主が行います。その場合の費用負担は株主が負います。ただし、決議が成立した場合で会社にとり有益な費用であった場合には、株主は会社に対して合理的な額を求償できるといわれています(民法702条)。

関連して、裁判所による招集の命令(307条)で一定の場合には、裁判所が取締役に対して株主総会の招集を命ずることができます。

Ø 株主総会の招集の決定(298条)←株主総会招集の決議

@取締役(前条第4項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第302条までにおいて同じ)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

1.株主総会の日時及び場所

2.株主総会の目的である事項がある時は、当該事項

3.株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

4.株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することがてきることとするときは、その旨

5.前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

A取締役は、株主(株主総会において決議することができる事項の全部について議決権を行使することができない株主を除く。次条から第302条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第3号に掲げる事項を定めなければならない。ただし、当該株式会社が金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。

B取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議することができる事項」とあるのは「前項第2号に掲げる事項」とする。

C取締役会設置会社においては、前条第4項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第1項各号に掲げる決定は、取締役会の決議によらなければならない。

決定権者(1項)─取締役

※取締役会設置会社は取締役会(4項)⇒取締役会が決定し代表取締役が招集する(定款17条)

ü 株主総会招集の決定(第1項)

取締役が決定します。ただし、取締役会設置会社では取締役会の決議(株主総会招集の決議)によって決定します(第4項)。

その決議する項目は次のとおりです。このうち1号と2号は必須で3号以下は決議すれば有効となるものです。

@日時及び場所

@)日時

定時株主総会の開催日時は296条の説明ところで述べたように事業年度の末日から3ケ月以内です。なお、次のような日時を決めたときは、その理由を明らかにしなければなりません。(会社法施行規則63条1項)

・開催日が、前回定時株主総会の開催日に当たる日から著しく離れた日である場合

・いわゆる集中日を開催日とする場合(ただし、この日に開催日を決めたことにとくに理由がある場合に限られる)

念のために説明しておきますが、株主総会の集中開催日とは、3月決算の会社であれば6月の末日が平日としてその前営業日で、月曜日でない日(月曜日であれば前の週の金曜日)をいいます。これは、金融商品取引法により上場会社等は決算日から3ヶ月以内に財務局に有価証券報告書を提出することを義務付けられています。その有価証券報告書には、剰余金の配当や役員の状況など定時株主総会の決議があってはじめて確定し、有価証券報告に書き込むことができる項目があります。有価証券報告書は財務諸表と定性的情報の部分があり作成には、かなりの時間と労力を必要とし、もし、後で訂正箇所が見つかった場合には訂正報告書を提出しなければなりません。そのため、作成した有価証券報告書は入念なチェック作業を課す会社がほとんどで、そのため有価証券報告書の作成には提出期限ギリギリまでかかってしまうことになります。ただし、だからといって月末に提出しようとして何らかの間違いが見つかってしまうと財務局では受け付けてくれません。それで提出期限が守れなくなってしまった一大事となるので、月末の1日前に財務局にだして、もし訂正を要する誤りがみつかったら、翌日再提出できるようにして、その提出に間に合う期限として定時株主総会の開催日の日程が組まれたというのが理由です。

では、なぜ、招集通知に定時株主総会の開催日をとくに集中日にした理由を、わざわざ記載しなければならなくなったのでしょうか。

それ理由は、まずは企業サイドから、一つには総会屋と言われる人たちが法改正や警察の取り締まりによって活動を制限され活動できなくなって、一時の隆盛がうそのように、ほとんどいなくなってしまったためです。このため、企業が定時株主総会の開催日を集中させる理由の一つがなくなってしまったことになります。二つ目の理由として、会場の確保が難しくなったという事情です。これは、業界再編が行なわれ企業合併が行なわれた結果、中規模の企業同士の合併により大企業が生まれ、新会社の株主数は大きなものになりますが、従来のその会社の施設では倍増した株主数を収容可能な会場がなく、社外の会場を借りることになります。また、そうでない企業も景気低迷が続く中でスリム化を進める中で自社で株主総会に使うような施設を持たない企業が増えた結果株主総会の会場を社外で借りる方が経費面で有利となりました。その結果、都内の会場は企業の取り合いとなってしまいました。総会の開催日が集中してしまえば、会場を借りることができなくなる企業がたくさん出てくる事態となったのです。三つ目の理由として、議決権の確保です。実は、総会屋対策のために株主総会の開催日を集中日にしたり、書面投票制度という事前議決権行使書を送付して決議に参加する制度などの施策は、企業が株主総会の議決権の票読みを確実にできていたからこそ可能なものでした。そして、それを可能にしていたのは、いわゆる株式持合いを企業同士で、あるいは金融機関としていたからです。しかし、景気低迷が続き企業の業績が厳しくなってくると、各企業の資金的な余裕がなくなってきたり、株価が低迷して利益数字の足を引っ張る事態が起こってくると、各企業は保有していた持ち合い株式を手放さざるを得なくなりました。とくに金融機関がシビアな状態となり、その結果、各企業が株主総会の票読みができなくなってきた、甚だしい場合には株主総会が成立するための定足数を確保することすら難しくなってきたのです。そうなると、株主に株主総会に出席してもらわなければなりません。そのために、他社と同じ日に開催していたのでは、2社以上の株式を保有している株主(株を持っている人のほとんどはそういう人です)は、自社の株主総会に来てくれない可能性が高くなります。それで他社と開催日を重複しないように考える企業が出てきたというわけです。

また、これを株主総会に出席する株主の側から見ていくとどうでしょう。ひとつは、企業側からの理由にもありましたが、企業間の株式の持ち合いが少なくなって、株主構成が変わってきたという事情があります。企業が株式の持ち合いを続けられなくなり、保有している株式を売却した場合、その株式を市場で買ったのは、機関投資家や個人株主と言われる人たちだったと言われています。株式の持合をしている企業であれば、議決権行使書を郵送するか、社員が総会に出席すればよかったのですが、機関投資家や個人投資家は一人、または数人の所帯なので、株式を持っていた会社が一斉に株主総会を開催してしまうと出席できません。投資する側としては社長をはじめ経営者を実際に見ることができる数少ない機会でもあるので、参加することに意義があるはずです。とくに、このような環境変化に伴い、株主と経営陣との対話であるとか、企業が個人株主を熱心に勧誘するようなことも始まり、「開かれた総会」ということが言われ始めました。そのためには、株主にまず株主総会に参加してもらわなければなりません。そこで、各社が総会の開催日を重複しないように分散化すれば、数社の株式をもっている株主はそれぞれの企業の株主総会に参加しやすくなるというわけです。

このような動きを法律面で後押ししようとしたのが、この規制というわけです。現在、集中日に株主総会を開催する企業の比率は、かつての9割から4割ほどに大きく減少しました。

そして、その上で、株主総会を各社で一斉に行なうようにすれば、今はほとんど影を潜めてしまいましたが、総会屋という株主総会で暴れるといって企業をおどしていくばくかのお金を払わせようとする団体が行動できなくするためにも行なわれていました。つまり、各社が一斉に株主総会を行なえば、総会屋は1社の株主総会に出ると、他の会社の総会には出られなくなります。その1社は不運ですが、他の会社は救われることになるので、各社で同じ日に開催するようになり、一時は3月決算の上場企業の9割以上が同じ日に株主総会を行なっていました。

A)場所

総会の開催場所です。また、過去に開催したどの場所からも遠く離れた場所で開催する場合には、そのような場所に決めた理由を明らかにしなければなりません(会社法施行規則63条2項)。

かつて、旧商法の時代には、株主総会の開催場所は本社所在地とされて、そうでない場合には定款に株主総会の開催場所を規定しなければならないとされていました。これは、以前の株主総会において社内の経営の主導権をめぐる対立が株主にも波及して、反対派の株主を総会に出席させないために、出席し難い場所で総会を開いたという事例が発生したことへの対策の意味合いでした。しかし、この旧商法の規定は持ち株会社が認められたり、業界再編で大規模なM&Aが行なわれたことや、株式の持合解消が行なわれて個人株主が増加するという株主構造に変化が生じ、株主総会自体も「開かれた総会」という株主と企業との対話の場とする傾向などから、株主総会の出席者が飛躍的に増加し、株主数の多い企業は株主総会の出席者が数千人という規模に拡大し、会場の確保が困難になりました。それは一方で開催日の拡散に繋がりましたが、開催場所の制約があると本社所在地(同じ市区町村)に株主総会の開催が可能な大規模な会場施設がなかったり少ない場合は、わざわざ理由を明確にして定款変更を行なわなくてはならなくなります。そのような事情もあって会社法では株主総会の開催場所についての制約をなくすことになったというわけです。ただし、前年と違う会場で遠隔地に変えた場合には、何らかの恣意が働いているとして説明を義務付けています。

A会議の目的事項(議題)

株主総会の目的事項とは、株主総会での報告事項と決議事項の2種類の事項を総称していいます。

報告事項とは、定時株主総会で通常は議長が出席株主に報告するもので、何を報告しなければならないかは法律で規定されています。そして、会社法上の会社の経営体制の違いによって報告すべき事項が違います。

@)すべての株式会社に共通する報告事項:事業報告(438条3項)

A)会計監査人設置会社の報告事項

取締役会の承認を受けた計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)が会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして、次のような法務省令の要件(計算書類規則135条)を満たす場合は、決議事項でなく、報告事項となります(439条)。

・会計監査人による監査報告の内容が無限適正意見であること。

・監査役、監査役会あるいは監査委員会の監査報告で、このような意見となった会計監査人の監査の方法や結果を相当でないとしていないこと。

・取締役会設置会社であること

また、連結計算書類(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表)を作成する会社で、事業年度末に大会社であって、有価証券報告書提出会社については、監査手続き、取締役会の承認を経た上で定時株主総会に提出し、その内容及び監査の結果を報告しなければなりません(444条)。

そして、事例は少ないかもしれませんが、監査役、監査役会あるいは監査委員会の決議で会計監査人を解任した場合には、その報告を定時株主総会で報告することになっています(340条)。

決議事項は、295条で規定されていた株主総会で決めることができる事項を決議事項として決めていきます。

※株主総会では目的事項以外の決議は無効となります(309条5項)

B書面投票制度を利用する旨

いわゆる書面投票制度を利用する旨です。議決権行使書を株主総会の前日までに送付して、それで決議に参加するという制度です。上場会社では一般的になっているので、当たり前と思われる人がほとんどだと思います。しかし、この条文で利用する場合にはその旨となっているので、利用しなければならないわけではないのです。

そもそも議決権行使書という文書は昭和56年の商法改正により導入されたものです。それ以前には、議決権行使書と、このベースとなる書面投票制度というものはありませんでした。株主総会というのは、本来、株主が出席して、その場で議論を交わして熟議の末に投票を行い決議をすることで重要事項を決めるというものです。これは株主総会に関わらず会議というシステムはそれが原則です。例えば国権の最高機関である国会において本会議に出席せず、議案について書面で投票するなどということがあるでしょうか。議案について会議の場で議論を進めることで、自分とは異なる視点の意見や情報を得ることができたり、他人に自分の考えを説明することで再確認したりと議案に対する認識が深まることになるわけです。そのプロセスにおいて、以前に気付かなかったことを知らされ従来の意見を転換する可能性だってあるはずです。それが会議で議論をする意味です。これは、民主主義での多数決を正当化するために様々な議論が議会制民主主義の当初からあって、熟議によって意見が集約の方向に向かい一般意思に近づいていくというモデルが一般に認められるようになっている、というのがベースにあるのです。権威筋を持ち出すなら、公法学のケルゼンやラートブルッフといった人たちによる多数決原理、つまり、多数者による少数者の説得のために両者の討論があり、その結果としての少数者の多数への賛同・承認をたどることを意味するし、さらにいえば、この過程において少数者の意見も多数者の意見に近づくとともに、多数者の意見も少数者の意見に近づき合うという相互のあいだに、多数少数意見が転化しあい、交替し合う可能性が常にあると言う中で多数決による決議に参加者が納得することになるというわけです。

では、以前は株主総会に出席できない株主はどうしていたのか、実務担当者が気になるのは、どうやって定足数を確保していたかということでしょう。その際には委任状が使われていました。よく、何かの団体のメンバーである人ならば総会があると招集通知が送られてきて、出席できない場合には委任状を提出して下さいいと言われると思います。それと同じことが株主総会で行われていました。では、委任状ということでやっていたのを書面投票制度などという株主総会に特有のことを始めたのでしょうか。それは委任状と書面投票制度を比較しながら見ていくと分かってくると思います。

委任とは、自分は会議に参加できないから、会議に参加できる信頼に足る人に自分の分を代理して投票してもらうという内容です。端的に言えば、本人は会議の決議に自分の意志を投票するのではなくて、意志を他人に預けてしまうのです。だから、本人がある議案に賛成の考えをもっていても委任された人が反対の投票をすることもありうるのです。委任された人は会議に出席するので、上で説明した多数決原理による議論→投票のプロセスに参加するわけです。その際に議論の中で反対の説得に応じる可能性があるのです。その時、委任した人の意向に委任された人は縛られないのです。そうでなければ会議の議論に参加できませんから。だから、委任状の場合は会議の意味がかろうじて保たれることになるわけです。

こうして見ると、書面投票制度そのような本来の会議の意味を、言わば、端折って、議論に参加することなく事前に書面で議案に対する賛否を投票してしまうということは、会議の趣旨に反する行為のはずです。

もうすこし根本的として、会議形式で議論をして決議という結果を出すということは、どういうことかを考えて見ましょう。株主総会で言えば、取締役の選任とか会社が今後生き残って成長するために非常に重要なことを決めるわけです。そういうことを決めた選択が会議で多数決で決めたからと言って正しい選択だったとは限らないわけです。では、どうして多数決で決めるのでしょうか。みんなで決めたことだから、と参加者を納得させる(反対者を諦めさせる)ためでしょうか。たしかに、そういう効果もあるでしょう。しかし、それが間違っていたら誰が責任をとるのか、選んだ全員ですか。それでは責任が有耶無耶になってしまいます。そうではなくて、この背景には様々な意見や見方を持った人が集まって意見を出し合って、十分な議論を行うということ、これを熟議といいますが、この結果として生まれた結論は絶対に正しいと確言することはできないかもしれませんが、限りなく正しいに近いものとなるだろうと推測される、ということなのです。だから、会議で一番大切なのは熟議というプロセスのはずなのです。しかし、議論の前に書面で賛否を投票してしまうということは一番大切なはずの熟議を省略してしまうことになってしまいます。それでは株主総会の結果が正しいという根拠が否定されてしまうことになってしまいます。私は研究者ではないので、このような根拠を説明した学説や論文を聞いたことがないのですが、たぶん誰も考えていないのではないかと思います。

では、どうしてこのような制度が導入されているのかといえば、この制度が導入された昭和56年の商法改正の時点を状況を考えると、当時の株主総会は総会屋と言われる団体が跳梁跋扈していた時代で、彼らの株主総会でのパフォーマンスのひとつに株主から委任状を集めて、ある程度まとまった議決権の委任を受けて、株主総会の決議について、「我々の協力がなければ株主総会の決議は成立しない」と脅しをかけたり、株主総会の議場を混乱させたりするという方法がよくとられていました。それを行なわせないために、株主がたとえ株主総会当日に出席できなくても、他人に委任するのではなく、選挙の不在者投票のように自身の投票を事前に書面で行なわせるという方法を導入したのでした。こうすれば、総会屋は委任状を集めようとしても、同じ程度の労力で自分で投票できるのですから、何も他人に任せることもなくなります。このような制度導入の趣旨を考えれば、総会屋の活動がほとんどなくなったに等しい状態となり、委任状争奪のプロキシファイトもほとんど起こらない、と言うことを考えれば、本来の会議のあり方から外れた書面投票という制度そのものをやめてしまうことを考えてもいいのではないか、思います。

株主総会に対して、「開かれた総会」ということが謳われて何年もたっていますし、最近のコーポレート・ガバナンス・コードの中でも会社と株主との対話(エンゲージメント)が熱心に説かれていることなどから、株主総会という会議体を本来の会議で議論して結論を出すという形態に戻すことを考えてもいいのではないか。そのためには、株主だって、投資しているのだから自分で足を運んで株主総会に出席するくらいのことは自発的に行なうべきだし、それを前提に株主総会を行なうということを考え直してもいいのではないか、と思います。

株主総会で事前に書面投票で決議はほとんど成立することになっているなどということが、すでに分かってしまっていれば、わざわざ総会の議場に出向いて決議に参加する意味もなくなってしまうし、そんな状態で、果たして経営者と株主との間で対等な対話ができるかは、甚だ疑問です。

※この決議の有効性

この書面投票をする旨の決議は、株主総会の都度行うのが原則です。つまり、総会の開催の日時や場所、会議の目的事項とともに毎回決議しなければならないということです。ただし、以後の株主総会においても電子投票制度を採用する旨の包括的な決議をすることも可能です。それは、最初の決議のの際に、以後も同様とするという文言を追加して決議しておけばよく、多くの会社ではそうやって、都度の決議の手間を省略しています。

C電子投票制度を利用する旨

電子投票制度は、書面投票制度を電磁的方法で行う制度です。つまり、議決権行使書を送付するかわりに会社指定のホームページにアクセスして、指定の方法でページの指示にしたがって投票する制度です。従って、書面投票制度を行っていないと利用できません。実際には書面投票制度と併用されます

