4.株主総会の実務(2)〜文書
(4)事業報告 法定記載事項
 

 

●事業報告の法定記載事項

事業報告の記載事項について、全国株懇連合会の事業報告モデルをもとにして、法定の最低限の項目について、考えてみたいと思います。なお、最初に説明しましたように、事業報告の記載事項は会社形態によって求められることが違っているので、そのすべての形態別に考えるのではなく、公開会社で監査役会設置会社をケースとして、事業報告の記載を考えて生きたいと思います。

くどいようですが、ここで考えていくのは、法定の最低限のレベルで、ここを下回ってはいけないという程度、それにプラスアルファという程度で考えていきます。実際には、各会社では、それ以上のことを創意工夫していくことになると思います。それについては、色々な方向性があると思いますが、ひとつの方向について、別のところでまとめて考えてみたいと思います。

まず、全国株懇連合会の事業報告モデルの項目立てを多少詳しく示すと、次の通りとなります。

招集通知について説明してきましたが、それは会社法に規説明が長くなりすぎたので、ページを改めて招集の決定事項について説明していきます。なお、この部分は招集通知の法定記載事項になります。

 大項目

 中項目

 根拠規定

(会社法施行規則)

1.企業集団の現況に関する事項

(1)事業の経過およびその成果

(2)設備投資の状況

(3)資金調達の状況

(4)対処すべき課題

(5)財産および損益の状況の推移

(6)重要な親会社及び子会社の状況

(7)主要な事業内容

(8)主要な営業所及び工場

(9)従業員の状況

(10)主要な借入先

(11)その他企業集団の現況に関する重要な事項

(12)事業の譲渡、合併等企業再編行為等

 

2.会社の株式に関する事項

(1)発行済株式の総数

(2)株主数

(3)大株主

(4)その他株式に関する重要な事項

122条2号

122条1号

122条2号

3.会社の新株予約権等に関する事項

(1)当事業年度末日における新株予約権の状況

(2)当事業年度中に交付した新株予約権の状況

(3)その他新株予約権等に関する重要な事項

123条1号

123条2号

123条3号

4.会社役員に関する事項

(1)取締役及び監査役の氏名等

(2)当外事業年度に係る取締役及び監査役の報酬等の額

(3)社外役員に関する事情

(4)辞任等の役員の状況

121条1〜3、7〜9号

同4、5号

124条

121条7号

5.会計監査人の状況

(1)会計監査人の名称

(2)責任限定契約の内容の概要

(3)当事業年度に係る会計監査人の報酬等の額

(4)非監査業務の内容

(5)会計監査人の解任または不再任の決定の方針

(6)会計監査人業務停止処分等の状況

(7)辞任等の会計監査人の状況

126条1号

同7号

同2号、8号イ

同3号、8号ロ

同4号

同5、6号

同9号

6.会社の体制及び方針

(1)取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他業務の適正を確保するための体制

(2)株式会社の支配に関する基本方針

(3)剰余金の配当等の決定に関する方針

118条2号

118条3号

126条10号

 

事業報告に対する法令の規制は、記載項目について、つまり、これこれの項目を記載しなさい、というものなので、その項目について、どのように記載しなさいとは、規定されていません。金融商品取引法で定められ、内閣府例で書式まで細かく規定されている有価証券報告書とは違うのです。それは、会社と株主との間で対話するのに必要な書類なのだから、その当事者がやり易いように、当事者で考えなさい、ということなのです。ここで全株懇モデルの構成を示しましたが、このような構成にしなければならないということはありません。このモデルの構成は、会社法施行規則の条文の項目で記載事項をグループにまとめて、それを順番に並べたというものでしかありません。それは、だから、法令に則っていることが明白になっていて、事業報告について法的な不備がないことをしめすという、リーガル・リスクを回避することが優先されて作られているものです。だから、本来の意味で事業報告を考えてみて、株主という当事者からみて、これがベストということはできないだろうと思います。ただ、ほとんどの上場会社がこの全株懇モデルに従って事業報告を作成している、パターンが標準化されて、他社と比較し易いとか、見る株主の側でも、そのパターンになれてしまって(そういう見方しかできなくなって)いる、というのが現状ではないかと思います。

