新任担当者のための会社法実務講座
第770条 合同会社に発行済株式
を取得させる株式交換契約
 

 

Ø 合同会社に発行済株式を取得させる株式交換契約(770条)

@株式会社が株式交換をする場合において、株式交換完全親会社が合同会社であるときは、株式交換契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 株式交換完全子会社及び合同会社である株式交換完全親会社(以下この編において「株式交換完全親合同会社」という。)の商号及び住所

二 株式交換完全子会社の株主が株式交換に際して株式交換完全親合同会社の社員となるときは、当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の価額

三 株式交換完全親合同会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の株主に対してその株式に代わる金銭等(株式交換完全親合同会社の持分を除く。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項

イ 当該金銭等が当該株式交換完全親合同会社の社債であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

ロ 当該金銭等が当該株式交換完全親合同会社の社債以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

四 前号に規定する場合には、株式交換完全子会社の株主(株式交換完全親合同会社を除く。)に対する同号の金銭等の割当てに関する事項

五 効力発生日

A前項に規定する場合において、株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式交換完全子会社及び株式交換完全親合同会社は、株式交換完全子会社の発行する種類の株式の内容に応じ、同項第四号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。

一 ある種類の株式の株主に対して金銭等の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類

二 前号に掲げる事項のほか、金銭等の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容

B第1項に規定する場合には、同項第4号に掲げる事項についての定めは、株式交換完全子会社の株主(株式交換完全親合同会社及び前項第1号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第2号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて金銭等を交付することを内容とするものでなければならない。

 

合同会社に発行済株式を取得させる株式交換において、株式交換をする会社は、完全親会社となる合同会社との間で、株式交換契約を締結しなければなりません(770条)。締結された株式交換契約の定めに従って、合同会社に発行済株式を取得させる株式交換の効力が発生します(771条)。770条は合同会社に発行済株式を取得させる株式交換契約において定められるべき事項を規定しています。

ü 必要的記載事項と任意的記載事項

株式交換契約については、法律により、必ず定めなければならない事項が定められています(770条)。株式交換契約は、会社法では、必ずしも書面であることを求められているわけではありませんが、法律で必ず定めるべき事項とされている記載事項を必要的記載事項と呼びます。必要的記載事項を記載した株式交換契約の締結、そして法定の手続きを経ることにより、法律上の効果として、株式交換契約に定めるところに従った株式交換の効力が発生します。

他方、実務では、必要的記載事項に当たらない事項を、株式交換契約に規定することも少なくありません。株式交換契約は、その名の通り、契約ですから、必要的記載事項以外の合意事項を記載することも可能です。それが任意的記載事項です。

なお、株式交換等を利用したM&A取引の場面でも、他のM&A取引のときと同様に表明保証、取引実行の前提条件や補償等に関する事項について合意したいところです。しかし、株式交換契約は、株主総会の決議による承認が必要で、当事会社としては株式交換契約に、それらの事項を記載することは避けようとするのが一般的です。そこで、法定書類としての株式交換契約には必要的記載事項とごく基本的な任的記載事項を記載するにとどめ、それとは別に、当事会社間で契約書を別途締結し、その契約書の中に、表明保証、取引実行の前提条件や補償等に関する事項を記載するということが、しばしば行われます。もっとも、このような別途契約で、株式交換契約で定めた株式交換の条件、特に交換対価やその条件を実質的に変更することは、それによって不利益を受けるすべての株主が契約の当事者となっている場合はとにかく、そうでない場合には、どこまで別途契約に定めるかということには議論があります。

ü 株式交換契約で定めるべき事項

・合併当事会社の確定(770条1項1号)

株式交換契約において、株式交換をする株式会社(株式交換完全子会社)と合同会社である株式交換完全親会社の商号と住所を定めなければなりません(770条1項1号)。同一の所在場所における同一の商号の登記は禁止されている(商業登記法27条)ことから、当事会社が特定されることになります。

<記載例>

第○条 甲および乙の商号および住所は次のとおりとする。

(1)甲(株式交換完全親会社)

商号:○○合同会社

住所:○○県○○市○○町○丁目

(2)乙(株式交換完全子会社)

商号:△△株式会社

住所:△△県△△市△△町△丁目

上記記載例のように一つの独立した条項として記載することまで法律上求められているわけではなく、株式交換契約のどこかで明記されていれば足りるため、契約の頭書の部分に記載している例も少なくない。

・株式交換完全子会社の株主に対して交付する対価の金銭等(770条1項2、3号)

会社法では、株式交換に際して完全子会社の株主が完全親合同会社の社員になる場合とそうでない場合を認めていて、対価が柔軟化されています。

@)株式交換の対価が完全親会社の持分である場合(770条1項2号)