これは、とくに海外の機関投資家からの要望が多い制度です。書面投票制度は書類を郵送するので、海外に送るには日数がかかってしまって、海外にいると投票が間に合わなくなる危険があります。そうでなくても、書類が届いてから中身をよく読んで投票する時間が短くなってしまっているわけです。そこで、電子投票であれば、郵送のようなタイムラグがないので、海外にいても時間を確保できるメリットがあります。

〔参考〕電子投票を始める場合の手続

@)株主総会招集の決議の際の電子投票をする旨の決議の内容

電子投票制度を採用する場合は、前述のとおり取締役会の決議が必要です。また、電子投票制度採用の取締役会の決議は、株主総会のつど行うのが原則ですが、以後の株主総会においても電子投票制度を採用する旨の包括的な決議をすることも可能です。

また、書面投票であれば、株主総会前日の営業時間終了までに会社に届いたものが有効で、書類というものは、一度送付したら、二度と送付できないものです。これに対して、電子投票は書類のように物体を送付するわけではないので、何度でも投票することが出来ます。したがって、最後に投票したものが有効になります。会社としては、書類であれば、郵送で届くので、原則として11回届くので、前日に届かなければ、それで締め切りですが、電子投票はネットで接続して投票するので時間の制限がありません。そこで、電子投票制度の採用に伴って、特定の時をもって電子投票による議決権行使の期限とする旨を定めることができます。そうするためには、株主総会招集の取締役会において、その特定の時(会社法施行規則第63条第3号ハ)を定めることができます。また、同一の株主が電磁的方法で重複して議決権を行使した場合において、その同一の議案に対する議決権行使の内容が異なるときの取扱いを定めるときは、その事項(会社法施行規則第63条第3号ヘ(2))、同一の株主が書面および伝統表で重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権行使の内容が異なるときの取扱いを定めるときは、その事項(会社法施行規則第63条第4号ロ)を定めること同時に決議することが、実務上を必要です。

A)招集通知への記載

電子投票をする旨の決議をして電子投票を始めるには、狭義の招集通知には「株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができる旨」を記載しなければなりません(299条第4項)。実務上は、電磁的方法による議決権行使ができる旨および議決権行使サイトのアドレス等を記載しています。

B)株主総会参考書類の交付

電子投票による議決権行使を採用する場合には、株主に対し株主総会参考書類を交付しなければなりません(302条第1項)。なお、会社は、電子投票により総会の招集通知を発することを承諾した株主に対しては、その通知に際して、議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供しなければならないことになっています(302条第3項)。それ以外の株主から総会の会日の1週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、直ちに、その株主に対し電磁的方法により提供しなければなりません(302条第4項)。

電子投票による議決権の行使は、株主が、政令の定めに従い会社の承諾を得て、議決権行使書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録に必要情報を記録し、それを電磁的方法により会社に提供する形で行われます(312条第1項〜3項、会社法施行令第1条第1項第7号、会社法施行規則第230条)。

電子投票による議決権行使も、書面投票と同様に株主総会の日時の直前の営業時間終了時が議決権行使の期限となります、「特定の時」を定めた場合はその時が期限とすることができます(会社法施行規則第63条第3号ハ、同第70条)。

C)会社の承諾

株主は、電子的投票のうち株主が使用するもの(たとえば、電子メールの送信、会社のウェブサイトの利用、メディア等の交付等。会社法施行規則第230条第2号)、および、ファイルへの記録の方式(添付ファイルを使用する場合の使用ソフトの形式・バージョン等。会社法施行規則第230条第2号)を示し、会社の承諾を得なければならない(会社法施行令第1条第1項第7号)ことになっています。しかし、実務上は、会社が株主名簿管理人などを通じて設置するウェブサイト(議決権行使サイト)を使用する方式のみを承諾することが一般的です。招集通知に、会社が電子投票のやり方を記載して、株主がそのとおりに投票することが現実に行われている実際です。

D)本店備置

会社に提供された事項を記録した電磁的記録は、総会の日から3ヶ月間本店に備え置かれ、株主の閲覧に供されます(312条第4項)

〔参考〕議決権行使プラットフォーム

議決権行使プラットフォームは、東京証券取引所、日本証券業協会、Broadridge Financial Solutions, Inc.の合弁により設立された株式会社ICJ(以下、「ICJ」という)が運営する議決権行使サイトです。このプラットフォームを利用して議決権を行使した場合、会社法上は電磁的方法による議決権行使であると整理されます。

@)議決権行使プラットフォームの仕組み

プラットフォームは、投資信託や年金基金等の機関投資家が直接議決権を行使できるシステムです。通常、投資信託や年金基金等は、株主名簿上の株主となることは少なく、国内であれば信託銀行等、国外であればグローバル・カストディアン等の名義株主の背後に隠れた実質株主として、名義株主に議決権行使の指図を行うことにより、間接的に議決権を行使しています。プラットフォームを利用すれば、株主名簿上には現れないこうした実質株主が、直接議決権を行使することが可能となります。ただし、会社法では、議決権行使を行うことができるのは株主名簿に記載された株主とされているので、プラットフォームを利用した場合、議決権行使を行うのはあくまで名義株主であって、ICJは名義株主から委託を受けた「使者」ないし「履行補助者」として行動することになります。

A)機関投資家による議決権行使の実務上の問題点

国内において、機関投資家は、一般的に資産管理業務を担う管理信託銀行を経由して、郵送により招集通知等の議案情報を受領します。これは株主名簿上の株主が管理信託銀行となっているためです。これにより、実際に機関投資家が書類を受け取るまでに数日を要することになるわけです。議決権行使についても同じように管理信託銀行を経由して行われます。管理信託銀行は機関投資家から議決権行使のための指図を受領し、集計後会社へ返送します。その際、事務プロセスに必要な時間を考慮し、機関投資家に対しては、会社が設定する議決権行使の締切日よりもさらに前倒しした期限を設定するのが一般的です。したがって、機関投資家の議案検討期間は、個人投資家等の名義株主よりも相当程度短いものとなるわけです。

一方、海外機関投資家については、より複雑なプロセスとなっています。海外機関投資家がわが国の企業の株式を保有する場合、一般的には彼らが契約を結んでいるグローバル・カストディアンが名義株主となります。グローバル・カストディアンは、複数の市場にまたがる有価証券の保管業務の取扱いを一括して行う金融機関であり、それぞれの市場における証券の受渡しや保管のために常任代理人を選定するのが一般的です。したがって、海外機関投資家の場合、議案情報の入手と行使指図ともにグローバル・カストディアンと常任代理人の双方を経由することになり、議案検討期間は国内の機関投資家よりもさらに短いものになってしまいます。

〔参考〕電子投票を始める際の実務上の留意点

@)株主の同一性の確認方法

電子投票では、電磁的方法により議決権を行使している者が真の株主であることを確認するため何を用いるべきかという問題があります。実務上は、事前に会社から割り当てられたIDナンバー等と、会社に対し株主があらかじめ届け出たパスワードとを議決権行使サイトの所定欄に入力しなければ議決権行使ができないように設定しておく等の方法がとられることが一般的です。

A)書面投票と電子投票による議決権の二重行使

書面による議決権行使と電磁的方法による議決権行使とを会社が併用する場合、一株主がその双方で議決権を行使する可能性があります。その際は、後にされた議決権行使により先にされたものが撤回されたものとして取り扱うのが原則です。しかしながら、一方が書面、他方が電磁的方法となると、その先後を判別することが容易でなく、いずれか一方の方法を優先させる旨を会社が定めて、株主に対しあらかじめ通知することができます(298条第1項第5号、299条第4項、会社法施行規則第63条第4号ロ)。

なお、電子投票を行った株主が当日の総会に出席したときは、書面投票の場合と同様に、電子投票による議決権行使は撤回されたものとして当日出席に振り替えることとなるため、すべての議決権行使書について重複のチェックが必要です。

〔参考〕コーポレートガバナンス・コード

コーポレート・ガバナンス・コードでは原則1−4において議決権の電子行使を推奨しています。それらついては、こちらを参照して下さい。

Dその他法務省令で定める事項(会社法施行規則63条、95条)

代表的なものは下のとおりです。

参考書類、議決権行使書に関する事項

代理人による議決権行使

議決権不統一行使に関する事項

※これらの事項は招集通知に記載しなければならない(299条4項)

ü 書面投票制度を導入しなければならない会社(2項、3項)

株主数が1,000人以上の会社は、書面投票制度を導入しなければなりません。

ü 取締役会設置会社の場合(第4項)

取締役会設置会社が株主総会招集の決定をする場合は、取締役会で決議するという方法でおこなわなければなりません。

〔参考〕株主総会招集の決議の実務

会社法で規定されていることについては以上ですが、実務では、これだけでは動けないので、実際にどうすればいいのかを、会社法の規定にないところで補足したいと思います。

@株主総会招集の決議と計算書類承認の決議

この二つの決議は本来は別々の決議ですが、会社によっては同時に行っているところもあり、混同している人もいるのではないかと思います。実務担当者は、そんなことはないのですが、取締役の中には法律に詳しくない人もいて、両方とも株主総会に関する決議なので同じことをしていると勘違いしている人もいるようです。

ただ、どちらも定時株主総会の手続として必要不可欠な決議なので、株主総会招集の決議をしたから安心して計算書類の承認を忘れてしまったりすると、株主総会招集の手続に瑕疵があったことになってしまいます。

A株主総会招集の決議はいつ行うか

株主総会招集の決議は会社によって行う時期が、それぞれの会社の事情によってまちまちだったりします。別冊商事法務の株主総会日程のモデルプランでは決算発表の時に決議するように設定されていますので、そういう会社が多いのかもしれません。それで、いつ決議するかについて、最低限クリアしておかなければならない条件を以下に列挙します。

・株主総会の招集、計算書類の承認決議より前であること─当たり前のことです

・決算短信の公表の前であること

決算短信には役員の異動の予定がある場合には記載しなければならないことになっています。役員の選任は株主総会の議案なので、それが正式に決定するのは株主総会招集の決議です。

・決議の内容はインサイダー情報であること

B株主総会招集の決議の開示、報告

上場会社が株主総会招集の決議を行った場合には、すみやかに報告、開示する必要があります。

・株主総会招集の決議の届出

株主総会招集の決議を行った場合には、すみやかに上場している証券取引所及び保振に、その内容を届け出なければなりません。

・適時開示

株主総会で決議する議題が適時開示項目に該当する場合、株主総会招集の決議を行ったときに、すみやかに開示しなければなりません。

例えば、役員の異動(決算短信で開示する場合には、省略できます)、定款変更その他

Ø 株主総会の招集の通知(299条)←株主総会招集の決議

株主総会の招集の決定をしたとしても、それを株主に知らせなければ、出席することはできず、会議は成立しません。従って招集の通知をすることが必要です。このとき、招集者である取締役はちゃんと通知しなければなりません。「ちゃんと」と言ったのは、取締役にとって都合の悪い株主には通知しなかったり、通知したとしても会議の日のギリギリになって出席できないようしたりすることがないように、そのような事態が起きないように。通知の適正な手続を決めて、その手続を踏んでいない場合には、招集に瑕疵があったとして株主総会の開催が無効となります。

@株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の2週間(前条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、1週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合に、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

A次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。

1.前条第3号又は第4号に掲げる事項を定めた場合

2.株式会社が取締役会設置会社である場合

B取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。

C前二項の通知には、前条第1項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

ü 招集通知の法定発送日(1項)

公開会社は株主総会の日の2週間前までに株主に対して通知しなければならない。なお、非公開会社の場合は1週間前までに通知することになっています。この2週間というのは、株主に出席の機会と準備の機会を与えるために必要な期間とされています。従って、2週間は最低期間で、これ以上長いにこしたことはないのです。この場合のポイントは次の2点です。

@期間の数え方(初日不参入の原則)

法律行為において期間というのは重要な要素です。例えば契約を交わす場合には、有効期間を区切ります。その時に期間の数え方が契約当事者が別々に数えて食い違っていたら問題になります。そこで民法で機関の数え方を決めています。ここでも、その原則に従うことになります。民法140条において次のように規定されています。

「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りではない。」

具体的に言うと、通知の発信日と総会の当日を算入しないで、その間に14日間なければいけないという意味です。(昭和10年7月15日の大審院判例)

A何をもって通知したことになるのか(送付主義)

2週間前まで通知されていることがはっきりしていなければなりません。後になって、通知されていないというクレームが株主から寄せられたり、場合によってはそれで株主総会が無効である裁判になったりするかもしれません。その際に、何をもって通知したということになるのか。株主の手元に届いたことで通知したことになるのか、それを2週間前までに行なわなければならないというのか。というと、違います。会社が招集通知を発送した時点で通知したということになります。実際上は郵便局に招集通知を投函した時点です。この場合、実務上は料金別納郵便で郵便局の窓口にまとめて預けます。その際に、郵便局は受付の受領書を返してくれるので、それを送付の証拠として会社は保管します。実際の発送は証券代行(株主名簿管理人)が代行して発送してくれて、後日受領書を会社に送ってくれるので、それを会社は保管しています。

〔参考〕コーポレートガバナンス・コード

コーポレート・ガバナンス・コードでは原則1−4において招集通知の早期発送を推奨しています。それらついては、こちらを参照して下さい。 

ü 書面による通知(2項)

書面投票、電子投票の株主総会または取締役会設置会社は通知を書類で行なわなければなりません。いわゆる招集通知です。

ü 電磁的方法による通知(3項)

書面による招集通知の発出に代えて、株主の承諾を得て、電磁的方法により招集通知を発することができます。このような電磁的方法により招集通知を発した場合においては、書面による招集通知を発したものとみなされます。

電磁的方法による招集通知も、その通知が通常到達すべきであった時に、電磁的方法による提供があったものとみなされます(126条2項、5項)。

書面投票制度を採用した場合には、招集通知の電子化を承諾した株主に対して、株主総会参考書類および議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。ただし、株主の請求があったときは、これらの書類をその株主に交付しなければなりません(301条2項)。なお、電子投票制度を採用した場合には、承諾株主に対して、議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供しなければなりません(302条3項、会社法施行規則66条1項)。定時株主総会の招集通知を電磁的方法により提供する場合には、事業報告、計算書類および連結計算書類等の添付書類についても、電磁的方法により提供しなければなりません(会社法施行規則133条2項2号、会社計算規則133条2項2号、134条1項2号)。

〔参考〕電磁的方法による通知を行う場合の手続

@)電子化採用の検討・決定

招集通知の電子化を新たに採用しようとする場合には、株主総会の招集に関する基本的な事項として、取締役会で決議します。取締役会で決議すべき事項としては、招集通知の電子化を採用する旨、電磁的方法により送信する株主総会関係書類の名称、電磁的方法の種類および内容、招集通知の電子化に際しては株主名簿管理人の提供するシステムを利用する旨等です。なお、招集通知の電子化を採用するにあたっての取締役会決議は、特段の事情がない限り継続して適用する旨を併せて決議しておくことにより、株主総会の招集のつど決議する手間を省くことができます。

A)決定株主への案内

取締役会での決議をした後、招集通知の電子化を採用した旨を株主に案内する必要があります(そのように予め、株主に知らせておかないと、承諾を得ることがむずかしくなります)。株主に案内する方法として、案内状の送付、案内文のウェブサイト掲載などが考えられますが、周知性の観点からは、個別に案内状(招集通知メール送信勧誘ハガキ等)を送付することが最も効果的であると思われる。なお、案内状を単独で送付するとコストが割高になってしまうため、決議通知、株主通信または中間報告書等の郵送物を送付する機会に同封するか、中間報告書等に案内文言を記載することが効率的です。

B)株主の承諾およびメールアドレス取得

招集通知を電磁的方法によって送信するためには、あらかじめ株主に対して、その用いる電磁的方法の種類および内容を示して、書面または電磁的方法による承諾を得なければなりません(会社法施行令2条1項)。

株主の承諾は書面または電磁的方法により得なければならないとされており、実務上は、前記の株主への案内状とともに承諾書を送付し、それに必要事項の記入を受けて返送してもらう方法や、株主名簿管理人が提供するシステムのウェブサイト上で承諾してもらう方法が採られています。

株主の承諾は株主総会を開催する都度得なければならないものではなく、将来行われる招集通知についてあらかじめ包括的に承諾を得ておくことも可能であると考えられています。実務上は、株主から承諾を撤回する旨の意思表示がない限り、継続して電磁的方法により招集通知を送信するものとして承諾を得るようにします。また、招集通知の電子化を採用する場合には、電子投票制度も同時または先行して採用されていると想定されるため、株主が電子投票を行なう際に、次回以降の招集通知を電磁的方法により提供を受けることについて、ウェブサイト上で承諾を得る方法も採られています。

株主は招集通知の電子化に係る承諾を撤回することができ、株主から書面または電磁的方法により電磁的方法による通知を受けない旨の申出があったときは、会社は株主に対して、招集通知を電磁的方法によって発してはならない(会社法施行令2条2項)ことになっています。

電磁的方法によって招集通知を送信するために株主から承諾を得る際に、併せてメールアドレスを会社に届け出てもらう必要があります。株主が会社に届け出たメールアドレスは、株主名簿に記載または記録しなければならない株主の住所(121条1号)ではなく、株主が通知を受ける場所または連絡先(126条1項)に該当するものと理解されています。