そのような視点で、法定記載項目を、全株懇モデルの構成されている順番に沿って見ていきたいと思います。

1.会社(企業集団)の現況に関する事項

会社法施行規則120条では「会社の現況に関する事項」として、@主要な事業内容(会社法施行規則1項1号)、A主要な営業所および工場ならびに使用人の状況(同2号)、B主要な借入先(同3号)、C事業の経過およびその成果(同4号)、D直前3事業年度の財産及び損益の状況(同6号)、E重要な親会社および子会社の状況(同7号)、F対処すべき課題(同8号)のほか、G当該事業年度における次に掲げる事項についての状況、ただし重要なものに限る、として⒜資金調達、⒝設備投資、⒞事業の譲渡、吸収、分割または新設分割、⒟事業の譲受け、⒠吸収合併または吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継、⒡他の会社の株式その他持分または新株予約権等の取得または処分(同5号)、さらに、上記のほか株式会社の現況に関する重要な事項(同9項)をあげることができる。なお、このような会社の現況に関する事項は、会社が、その事業年度に連結計算書類を作成している場合には、その会社と子会社からなる企業集団、つまり、連結決算の企業グループ、の現況に関する事項にして記載することができます(会社法施行規則120条2項)。

(1)事業の経過およびその成果(会社法施行規則1項4号)

全般的な事業の状況の説明として、その事業年度における次のような内容を記述します。

@会社(企業集団)をめぐる経済環境

A業界の状況

B会社(企業集団)の状況(売上高、受注高、損益の状況を含む)

上記の「事業の経過およびその成果」に加え、部門別の売上高、生産高(受注高)を記載します。

実際に各企業では、どのような記載になっているか、少し見たいと思います。というのも、事業報告のなかの重要な項目について、法令上では上述のようなことがある程度、素っ気ないほどです。そのため、各企業が、どのように事業報告を作成しているかを、参考にして(他者の事例を参考に、その構成や記載方法などを、ちゃっかり利用させてもらう)いる場合が多いと思われます。

それは、参考書類のような、細かく規定されていません。それは、株主総会の議案はいうどちらかというと、議案自体、あるいは決議の方法には一般性があります。だから、それを踏まえて記載を考えます。これに対して、事業報告の「事業の経過およびその成果」は、各企業の事業の特性や環境がそれぞれ異なっているため、それを説明しようとすれば、それぞれの事業について株主が理解しやすくなるように考えれば、同じような書き方にはならなくなります。そのため、事業報告については、法令では項目だけ決めて、詳しいこと各企業で自社にとって最適の方法を考えるためという理由であると考えます。

この項目の一般的なひな型では、次のような記述のパターンが使われます。

登記における我が国経済は・・・・

〔@会社(企業集団)をめぐる経済環境の説明〕

当社グループの主な取引先である(当社グループの業界である)・・・

〔A業界の状況の説明〕

このような状況の中で、当社グループは・・・

〔B会社(企業集団)の状況(売上高、受注高、損益の状況を含む)の説明〕

(2)設備投資の状況(会社法施行規則1項5号ロ)

@当年度中に完成した主要設備、A当年度において継続中の主要設備の新規拡充、B生産能力に重要な影響を及ぼすような固定資産の売却、撤去または災害による滅失など、全社的に見た生産能力の大幅な増減につながる設備の状況を記述します。事業部門が分かれているときは、その属する事業部門の名称も明示します。

これは、有価証券報告書の第1部企業情報の第3.設備の状況における、1【設備投資の概況】が上記の@当年度中に完成した主要設備に、3.【設備の新設、除却等の計画】がA当年度において継続中の主要設備の新規拡充、B生産能力に重要な影響を及ぼすような固定資産の売却、撤去または災害による滅失、に当たるものとして、同じような内容になっています。ただし、有価証券報告書では、具体的な投資額や計画額の記載がもとめられ、現在の主要な設備の状況の記載が求められています。有価証券報告書と事業報告は目的や性格が異なるものであるため、同じものと考えることはできませんが、両者を照合して記載されている事実の異同を確認することは必要であると思います。また、有価証券報告書の記載事項となっている【主要な設備の状況】の内容を事業報告に任意記載することは、公開される情報でもあり、株主にとって会社の状況を把握するにはメリットのある情報なので、検討する余地はあるのではないかと思います。すくなくとも、有価証券報告書作成と兼ねて作業できるので、作成者の労力も節約できることになると思います。

この場合「主要設備」とは何でしょうか。法令上での明確な規定はなく、各社で判断しているのが実際のところです。参考として、有価証券報告書にも設備の状況の場合の「主要な設備」、について、主要な設備の選定にあたっては、設備の規模や業績への貢献度、将来性等を総合的に勘案して判断する、ということになっています。各社の判断とは言っても、何らかの目安は必要と思います。

(3)資金調達の状況(会社法施行規則1項5号イ)

当年度中の主要な設備投資に充当するための増資、社債発行及び巨額の長期借入などを記述します。経常的な資金調達は含めません。事業部門が分かれている場合には、その属する事業部門の名称を明示します。

(4)対処すべき課題(会社法施行規則1項8号)