完全子会社の株主が株式交換に際して完全親合同会社の社員となるときは、その社員の氏名または名称および住所ならびに出資の価額を、株式交換契約において定めなければなりません(770条1項2号)。完全子会社の株主であった者が完全親会社である合同会社の社員になること、または、金銭等の交付を受けることが株式交換契約に定められる。これが株式交換の対価です。

定められた出資の価額に応じ、原則として、損益分配や残余財産の分配の割合が定められます。完全親会社の資本金および資本剰余金の増加額は、債権者異議手続が経られた場合を除き、株主資本等変動額の範囲内で、株式交換契約の定めに従い定められた額であり、利益剰余金の額は変動しません(617条1項、会社法施行規則159条2号、会社計算規則39条)。

A)株式交換の対価が合同会社の持分以外である場合(770条1項3号)

株式交換契約に完全親合同会社が金銭等を交付することを定めたときについては、それが完全親合同会社の社債である場合とそれ以外の場合に分けて、株式交換契約の記載事項定められています(770条1項3号)。

株式交換対価の金銭等の割当てに関する事項についての定めは、株式交換完全子会社の株主の有する株式の数に応じて金銭等を交付することを内容とするものでなければなりません(770条3項)。ただし、@完全親合同会社が有する抱合せ株式、A株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合に、株式の種類ごとに異なる取扱いをするときの種類株式については(770条2項)、例外的な取り扱いが認められています。

ア.株式交換の対価が完全親合同会社の社債である場合(770条1項3号イ)

対価の金銭等が完全親会社の社債である場合には、株式交換契約に社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法が記載されていなければなりません(770条1項3号イ)。この「社債の種類」については、744条1項5号イ、107条2項2号ロ、681条1号の規定により会社法施行規則165条に掲げる事項が社債の種類とされています。また、「社債の種類ごとの各社債の金額の合計額」は、社債原簿に記載されるべき種類ごとの社債の金額の対価として交付される合計額です(681条2項)。なお、この定めは完全子会社の株主に交付する社債の総体についての定めであり、これを各株主にどのように割り当てるかについては771条4項に定められています。

<記載例>

第○条 甲(完全親会社)は、本株式交換に際して、乙(完全子会社)の株主に対して、乙の株式に代わる金銭等として、効力発生日の前日の最終の乙の株主名簿に記載または記録された株主(ただし、甲を除く。)が保有する乙の株式数の合計数に×××を乗じて得た数の別紙○に記載する内容の新株予約権を交付する。

実務では、社債を対価として用いる場合、株式交換契約の別紙で、社債の条件を規定します。

イ.株式交換の対価が完全親合同会社の社債以外の財産である場合(770条1項3号ロ)

金銭等の完全親会社の社債以外の財産を交付するときは、株式交換契約に財産の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法を定めて記載しなければなりません(770条1項3号ロ)。

<記載例>

第○条 甲(完全親会社)は、本株式交換に際して、乙(完全子会社)の株主に対して、乙の株式に代わる金銭等として、乙の株式に代わる金銭等として、効力発生日の前日の最終の乙の株主名簿に記載または記録された株主(ただし、甲を除く。)が有する乙の株式数の合計数に金○円を乗じて得た額と同額の金銭を交付する。

なお、完全親合同会社が、完全子会社の株主に完全親合同会社の株式、新株予約権を交付することはありませんが、社債以外の財産として、第三者である株式会社の株式、社債、新株予約権を交付することは認められています。

B)合併対価の交付

株式交換により、完全子会社の株主が完全親合同会社の社員となることが定められた場合、771条5項所定の場合を除き、株式交換契約の効力発生日にその効力が生じます(771条3項)。また、この場合、完全親合同会社は、新たに社員を加入させることになり、定款の変更が必要になります(576条1項、604条2項)。しかし、株式交換手続き以外の手続きにより存続会社が定款の変更をする煩わしさを避けるために、「効力発生日に、同号の社員に係る定款の変更をしたもの」とみなされる(770条3項)とされています。株式交換契約にその旨を記載することにより、完全親合同会社の定款は株式交換の効力発生日に自動的に変更されることになります。

株式交換契約に、完全子会社の株主に対し完全親会社がその社債を交付する旨を定めた場合には、771条5項の場合を除き、完全子会社の株主は株式交換の効力発生日に社債権者になります(771条4項)。

吸収合併契約に定められた金銭等が上記以外のものである場合には、771条5項の場合を除き、完全子会社の株主は、株式交換契約の効力発生日に対価である目的物の引渡し請求権を有することになります。

・株式交換完全子会社の株主に対する割当てに関する定め(768条1項3号

株式交換契約では、株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等の記載(768条1項2号)に加え、金銭等の割当てに関する事項を定めなければなりません(768条1項3号)。この2号と3号の違いについて分かりにくいところがありますが、2号は株式交換完全子会社の株主に対して交付する対価の総体、すなわち「どのような対価か」についてであり、3号はその対価を各株主に「どのように割り当てるか」についてでです。法律上は、異なる項目として整理されていますが、株式交換契約では双方についての定めがあればよく、一つの条項にまとめて記載しても問題ありません。