実務上、株主のメールアドレスを取得するにあたっては、株主名簿管理人が提供するシステムのウェブサイト上でメールアドレスを入力してもらう方法が採られています。なお、この方法による場合は、株主への案内状に株主固有のユーザーIDおよびパスワード等を印字しておき、それを株主にウェブサイト上で入力してもらうことにより本人確認を行なうこととなります。また、メールアドレスの登録後、登録完了メールを株主に送信し、株主のメールアドレスが正しく登録されていることを確認するのが望ましい。

C)招集通知の送信

書面による招集通知の発送日に、株主から届出のあったメールアドレスに宛てて、狭義の招集通知の内容を電子メールの本文または添付ファイルとして送信します。電磁的方法による招集通知は、通常到達すべきであった時に、電磁的方法による提供があったものとみなされます(126条2項、5項)。

事業報告、計算書類および連結計算書類等の添付書類ならびに株主総会参考書類については、添付ファイルとして送信すると、データの容量が膨大になり送信コストや送信時間の面で問題が生じるおそれがあります。したがって、実務上は、電子メールの本文にそれらの書類のファイルが掲載されたウェブサイトのアドレスを記載し、そのウェブサイトへの参照リンクを設定することにより、株主が容易に見読できるような措置が講じられています。

〔参考〕実務上の留意点

@)招集通知の不到達

会社から、株主の届け出たメールアドレスに宛てて招集通知を送信したのに、株主がメールアドレスを変更したことなどの事情により、不到達となることがあり得ます。しかしながら、電磁的方法による招集通知も、その通知が通常到達すべきであった時に、電磁的方法による提供があったものとみなされることから(126条2項、5項)、これが到達しなかった場合でも、有効に招集通知が行なわれたことになります。ただし、会社としては、招集手続の適法性について後日争いになった場合に備えて、サーバーの送信記録を保管するなど、招集通知を法定期限までに送信した証跡を残しておく必要があると思います。

なお、電磁的方法による招集通知の不到達が明らかな場合は、不到達となった株主に対して、メールアドレスの確認および変更等を依頼する書面を郵送するか、あるいは書面による招集通知を郵送するなどの措置を講じることも考えらます。

A)ウェブサイトの見読性確保

招集通知の添付書類や株主総会参考書類をウェブサイトに掲載した場合には、株主が総会終結の時まで常時見読できるようシステムの手当てが必要であり、サーバーのメンテナンス等による一時的中断に関しても十分配慮する必要があります。

招集通知等を掲載しているウェブサイトが改竄され、株主が見読できなかった場合であっても、会社が適切なハッカー対策を講じている限り、会社の責に帰すことのできない事由として、株主総会の決議の効力に影響は及ばないと考えられます。

B)議決権行使書面を送付しない取扱いとする場合の留意点

・取締役会の決議

書面投票制度を採用した会社において、承諾株主の請求があったときに議決権行使書面を交付することとするときは、株主総会招集の決定事項として、取締役会でその旨を決議しなければなりません(298条1項5号・4項、会社法施行規則63条4号イ)。議決権行使書面を送付しない取扱いとする場合には、この決議を失念することのないよう留意しなければなりません。

・総会出席株主の資格確認

株主総会に出席する株主に対しては、出席資格の確認のため、あらかじめ株主に送付した議決権行使書面の提出を求めていますが、承諾株主に対して議決権行使書面を送付しない取扱いとする場合は、受付において議決権行使書面を持参しなかった株主と同様の対応をする必要があります。すなわち、受付において、受付票等の用紙に株主の住所および氏名等の記入を求め、それらを株主名簿のデータと照合することにより出席資格の確認を行なうことになります。また、電磁的方法による招集通知に株主番号や電子投票のためのログインIDなど株主確認に資する情報が含まれている場合は、株主総会に出席するに際して招集通知のコピーを持参するよう、あらかじめ記載して案内することも考えられます。総会当日の受付事務を円滑に進める観点からは、電磁的方法で招集通知を送信した場合であっても、従前どおり議決権行使書面を郵送することも考えられます。

C)株主名簿管理人への確認事項

招集通知電子化の事務の殆どは株主名簿管理人が実施することとなるので、招集通知電子化を検討・実施するときには、あらかじめ株主名簿管理人へ次の点を確認しておくことが望ましい。

・招集通知電子化に係る事務手数料

事務作業の増加に伴い、新たな事務手数料が発生することになります。承諾株主の数によっては、事務手数料がコスト削減額を上回る場合もあるので、注意が必要です。

・招集通知電子化に係る事務手数料

事務作業および株主への送達日数の関係上、当該請求期日を議決権行使の締切日より前に設定する必要があるため、あらかじめ株主名簿管理人に当該請求期日の確認をしておくことが考えられます。

ü 通知の内容(4項)

通知には298条1項で決議した内容を記載しなければなりません。いわゆる狭義の招集通知の記載事項です。詳しい内容はこちらを参照して下さい。

定時株主総会の特則(437条)

計算書類、事業報告を添付しなければならない

定時株主総会の特則(444条6項、会社計算規則134条)

連結計算書類を通知に添付しなければならない

Ø 株主提案権(303条、304条、305条)

株主提案権とは、会社の取締役に対して株主総会の決議事項を提案することができるとする権利のことです。これは、昭和56年の商法改正において、株主の意思が会社ないし他の株主に容易に表明されるようにして、株主と会社間の意思疎通を図るために新たに設けられたものでした。それ以前は、株主が総会の議題として求めるためには、総会招集権を行使する以外に方法がありませんでしたが、わざわざ自ら総会を招集しないで、会社側が招集する総会で、その目的を達することができるようにしたのがこの権利です。少数株主による株主総会の招集(297条)を簡易化したものと言えます。なお、株主提案権には「議題提案権」と「議案提案権」の2つがあります。

※株主の有する権利の中で自益権と共益権のうち、株主が会社の経営に参与することを目的とする共益権にあたるものです。共益権のうち、1株の株主が単独で提起できる議決権のような単独株主権に対して、一定数以上の株式を有する株主に認められる権利であるため少数株主権に分類されます。

303条

@株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。

A前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は300個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を6ケ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)までにしなければならない。

B公開会社でない取締役設置会社における前項の規定の適用については、同項中「6ケ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

C第2項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。

304条

株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第1項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。

305条

@株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(第299条第2項又は第3項の通知をする場合にあっては、その通知に記載し、又は記録すること)を請求することができる。ただし、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた割合)以上の議決権又は300個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を6ケ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、当該請求をすることができる。

A公開会社でない取締役設置会社における前項ただし書きの規定の適用については、同項ただし書中「6ケ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

B第1項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項ただし書の総株主の議決権の数に算入しない。

C前三項の規定は、第1項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合には、適用しない。

ü 議題提案権(303条)

議題提案権とは一定の事項を株主総会の目的とするように請求できる権利です。つまり、取締役会の決定した議題に別の議題を追加することを請求する権利です。それゆえ、追加提案権とも呼ばれることもあります。例えば、定款一部変更の件を議題とする定時株主総会に、取締役選任の件を議題とすることを請求するということです。株主総会で決議できる議題は法令や定款で決められています。それ以外の議題を株主が提案した場合には、会社はそれを議題とする必要はないとされています。他方で、適法な株主の提案を会社が無視した場合には、取締役に対して過料の制裁が課されます(976条)。

ü 議案提案権(305条)

会議の目的である事項について株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知するように、取締役に請求できる権利です。つまり、会社が出そうとしている議案の反対提案や修正提案を総会招集通知に記載することを請求する権利で、反対(修正)提案権とも呼ばれることがあります。例えば、取締役選任の件が議題とされており、会社側が甲を候補者とする議案を出そうとしているときに、株主が乙を候補者とする議案(反対提案)、または甲および乙を候補者とする議案(修正提案)を総会招集の通知に記載することを請求するという場合です。

この通知請求に応じて株主総会の招集通知に記載された場合に、参考書類も交付されることになります。その際には、通常の参考書類の記載事項の他に、議案が株主の提出に係るものである旨、その議案に対する取締役会の意見がある時はその内容、及び株主が提出した提案理由等を記載しなければならないことになっています。(301条1項、302条1項、325条、会社法施行規則93条)

ü 株主総会会場における提案権(304条)

株主は、株主総会の会場において、会議の目的事項について取締役提出議案に対する修正提案等を提出することができます。会議の構成員が審議事項について、その審議のなかで議案に修正を求めることができるのは当然のことです。これは303条や305条のような少数株主権としての制限はなく、実務においては株主提案権の中で扱うよりも、株主総会の議事運営における動議対応として扱われています。ここでは、別に説明します。(こちらを参照してください。)

ü 株主提案権行使の要件(303条、305条)

@株式保有要件(303条2項、305条1項)

@)保有議決権要件…総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を保有すること

これを下回る数を定款で決めている場合は、その数が要件となります。株主提案権は、提案株主が議決権を行使することができる事項に限り認められるものです、提案事項について議決権を行使できない株主が有する議決権数は、総株主の議決権数に算入されません(303条4項、305条3項)。

A)継続保有期間要件…6ヵ月前から引き続き保有すること

この6ケ月より短い期間を定款で決めている場合には、その定款で定められた期間が要件となります。

この継続する期間についてポイントは次の2点です。

ア.6ヵ月の保有継続の起算点「いつから株式を保有していることが必要か」

株主提案権行使の行使日から遡って6か月前からの継続した保有が必要です。これは、条文か要件を満たす株主に限り請求することができると述べられていることからで、請求のときに要件を満たしていないといけないと書かれているからです。これは裁判例としても定着していることです。この場合、株主提案権の行使日(初日)を算入しないでその前日から起算し(民法140条)、6ケ月の期間を暦にしたがって計算して(民法143条1項)、6ケ月目の起算日に応当する日の前日に満了する(同条2項)ことになるので、株主提案権の行使日と株主資格の取得の日との間は丸「6か月間」が存在する必要があるということです。

イ.株式保有期間の終期「株主提案権の行使後、いつまで株式を保有しておく必要があるか」

株主総会の議決権行使の基準日、株主総会終結時点、及び株主提案権の行使日と株主総会の議決権行使の基準日のいずれかの遅い日等の諸説があるが、実務では株主提案権の行使日と株主総会の議決権行使の基準日のいずれかの遅い日とするのが一般的です。

A株主提案の期限内であること(303条2項)…株主総会の日の8週間前までに請求を行う

この8週間より短い期間を定款で決めている場合には、その定款で定められた期間が要件となります。

この提案の行使期限についてポイントは次の2点です。

ア.8週間の起算点となる株主総会基準日

そもそも、提案をする時点で株主は株主総会の開催日を知る由もないのです。そこで、8週間の起算点となる株主総会日については、実際の株主総会開催日と、株主総会日と客観的に予想される日とする考えがあります。実務的には、実際の株主総会日と考えられています。その理由として、株主総会の2週間前に招集通知を発することとの関係で8週間前が決められていることと、株主の側でも、事前に株主総会日を知らないため、十分時間的余裕を見込んで請求すべきと考えているためです。

イ.応当日が休日である場合の取り扱い

株主総会日の8週間前の日(応当日)が休日である場合について、次の3つの考え方があります。

・休日に該当したとしても何ら影響を受けず、その応当日が株主提案権の行使の最終日となる

・休日である場合には休日の直後の営業日が株主提案権の行使の最終日となる

・休日である場合には休日の直前の営業日が株主提案権の行使の最終日となる

とくに8週間という要件を充たしていなくても、会社が任意で取り上げることには問題がないことから、一般的には2番目の考え方が採られています。

ü 株主提案権行使の実質的要件(305条)←通知請求権の場合

次の場合には会社は、株主からの議案の通知請求を拒絶できることになっています。

@)実質的に同一の議案につき過去に議決権の10分の1以上(定款による引き下げは可能)の賛成が得られなかった日から3年を経過していない場合

圧倒的多数で否決された株主提案は再提案しても見込みはなく、このような株主提案が濫用的に繰り返されることを防止する趣旨の要件と考えられています。

実質的に同一の議案かどうかの判断は困難だと言われています。

形式的な文言等が異なっていても、実質的に意味が同じ場合は、同一性があると判断されます。一方、形式上はまったく同じでも、前回のときと背景や条件が異なり、提案の実質的な意味が異なる場合には同一性がないと判断されます。たとえば、1株当たり同一金額の剰余金配当を行う旨の提案でも、事業年度が異なれば実質的な同一性はないこととなる。実務的には、実質的に同一であることが明らかである場合を除き、当該議案が圧倒的多数で否決される見込みである時は、却下せず上程したうえで否決するという方法がとられることが多い。

A)当該議案が法令・定款に違反する場合

会社法295条2項で株主総会は会社法および定款で定めた事項に限り決議することができる旨規定に従ったものと言えます。法令・定款への適合性の判断の前提として、提案議案は具体性を有することが求められるものです。代表的な議題について個別に検討してみましょう

A.剰余金処分議案

.会社法460条の定款規定がある場合

定款で剰余金処分を取締役会権限としている場合において、会社法459条1項に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない旨を定款で定めることができます(460条1項)。この場合は剰余金処分の株主提案は、定款に反することになり拒否事由にあたります。

.会社法460条の定款規定がない場合

株主提案の配当議案が、会社提案に対する代替議案(会社提案の配当は行わず、株主提案の配当だけを行う)であるのか、会社提案に追加して配当する趣旨なのかを明確にする必要があります。この区分が明確に示されていない場合は、代替議案として扱うのが合理的と考えられます。この場合、会社提案の配当額に対して、株主提案の配当額が増額になる、減額になることだけをもって不適合の判断はできない。ただし、増額となる場合、または会社提案に加えて配当する提案の合計が分配可能額規制に抵触しないかどうかのチェックは必要となります。

B.取締役・監査役等の選、解任議案

.会社提案と株主提案の候補者数合計が定款で定める員数枠を超える場合

役員選任議案では、候補者ごとに賛否の意思を表明するため、候補者ごとに別議案であると考えられるので、候補者合計が定款に定める員数枠を超えることがあっても定款に違反するものではないと考えられます。

.解任により法令上の員数を欠くことになる場合

役員解任議案により、当該議案が株主総会で可決されると法令に定める役員の最低員数を欠くことになることがあり得ますが、そのために当該株主提案が不適法とされるものではないと考えられます。

.特定の人物について連続して選、解任提案があった場合

前年の総会で否決された特定の人物の役員への選任の株主提案については、当該特定個人の資質に基づいて判断されることになるものと考えられるので、議案の実質的同一性が肯定できるものと考えられます。

〔参考〕実務上の留意点

実際にも株主提案はどのような手続で行われ、もし株主提案があった場合に会社はどのような対処をするのかを、簡単に説明したいと思います。

(1)実際の株主提案権の行使

株主が株主提案権のような少数株主権を行使するには、機構を経由して個別株主通知を行わなければならない。(振替法154条2〜3項、147条4項)

A.株主が単独で権利行使する場合

機構が個別株主通知を行った日から4週間以内に、発行会社に対し、次の書類を提出して権利行使する。

ア.権利行使請求書

イ.口座管理機関が交付する受付票

B.複数の株主が共同して権利行使する場合

複数の株主が共同して権利行使する場合、株券電子化前は提案内容に同意する株主から、記名押印した委任状を代表者が集め、その代表者が発行会社へ提出する方法が一般的であった。株券電子化後も、基本的には以下の通り、株券電子化前と同じ手続きとすることが考えられる。

ア.個々の株主は、口座管理機関に対して個別株主通知の申出をする。

イ.個々の株主は、口座管理機関から交付された受付票及び記名捺印した委任状を提案株主の代表者に送付する。

ウ.提案株主の代表者が、上記イ.の書類を取りまとめ、機構が個別株主通知を行った日から4週間以内に、当該発行会社に提出する。

(2)会社が株主提案権の行使を受けたときの対応のフロー

会社が実際に株主提案権の行使を受けた場合、どのように対応していくかのフローを下に簡単に作りました。

株主から株主提案権行使の請求を受け取った時の確認(本人確認等)→  ×  受付しない

  ↓○

株主が行使した提案権の確認(提案された議題及び通知請求について確認) 

  ↓○  @形式的要件                             →  ×  提案却下

  ↓○  A実質的要件、拒絶事由                      →  ×  不適法提案

招集通知、参考書類、議決権行使書に株主提案を反映

(3)会社に株主から株主提案権行使の請求があった場合(株主から上記書類が送付された場合)の実務対応

前項のフローの最初のところ、株主から株主提案権行使の請求を受け取った時に、会社は何をするのかを簡単にまとめました。

A.受付時の確認

株主から株主提案権を行使するために前ページの書類が会社に送られてきた場合、つぎの点を確認して、当該請求に応じるか否かを判断する。複数の株主が共同で行使する場合、個別に確認する。

ア.当該請求者が株主本人であるか否か

個別株主通知の内容と受付票に記載された当該株主の氏名及び住所等を照合すること、及び株主の本人確認書類を提出させることで、株主からの権利行使であることを確認する。

※株懇モデルの株式取扱規程

(株主確認)

第10条 株主(個別株主通知を行った株主を含む。)が請求その他株主権行使(以下「請求」という。)をする場合、当該請求等を本人が行ったことを証するもの(以下「証明資料等」という。)を添付し、または提供するものとする。ただし、当会社において本人からの請求等であることが確認できる場合はこの限りでない。