企業集団が克服すべき当面の課題および当年度終了後に計算書類等を会計監査人、監査役会に提出するまでに生じた後発事象(重大な損害の発生、増資または多額の社債発行の決議等)を記述します。

これは、有価証券報告書の第1部企業情報の第2.事業の状況の3【対処すべき課題】として記載を求められているものと項目名が同じです。また、決算短信の定性的情報の中でも【経営成績に関する分析】のなかで(今後の見通し)という項目があり、これに近い内容の記載を求められていると考えられます。なお、東証による決算短信の記載要領では(今後の見通し)の記載内容として、次の点の記載を求めています。

・生産、販売、損益など、次期を含む将来における業績全般及びセグメント・事業分野別の見通しに関する分析を記載することが考えられます。

・業績に大きな影響を与える可能性のある経営上の施策その他の要因・事象がある場合には、その内容を記載することが考えられます。

・例えば、将来予測情報の前提条件(為替レート、原油価格等の定量的情報)の変動により開示された「次期の業績予想」等の将来予測情報の値が大きく変動する可能性がある場合には、当該前提条件を積極的に開示することが考えられます。さらに、当該前提条件の変動による業績への影響度合い(感応度)についても開示することが考えられます。

・将来予測情報について、レンジの記載により「次期の業績予想」の開示を行っている場合には、変動幅の上限及び下限となるそれぞれのケースにおける事業環境の状況等について記載することが考えられます。

・決算短信の開示時点において「次期の業績予想」の形式では将来予測情報の開示を行わない場合において、業績の進捗を踏まえ、当該内容の開示が可能となった時点で開示を行う予定としているときは、その旨及び開示を行う時期の見込みについて記載することが考えられます。

さらに、この中で中期経営計画等の進捗状況もあわせて記載することが望ましてとて、次の点を挙げています。

・既に開示又は実施している中期経営計画等がある場合にはその概要や進捗状況、あるいは直近に終了した中期経営計画等の達成状況及びこれらに対する評価を記載することが望まれます。

・特に、債務免除等の金融支援を受けている場合又は継続企業の前提に関する注記事項において会社としての改善計画を公表している場合は、開示されている再建計画の進捗状況(計画の進捗が順調である場合にはその旨、計画とのかい離が生じている場合にはその要因及びその後の再建計画に及ぼす影響等を含む。)を具体的に記載してください。

(5)財産および損益の状況の推移(会社法施行規則1項6号)

@受注高(長期契約または受注に依存している会社の場合)A売上高B当期純利益C1株当たり当期純利益D総資産または純資産について、当年度を含めた4期について対比の図表を表示します。

なお、事業成績が著しく変動し、その要因が明らかな時は、その要因を注記します。

(6)重要な親会社および子会社の状況(会社法施行規則1項7号)

親会社の持株数および出資比率ならびに親会社との事業上の関係を記載する。企業集団を構成する連結子会社のうち、上場会社など重要な子会社について、その会社名、主要な事業内容、資本金、資本金、会社の出資比率を記載します。

子会社の設立・合併は、当連結会計年度中における実績または公表済みの計画を記載します。

技術提携先については、極めて重要な相手先(会社の事業の展開にとって特に重要な相手先)を記載します。

これは、有価証券報告書の第1部企業情報の第1.企業の概況の3【事業の概況】の内容に通じるところがあると思います。また、決算短信の定性的情報において投資判断の有用であるため追記することか要請される情報としてあげられている「企業集団の状況」とも、同じように重なる点もあると思います。ただし、会社法の親子会社と会計基準でいう関係会社とは内容が必ずしも一致するとは限らないので(会社法では実質的な支配関係に基づくのに対して、会計基準では資本関係の基準によるところが違う。例えば、会社法では形式的な資本関係がなくても役員を親会社のものが占めていれば実質的な支配関係にあるとみなします)、参考ということになります。有価証券報告書での記載事項は、関係会社の名称、住所、資本金又は出資金、主要な事業の内容、議決権に対する提出会社の所有割合及び提出会社と関係会社との関係内容(例えば、役員の兼任等、資金援助、営業上の取引、設備の賃貸借、業務提携等の関係内容をいう)となっています。

(7)主要な事業内容(会社法施行規則1項1号)

事業部門別に主な製品名または商品名を記載します。

主要な事業内容は、独立した項目とせず、「(1)事業の経過およびその成果」において事業別の名称のみでは、その事業内容が理解できない場合には、簡単にその事業内容を図表に注記することも考えられます。