<記載例>

第○条 第○条の対価の割当てについては、効力発生日の前日の最終の乙(完全子会社)の株主名簿に記載または記録された株主(ただし、甲を除く。)に対し、その保有する乙の株式数に×××を乗じて得た数の甲の株式を割り当てる。

・株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときの特則(770条2項)

完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式交換の当事会社は、完全子会社の発行する種類の株式の内容に応じ、金銭等の割当てに関する特段の事項を定めることができます(770条2項)。完全子会社のある種類の株主に対して金銭等の割当てをしないこととすることもできます(770条2項)。

・効力発生日(770条1項5号)

@)効力発生日の特定

株式交換契約には。株式交換がその効力帆を生ずる日、つまり、株式交換の効力発生日を記載しなければなりません(770条1項5号)。この点についての記載例は下の通りです。

株式交換の効力は、株式交換の登記日ではなく、当事会社が株式交換契約の中で合意した日において生じます(771条1項)。そのため、株式交換契約の中では、効力発生日として具体的な日付を記載する必要があります。

<記載例>

第○条 本株式交換の効力を生ずる日(以下「効力発生日」という。)は、令和○年○月○日とする。ただし、本株式交換の手続の進行上の必要性その他の事由により必要な場合、甲(株式交換完全親会社)および乙(株式交換完全子会社)は協議し合意の上、これを変更することができる。

A)効力発生日の変更

株式交換契約で記載した効力発生日までに、株式交換を実行するための前提条件が充足されていない場合には、株式交換の効力発生日を遅らせるということもありえるでしょう。たとえば、株式交換を実行するに当たって、一定の許認可の取得を前提条件としていた場合、または法律上必要な債権者保護手続が完了せず、そもそも会社法で株式交換の効力を発生されることができない場合(769条6項)があります。このように前提条件が満たされない場合、当事会社としては、株式交換を中止するか延期するかの判断を迫られることになります。そして、延期を選択した場合には、新たな効力発生日を合意する必要がありますが、会社法上、効力発生日は当事会社の合意により変更することができることとなっており(790条1項)、新たな効力発生日の合意ができれば、株式交換の手続きを一からやり直すという事態を避けることができます。効力発生日の変更は会社法で認められているので、株式交換契約で明記する必要はありませんが、上記記載例のように、記載するのが一般的です。

効力発生を延期させるために効力発生日を変更する場合には、変更前の効力発生日の前日までに、変更後の効力発生日を公告することが必要です(790条2項)。

ü 任意的記載事項

株式交換契約では、会社法で規定されている法定記載事項以外の事項についても記載される事項が少なくありません。それが任意的記載事項です。これら任意的記載事項は、その記載がなくても、株式交換の有効性そのものには影響がありませんが、確認的な意味を持つものを含め、規定していることが少なくありません。以下で、代表的な事項について、以下で見ていくことにします。

・株主総会の期日

株式交換契約において、その契約を承認するための株主総会を開催する時期を規定するケースは少なくありません。これは旧商法で、株主総会の期日が合併契約の必要的記載事項とされていたことの名残です。しかし、会社法では必要のない規定です。そのため、きさいするにしても、株主総会の開催予定日として特定の日を記載せずに事例のようにきさいすることもかのうです。

<記載例>

第○条 甲(株式交換完全親会社)および乙(株式交換完全子会社)は効力発生日の前日までに、それぞれ株主総会を招集し、株式交換契約承認する決議を求める。

・株主総会の要否

株式交換の場合には、簡易株式交換や略式株式交換の要件を満たし、株主総会の承認が不要なケースもあります。苔を契約に記載する場合、確認的な意味合いとなります。

<記載例>

第○条 甲(株式交換完全親会社)は、会社法796条2項の規定により、本契約につき株主総会の承認を得ないで本株式交換を行う。ただし、会社法796条3項の規定により、本契約につき株主総会の承認が必要となった場合、甲は、効力発生日の前日までに、本契約につき株主総会の承認を求める。

・善管注意義務

交換比率等の株式交換の条件は、原則として、株式交換契約の締結時の当事会社の財産状態をもとに定められています。仮に、その後効力発生日に至るまでに当事会社の財産状態が大きく変化したりすれば、当初定めた株式交換の条件を見直す必要が生じてしまう可能性があります。そのような事態の発生をできるかぎり避けるために、株式交換契約の締結時から効力発生日までの間、当事会社がン会社財産および会社経営について善管注意義務を負うと定めることは、実務上、少なくありません。