2.当会社に対する株主からの請求等が、証券会社等および機構を通じてなされた場合は、株主本人からの請求等とみなし、証明資料等は要しない。

3.代理人により請求等をする場合は、前2項の手続きのほか、株主が署名または記名捺印した委任状を添付するものとする。委任状には、受任者の氏名または名称および住所の記載を要するものとする。

4.代理人についても第1項および第2項を準用する。

イ.当該株主が口座管理機関から交付された受付票を有しているか

ハ.当該請求が個別株主通知後、4週間以内であるか否か

ニ.権利行使請求書について、次の2点が満たされているか

・株主の氏名または名称及び住所の記載、押印がなされている

・行使する株主提案の内容が法令に基づき記載されている

(4)会社に株主から株主提案権行使があった場合の実務対応

前項のフローの2番目のところ、株主が行使した株主提案権の確認として、会社は何をするのかを簡単にまとめました。

.形式的要件の確認

.会社法に規定された保有議決権要件及び継続保有期間要件を満たしているかを、個別株主通知によって確認します。

イ.株主提案の期限内であることの確認

ウ.株主の資格の確認

株主提案権を行使できるのは「株主」であるから、株主提案権が行使された場合には、株主名簿上の株主による株主提案権の行使であるかを個別株主通知と請求書に記載された氏名・住所を照合、確認する。

株主提案権の行使は、株主本人のほか、株主本人の委任に基づいて代理人が行ってもよい。この場合の代理人は株主である必要はない。もっとも、株主でない代理人によって株主提案権が行使された場合には当該代理人は株主でないため、株主総会会場に入場することはできない。代理人によって、株主提案権が行使された場合には、当該代理人が委任状等株主本人の真正な意思による代理である旨を確認できる書類を求めて、代理権の有無を確認する。

エ.株主提案の方式

会社法では、株主提案の方式については規定していない。旧商法では書面で行うと規定していたのに比べて、口頭でも電磁的方法でも可能となった。そのため、実務的には定款及び株式取扱規則で規定することが考えられる。

※株懇モデルの株式取扱規程

(少数株主権等)

第11条 振替法第147条第4項に規定された少数株主権等を当会社に対して直接行使するときは、個別株主通知の申し出をしたうえ、署名または記名捺印した書面により行うものとする。

(株主提案議案の株主総会参考書類記載)

第12条 株主総会の議案が株主の提出によるものである場合、会社法施行規則第93条第1項により当会社が定める分量は以下のとおりとする。

一 提案の理由

 各議案ごとに400字

二 提案する議案が役員選任議案の場合における株主総会参考書類に記載すべき事項

 各候補ごとに400字

.実質的要件の確認

通知請求の場合、305条では実質的要件を規定しています。その要件について確認します。内容については実質的要件の説明を参照して下さい。

(5)株主提案の受け入れ・不採用

前項のフローの最後のところ、株主提案を受付してから、会社は何をするのかを簡単にまとめました。

. 株主提案を受け入れる際の留意点

会社提案と株主提案がどのような関係に立つのかによって、総会での両議案の位置づけ、それらに対する賛否の意思表示の扱いが変わってくる。つまり、招集通知、参考書類、議決権行使書の書き方が変わってきます。

例えば、株主提案を記載した招集通知としては、このような例 

ア.株主提案が1つの独立した提案を構成していない場合

株主提案という構成をとりつつ、実体は会社提案に対する反対の意思表明に過ぎない場合は、独立した議案として取り扱わない。

(例)会社から「買収防衛策導入の件」が提案されているのに対して、株主から「買収防衛策廃止の件」が提案された場合

イ.株主提案が会社提案とは別の独立した提案を構成している場合

・会社提案と株主提案が両立する場合

会社提案・株主提案に対してそれぞれ賛否を表明することができ、会社提案と株主提案は別々の議案として審議し、それぞれ採決する。

(例)会社から剰余金配当議案が提案されているのに追加して、株主から当該議案に追加して○円の剰余金配当議案が提案された場合

・会社提案と株主提案が両立しない場合

会社提案・株主提案に対していずれも賛成することはできない。会社提案と株主提案は一括審議し、いずれか一方のみに賛成するという取扱をする。

(例)会社から剰余金配当議案が提案されているのに対して、株主から当該議案に代替するものとして剰余金配当議案が提案された場合

. 株主提案があった場合の適時開示

適時開示規則では明確に規定されてはいないが、適時開示を行っている企業が多く、次の2通に分けて開示しているようである。

適時開示の事例としてたとえば、このような例

・株主提案権の行使に関する書面を受領した旨及び株主提案の内容を開示するもの

・株主提案に対する会社意見を開示するもの

. 株主提案があった場合の招集通知・議決権行使書面・参考書類の作成

ア.招集通知

★記載の順序

招集通知の会議の目的事項の決議項目に株主提案の議題、議案を掲載しますが、その順番について、先に会社提案の議案、その後に株主提案の議案を記載するのが通例となっています。それは、この後で説明する、総会での審議の順番と密接に関連しているからです。

参考例

【会社提案】

第1号議案 剰余金処分の件

第2号議案 取締役8名選任の件

第3号議案 事前警告型買収防衛策導入の件

【株主提案】

第4号議案 剰余金処分の件

第5号議案 定款一部変更の件

第6号議案 取締役2名追加選任の件

★付議・審議の順序

・同じ議題に関する両立しない会社提案・株主提案については、一括して付議・審議することになります。

上の例では、剰余金処分の件については会社提案・株主提案を一括して審議します。

・論理的に先行する株主提案が出されている場合には、株主提案を先に付議・審議しなければなりません。

上の例では、会社提案の「事前警告型買収防衛策導入の件」、株主から買収防衛策導入については株主総会の特別決議を要するという内容に定款を変更する議案が提起されている場合には、株主提案の定款変更議案を審議します。つまり、定款の一部変更を否決して、買収防衛策の導入決議は特別決議にすることを否定してから、「事前警告型買収防衛策導入の件」を普通決議で承認させるというわけです。

・両立しない別個独立の会社提案・株主提案については、会社提案を先に付議・審議します。

上の例では、会社提案の「取締役8名選任の件」と株主提案の「取締役2名追加選任の件」については(この会社の定款には上限役員数が10名となっていれば)両立する別議案なので、別々に審議することが可能です。

イ.議決権行使書面

★会社提案と株主提案が両立する場合

別々の議案として審議することが可能です。従って、会社提案と株主提案をそれぞれ独立の議案としてナンバーを付して、賛否の欄を設けます。つまり、会社提案の議案が増えた場合と同じように扱えばいいのです。

★会社提案と株主提案が両立しない場合

この場合は一括審議する必要があります。片方に賛成したら。もう片方は反対しないといけないという場合には注記をする必要があります。株主は議決権行使書面を全議案に賛成に記入するか、あるいは白紙で返送することが多いのです。全部賛成では、両立しない会社提案と株主提案の両方に賛成という意思表示はありえないので、そういう議決権行使書面は無効になってしまうからです。そのため、無効票を少しでも減らすために、全部に賛成できないということを注記する必要があるのです。この注記には二つの方法があります。

・分別表示

分別して、第1号議案、第4号議案という形で、別の議案としてのせて、注意表で「第1号議案について賛成の表示をされる時に、第5号議案については反対としてください」という文章を入れます。

・一括表示

第1号議案か第4号議案かの一方しか○をつけられない形を明確にするために、この二つを一括表示して姉妹、ひとつの議案について会社提案、株主提案という形に分けて、「どちらかひとつだけ○をしてください」という書き方をします。

※取締役選任の場合にはかなり複雑なことになります。

ウ.参考書類

★株主提案の参考書類記載事項(会社法施行規則93条)

会社提案の議案の記載事項に以下の項目を追加します。

・議案が株主の提案に係るものである旨

・議案に対する取締役会の意見がある時は、その意見の内容

・株主が議案の通知請求に際して会社に対して提案の理由を通知した時は、その理由(ただし、当該提案の理由が明らかに虚偽である場合又はもっぱら人の名誉を侵害もしくは侮辱する目的によるものと認められる場合を除く)

・議案が役員選任に関するものである場合において、株主が議案の通知請求に際して会社に対して会社法施行規則74〜77条に定める事項(役員選任議案における参考書類記載事項)を通知したときは、その内容

★提案理由の字数制限

提案理由の字数制限を定款や株式取扱規程で定めている会社は、何字以内にしてくださいという形で指導できます。

. プロキシファイト

株主提案が提出された時に、その提案を成立させるため、提案した株主は他の株主から委任状を集める場合があります。そのため株主総会の会場の運営では委任状の対策を考える必要が起こります。委任状対策については310条の議決権の代理行使のところを参照して下さい。

. 不適法提案の処理

株主提案の内容が不適法である場合、会社はその提案を不採用とすることができる。その不採用とする場合、何らかの法律上の手続きは明文上要求されていない。

株主提案の適法性判断は取締役会で行うのが適当と思われる。

根拠 1.株主総会の目的事項の決定は、株主提案の採否も含めて取締役会決議による(298条)ため、その決定に当たっては株主提案の適法性も当然に問題になると考えられるため。

2.株主提案を不採用とされた株主から、当該取扱いを不服として、後日、株主総会決議取消訴訟を提起されるリスクに備えて、手続きを明確化させるため。

※実務上は、不適法提案についても、不採用とした場合の株主のリアクションを考慮し、一応株主総会に付議することがある。株主提案を圧倒的多数で否決できることができるならば、一応総会に付議し、否決してしまうことの方が無難という議論である。また、当該株主との折衝により提案の修正や取り下げを説得するのが実務上、実際にやり取りされているものと思われる。

〔参考〕個別株主通知について

個別株主通知とは権利行使をしている当人が株主であることを証明する本人確認の書類です。以前の株券電子化がされる前は、各発行会社が株主名簿を管理していて、そこに株主の署名と捺印が登録してあったので、印鑑照合と署名の確認で本人確認ができました。しかし、株券電子化によって、株主は証券会社を通じて株式を売買しているので、それができなくなって、その代わりに個別株主通知という書類を保振機構が作成して証明してくれるようになりました。

個別株主通知の仕組みを簡単に説明すると、次のようになります。

個別株主通知は、株主が振替口座を開設する口座管理機関(証券会社)に対して個別株主通知の申出の取次請求を行うことによって為される。

口座管理機関は、申出の取次を受け、株主に対しては@申出株主の氏名または名称及び住所、A口座管理機関の名称、B個別株主通知の申出の取次請求を受け付けた日、C受付番号、D個別株主通知対象銘柄等を記載した受付票を発行し、機構に対しては申出の取次を行う。

機構は口座管理機関に口座の情報の報告を請求し、報告の請求を受けた口座管理機関は、機構に情報の報告を行う。各口座管理機関からの情報を集約して、機構は会社(株主名簿管理人)に対して個別株主通知を行う。個別株主通知の日程は申出受付日の4営業日後を標準とする。

※個別株主通知には対象銘柄について株主が所有するすべての振替株式を通知対象とする全部通知と対象銘柄について株主が申出の取次を行った口座管理期間に開設した振替口座に記録された振替株式のみを対象とする一部通知があり、一部通知は申出受付日の3営業日後に通知を受け取ることができる。ただし、「少数株主権等行使対応指針」では、全部通知を進めているため、本レジュメでは全部通知を基本としている。

機構は、申出株主が口座を開設する口座管理機関に個別株主通知を行った日の通知を行い、口座管理機関は、申出株主に個別株主通知済通知書を交付する。

個別株主通知による通知事項は、1)個別株主通知対象銘柄、2)申出株主の氏名または名称及び住所、3)申出受付日、4)受付番号、5)対象日、6)対象日において申出株主が有する個別株主通知対象銘柄である振替株式の増減の記載または記録がなされたときは増減の別及びその数、7)対象日において申出株主が有する個別株主対象銘柄である振替株式の数等(業務規程154条19項)

ü 公開会社以外の場合(303条1項、3項、305条2項)

ここで説明してきたのは公開会社の場合です。公開会社以外の株式会社の場合には、要件が違ってきます。

@取締役設置会社以外の会社(303条1項)

取締役会設置会社以外の会社は、株主は、取締役に対し、少数株主権ではなく単独株主権として(株式保有期間の要件もない)、一定の事項を株主総会の目的とするように請求できます。この場合、請求時期の制限もないので、株主総会の会場での議題提案権の行使も可能です。また、取締役設置会社以外の会社では、株主総会の目的事項を事前に株主に通知することが原則として義務付けられておらず、招集者が目的事項として定めた事項以外の事項も決議できることの現れと言えます。

A公開会社以外の取締役設置会社(303条3項、305条2項)

公開会社以外の取締役会設置会社の場合は、公開会社とは提案株主の株式の保有期間6ケ月の要件がありません。

ü 罰則、違反の効果(976条、831条)

取締役は、株主の提案した議題を正当な理由なく取り上げなかった時及び株主の提案した議案を正当な理由なく取り上げなかった時及び株主の提案した議案を正当な理由なく招集通知に記載しなかった時は、取締役が過料の制裁を受ける(976条19号)。

また、取締役が会社または株主から提案されている議題についてなされた適法な議案提出権または通知請求権の行使に応じなかった場合は、その議題について招集手続に瑕疵があることになり、決議取消事由になる。(831条1項1号)

Ø 株式会社の招集手続等に関する検査役の選任(306条)

@株式会社又は総株主(株主総会において決議することができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会の招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。

A公開会社である取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議することができる事項」とあるのは「第298条第1項第2号に掲げる事項」と、「有する」とあるのは「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とし、公開会社でない取締役会設置会社における同項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議することができる事項」とあるのは「第298条第1項第2号に掲げる事項」とする。

B前二項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。

C裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。

D第三項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。

E裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第三項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。

F第三項の検査役は、第5項の報告をしたときは、株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては、当該株式会社及びその者)に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記載された事項を法務省令で定める方法によって提供しなければならない。

会社又は総株主の議決権の100分の1以上を有する株主(公開会社では6ヶ月前から引き続き有する者に限る)は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、株主総会に先立ち検査役の選任を裁判所に請求することができます(306条)。これは、紛糾が予想される株主総会について会社又は株主が、委任状の取扱いの適法性、説明義務の履行の状況等を調査させ、決議取消との訴えを提起した場合の証拠を保全するため選任を求める制度です。総会検査役には通常弁護士が選任され、調査結果を裁判所に報告し、かつ会社に対し報告書の写しを交付します(306条5〜7項)。報告を受けた裁判所は、必要があると認めるときは、取締役に対し、検査役の調査結果を開示しかつ取締役会がそれに関し調査した結果を報告するための株主総会の招集、または、検査役の調査結果の株主への通知を命ずることが出来ます(307条)。

Ø 議決権の数(308条)

株主総会の表決に加わる権利が議決権で、株主総会で発言し、説明を求める権利の前提となるものです。株主は会社の残余財産の帰属者ですから、会社がよい経営をして企業価値を高めれば株主の利益が増大することになるので、会社の経営にコミットできる議決権は株主の経済的利益の追求と確保ために認められている、と考えてもいいでしょう。最近は、コーポレートガバナンスの向上が企業に強く求められていて、これを促しまたは実現させるものとして株主の議決権行使には、改めて関心が集まってきています。

※コーポレートガバナンス・コードの基本原則1が株主の権利確保に関するもので、原則1−1は株主の議決権に直接かかわるものとなっています。コーポレートガバナンス・コードの原則1−1については、こちらを参照願います。

@株主(株式会社がその総株主の議決権4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く)は、株主総会において、その有する株式1株につき1個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を有する。

A前項の規定にかかわらず、株式会社は、自己株式については議決権を有しない。

ü 1株1議決権の原則(1項)

株主は、その有する株式1株につき、1個の議決権を有する。これを1株1議決権の原則といいます。株主平等の原則、つまり、株主はその有する株式の数に応じて平等の扱いを受けるという原則の、議決権の面におけるあらわれと言えます。

※株主平等の原則

明文の規定はありませんが、会社法の原則です。株主は、株主としての資格に基づく会社に対する法律関係においては、原則として、その有する株式の数に応じて平等の取り扱いを受ける。これを株主平等の原則と言います。株主の地位が均一の割合的単位の形をとり、したがって各株式の表章する権利の内容が同一であることから認められるものであって、文字通りには株式平等の原則と言われるべきものを、その帰属者である株主の面から表現したものと言われます。

この株主平等の原則のメリットは、株式会社における多数決の濫用から少数派株主の利益を保護する機能を有する点にあります。すなわち、株主総会や取締役会において多数決で可決された事項でも、それが株主平等の原則に反する場合には、その決議の効力が否定されることになります。代表取締役の業務執行行為によって定められた事項についても同様です。ただし、株主平等の原則に反する行為であっても、それによって不利益を受ける株主が承認している場合には、不平等扱いも許されると考えられています。

※単元株制度(188条)

会社法188条及び308条で、例えば100株をまとめて1単元とするような1単元について1個の議決権を有するように規定されています。これは、上記の株主平等の原則に反するように見えます。そういう議論も存在していますが、もともと単元株制度は前身である単位株制度が実質的には株式の併合と同じ効果を簡易な手続で行えるようにしたもので、単元未満株式は端株に相当するということや、会社は単元未満株式については売り渡しや買取請求に応じるという保障も補完的に行われているので、株主平等の原則の例外と考えられています。