これは、有価証券報告書の第1部企業情報の第1.企業の概況の3【事業の概況】の内容に通じるところがあると思います。また、決算短信の定性的情報において投資判断の有用であるため追記することか要請される情報としてあげられている「企業集団の状況」とも、同じように重なる点もあると思います。この場合、図で示している全株懇モデルでは事業別の主要製品の一覧表ですが、有価証券報告書ではひととおりの説明とグループ内の主要な企業との関係(分業体制)まで、記載しています。全株懇モデルの記載では事業報告では企業および企業集団でどのような事業をどのように行っているかは把握できるようなものではないので(株主だから、それは知っているという前提なのでしょうか)、この程度の記載があってもいいのではないかと思います。

(8)主要な営業所および工場(会社法施行規則1項2号)

企業集団を構成する各社の主要な営業所および工場の名称とその所在地を記載します。所在地は都道府県名や政令指定都市までの記載にとどめることでよいと考えられています。

会社ごとの記載、あるいは支店等を多く持った会社である場合には、地域別店舗数、国別海外事業場数等を記載することも考えられます。

(9)従業員の状況(会社法施行規則1項2号)

連結か異例年度末における企業集団の従業員数および前連結会計年度末比増減を記載します。なお、男女別に記載することも考えられます。

企業集団に属する会社数が多い場合には、企業集団の従業員の平均年齢および平均勤続年数の把握が困難であることから、これらの記載は要しないと考えられています。

従業員の構成その他の状況に重要な変動がある場合には、その旨を記入します。また、臨時従業員、出向、パートなどの取扱いについては注記することも考えられます。

なお、この記載項目である従業員の人数の数え方ですが、とくに規定されていませんが、有価証券報告書の場合には、従業員の数え方を規定されています。つまり、従業員数は就業人員数であるとして、他社からの出向社員については従業員数に含めて記載されるが、他社への出向社員は出向先の従業員数となります。事業報告の場合は、有価証券報告書と同じように数えるのかどうか、この他にも、臨時の従業員を含むかどうかなど、会社において基準を明確にしておくのが適当と思われます。また、人数のチェックとして、前年の従業員数の増減を記載していますが、前年の事業報告の記載と比較して、実際に前年の事業報告に記載した従業員数に増減をすれば、正しい従業員数になるかを確認することができます。

2.会社の株式に関する事項

会社法施行規則では、当年度の末日における発行済株式(自己株式を除く)の総数に対するその有する株式の割合が高いことにおいて上位となる10名の株主の氏名または名称、その株主有する株式の数(種類株式発行会社の場合には、株式の種類および種類ごとの数を含む)およびその株主の有する株式の割合の記載が定められています(会社法施行規則122条1号)。

このうち、大株主の持株比率は、自己株式を除く発行済株式の総数を分母として算出します。

会社法施行規則122条2号の「前号に掲げるもののほか、株式会社の株式に関する重要な事項」として、発行済株式の総数および事業年度の末日おける株主数についても記載します。

これらの他に、発行可能株式総数を記載することも考えることができます。

(1)発行済株式の総数(会社法施行規則122条2号)

発行済株式の総数とは、会社が発行することをあらかじめ定款に定めている株式数(授権株式数)のうち、会社が既に発行した株式数のことです。普通株式のみを発行する会社では通常、発行済株式数は上場株式数と一致しています。また、定款で会社が発行する株式数を予め定めており、それを発行可能株式総数、あるいは授権株式数などと言いますが、この発行可能株式総数を、ここで並べて記載している会社もあります(右図のサンプルでは(1)と(2)で並べて記載しています)。会社が複数の種類株を発行している場合には、その株式の種類ごとの発行可能種類株式総数を記載し、合計として、発行可能株式総数を記載するのが一般的です。

発行済株式総数が前事業年度末に対して変動があった場合、例えば新株の発行によって増加した場合や自己株式の消却によって減少した場合、には増加あるいは減少した株数と、その変動の理由を注記するか、(4)その他株式に関する重要な事項に記載するのが一般的です。

なお、公開会社において、定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができないという制限があります(会社法113条)。ただし、発行済株式総数が自己株式の消却などによって減少した結果、発行可能株式総数が減少した発行済株式総数の4倍を超えてしまっても、会社法113条には抵触することにはなりません。この規制は、会社が無理な資本政策を強行することによって株式の希薄化が起こり、株主の利益の減少を防止することが目的だからです。ここで、実務上問題となるのは、買収防衛策などで大量の株式の買付けの意味をなくすために、株式を大量に発行して買収者の持株比率を相対的に下げさせようとするときに、この規制を超えてはいけないということで、注意が必要になるということです。

(2)株主数(同2号)