<記載例>

第○条 甲(株式交換完全親会社)および乙(株式交換完全子会社)は、本契約締結後、効力発生日に至るまで、善良なる管理者の注意をもってそれぞれの業務を執行するとともに、資産および負債を管理し、その他その財産および権利義務に重大な影響を及ぼす行為をする場合には、あらかじめ相手方の同意を得なければならない。

上記の例では、概括的な善管注意義務を課すことで、変なことがおこらないようにしています。すなわち、一種の現状維持義務を規定しているというわけです。

・剰余金の配当の限度額

配当ということは、当時会社から財産が流出する行為であり、資産総額の減少をもたらし、ひいては対価の定め方や交換比率に影響を及ぼす可能性があるものです。そのため、株式交換契約締結後から効力発生日までの間に、当事会社による配当は原則として禁止するのが一般的です。しかし、他方で、株式交換契約締結時と効力発生日の間に、期末配当や中間配当の時機が入り込んでくる場合には、配当せざるを得ないでしょう。そのため、配当は原則として禁止としながらも、一定の限度で可能とする規定を株式交換契約の条項として入れる場合もあります。

<記載例>

第○条 

1.乙(株式交換完全子会社)は、本契約締結後効力発生日に至るまでの間に、その時点における乙の株主に対し、総額○円を限度として剰余金の配当を行うことができる。

2.甲(株式交換完全親会社)および乙は、前項に定める場合を除き、本契約締結後、効力発生日より前の日を基準日とする剰余金の配当を行ってはならない。

・重大な変動が発生した場合の対応

株式交換契約締結時に前提としていた状況が効力発生日までの間に大きく変化してしまった場合、そのまま株式交換の効力を発生させてしまうことは、当事会社の意思に反してしまうこともありえます。そのような事態の発生に備えて、重大な変動が発生した場合に備えるための定めを条項として株式交換契約に記載する場合もあります。。

<記載例>

第○条 本契約締結から効力発生日に至るまでの間に、@天災地変その他の事由によって、甲(株式交換完全親会社)もしくは乙(株式交換完全子会社)のすい゛れかの財産状態もしくは経営状態に重大な変動が生じた場合、またはA本株式交換の実行に重大な支障となる事態もしくはその実行を著しく困難にする事態が生じた場合には、甲および乙は、相互に協議し合意の上、本契約の内容を変更し、または本契約を解除することができる。

このような規定を設ける際に、考慮すべき重要なポイントは、重大な変動等の事象が生じた場合に、当事会社に一方的な変更権または解除権を付与するかどうかです。記載例のように、「相互に協議し合意の上」と規定することで、変更するにせよ、解除するにせよ、当時会社間で別途合意が成立することを求めている事例が少なくありません。ただし、このような規定を入れたからといって、会社法の株式交換の手続きをやり直すことなく、契約の変更を常に行うことができるとは限らないことに注意する必要があります。

・解除条件

株式交換契約において、一定の事由が生じた場合には、株式交換が自動的に失効する旨の解除条件を規定することもあります。典型的なものとして、必要な株主総会の承認が得られなかった場合です。。

<記載例>

第○条 本契約は、効力発生日の前日までに、甲(株式交換完全親会社)または乙(株式交換完全子会社)の株主総会の決議による承認が得られなかった場合には、その効力を失う。

記載例のような株主総会の承認が得られなかった場合以外にも、株式交換の効力発生に必要な関係官庁の許認可が取得できなかった場合や、一定の日までに効力が発生しなかった場合を解除条件とする例もあります。

・表明保証・補償等

株式交換を゜利用したM&A取引の場面でも、他のM&A取引のときと同様、表明保証、取引実行の前提条件や補償等に関する事項について記載したいということがある。しかし、株式交換契約は株主総会の決議に付されたり、開示書類として公開されたりするものであるため、当事会社としては、契約への記載を避けるのが一般的です。そのため、これらの事項は株式交換契約には記載されず、それとは別に当事会社間で締結される経営統合契約などに盛り込まれるのが一般的です。

株式交換完全子会社の株主は、実質的には株式の売主としての立場となるため、実質的に買主の立場となる株式交換完全親会社にしてみると、株式交換完全子会社についての表明保証やその造反に基づく補償を、完全子会社からもらいたいと考えたとてしも不思議ではない。また、株式交換の効力発生前に、株式交換完全子会社に重大な問題があることが判明した場合には、株式交換の効力発生自体を止めたいと考えることもありえます。反対に、株式交換完全子会社の株主としても、交換対価として株式交換完全親会社の株式を受け取る場合、株式交換完全親会社の実際の財務状況等が株式交換契約締結時に想定していたものよりも著しく悪いことが判明した場合には、何らかの救済措置がほしいと考えることもありえます。そこで、別途契約で、株式交換完全子会社と株式交換完全親会社の間で相互に自らのことについて表明保証することはあります。

計算書類等の監査等(436条)    

計算書

 

 
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