ü 1株1議決権の原則の例外─相互保有株式(1項、会社法施行規則67条)

たとえばA会社とB会社とが相互に相手方会社の株式を保有している状態にある場合に、それらの株式を相互保有株式といいます。このうち、A会社がB会社の議決権の4分1を超える議決権を有しているときは、B会社は、A会社の株式を有していても、その株式について議決権を有していないことになります。この場合、A会社はB会社の議決権の4分の1を超える株式を有しているので、その持ち株を通じてB会社を支配している状態にあり、したがって、B会社がその有するA会社の株式について議決権行使を認められると、その議決権行使は、結局A会社の経営者の意思に従って行われることになります。それは、間接的な自己株式の議決権行使と同じことになるからです。

なお、実務上は次の点に留意することが必要です。

l 完全子会社が親会社の議決権の総数の4分の1を有する場合等に、株式相互保有規制を適用されてしまうと、総会において議決権を行使する者がいなくなってしまう。そういう場合には、議決権行使の禁止は適用されません(会社法施行規則67条1項)。

l 「議決権の総数の4分の1」をいつの時点で判断するかについては、議決権行使の基準日を定めたときは、原則として、その基準日となります。ただし、その基準日後に株式交換等によりB社がA社の議決権を全部取得した時、もまたは、その基準日から298条1項各号の事項決定の日(株主総会招集の決議)までの間にB社の議決権保有割合の増減によりA社の議決権行使の可否に変化が生じたことをB社が知ったときは算定時点は後ろにずれます(会社法施行規則67条3項)。

l 298条1項各号の事項決定の日(株主総会招集の決議)の後でA社の議決権行使の可否に変化が生じたことをB社が知ったときにおけるA社の議決権の取り扱いは、B社の裁量に委ねられます(会社法施行規則67条4項)。

ü 1株1議決権の原則の例外─自己株式(2項)

1株1議決権の原則の例外として議決権を有しない株式として代表的なものが自己株式です。もし、自己株式が議決権を有するということになると、会社が、つまりは経営陣が議決権を有することになりますから、取締役による会社支配、経営権の維持、保身などに利用されてしまうおそれがあります。それによって株主の意思が総会の決議に反映しなくなってしまって、議決権が歪曲化されてしまうことになる可能性があります。従って、自己株式は議決権を有しないことになっています。

〔参考〕議決権を有しない株式について

相互保有株式、自己株式以外にも議決権を有しない株式がありますので、参考のために紹介しておきましょう。

・議決権のない株式(108条)

いわゆる種類株式で、優先株と呼ばれる株式の中で議決権を有しない代わりに配当を優先的に受けることができる株式があります。これは、定款の定めにより、一般の株式とは別に募集されるものです。

・証券保管振替機関名義の失念株式(29条3項)

株券電子化前に、証券保管振替機構から預託していた株券の交付を受けて機構から脱退した者が、株主名簿への名義書換請求手続を失念している場合の株式です。株主名簿上は機構が株主として記録されています。株主総会では議決権を行使することができる株主の議決権数に含めることになりますが、機構は、招集通知を送付したとしても議決権行使をしません。

・株券喪失登録者(名義人以外の損失株券に係わる株式)(230条3項)

発行会社において、株券喪失登録者と株主名簿上の名義人が異なるときは、その株式の株主は、株券喪失登録抹消日まで株主総会での議決権を行使できません(会社法施行規則230条3項)。

・基準日後に発行された新株式(124条4項)

・単元未満株式、端株株式等

〔参考〕議決権を有しない株式の取り扱い

議決権のない株式に対して、株主総会の議決権を有しないので、一般の株式と異なる取り扱いとして、以下のようなことになります。

・株主総会の定足数への不算入

・株主総会招集通知、参考書類、議決権行使書などの関係書類の不送付

ü 議決権の帰属者

議決権を有する株主は原則としてその時点における株主名簿上の株主ですが、株主が多数いる会社では誰がその時点の株主名簿上の株主であるかを把握することが容易ではないので、特定するためにある程度の時間が必要です。そこで、株主会社は、権利行使日から3ヶ月前までの一定の日を基準日として定めることができるとされています(124条1項)。

基準日は一般的に定款に定められることが多く、定款をもって基準日を指定しなかった場合には、株主に知らしめるために2週間前までに広告しなければならないとさています(124条3項)。

上場会社である発行会社が基準日を定めた場合には、機構から発行会社(株主名簿管理人)に対して総株主通知が行われ、通知事項が株主名簿に記載又は記録されます(振替法151条1項、152条1項)。

Ø 株主総会の決議(309条)

株主総会の決議方法は三種類に分類できます。

@株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

A前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

1.第140条第2項及び第5項の株主総会

2.第156条第1項の株主総会(第160条第1項の特定の株主を定める場合に限る。)

3.第171条第1項及び第175条第1項の株主総会

4.第180条第2項の株主総会

5.第199条第2項、第200条第1項、第202条第三項第4号及び第204条第2項の株主総会

6.第238条第2項、第239条第1項、第241条第三項第4号及び第243条第2項の株主総会

7.第339条第1項の株主総会(第342条第3項から第5項までの規程により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。)

8.第425条第1項の株主総会

9.第447条第1項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)

イ 定時株主総会において第447条第1項各号に掲げる事項を定めること。

ロ 第447条第1項第1号の額ガイの定時株主総会の日(第439条前段に規定する場合にあっては、第436条第3項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。

10.第454条第4項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)

11.第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会

12.第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会

B前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。

1.その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会

2.第783条第1項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第3項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)

3.第804第1項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)

C前三項の規定にかかわらず、第109条第2項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。

D取締役会設置会社においては、株主総会は、第298条第1項第2号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、第316条第1項若しくは第2項に規定する者の選任又は第398条第2項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。

ü 普通決議(1項)

普通決議は、この後で説明する特別決議、特殊決議以外の決議は、特別の要件が課せられていない決議です。特別決議や特殊決議は、どのような場合に必要となるか、個別に法令に規定されています。そういう特別の規定のない、いわゆる一般的な株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、出席した株主の議決権の過半数の賛成により成立します。普通決議の定足数は役員選解任の決議以外、定款の定めにより自由に引き下げることができます。そのため多くの会社は、定款で法定の定足数要件をはずし、出席した株主の議決権の過半数で決議が成立する旨を定めています。但し、役員選任・解任の決議については、定款の定めによっても定足数を株主の議決権の3分の1未満と定めることはできません。そのため、多くの会社は普通決議の定足数を3分の1と定めています。

ü 特別決議(2項)

特別決議とは、定款変更、組織再編行為など株主の地位に重大な影響のある事項、または支配株主など一部の株主のみが利益を受けることになりがちな事項など、慎重な判断を要する事項について、普通決議より成立する要件が重い決議です。特別決議が成立するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(定款で引下げが可能であるが、3分の1未満にすることはできない)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(定款で引き上げることは可能)以上にあたる賛成が必要です。定款により法定の用件を加重することもできる。特別決議をしなければならない主な事項は、次のとおりです。

@組織再編等の会社の基礎の変更

定款変更(466条)、事業譲渡(467条1項)、合併(783条1項)、株式交換・株式移転(795条1項)、会社分割(804条1項)、資本金の額の減少(447条1項)、解散(471条)

A株主の地位にかかわる事項

全部取得条項付種類株式の取得(171条)、株式の併合(180条2項)

B株主平等の原則の上から株主の利害にかかわる事項

特定の株主からの自己株式取得(156条)、現物配当(454条)

C株式の発行等にかかわる重要事項

特に有利な払込金額による募集株式や新株予約権の発行(いわゆる有利発行)(199条2項、238条2項)

D会社支配にかかわる重要事項

累積投票により選任された取締役または監査役の解任(339条1項)、役員等の責任の一部免除(425条)

ü 特殊決議(3項)

特殊決議とは、個別に特別決議よりも重い要件が課せられている決議です。次の二つの事柄が該当します。

第1は、株式が定款変更により譲渡制限株式になり、または株主が組織再編行為により譲渡制限株式等を交付される場合である。この場合は、議決権を行使することができる株主の半数以上(定款で引上げが可能)で、かつ議決権を行使することができる株主の議決権の3分の2(定款で引上げが可能)以上の賛成が要求されている。譲渡制限が付され、ガバナンスのあり方が大きく変わるなど株主各人の権利に与える影響が甚大であることによる。

第2は、公開会社でない会社において、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会の議決権の各事項について株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款の変更(当該定めを廃止するものを除く)を行う場合であって、この場合については、総株主の半数以上(定款で引上げ可能)で総株主の議決権の4分の3(定款で引き上げることは可能)以上の賛成が要求される。

Ø 議決権の代理行使(310条)

@株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。

A前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。

B第1項の株主又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該株主又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。

C株主が第299条第3項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。

D株式会社は、株主総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。

E株式会社は、株主総会の日から3箇月間、代理権を証明する書面及び第3項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

F株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条第4項及び第312条第5項において同じ。)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

1.代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求

2.前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

ü 代理人行使の手続(1〜4項)

代理人による議決権行使の場合には、株主又は代理人は代理権を証明する書面(委任状)を会社に提出しなければなりません(1項)。これを会社の承諾を得て書面に代えて政令の定める方法で電磁的方法を用いて提出することができます(3項)。なお、この株主が株主総会の招集通知を電磁的方法で提供を受けることを承認した株主である場合には、会社は代理権の証明を電磁的方法で提出することを拒むことはできません(4項)。

また、代理権の授与は株主総会ごとに行われることになります(2項)。すなわち、提出された委任状は1度の株主総会のみで有効ということになります。

代理権を証明する書類又は電磁的記録は、株主総会終結の日から3ヶ月間、本店に備え置いて、株主の閲覧・謄写に供されることになります(6項、7項)。

ü 代理人の資格(1項)

株主の議決権行使の機会は保障されなければならないので、会社は定款で議決権代理行使を禁止することはできません。しかし、そのかわりに議決権行使の代理人の資格を株主に限定する旨を定款に規定している例は多く、これは株主総会が株主以外の者により撹乱されることを防止する目的で、その範囲内で認められていると考えられています。したがって、この規制は、代理人が株主でないことを理由に議決権の代理行使が拒まれると、その株主の総会に参与することができなくなる場合には、この規制の効力は及ばないと考えられています。例えば、法人である株主が代表者の指示を受けた従業員を代理人として出席させた場合や入院中の株主が親族に代理行使を委任した場合などの例があります。

※株懇モデルの定款

(議決権の代理行使)

第17条 株主は、当会社の議決権を有する他の株主1名を代理人として、その議決権を行使することができる。

2 株主または代理人は、株主総会ごとに代理権を証明する書面を当会社に提出しなければならない。

〔参考〕非株主の出席のケース

@法定代理人

未成年者の株主の親権者、成年後見人等の法定代理人については、戸籍抄本、登記事項証明書等によって、代理権を有することを確認し、本人確認のうえ入場を認めることになります。

A弁護士

判例では画一的に代理人の資格についての基準を明確にしていません。実務としては、株主以外の弁護士を代理人として総会に参加させたい旨の申し出があり、入場を認める場合、総会当日に弁護士資格や本人確認、委任状の有効性等を確認するのは手間がかかるため、事前に先方株主や弁護士に必要書類等を案内し、了承を取っておくとともに総会当日も一般受付とは別とし、不測の事態に備え顧問弁護士に立ち会ってもらうことが考えられます。

B外国人株主

外国人株主等は実質株主ですが、実質株主の株主総会出席については株式懇話会が「グローバルな機関投資家等の株主総会への出席に関するガイドライン」を公表しています。これが参考になると思います。なお、コーポレートガバナンス・コード補充原則1−2Dにおいて、このことをテーマとしています。実務対応を含めた解説はこちらを参照願います。

ü 代理人の数(2項)

会社は株主総会に出席できる代理人の数を制限することができます。これは、議決権の不統一行使を口実として、1人の株主が多数の代理人を総会に出席させ、総会の運営が混乱させるのを防止するためです。なお、代理人の数を制限する場合には、定款にその内容を定めるか、株主総会の招集を決定する取締役会で定めて招集通知に記載する必要があります(会社法施行規則63条5号)。

〔参考〕招集通知の記載例

4.招集にあたっての取締役会のその他の決定事項

(1)代理人による議決権行使

代理人により議決権を行使される場合は、議決権を有する他の株主の方1名を代理人として株主総会にご出席いただけます。たたし、議決権行使書用紙、代理権を証明する書面に押印された印鑑証明書またはバスポート、運転免許証もしくは各種健康保険証の写しその他株主本人を確認できる資料とともに代理権を証明する書類のご提出が必要となりますのでご了承ください。

〔参考〕委任状の勧誘

株主が自ら代理人を選んで議決権を行使させることができるように、会社または株主が株主に対して、自己または第三者に議決権の代理行使をさせるように勧誘することができます。この代理行使の勧誘は、勧誘をしようとする者(勧誘者)が、勧誘を受ける者(被勧誘者)に対して委任状用紙を交付して、それに必要事項を記載して、それを勧誘者に送付するように勧誘するので、「委任状の勧誘」と呼ばれています。例えば、会社提案に反対する株主が、反対票を集めようと、他の株主に委任状を書いてもらい、その株主たちの代理人となって反対票を投じるというものです。これに対して会社が委任状を勧誘することもあります。この場合は会社自らが代理人になれないので、第三者に代理させることを勧誘することになります(多くの場合、会社の総務部長が代理人となるようです)。昭和56年に書面投票制度が導入される以前は、会社は定足数、賛成票を確保するために株主に対して委任状を勧誘していました。現在でも少数ですが委任状勧誘を行なっている上場会社も存在します。

・委任状勧誘の規制(金商法194条)

上場株式の議決権行使について委任状を勧誘する場合には、勧誘者が会社またはその役員であろうとそれ以外の者であろうと、被勧誘者に対して、法定の事項(委任状規則1〜41条)を記載した参考書類を提供して行なわなければなりません。また、その委任状用紙は、議案ごとに被勧誘者が賛否を明記することができるようなものでなければなりません。この実質的な内容は書面投票制度と参考書類によく似ているものです。

委任状勧誘制度の概要を以下で説明します。

ア.委任状用紙と参考書類の公布

議決権の代理行使の勧誘を行おうとする者(勧誘者)は、株主に対して、委任状用紙及び代理権の授与に関し参考となる事項を扱った書類(以下「参考書類」という。)を交付しなければならない(金商法施行令36条の2第1項)。これは電磁的方法でも可能(金商法施行令36条の2第2項)。

イ.参考書類の記載事項

勧誘者が、当該会社またはその役員の場合、参考書類に記載しなければならない事項は、以下の通り(勧誘府令1条1項)。

・勧誘者が当該株式の発行会社またはその役員である旨

・議案

・提案の理由(議案が取締役の提案に係るものに限る)

・議案につき、監査役の調査により株主総会に報告すべき調査の結果があるときは、その調査結果の概要

さらに、役員等の選任または解任に関する議案、役員の報酬等に関する議案、計算書類の承認議案、企業再編等の承認議案及び株主提案による議案については、各々記載すべき事項が定められている(勧誘府令2〜20条)。

ウ.委任状用紙の記載事項

委任状用紙には、代理人に委任する事項について明記する必要がある。法令上は、議案ごとに被勧誘者が賛否を記載する欄を設けなければならない旨のみが記載事項として定められている(勧誘府令43条)。他の記載事項は、議決権行使書面に準じる。通常、委任状用紙には、以下の事項が記載される。

・委任する代理人欄

・委任する事項

議決権の行使内容

当該株主総会の各議案について、株主の指示にしたがって議決権を行使する旨が記載される。また、但し書きに、議案に対し賛否の記載のない場合あるいは修正案が提示された場合は代理人に白紙委任する旨が記載される。

復代理人選任の件

株主がが、自ら代理人を指名してきた場合において、当該代理人が総会に出席できないときに備えて、復代理人を選任する旨を委任するものである。

・議案ごとの賛否を記載する欄

複数の役員等の選任または解任に関する議案、あるいは複数の会計監査人の不再任に関する議案の場合は、勧誘府令には候補者別の賛否を委任状用紙に記載することが求められていないため、各候補者、各役員等および各会計監査人別に賛否を記載できる欄を設ける必要はない。また、参考書類の各議案には、各候補者、各役員等および各会計監査人に番号を付す必要はない。

・株主の氏名・名称(押印欄を含む)

・株主番号

・当該株主が行使することができる議決権の数、基準日現在の所有株式数

エ.委任状による議決権の行使の期限

委任状勧誘の場合、議決権の行使の期限は限定されていない。よって、書面投票制度のように、総会日の前日までに提出することはできない。

オ.動議に対する対応

委任状勧誘制度を採用した場合、株主総会において動議が提出された際の取扱いについては、手続上の動議および実質動議とも代理人が議決権を行使することができるとされている。また、その旨を、委任状用紙に記載している例も多い。

カ.委任状用紙・参考書類の金融庁への提出と備置

勧誘者は、委任状用紙および参考書類を交付したときは、直ちにこれらの書類の写し(これらの書類の作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合においては、当該電磁的記録または電磁的記録に記録された事項を記載した書面を含む。)を金融庁長官に提出しなければならない(金商法施行令36条の3)。ただし、議決権を行使することができる株主全員に公布されている場合を除く(勧誘府令44条)。