株主数は、基準日現在、つまり、事業年度末日の株主数を記載します。一般の公開会社であれば、株式事務を代行会社(多くが信託銀行)に委託しているので、事業年度末日から数日後に株主データが送られてくるので、そこにある株主数を転記します。ここで注意するのは、議決権を持った株主数と株主数は違うということです。両者を混同しないように注意することが必要です。例えば、自己株式や単元未満株式には議決権がありません。

(3)大株主(同1号)

上位10位までの大株主を記載します。その場合、株主名(株主名簿に記載されている名義)、所有株式数、持株比率を表形式で記載するのが一般的です。なお、この上位10位以内の大株主に自己株式が入っている場合は、自己株式は、この表の中にはいれずに、注のところで、別に説明し、表には自己株式を除いた上位11位までの株主を記載することになります。

なお、記載する大株主の一覧表の記載項目のうち、持株比率については、議決権比率としている会社もあります。つまり、ここでの比率のパーセンテージの計算は発行済株式総数から自己株式数を減算したものを分母として各大株主の持株数を分子とした割合を記入します。これは、この記載が、株主にとって議決権行使に大株主がどの程度の影響を持っているかを明らかにするということが目的とされているからです。

ちなみに、類似のものとして有価証券報告書の中にも大株主の記載がされているところがあります。ここでは、上位10位以内の大株主に自己株式を入れている会社もあり、ここでは各会社の自己判断に任せられています。もうひとつの大きな違いは、同じように作られた表のなかで持株比率の項目がありますが、これは事業報告の場合の議決権の比率ではなくて、所有している株主の割当となります。そのため発行済株式総数が分母で、各株主の所有株式数が分子で計算をします。

表の中について、ます、10位以内の大株主を記載することとなっていますが、例えば持株割合が同一の株主が第10位に複数いるような場合には、10名に限定されずに11名、12名を記載するのが一般的です。また、外国人株主を記載する場合には、我が国の常任代理人についても記載を行なうことが一般的に慣例化されています。また、外国人株主の氏名又は名称及び住所は、カタカナやローマ字等を用いて、正確にわかりやすく表現することが一般的とされています。

そして、表に書ききれない個別の事情は注記します。例えば、期中に大量保有報告書の変動報告書が提出されて、株式の移動があったことを会社が知っている場合、その旨を明記します。この場合、海外のファンドから大量保有報告書が出されても、常任代理人を立てているので、株主名簿では代理人の名義となっているため、そのような変動報告書が提出されても内容が確認できないことがあります。その場合は、大量保有報告書や変動報告書の内容を確認できないため、その旨を注記に記載します。それ以外には、会社が自己株式として保有している株式数も記載することができます。また、10%以上所有の主要株主の異動(主要株主であったものが主要株主でなくなること又は主要株主でなかった者が主要株主になること)があった場合には、そのことを注記するのが一般的です。なお、主要株主の異動を会社が知った場合には、速やかに臨時報告書を財務局に提出し、取引所に開示しなければなりません。そして、当事業年度の末日後、株主総会招集通知発送の前までに商号変更などで株主の氏名又は名称が変更された場合には、注記などによりその旨を記載することが望ましいとされています。

(4)その他株式に関する重要な事項(同2号)

その他の事項として、自己株式の取得や消却を行った場合には、その説明。最近では従業員に対してESOPという株式報酬の制度を自己株式を振り返ることで行なっている会社がありますが、その説明を行なうなどの事例が見られます

3.会社の新株予約権等に関する事項

(1)当事業年度末日における新株予約権の状況(会社法施行規則123条1号)

新株予約権の状況として、当事業年度の末日における会社の役員(当事業年度末日現在で在任している者に限る。以下本項目において同じ)の保有する新株予約権(職務執行の対価として交付されたものに限る)について、取締役(社外役員を除き、執行役を含む)、社外取締役(社外役員に限る)、取締役(執行役を含む)以外の役員に区分して、新株予約権の内容の概要および新株予約権を有する者の人数を記載しなければなりません、取締役以外の役員とは、監査役、会計参与となります

新株予約権の内容の概要として、目的となる株式の種類及び数の他、行使価額および発行期間を記載します。発行回次ごとに行使価額や行使期間がことなることから、取締役、社外取締役、監査役等に区分して、発行回次ごとに、行使価額、行使期間、個数、保有する者の数を表形式で記載します。目的となる株式の種類及び数については、目的となる株式の種類が共通であれば合算した数を記載すればいいとされています。これに併せて、役員の保有する新株予約権の総数も記載します。

(2)当事業年度中に交付した新株予約権の状況(同2号)

当事業年度中に、会社の従業員、子会社役員及びその従業員に対して新株予約権を発行したときは、その区分ごとの新株予約権の内容の概要、新株予約権の数、目的となる株式の種類及び数並びに付与した者の数を記載します。