また、委任状用紙は、代理権を証する書面であることから、会社は、株主総会の日から3ヶ月間、本店に備え置き、株主の閲覧・謄写請求に応じなければならない(310条)。

・議決権代理行使と書面投票制度

議決権の代理行使の勧誘と書面投票制度は、いずれも、株主が自らは総会会場に出向くことなく、しかもその意思を決議に反映させることを認める制度である点では共通しています。しかし、次の点が違います。第一に、前者はすべての株式会社について認められているのに対して、後者は、それが認められるのは株主が1000人以上の公開会社に限られているという点です。第二に、前者では代理人の行為を通じて株主の意思が決議に反映されるのに対して、後者は他人の行為が介在しないで議決権行使書面が会社に提出されることによって直接、株主の意思が決議に反映されます。第三に、株主総会で議事進行に関する動議が提出された場合に、前者においては、そのような動議についても代理権を与えておけば、出席している代理人は、それについて代理権を行使できます。後者は株主自身が株主総会に出席していない以上、それについて自分の意思を反映することはできません。そこで実務上は、書面投票制度を採用している会社では、会社に協力的な大株主等に出席を求めたり、包括委任状えることで動議が提出された場合の用意としているのが通常です。

書面投票制度の導入後も委任状の勧誘は取締役に反対する立場の者が委任状勧誘を行うことはあります。また、会社が議決権を行使できる株主全員に対して委任状用紙を添付して委任状勧誘をしたときは、書面投票制度は適用しないものとされています。(298条2項但し書き)

   書面投票制度  委任状勧誘制度
根拠法令

・会社法298条1項3号、2項

・会社法施行規則

・金融商品取引法196条

・金融商品取引法施行令36条の2〜6

・上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令
議決権行使の形態 ・会社に提出することで議決権完了 ・議決権行使を他の株主に委ねる代理行使
議決権の行

使に際して

参考となる

事項を記載

した書類
・株主総会参考書類 ・参考書類
参考書類記載事項 ・議案

・提案の理由

・議案につき監査役の調査により株主総会に報告すべき調査結果があるときは、その結果の概要(施行規則73条1項

・一定の議案に定められた記載事項(施行規則74〜92条)

・勧誘が当該株式の発行会社またはその役員である旨

・議案

・提案の理由

・議案につき監査役の調査により株主総会に報告すべき調査結果があるときは、その結果の概要(勧誘府令1条1項

・一定の議案に定められた記載事項(勧誘府令2〜20条)
株主総会参

考書類参考

書類のウェブ

開示
・可能 ・不可
議決権行使の書面 ・議決権行使書面 ・委任状用紙

議決権行使

書面・委任状

用紙の法定

記載事項
・各議案についての賛否の欄(複数の役員等の選任または解任議案、複数の会計監査人の不再任議案については、各人別に賛否が記載できることが必要)

・賛否の記載のない場合の取扱い

・重複行為の取扱い

・議決権の行使の期限

・株主の氏名・名称と行使できる議決権数

(施行規則66条1項)

・議案ごとの賛否の欄(勧誘府令43条)

・株主氏名・名称(押印欄)
私製書面の利用 ・不可 ・可能
議決権行使の期限 ・原則、総会の日時の直前の営業時間終了時

・特定の時を定めた場合は、特定の時

・総会終了時
事後処理 ・議決権行使書面を総会3か月間本店に備置、株主の閲覧に供する(311条3項)

・委任状用紙・参考書類の写しを金融庁長官へ提出(金商法施行令36条の3)

・委任状用紙を総会3か月間本店に備置、株主の閲覧に供する(310条6項) 

〔参考〕株主による委任状勧誘時の対応実務(留意点)

@株主による委任状勧誘の準備

株主は委任状勧誘を行うに先立ち、株主名簿の閲覧・謄写を請求するのが一般的です。事前に株主を把握し、その名簿に従って勧誘するからです。株主から株主名簿の閲覧・謄写の請求を受けた場合には、次のいずれかに該当する以外を除き、会社は株主の請求を断ることができません(125条3項)。

・請求者がその権利の確保または行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき

・請求者が会社の業務の遂行を妨げ、または株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき

・請求者が会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するものであるとき

・請求者が株主名簿の閲覧または謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するために請求を行ったとき

・請求者が、過去2年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき

A株主による委任状勧誘への対抗に関する留意点

@)勧誘の意義

株主が行う委任状勧誘に対して、会社が株主に何らかの働きかけを行う場合、その行為が「自己又は第三者に議決権の行使を代理させることを勧誘」することに該当するのであれば、会社は委任状勧誘規制に従わなければなりません(金商法194条)。例えば、会社が、株主の勧誘に反して、会社提案に賛成する委任状の提出を求める行為は勧誘に当たるでしょう。また、会社が株主の委任状勧誘に応じないように求めることも勧誘に当たると考えられます。

A)委任状勧誘規制の例外

一般に、会社は書面投票制度を採用し、委任状勧誘は行いません。株主が株主提案権を行使した場合や、株主が委任状勧誘を行う場合、会社は、委任状勧誘規制に反しない方法で委任状を取得する場合があります(金商法194条)。しかし、次の場合は委任状勧誘規制の適用除外とされています(金商法施行令36条の6第1項)。

・当該株式の発行会社またはその役員のいずれでもない者が行う議決権の代理行使の勧誘であって、被勧誘者が10人未満である場合

・時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙による広告を通じて行う議決権の代理行使の勧誘であって、当該広告が発行会社の名称、広告の理由、株主総会の目的たる事項および委任状勧誘等を提供する場合のみを表示する場合

・他人の名義により株式を有する者が、その他人に対し当該株式の議決権について、議決権の代理行使の勧誘を行う場合

これらの具体的方法は、主要株主から過去の慣行にしたがって自発的な提出を受ける、元社員であって現株主である者が勧誘を行う、総務部長等の社員であって現株主である者が勧誘を行うといった態様で10人以下の大株主から委任状を受けている例が一般的です。

B)議決権行使書面の勧誘

会社が、議決権行使書面について、単に退出を求めたり、賛成の欄に印を付けたうえで提出を求めたりする行為など、議決権行使書面の取得に向けた勧誘については委任状勧誘規制の適用はないと考えられています。

C)委任状サンプルの同封

委任状勧誘に際しては、株主提案に賛成するよう勧誘する場合もあれば、会社提案に対して反対するように勧誘する場合もあるため、勧誘される株主は委任状をどのような記載すれば良いか分かりにくい場合があります。実務では、委任状用紙を交付する際、一緒に委任状の記載方法を記したサンプルを同封するのが一般的です。会社提案に対しては「反対」、株主提案に対しては「賛成」という記載例を記したサンプルを同封することは認められると考えられています。賛否を記載した委任状を送付することは認められません。

D)議決権行使に係る利益供与の禁止

会社法120条は株主の権利行使に関して利益供与をすることを禁止していますが、議決権を行使してもらうために行っている以上、株主が委任状勧誘を行っている場合に、会社が対抗するように粗品などを提供することは避けなければなりません。昭和19年の東京地裁でのIDEC株式会社vs株式会社モリテックス事件判決では500円相当プリペイドカードを会社が配ったのは利益供与に当たると判断しました。

B株主総会前の準備

@)打合せ

株主による委任状勧誘が行われる場合、通常、委任状勧誘を行った株主と会社は対立し、事後に株主総会の決議の効力について争いが生じる可能性があります。そのため会社は、株主総会までに株主の入場審査や採決の方法、委任状および議決権行使書面の取扱いなどについても、弁護士や株主名簿管理人と十分確認しておく必要があります。

A)用紙の確認

委任状は議決権行使に関する委任契約を称する書面であることからすると、委任者が誰か、受任者が誰か、委任者が受任者に議決権行使を委任することが明らかでなければ、有効な委任状とは言えません。委任状の有効性の判断を誤った場合は、株主総会の決議の瑕疵となります。

・委任者の押印がない場合

委任者の押印がない場合、その委任状が委任者の意思に基づいて作成されたものであるかを判断できません。実務上、委任状規制にしたがって株主に送付されたものである場合には、その委任状に押印さえなされていれば有効と考えられる一方で、押印がない委任状については、仮に署名があったとしても、無効と考える見解が一般的です。

・代理人欄に誤った名称を記載した場合

代理人欄に委任者自身の名称を記載した委任状のように、株主が議決権行使を委任した事実が認められたとしても、誰に委任したかが明らかでない限り、その委任状は無効と考えられます。なお、委任状に予め代理任命を記載して置くことは認められています。

C株主総会当日の運営に関する留意点

@)委任状が撤回された場合

委任状は議決権行使に関する委任契約を称する書面ですから、いつでも撤回することができます(民法650条)。撤回の申し出があった場合、その委任状に基づく議決権の行使は認められませんが、会社は、その撤回の申し出が正式になされたものであることの確認を行なわなければなりません。その確認は、委任状が正式なものであるかの確認と同じレベルで行えばいいと考えられています。なお、撤回の申し出は、本来、委任者と受任者との間でなされるべきですが、仮に、会社に対して撤回の申し出がなされたとしても、会社を介して申し出が当事者に伝達されればよいため、そのような申し出に基づき撤回を認めても差し障りはないと考えられます。

A)委任状と議決権行使書面の両方が提出された場合

議決権行使書が株主総会に出席しない株主のものであるため、代理人が株主総会に出席する場合は効力は生じないことになります。委任状と議決権行使書面の両方が提出された場合、委任状が優先します。

B)委任状を提出した株主が株主総会に出席した場合

委任所を提出した株主が株主総会に出席した場合、その株主は委任状を撤回したと考えられるため、出席した株主の議決権を正当なものとして取り扱わねばなりません。

C)両立しない議案についての委任状の効力

たとえば、定款で定める役員の員数8名のところに、会社が8名の候補者を提案する一方で株主が8名の候補者を提案した場合、株主提案に賛成し、かつ別の議案が提案された場合は白紙委任する旨を明記した委任状を、会社提案の議案について出席議決権数に含め、出席として取扱います。しかし、会社提案と株主提案が両立するか否かの判断は困難です。

Ø 書面による議決権の行使(311条)

@書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を株式会社に提出して行う。

A前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。

B株式会社は、株主総会の日から3箇月間、第1項の規定により提出された議決権行使書面をその本店に備え置かなければならない。

C株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、第1項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写の請求をすることができる。

ü 書面による議決権の行使(書面投票制度)(1項)

書面による議決権行使、いわゆる書面投票制度は、株主総会の招集者が、総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使する旨を定めることができ(298条1項3号)、その定めをした場合、招集の通知に際して、法務省令の定めるところにより、株主に対して、議決権行使の参考書類及び議決権行使書を交付し(301条)、株主は議決権行使書面に必要事項を記載し会社に送付することによって議決権を行使できる(311条)という制度です。すなわち、書面投票制度は、株主自身が株主総会に出席することなく議決権を行使できるための便宜を会社が図る制度です。

議決権を有する株主が1000人以上の会社においては、この書面投票制度を採用することを法律上強制されています(298条2項)。このような会社は、通常、株主の分散度(株主が地域的に分散している程度)が高く、直接に株主総会に出席できない株主が多いので、そのような株主にも議決権行使の機会を与えて、できるだけ多くの株主の意思を株主総会に反映させようとしたものです。

ü 書面による議決権の行使の方法、効果(2項)

総会に出席しない株主は、議決権行使書面に、各議案に対しての賛成、反対等の記載をして、これを総会の前日までに会社に提出して、つまり前日までに会社に届くように送付して、議決権を行使します。賛否の記載のない議決権行使書面が提出された場合には、議決権行使書面又は招集通知に、その場合の取り扱いについての記載があれば、その記載通りの取り扱いをすることができ(「白紙の場合は賛成とみなす」)、その記載がなければ無効として取り扱うことになります。

書面による議決権行使は、出席したのと同じ取り扱いがなされ、その議決権の数は出席した株主の議決権の数に算入されます(2項)。

会社に提出された議決権行使書面は総会終結の日から3ケ月間、本店に備え置かれ、株主はこれを閲覧・謄写することができます(3項、4項)。これは書面に記載されたとおりに取り扱われたかどうかを確認する手段を与えるためです。

Ø 電磁的方法による議決権の行使(312条)

@電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該株式会社に提供して行う。

A株主が第299条第3項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。

B第1項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。

C株式会社は、株主総会の日から3箇月間、第1項の規定により提出された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

D株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

株主総会の招集者は、総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使できる旨を定めることができます(298条1項4号)。この電磁的方法による議決権の行使、いわゆる電子投票制度は書面投票制度の議決権行使書面の会社への提出を電磁的記録の提出に置き換えるものです。書面投票制度と併用することも可能です。総会を物理的な場所で開催せず、遠隔通信の方法のみで行う電子総会とは別です。この制度を採用するか否かの判断は、招集者の選択に委ねられており、書面投票制度のように議決権を有する株主の数が1000人以上に会社に強制されてはいません。

電磁的方法による議決権行使が行われる場合には、書面投票制度の場合と同じく、株主に対して株主総会参考書類の交付が行われなければなりません(302条)。

電磁的方法による議決権行使が行われる場合には、招集者は、招集者が電磁的方法により総会の招集通知を発することを承諾した株主に対しては、その通知に際して、議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供しなければなりません(302条3項)。それ以外の株主から、総会の会日の1週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、直ちにその事項を電磁的方法により提供しなければなりません(302条4項)。

電磁的方法による議決権の行使は、株主が、会社の承諾を得て、議決権行使書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録に必要情報を記録し、それを法務省令で定める時までに電磁的方法で会社に提供する形で行われます(312条1〜3項)。実際には、会社が指定した議決権行使サイトを利用する方法で行われます。株主は議決権行使サイトにアクセスし、事前に会社から指定されたID(議決権行使コード)とパスワードを入力した上で、議案に対する賛否を表示します。なお、本人確認は、このときのIDとパスワードの入力によって行われることになります。

会社に提供された事項を記録した電磁的記録は、総会の日から3ケ月間、本店に備え置かれ、株主の閲覧・謄写に供されます(4項、5項)。

※書面投票と電子投票による議決権の二重行使

書面投票と電子投票とを会社が併用する場合、一人の株主が、その両方を行う可能性があります。その際は、後になされた議決権行使によって、その前になされた議決権行使が撤回されたものとして取り扱うのが原則です。しかし、一方が書面、他方か電磁的方法という重複があると、どちらが前か後かを判別することが難しくなるので、どちらかの一方の方法によったもの優先させる旨を招集者が定めて、株主に対して予め通知することが認められています(298条1項5号、会社法施行規則63条)。

〔参考〕議決権行使プラットフォーム

国内外の機関投資家は、株主名簿上、自己の名義以外(信託銀行を株主名簿上の株主とする等)で株式を保有する例が多いのですが、信託銀行を通じて書面による株主総会参考書類等の交付を受けたのでは、適正に議案を検討する等の時間を確保することが難しくなります。そこで、機関投資家が迅速に電磁的方法により株主総会参考書類等の交付を受け、かつ電磁的方法による議決権行使を信託銀行等名義の情報に変換した上で行うこと可能としたシステムが議決権行使プラットフォームです。これは東京証券取引所がサービスを提供しているシステムで、東証1部上場会社の4割近くの会社がすでに利用しています。

Ø 議決権の不統一行使(313条)

@株主は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。

A取締役会設置会社においては、前項の株主は、株主総会の日の3日前までに、取締役会設置会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨及びその理由を通知しなければならない。

B株式会社は、第1項の株主が他人のために株式を有する者でないときは、当該株主が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。

ü 議決権の不統一行使(1項)

議決権の不統一行使とは、株主が複数の議決権を有している場合に、有している議決権を統一して行使するのではなく、例えば10株の株主が5株分を賛成に、残りの5株分を反対にするとか棄権するというように、不統一に行使することを言います。会社法では、株主が、保有する議決権を統一しないで行使することを認めています(313条1項)。

実際の例としては、株式が共有されている場合に共有者間の意見が相違するとき、同一会社の株式が信託されていて受益者が複数人存在する場合において受益者間の意思が異なるときに不統一行使が行われます。したがって、不統一行使を行う株主は信託銀行や機関投資家の場合がほとんどです。

ü 議決権の不統一行使の事前通知(2項)

取締役会設置会社の場合、株主は、株主総会の3日前までに、会社に対して、その有する議決権を不統一行使する旨及びその理由を通知しなければなりません(313条2項)。この場合の「3日前までに」とは、その通知が会社に到達した日と株主総会の日との間に中3日あることが必要とされます(民法140条)。

また、通知の方法について、かつて旧商法では書面による通知に方法を限定していましたが、現在の会社法では通知方法についての特段の定めはなく書面に限定されているわけではありません。しかし、会社が事務処理の便宜及び法的安定性の確保の観点から、議決権の不統一行使の事前通知の方法を定めることができることを前提にして、そのような方法を定めるときは、株主総会の招集の決定に当たって、事前通知の方法を定めることができます(会社法施行規則63条6号)。この決定は、取締役会設置会社であれば、取締役会の決議が必要です(298条4項)。また、事前通知の方法を定めた場合には、招集通知もしくは議決権行使書面にその旨をきさいしなければなりません(299条4項、会社法施行規則66条3項)。なお、定款に、議決権の不統一行使をする場合の事前通知の方法を定めている場合は招集の決定に際して改めて定める必要はなく、招集通知への記載も不要です。事前通知の方法を定める場合は、実務上の慣行からも書面による方法とするのが一般的です。現状では、株主が議決権の不統一行使を行う場合の通知方法として、会社作成の議決権行使書面に不統一行使を行う旨を追記して送付したり、不統一行使を行う理由を明確にしていないケースも散見されるなど、各様の通知方法が取られています。会社によっては通知書の書式を指定しているケースもあり、他方、信託銀行などでは不統一行使の通知件数が多いので、通知用紙を書式化しています。