(3)その他新株予約権等に関する重要な事項(同3号)

転換社債型新株予約権等、ストックオプション以外の新株予約権等について記載します。

4.会社役員に関する事項

事業報告に記載すべき会社役員は、原則として、当期(事業報告で報告している事業年度)の開始後、事業報告作成時点までに在任したことのある役員を指します。ただし、報酬等の額の記載に関しては年度中に退任した役員及び年度の末日後に就任した役員も含まれます。

会社役員に関する事項として、以下の事項を記載します(会社法施行規則121条)。ただし、@、A及びF、Gの記載については、直前の定時株主総会の終結の日以降に在任していた役員に限られることに注意が必要です(同1号カッコ書き)。また、Eについては、以前の事業へ報告で記載されていることは省略することができます(同6号カッコ書き)。

@会社役員の氏名

A会社役員の地位及び担当

B当事業年度についての会社役員の報酬等

C当事業年度において受け、または受ける見込みが明らかとなった会社役員の報酬等

D各会社役員の報酬等の額またはその算定方式に係る決定に関する方針を定めている時は、当該方針の決定の方法及びその方針の内容の概要

E辞任した会社役員または解任された会社役員(株主総会または種類株主総会の決議によって解任された者を除く)があるときは、その氏名、会社法345条1項(同条4項において読み替えて準用する場合も含む)の意見(監査役の解任や辞任について株主総会において述べられる監査役の意見)があるときは、その意見の内容、会社法345条2項(同条4項において読み替えて準用する場合を含む)の理由(辞任監査役が、辞任後最初に招集される株主総会において、述べる、辞任した旨およびその理由)があるときは、その理由

F当該事業年度に関する当該会社の会社役員の重要な兼職の状況

G会社役員のうち監査役または監査委員が財務および会計に関する相当程度の知見を有しているものであるときはその事実

H上記のほか、会社役員に関する重要な事実

(1)取締役および監査役の氏名等(会社法施行規則121条)

ここで記載する取締役・監査役は、直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していた者に限られます(会社法施行規則121条1号カッコ書き)が、年度の末日に在任していない者も含まれます。

氏名、地位及び担当、重要な兼職の状況を、表形式で記載する(年度の末日に在任していない取締役・監査役についても表に含めて記載する)のが一般的です。

なお、社外役員について、他の法人等の重要な兼職がある場合は、「(3)社外役員に関する事項」に会社と他の法人等との関係を記載します(会社法施行規則124条1号、2号)。

社外取締役や社外監査役である旨、監査役が財務及び会計に関する相当程度の知見を有している場合はその事実を注記します。

表に記載されている取締役・監査役が事業報告作成時点までに辞任している場合は、その旨を注記します(辞任以外の理由で退任している場合は、「●●により退任いたしました」と記載します。)このほか、その事業年度に辞任した役員については、表に記載していない者についても(直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していた者に限られていないため)、氏名等を注記します。

(2)当事業年度に係る取締役および監査役の報酬等の額(会社法施行規則121条3号、124条6号)

@当事業年度に係る報酬等の額

当事業年度の取締役及び監査役の報酬等の総額及び員数を記載します。社外取締役および社外監査役に支払った報酬等は、分別できるように記載します。

記載されるべき取締役・監査役の員数は、当事業年度中に退任した者も含め、報酬等を支給された取締役・監査役の員数を記載します。ただし、無報酬の取締役・監査役は含めません。

使用人兼務取締役の使用人給与(賞与を含む)については注記するのが一般的です。

なお、ストックオプションについても報酬等に含まれるため、報酬等の額として、新株予約権の価値として算定した金額(費用として計上した額)を記載する。

各会社役員の報酬等の具体的金額に係る決定や、報酬等の額の算定方法に係る決定に関する方針を定めていた時は、当該方針の決定の方法及びその方法の概要を記載します(会社法施行規則121条5号)。

また、役員退職慰労金を毎年引当金計上している場合は、当事業年度に計上した額を本項に含めるものとします。この場合、その旨を注記することが望ましいとされています。

役員賞与や業績連動報酬については、各社の考え方や会計処理方法によっては、当事業年度に係る報酬等の額に含めるのか、次のAとして記載するのか、検討が必要になります。

ここで「報酬等」というのは、会社法361条で、報酬、賞与その他その職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益とされています。この場合、役員が会社から受け取るのは金銭には限りません、例えば株式のようなものもあります。だから報酬“等” と言います。そして、報酬は原則として株主総会で決められることになっていて、次のような種類に分けられます。