ü 他人のために株式を有する者(3項)

議決権の不統一行使は無制限に認められているわけではなく、株式会社は議決権の不統一行使を行おうとする株主が、他人のために株式を有する者でないときは、その不統一行使を拒むことができる(313条3項)とされています。他人のために株式を有する場合とは、名義上の株主と実質上の株主が別人であって、実質上の株主の意思にしたがって議決権を行使することが妥当な場合を言います。具体的には、株式の信託、ADR(米国預託証券)またはEDR(欧州預託証券)など外国預託証券等が該当します。しかし、株主が他人のために株式を有するものであるか否かが不明確である場合には、事前通知書に記載された理由で判断することになります。理由が記載されていない場合や他人のために株式を有することの合理的説明がされていない場合、会社は、その不統一行使を拒むことができます。

ü 議決権の不統一行使の拒否

議決権の不統一行使に対して、会社は次のような場合に拒否することができます。

・総会の日の3日前までに通知されていない場合

・事前通知の不統一行使の理由の記載が明確でない場合

・他人のために株式を有するものであることが明らかでない場合

このような、事前手続に瑕疵があるばあい、この議決権行使を無効としなければならないかという問題があります。この場合、会社は、拒むことができます。これは拒むことができるというとであって、拒まなくてはならないわけではないということです。会社の判断で拒まないで認めることはできるとされています。なお、この場合には、株主間の取り扱いの平等に注意して、恣意的な運用とならないようにしなければなりません。

〔参考〕議決権不統一行使に関する取扱い指針

全国株式懇話会連合会では、機関投資家の議決権の不統一行使の増加に鑑み、不統一行使に関する事前通知書および議決権行使書・委任状に添付する書類の様式ならびにその標準的な取扱いを議決権不統一行使に関する取扱い指針として定めています。

Ø 取締役等の説明義務(314条)

取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。

株主総会において、株主は会議の目的たる事項について質問を行い、それたに対して取締役や監査役が回答し説明するのは、会議の一般原則として、当然のことです。あるいは、取締役としても株主の信頼を得て、誤解による解任を防止したり、報酬を要求するためには積極的に説明するのが本来のあり方であろうと思います。だから、この条文があるから取締役に説明義務が発生するというものではない、というのがこの条文の基本的な意味です。でそもそも、制定当初の旧商法にはこの条文はありませんでした。では、なぜこのような条文があるのか。この内容の条文は昭和56年の商法改正で新たに加えられたものです。その理由は、当時の株主総会の状況にありました。その当時の株主総会は総会屋が跳梁跋扈し、議事の運営は総会屋の振る舞いによって左右されていました。もし、かりに株主が株主総会の場で議題について質問しても、それに対して総会屋が「議事進行」の動議を提出し、議長がこの動議を総会屋の賛成多数で可決して、株主の質問に答えることなく、議案を採決してしまう。そういう議事運営が横行していました。このようなやり方は、株主の質問する権利を侵害するもので、その権利を保障するために、このような条文がつくられたと言われています。しかし、その後、この条文は総会屋に逆に利用されることとなりました。総会屋は、この条文を利用して延々と質問をして総会の引き延ばしをして、長時間総会をもたらすことになりました。

ü 説明義務

株主は、株主総会において、その議決権の適切な行使をするために必要な範囲において、会議の目的たる事項について説明を求めることができ、取締役、会計参与、監査役、執行役は、株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた事項について必要な説明をしなければならない。議決権のある株主は、その保有する議決権数の多寡にかかわらず、説明を求めることができます。ただし、単元未満株主は株主総会に出席できないため、質問することはできません。質問の内容が曖昧であったり抽象的であったりする場合には、説明義務は生じないと考えられており、これは裁判例もあります。

株主から適法に質問権が行使されたにもかかわらず、取締役が説明を拒絶したときは、決議の方法が法令に違反するものとして決議取消事由となります(831条1項1号)。ただし、質問事項が、@会議の目的である事項に関しないものである場合、A株主共同の利益を著しく害する場合、Bその他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合には、説明を拒否することができます。この場合の立証責任は会社側にあります。

株主総会前に事前質問状を送付されることがあります。これは株主が株主総会において説明を求める事項を予告したもので、株主総会での質問と同一視することはできません。説明義務は、株主総会で説明を求められて、はじめて発生します。

ü 説明義務者

説明義務者は取締役、会計参与、監査役及び執行役です。このうち誰が、株主の質問に答えて説明するのかについては、議長が議事整理権に基づいて判断し、議長が自ら答弁するか、あるいは説明者を指名します。質問者である株主が特定の取締役を回答者に指名した場合でも、議長は株主の指名に拘束されることはありません。また、より適切な説明を行なうことを目的として、役員以外の使用人、子会社の役員、顧問弁護士等も、議長の発言許可に基づき、取締役等に代わって質問に対する答弁を行うことが出来ます。

これらの義務者は総会に出席して、株主の求めに応じなければならないので、とくに規定されているわけではありませんが、株主総会に出席する義務を説明義務の前提として負っています。ただし、この出席義務は取締役及び監査役の善管注意義務にもとづくもので、やむをえない欠席は認められています。

取締役:株主から経営を受託した者として、また株主総会における議題ないし議案の提案者として、株主に対して説明する義務を負います。

監査役:取締役の職務執行などの監査が職務で、また監査報告書による監査結果をもとに、取締役が株主総会に提出する議案や書類について、法令や定款に違反または著しく不当な事項がある場合には、株主総会に報告する義務を負っています(384条)。

執行役、会計参与:各自が委嘱された業務に関して、会計参与は職務である計算書類の作成に関して説明義務を負っています。

※取締役候補者、監査役候補者には説明義務はありません。

※定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は定時株主総会に出席して意見を述べなければなりません(398条2項)。ただし、これは意見陳述義務であって、説明義務ではありません。

ü 説明義務の範囲

取締役や監査役がどの程度の説明をすれば説明義務を尽くしたことになるのかについては、会議の目的たる事項を株主が合理的に判断するのに客観的に必要と認められる程度に説明することだと言われています。具体的には、どの範囲の事項を説明しなければならないかという尺度と、どの程度まで詳しく説明しなければならないかという程度の尺度の二つの尺度で判断されます。

・説明義務の範囲

株主は株主総会において、その議決権の適切な行使をするために必要な範囲において、会議の目的たる事項(議題)について説明を求めることができます。説明義務は、これに対して株主総会の招集通知に記載され適法に株主総会の議題とされた会議の目的事項の範囲内でのみ認められると考えられています。又、合理的平均的な株主の立場において、報告事項について合理的理解、決議事項については議案の賛否の合理的判断のために、取締役等が必要な範囲内で情報提供をおこなわなければなりません。

ただし、議題に関連するからと言って、無限定な範囲で説明義務があるわけではなく、詳細に過ぎる質問、仮定に基づく質問、遠い過去または将来の事項、法律解釈上の議論、細かな計数。個別の取引に関する質問などについては説明義務の対象とならないとされています。

さらに、株主総会においては、招集通知記載の議題から一般的に予見しうる範囲を超えて決議することはできず、決議をしても手続違反(831条1項1号)として決議取消事由となるほか、場合によっては無効原因となります。従って、株主総会の議題以外の事項について、たとえ出席株主の多数決をもって説明を求められても、取締役等は、その請求に応じる義務はありません。

〔参考〕実際の会議の目的事項

株主総会の説明義務の範囲は会議の目的事項に限られることになりますが、実際のところ会議の目的事項の範囲になるかならないかという区分けはきわめて難しいて考えられます。例えば、多くの上場企業で取締役の任期を1年間としているので、毎年の定時株主総会では取締役の選任を議題としています。この場合、取締役候補の中には必ず再認となる者が含まれているはずです。その場合には前期の実績を踏まえて再認ということになります。これについて、株主が取締役の前年の実績について質問するということになれば、この1年間で経営者として取締役がかかわったこと、つまりは会社の経営に関するすべてが質問の範囲に含まれてくると考えることも可能です。一方、取締役の選任は、これから1年間の経営に従事する人を選択するわけですから、これから会社をどうして行くかということについての質問はすべて説明義務の範囲に含まれると考えることが可能です。つまり、会議の目的事項の範囲内という限定は、実際のところはあってないものと同じと考えられます。

さらに、開かれた総会とか、コーポレートガバナンス・コードの影響から株主との対話の機会という考え方を徹底すれば、株主からの質問に対して積極的に説明するという姿勢を会社は求められている状況にもあります。

ü 説明の程度

・報告事項についての説明義務

原則として、計算書類及び事業報告ならびにこれらの附属明細書の記載事項が基準となり、これを若干補足する程度で認められると考えられています。これらの書類についての閲覧請求権と会計帳簿についての閲覧請求権が区別され、後者については請求権者が限定されていることとの整合性からも、この考え方は合理的と考えられています。

ただし、大幅な変動が生じた項目があれば、その理由等について、また会計監査報告または監査報告において記載されている項目や具体的に違法行為と関連が指摘された事項については、その内容について説明する必要があると考えられています。

会社法では附属明細書の作成を義務付けられており(435条2項)、計算書類及び事業報告の記載を補足する内容について法定記載事項しています(会社法施行規則128条、会社計算規則117条)。したがって、計算書類の報告及び事業報告の議題に関して説明が求められた場合、附属明細書の記載内容を口頭で反復する程度に説明すれば、一般の株主においては客観的に報告事項を理解できると考えよく、附属明細書レベルを超えた細かい内容や数値について説明する必要はないという考え方が一般的です。

・決議事項についての説明義務

原則として、株主総会参考書類に記載されている事項に若干補足説明する程度でよいと考えられています。

株主総会参考書類は、書面投票制度において、株主がその記載事項を読めば書面による議決権行使が適切になされることを前提として法定された情報の提供です(301条1項、会社法施行規則73条)。したがって、取締役が株主総会を招集し、議案を提案して決議を求めるに際しての説明義務の範囲は、株主総会参考書類の記載内容が一般の株主か合理的に賛否の判断をなすために必要かつ十分な情報であると考えられます。

・IRの観点、株主との対話という観点からの説明

開かれた総会、株主との対話の場としての総会という観点から、本来法的に説明義務はなくても、IR、SR上の観点から説明することが有益であると考えられる事項、また株主の関心度の高いトピック等については、法律的な説明義務にとらわれず、議長の判断で説明することが望ましいと考えられます。

〔参考〕株主総会の場での説明義務の実際─事前質問状がある場合の対応

@質問状を送付することの法的な意味・効果

質問状の事前送付は、質問予定事項を事前に告知することにより会社に調査の機会を与え、「説明をするために調査を要する」ことを理由とする説明拒絶(314条但書、会社法施行規則71条)ができなくなるという効果を生じさせる点に意味があります。

・「質問の予告」であって、質問そのものではない。

質問状を送付した株主が議場で実際に質問状の質問事項を質問しない限り、この質問があったことにはなりません。したがって、質問状の時点では説明義務は生じません。

※事前に質問状を送付して総会に出席した株主が、質問の意思表示をしたが議長に指名されず、結局その質問をしなかった場合には、取締役の説明義務は生じない、という裁判例があります(東京地裁、H4東京電力事件)。

・株主が質問状の朗読を要求した場合。

朗読の義務はありません(一括回答が適当)。議長が担当者に質問状を朗読させた場合に、質問状記載の質問全部について議場で質問権を行使したとみなされた裁判例があります(広島地裁H8日本交通事件)。

A一括回答の履行

・一括回答の準備

質問状送付がある場合は、原則として一括回答の準備をします(会議の目的事項と関係ない質問や客観的な説明義務の範囲を超える質問は除く)。

※相当数の質問が来ている場合に、一括回答の方法を採らずに、株主に個々の質問をさせる方式を取った場合には、質問状記載の質問事項を一から読み上げられて、会社側がそれにいちいち対応していかなければなりません。そこで、まず一括回答を行い、その上で株主の質問を受けるという方法の方が運営上効率的です。

・一括回答をする場合の留意点

ア.一括回答したら総会場で質問の機会を与えなくてもよいというのではなく、一括回答の後で議長は口頭の質問に応ずる義務がある。

一括回答で説明済みの事項について質問した場合には、「すでに回答済みである」旨答えれば足りる。

イ.質問状提出者の出欠を明らかにする必要はない。

質問者(の氏名)を明らかにする必要はない。

ウ.質問状に全部答える必要はない(説明義務がある事項については答えなくてはならない)。

回答しない理由・基準のせつめいも不要

エ.「個別上程方式」の場合は、報告事項、各決議事項(議案)毎に、それと関連する質問事項について、一括回答しなければならない。

ü 説明を拒否できる場合

質問事項が次の場合には、説明を拒否することができます(314条但書)。

・当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合

株主は株主総会において、議題に関する事項、すなわち招集通知に記載され適法に当該株主総会の議題とされた具体的な会議の目的事項についてのみ、取締役等からの説明を求めることができるということを明記したもの。

・その説明をすることにより株主共同の利益を著しく害する場合

会社及び、その親会社や子会社の企業秘密に関する事項や、係争中の訴訟に関する事項等、情報が社外に開示されることにより、会社の将来の競争力や収益力が失われ、その結果、株主全体が損失を被るという場合が該当します。このような事項については、取締役は企業秘密に関することであることを出席株主に納得される程度の説明を行なった上で、「株主共同の利益を著しく害する内容であり、回答は差し控えさせていただく」旨の回答をします。どの程度が企業秘密であるか、説明することによりいかなる損害が生じるのか等の説明をする必要はありません。

・その他正当な理由がある場合として法務省令で定める事項(会社法施行規則71条)

ア.株主が説明を求めた事項について説明するために調査をすることが必要である場合

事業報告や計算書類の細部についての説明を求められた場合で、その説明をするために調査が必要な事項については、そのために必要な調査が著しく容易である場合を除き(会社法施行規則71条1号ロ)、説明を拒否できます。真に調査が必要かどうかについては、後日決議取消訴訟になった場合には司法上の審査の対象となりますが、実際にはこれらの質問事項は、附属明細書や株主総会参考書類の記載レベルを超えるような詳細な事項であることが多いようです。

なお、株主は株主総会の日より相当の期日前に当該事項を会社に通知することができ、この場合には、取締役は、調査が必要なことを理由として説明を拒むことはできません(会社法施行規則71条1号イ)。この通知手段は、書面に限らず、例えば会社への電話や会社HP問合せ欄への書き込み等でも、それが株主総会において質問をすることの予告であれば、書面の場合と同様に取り扱う必要があります。この通知かあっても、株主が株主総会に出席して質問をしない場合は、説明をしなくてもいいが、一括回答をすることもある。

イ.株主が説明を求めた事項について説明することにより株式会社その他の者(当該株主を除く)の権利を侵害することとなる場合(会社法施行規則71条2号)

・例えば「自己負罪」、すなわち説明をすることにより株式会社または自己が刑事訴追を受ける可能性がある場合。

・説明をすることによって、説明を求めた株主以外の株式会社その他の者の権利侵害することとなる場合(プライバシー侵害、営業秘密の漏洩、名誉・信用の毀損等)

ウ.株主が当該株主総会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求めた事項について説明を求めた場合(会社法施行規則71条3号)

エ.その他株主が説明を求めた事項について説明することができないことにつき正当な事由がある場合(会社法施行規則71条4号)

・例えば、株主からの事前の通知があって調査のための時間的余裕はあっても、必要な調査をナスに多大な費用を要する場合 

Ø 議長の権限(315条)

@株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。

A株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。

ü 議長の選任

株主総会の議長は、定款に定めがない場合には株主総会の場において選任されます。議長となる資格については株主総会に出席する権利を有する者出なければならないと解されていて、したがって株主であれば問題ありませんが、株主でなくても取締役及び監査役は議長になる事ができると考えられています。なお、旧商法では議長の選任に関する定めが規定されており、また株主総会議事録へ議長の署名が必要とされていましたが、会社法では、このような規定はなくなりました。

多くの会社では、定款に株主総会の議長を社長である取締役が務め、社長に事故がある時は予め取締役会が定めた順序により他の取締役が務めると定めています。したがって、社長が総会に出席できないときは、総会で議長を選任する手続をとることなく、定款の規定に従って取締役会で定めた順序にしたがって取締役が議長に当たります。

※株懇モデルの定款

(招集権者および議長)

第17条 当会社の株主総会は保冷に別段の定めがある場合を除き、取締役社長がこれを招集し、その議長となる。

2 取締役社長に事故あるときは、予め取締役会で定めた順序により、他の取締役がこれにあたる。

※特別利害関係ある者と議長資格

議長その地位において議事運営に当たるだけなので株主総会の決議については特別の利害関係を有する者も議長になりうると判断した裁判例(東京地判平成4年12月24日)もあります。ただし、特別利害関係ある者が議長となった結果、著しく不公平な議事運営がなされれば、その議長の下でなされた総会決議は決議取消事由となります(831条1項1号)。