一報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

三報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

さて、このような「報酬等」の定義から、記載すべき事項である「当事業年度に係る報酬等」の内容について考えてみましょう。役員の報酬等は職務執行の対価であり、記載すべきは当事業年度に係るというわけですから、これをまとめると“役員の当事業年度の職務執行の対価”が、事業報告で記載すべき報酬等の額ということになります。ということは、単純に当事業年度に受け取った額ではないということなのです。例えば、業績連動報酬として事業年度の確定した業績を基に報酬額を計算する場合には、年度中に支給することはできません。その場合には、計算額を引き当てることになります。この場合には、事業年度中には受け取っていませんが、事業年度の職務執行の対価には含まれます。このように、考えていくと、事業報告の記載事項である報酬等の額については、いつの業務執行に関して支払われたのかを確認する必要があります。

また、ここで記載する役員の人数については、同じ事業報告の中の役員の状況において一覧で示される役員の人数と必ずしも一致しないので、注意する必要があります。例えば、事業年度中の6月に定時株主総会があって、取締役が1名退任し、後継として新たな取締役が選任された場合、ここで記載される人数は退任1名と新任1名の2名がカウントされることになります。つまり、この事業年度という期間に報酬を受けた役員の数で、途中での就任、退任を含めるという数え方です。また、役員に就任していたとしても無報酬であれば、個々での人数にカウントされません。

A当事業年度において取締役および監査役が受けた(または当事業年度において受ける見込み額が明らかになった)報酬等の額(上記@の報酬等の額を除く)(会社法施行規則121条4号)

@の他、当事業年度において受けた取締役・監査役の報酬等がある場合は、その総額及び報酬額を受けた取締役・監査役の員数を記載します。当事業年度において受ける見込みの額が明らかになった場合は、その見込み額の総額及び報酬等を受ける取締役監査役の員数についても記載します。

当事業年度に係る報酬として@で記載された報酬等及び前事業年度に係る事業報告の内容とした報酬等は除外されます(会社法施行規則121条4号カッコ書)。

記載対象となる例としては、当該事業年度中の株主総会で決議された役員退職慰労金ですでに支払い済みのもの(当事業年度中に支払われたのであれば、当事業年度開始前に退任した者への退職慰労金も含まれます。)、当外事業報告を報告すべき定時株主総会において決議する退職慰労金で、当該事業年度末日までに内規等により見込み額が明らかになっているもの等が想定されます。

この代表的な例は、退職慰労金を廃止した場合に、その時点の役員に対しては退職慰労金の引当金が規程に従って積み立ててあったわけで、その積み立てた分についての打ち切り支給を株主総会で承認を受けている場合、その時点の引当金を確定した支給見込み額として、一度事業報告に記載してしまうと、次回から記載する必要がなくなります。さらに、実際にその対象となった役員が退任した時に、打ち切り支給承認を受けた退職慰労金を支給されることになりますが、支給を受けたことは、既に引き当てて事業報告で報告されているので、支給時の報告は必要ないということになるわけです。

B社外取締役または社外監査役が当社の親会社または親会社(親会社がない会社にあっては当社)の子会社から当事業年度において受けた役員としての報酬等の総額(会社法施行規則121条8号)

社外役員については、親会社等から役員としての報酬等を受けているときはその総額(社外役員であった期間に受けたものに限る。)を記載することとされています。本来社外役員に関する事項であり、また当社からの報酬ではないが、会社役員への報酬等ということで、本項で記載するものとします。

Aとして当事業年度に退職慰労金が支払われた場合、Bとして親会社から役員の報酬等を受けている場合は、@の「当事業年度に係る報酬の額」の記載と併せ、報酬等を一括して記載するタイトルとして「(2)取締役および監査役の報酬等の額」に修正し、以下のように記載することも考えられます。

この三項目に分けた記載例としての、次のようなモデルのバリエーションもあります。

(2)取締役および監査役の報酬等の額

@当事業年度に係る取締役および監査役の報酬等の額

取締役●名  ●●千円

(うち社外  ●名 ●千円)

監査役●名  ●●千円

(うち社外  ●名 ●千円)

注:上記報酬等の額には、平成●年●月●日開催の取締役会決議により、ストックオプションとして取締役●名に付与した新株予約権●●千円(報酬等としての額)を含んでおります。

A当事業年度において取締役および監査役が受けた退職慰労金の額(上記@の報酬等の額を除く)

取締役●名  ●●千円

(うち社外  ●名 ●千円)

監査役●名  ●●千円

(うち社外  ●名 ●千円)

B社外役員が当社の親会社から当事業年度において役員として受けた報酬等の総額

●●千円

(3)社外取締役および社外監査役に関する事項(会社法施行規則124条)