実務においては、その総会終了時に退任となる取締役に対する退職慰労金贈呈議案の真偽採決において、その取締役が議長となっているときには、その議案の上程中に限り、議長に差し支えありとして交代する例があります。しかし、この場合は特別利害関係人であるからという理由によってではなく、自ら退職慰労金贈呈議案説明(その中に「在任中の功労に報いるため」という慣用句が入ります)をしにくいという事情によるものです。従って、議長不信任動議が出された場合の二つの決議、つまり、その動議を議題とするか否かの決議、そして議題とした場合の不信任動議に対する賛否の採決のいずれの場合にも、議長であり続けることが出来ます。議長の不信任動議を当の議長が採決にかけたとしても、そのこと自体が、その採決の公正さが失わせるわけではないからです。

※少数株主により招集された株主総会の議長

少数株主が招集した株主総会の議長について、定款の社長が議長となる規定は、取締役が招集を決定した通常の株主総会を前提とするもので、それ以外の場合には適用されない。したがってあらためて株主総会において議長を選任することになると考えられています(広島高裁岡山支昭和35年10月3日)。

ü 議長の権限

株主総会の議長の職務は、議事を公正・円滑に運営することです(315条1項)。議場内の発言はすべて議長の議事整理権に服することになります。例えば、議場での発言は議長の許可を要するようにする。株主の質問の順番を決める。質疑を打ち切って採決にはいる。などといったことです。ただし、議長の議事整理権は正当な議事整理のためであるので、理由なく発言を禁止したり中止したりすることはできません。行き過ぎた違法な議事整理の下でなされた決議は。著しく不公正な時に該当するとして決議取消の訴えの事由となるおそれがあります。

※質疑打ち切りの留意点

議長の権限による職務で難しいのが審議を打ち切り採決する際の判断です。株主総会において多数の株主が説明を求めれば、ある程度の時間を要することがあっても、取締役等は説明義務を尽くさねばなりません。しかし、総会も会議である以上合理的な時間内に終結すべきであるし、他の株主にも質問の機会を平等に与えるよう各株主の質問時間が不平等にならないように各株主の質問時間を制限する必要も出てきます。また、議長は相当の時間審議され、一般的な株主が会議の目的事項を理解できたと合理的・客観的に判断できる状況にあれば説明義務は尽くされたとしてときは、質疑・討論を打ち切り、採決する判断をします。その合理的・客観的判断の明確な基準はなく、議場の雰囲気や経過時間などを考慮して判断することになります。

実際には、多くの場合、議長から議場に議事進行上の提案として質疑打ち切りを諮り、賛意をとりつけるという方法がとられています。また、打ち切り時に議場が混乱することを避けて、「あと○名」「あと○問」等の予告を行うケースもあります。

主に上場会社では総会屋が議事を混乱させることへの懸念から、議長は総会の秩序を維持し議事を整理すべきこと及びその命令に従わない者その他総会の秩序を乱す者を退場させることができると明文で規定しています(315条2項)。

〔参考〕議長が退場命令を出す場合手順の例

@不規則発言は無視する。議事を妨害するほどの発言であれば、不規則発言を制止(注意)する。

A制止(注意)しても議事の妨害行為をやめない場合は、退場命令を下す旨を警告する。

B最終的に議事の妨害行為をやめない場合は、退場命令を下し、命令をした以上は撤回しない。警備員や場内整備担当は、退場命令に基づき、妨害行為をやめない株主に退場を促す。なお、暴力行為を振るう場合はもちろんのこと、議長席に物を投げたりする場合は、無警告で退場命令を下す。

※不規則発言を繰り返す株主に対し、不規則発言を中止しないと退場を命ずる旨、再三警告したにもかかわらず、当該株主が不規則発言を中止しなかったため、退場命令を発したことについて、退場命令に権限濫用などの違法性はないと判断した裁判例(東京地裁平成8年10月佐藤工業事件)もあります。

Ø 延期又は続行の決議(317条)

株主総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第298条及び第299条の規定は適用しない。

延期とは、議事に入らないで総会を後日に延期することで、続行とは議事に入ったが審議か終了しないために総会を後日に継続することです。この決議は議事の運営に関するものなので、招集通知に会議の目的ため事項として記載されないものですが、必要に応じていつでも決議することができます。その決議に従って開催される総会を継続会と呼びますが、これは新たに招集される総会ではなく、前の総会が同一性を保ちながら引き続き開催されているのとおなじことです。したがって、改めて招集通知を発送する必要はないとされています。したがっても継続会の会議の目的たる事項は前の総会と同一でなければならず、またそこで議決権を行使することができる株主は、前の総会で議決権を行使することができた者です。

〔参考〕株主総会の動議について実務対応

延期・続行の決議は株主総会の運営においては議事進行に関する動議として実務的には扱われています。ここで、動議とその実務対応についてまとめておきたいとおもいます。

動議とは会議において出席者から提出され、会議で討論・採決に付される提案のことです。株主総会は株主による会議体ですから、株主は総会で動議を提出し討論・採決することが出来ます。これは総会参与権といわれています。しかし、現代の株式会社における株主総会では会社法等の法令や定款で定められた事項しか決議することはできません。従って、株主総会では動議は招集通知に記載された議題及び議案に関する事項に限定して討議・採決に付して会議の意思決定を求める提案を行なうこととなります。他方、総会の運営と議事進行については会社法では総会の秩序維持と議事整理は議長の権限とされているので、総会出席の株主が提出する動議は、議長に対して適正な職権行使を求め、あるいは不適正な職権行為の排除を求めてなす協力や監視行為としてのみ認められていると考えられます。

@動議の種類

動議には実質的動議と手続的動議の二種類あります。

1)実質的動議:議案やその修正案をいいますが、株主総会の場合には修正動議、つまり、議案の内容について終生を求める動議、です。

株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項についての議案を提出することができるという304条の規定に基づくものです。従って304条但書による、その提案された動議が法令定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、会社は拒否できることになっています。

2)手続的動議:株主総会の運営や議事進行に関する動議で議事進行に関する動議とも呼ばれます。以下の通り会社法に基づくものと、そうでないものに大別できます。

ア.会社法の規定に基づくもの

・株主総会に提出された資料を調査するものの選任(316条)

・株主総会の延期・続行(317条)

・会計監査人出席要求(398条)

これらの会社法に基づく動議は、株主から提出されれば議場に諮る必要があります。これらの動議を無視して議事を進行した場合には、決議取消の事由となるおそれがあります。

イ.会社法の規定に基づかないもの

・議長不信任、休憩、議案審議の順序変更、決議事項の一括審議、採決方法等

議長不信任動議については議場に諮らなくてはなりませんが、それ以外は議長の議事運営権の範囲内の内容ですから、議場に諮る必要はなく議長の裁量に任されています。

A動議の提出とその対応

1)提出された動議の取扱い

ア.正当な手続に違反して提出された動議の排除

・提出すべきでない時期にかかわらず提出された場合

動議は総会が開始されて以降いつでも提出できるのが原則ですが、議案の審議に関する動議及びその他の議事進行に関する動議は、その審議に入ってからに限られると考えられます。これは会議における一般的な原則で、多くの場合には、総会の開始の際に議長が議事整理権に基づき提案の時期を制限する旨をあらかじめ説明している、それを議長のシナリオに織り込んでいるケースいます。

この場合、議長不信任等を除いて、これに反する動議に対しては、議長は却下するか、提出すべき時期に提出し直すように指導します。

・合理的理由がないことが明白な場合

開始後間もなく休憩を求めたり、特段の理由もないのに議長の交替を求める等の客観的状況から合理的理由がないことが明白な場合には、動議の提案を却下します。

・一事不再理の原則に反する場合

修正動議の場合は304条但書により、総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は拒否できることになっていますが、それ以外にも、一度否決された動議が、その後の事情の変更がないのに蒸し返して同一内容の提案がなされた時には、議事運営の妨害とみなして却下します。

・権利濫用の場合

動議を連発して会議の正常な進行を著しく阻害し、あるいは他の多数の株主の権利行使を妨害する場合は権利の濫用であって、議長はこれを却下します。

イ.違法な動議の排除

提出された動議が法令又は定款の定めに違反しもあるいは公序良俗に反するものである場合、例えば、会議の目的事項として招集通知に記載されていない事項を新たに議題として提案した場合や毛各事由のある取締役候補者を提案した場合などは提案を却下します。

2)動議の審議方法

ア.先議の原則

動議は提出の時期に反しない限り、他の提案の審議に先立って直ちに審議されなければならない。したがって、議案の審議中に適正な動議が提出された時は、議案の審議一時中断して動議の審議を行います。

イ.複数の動議間の審議の順序

・2個以上の動議が提出された場合、その審議は手続的動議が先で実質的動議が後。

・手続的動議間では、議事の運営に関する動議を優先し、議題の審議に関する動議を後にする。

・その他の議事進行に関する動議間では優先順位がなく、その都度直ちに審議する。

ウ.審議の手続

修正動議は、総会の議題・議案の審議と同様に、提案者からの趣旨説明、質疑応答を経て討論を行った上で採決します。

手続的動議は、修正動議とは違って議事の客観的手続に関するものであり、出席株主が議事運営の具体的状況を現認しており、動議の内容も明確で特定でき、かつ、極めて簡単なものがほとんどです。したがって、動議を総会に諮ることについては、討議を経ることなく直ちに採決しても差し支えないと考えられます。

エ.採決の順序

修正動議は原案より先に採決し、修正動議が複数の時は、原案に最も遠いものから先に採決するのが一般原則です。しかし、修正動議を原案と一括審議した場合、議長は原案から先に採決することができるとされていて、これが一般的です。なお、裁判にも判断例があります(仙台地裁平成5年3月24日)。これは、修正動議の提案理由は原案の内容をベースにしているのが実情で、審議の際には原案と修正動議を一括して扱うのが常であるため、採決の順番もベースとなる原案から始めるほうが株主にも理解しやすいと考えられるからです。

実務上は、原案を先に採決して可決承認されれば、議案はその時点で成立し、修正動機を採決する必要がなくなってしまうので、そこで採決を省略することができます。例えば剰余金の配当について原案で配当額が決定してしまえば、その後で違う金額の配当金の採決をする必要はないわけです。

オ.手続的動議の採決

上記にもかかわらず、手続的動議に対しては、出席議決権中の圧倒的多数の賛成が得られるという前提の上で、ですが、直ちに動議を取り上げてその動議を諮るのではなく、その動議に反対する旨の議長提案を行い、その議長提案議決することで議長の意向に沿った議事進行を行うことが一般的です。

なお、その際の採決は、発生又は拍手の採決で足りるということです。

3)道義の採決の際の議決権行使書面等による事前行使の取扱い

ア.修正動議

議決権行使書面による書面投票、あるいは電子投票は、会社提案(原案)に対する投票のみであるので、会社提案に賛成の投票は原案賛成でかつ修正動議には反対として取扱い、会社提案に反対の投票は修正動議に対しての賛否は不明のため棄権として取り扱います。

イ.手続的動議

手続的動議は議事運営に関する動議なので、事前の議決権行使の効力は及びません。これらの議決権数はしたがって欠席と扱われます。書面投票制度及び電子投票制度は議決権の行使のみを株主に保障し、審議には直接参加するものではないことを前提としている制度であるため、これらの動議については、当日の出席株主のみで決議せざるを得ないのです。したがって、会社としては当日の出席株主の議決権の中においても動議に安全に否決できるだけの多数を掌握してことが望ましく、大株主の包括委任状や当日出席の大株主の座席位置と動議対応での会社側賛成を確保しているのが一般的です。

B修正動議の許容範囲

修正動議の許容範囲は、総会が議案を修正して有効に決議できる範囲のことです。招集通知記載の会議の目的事項(議題)から一般に予見しうる程度の原案の補充・変更の範囲となると考えられています。具体的には以下のような範囲と考えられます。

1)剰余金の配当議案に対する増額・減額

剰余金の配当に関する増額・減額については、いずれも一般的に予見できることから動機として採り上げるというのが多数説です。

2)定款変更議案の修正

定款変更議案の修正動議としては

ア.変更議案の一部を変更しない提案

○議案の同一性は失われず、一般的に予見可能とされている。

イ.変更議案の原案にさらに変更箇所を追加する提案

×議案の同一性が失われると解されている。

ウ.変更議案(事業目的の追加)における原案の追加事業の削除提案

○議案の同一性は失われず、一般的に予見可能とされている。

エ.変更議案(事業目的の追加)における原案以外の事業の追加提案

×議案の同一性が失われると解されている。

3)取締役・監査役選任議案の修正

ア.取締役が推薦する候補者以外の候補者の提案(候補者の変更)

○候補者は議案そのものではないと考えられている。

イ.「Aさんを候補者から外す」旨の提案(候補者の減員)

ウ.「候補者としてBさんを加え、選任人数を1名増員する」旨の提案目的の追加)

エ.別個に「Cさんを取締役として選任する」旨の提案(別議案)

イ.ウ.エ.いずれも×議案の同一性が失われると解されている。

4)取締役・監査役報酬議案の修正

ア.報酬枠の増加額の減額修正動議

○予見可能とされている

イ.報酬枠の増加額の増額修正提案

×議案の同一性が失われると解されている。

4)取締役・監査役報酬議案の修正

具体的金額を株主総会で決議する旨の提案

5)役員退職慰労金贈呈案の変更

具体的金額を株主総会で決議する旨の提案

○議案の同一性は失われず、一般的に予見可能とされている。

Ø 議事録(318条)

@株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない

A株式会社は、株主総会の日から10年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。

B株式会社は、株主総会の日から5年間、第1項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第2号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。

C株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

1.第1項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求

2.第1項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

D株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第1項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

株主総会の議事については法務省令に定める事項を内容とする議事録を作成しなければなりません(1項)。

ü 議事録の作成義務者(会社法施行規則72条3項6号)

株主総会議事録の作成義務者は取締役とされています。議事録には議事録の作成にあたった取締役か代表取締役のいずれか記載しなければなりません。したがって議長が当然のごとく作成義務を負うことにはなりません。

ü 議事録の作成時期

議事録をいつまでに作成しなければならないかの期限は法令で明確に定められてはいません。しかし、会社は、議事録を株主総会終了の日から10年間本店に備え置いて、株主からの閲覧謄写の請求に応えなければならない(2〜4項)ため、すみやかに作成しなければならないことになります。また、登記事項がある場合は登記の際に議事録を添付する必要があるので、登記の期限である総会の日より2週間以内に作成する必要があります(915条1項)。

ü 議事録の記載事項(会社法施行規則72条)

株主総会の議事については、株主総会議事録を書面又は電磁的方法をもって作成しなければならない(会社法施行規則72条2項)。

記載事項は次のとおりです。

@)株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人または株主が株主総会に出席した場所における当該出席の方法を含む)(会社法施行規則72条3項1号)

A)株主総会の議事の経過の要領およびその結果(会社法施行規則72条3項2号)

B)株主総会において、以下の内容に関して意見の陳述または発言があった場合には、その意見または発言の内容(会社法施行規則72条3項3号)

A.監査等委員である取締役が株主総会で述べた、その者の選任、解任、辞任等についての意見(342条の2第1項)

B.監査等委員である取締役が辞任等をしたのち、最初の株主総会においてその者が述べた辞任の旨およびその理由等(342条の2第2項)

C.監査等委員である取締役が株主総会において述べた、監査等委員である取締役以外の取締役の選任、解任、辞任等についての意見(342条の2第4項)

D.会計参与または監査役若しくは会計監査人が株主総会において述べたこれらの者の選任、解任、辞任等に関する意見(345条1、4、5項)

E.辞任した会計参与もしくは監査役または辞任等した会計監査人が辞任等をしたのち、最初の株主総会においてこれらの者が述べた辞任の旨およびその理由等(345条2、4、5項)

F.監査等委員である取締役が株主総会において監査等委員である取締役の報酬等について述べた意見(361条5項)

G.監査等委員会が選定する監査等委員が株主総会において監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について述べた監査等委員会の意見(361条6項)

H.計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類の作成に関する事項について会計参与が取締役と意見を異にするときに株主総会で会計参与が述べた意見(377条1項)

I.会計参与が株主総会において報酬等について述べた意見(379条3項)

J.監査役が取締役による株主総会への提出議案、書類等について法令もしくは定款違反、または著しく不当な事項があると認めた場合に、株主総会で報告した当該事件に関する調査の結果(384条)

K.監査役が株主総会において監査役の報酬等について述べた意見(387条3項)

L.計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類が法令又は定款に適合するかどうかについても会計監査人が監査役と意見を異にする場合において、会計監査人が株主総会に出席して述べた意見(398条1項)

M.定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があった場合において、会計監査人が株主総会に出席して述べた意見(398条2項)

N.監査役の監査範囲が会計に関するものに限定されている旨の定款定めを置いた公開会社でない株式会社の監査役が、取締役による株主総会への提出議案、書類等に関して報告した調査の結果(389条3項)

O.監査等委員が、提出議案、書類等について法令もしくは定款違反、または著しく不当な事項があると認めた場合に、株主総会で報告した当該事件に関する調査の結果(399条の5)


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