社外取締役または社外監査役ごとに以下の事項を記載します(なお、E、F、G(会社法施行規則124条6〜8号)の記載は、上記(2)において記載しています)。ただし、以下の@からDの項目については、直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していた者に限られています(会社法施行規則124条1号カッコ書)。このために、Hの事項がある場合は、(3)に記載されている社外役員以外の者が記載対象になる場合もあることから、(3)とは別に(4)として記載します。

@他の法人等の業務執行取締役、執行役、業務を担当する社員もしくは持分会社の職務執行者その他これに類する者または使用人であることが重要な兼職に該当する場合は、会社と当該他の法人等との関係(会社法施行規則124条1号)

この「関係」については重要性の基準がないので、重要な兼職の該当性の判断に係らない関係(電力やガスの供給契約のような定型取引等)については対象とならないとされています。記載すべき関係がない場合は、本項目を記載したうえで「開示すべき関係はありません。」と記載するのが一般的です。

A他の法人等の社外役員その他これに類する者を兼任していることが重要な兼職に該当する場合は、会社と他の法人等との関係(会社法施行規則124条2号)

B社外取締役または社外監査役が会社または会社の特定関係事業者の業務執行取締役、執行役、業務を執行する社員もしくは持分会社の職務執行者または使用人の配偶者、3親等以内の親族その他これに準ずるものであることを当社が知っている時はその事実(重要でないものを除く。)(会社法施行規則124条3号)

※ここでいう特定関係事業者とは、以下に当てはまる者を言います(会社法施行規則2条3項19号)。

イ 当該株式会社の親会社ならびに当該親会社(当該株式会社に親会社がない場合にあっては、当該株式会社)の子会社および関連会社(当該親会社が会社でない場合におけるその子会社および関連会社に相当するものを含む。)

ロ 当該株式会社の主要な取引先である者(法人以外の団体も含む)

※ここでいう「知っている時」とは、当該事項が開示事項とされていることを前提として行なわれる調査の結果として知っている場合を指し、十分な調査を行なうことなく「知らない」とすることを許容するものではないとされています。

C各社外取締役または社外監査役の主な活動状況(取締役会等への出席状況(出席率等により具体的に記載することが望ましい)、取締役会等における発現状況(具体的に記載することが望ましい。)当該社外役員の意見により会社の事業の方針または事業その他にかかる決定が変更されたときはその内容(重要でないものを除く)、当事業年度中に法令または定款違反の事実その他不当な業務の執行(社外監査役である場合は、不正な業務の執行)が行なわれた事実(重要でないものを除く。)があるときは各社外役員が当該事実の発生の予防のために行なった行為および当該事実の発生後の対応として行なった行為の概要等)(会社法施行規則124条4号)

D責任限定契約の内容の概要(会社法施行規則124条6号)

当該契約によって当該社外取締役および社外監査役の職務の適正性が損なわれないようにするための措置を講じている場合は、その措置の内容を記載します。

E当該事業年度に係る社外役員の報酬等(会社法施行規則124条6号)

F当事業年度において受け、または受ける見込みの額が明らかとなった社外役員の報酬等(会社法施行規則124条7号)

G社外取締役または社外監査役が会社の親会社または親会社の子会社(いわゆる兄弟会社)から当事業年度において役員として報酬等を受けているときは、当該報酬等の総額(社外役員であった期間に受けたものに限る。)を記載します(会社法施行規則124条8号)。親会社がない会社にあっては、子会社から当事業年度において役員としての報酬等を受けているときは、当該報酬等の総額(社外役員であった期間に受けたものに限る。)を記載します。

H社外役員についての事業報告記載事項の内容に対して当該社外役員の意見があるときは、その意見の内容を記載します。

5.会計監査人の状況(会社法施行規則126条)

会計監査人の氏名・名称、報酬等の額、非監査業務の対価を支払っているときはその非監査業務の内容、責任限定契約を締結しているときは当該契約の内容の概要、責任限定契約を締結しているときは当該契約の内容の概要、当社及び当社子会社が支払うべき金額その他の利益の合計額、当社の会計監査人以外の公認会計士または監査法人が当社の重要な子会社の計算関係書類の監査をしているときはその事実等を記載します。

上記の「支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額」とは、当事業年度に係る連結損益計算書に記載すべきものに限られます。当事業年度終了後に支払う予定のもの(見込み額)も、含まれます。

金融集品取引法に基づく監査業務の報酬と会社法に基づく監査業務の報酬を区別していない場合は合算で記載することでもよいのですが、その場合には、その旨を注記することになります。

また、会計監査人の解任または不再任の決定の方針を記載します。とくに、会社法の改正により、監査役会設置会社では監査役会に権限が移りましたので、記載には注意が必要です。

6.取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他業務の適正を確保するための体制(会社法施行規則118条2号)

いわゆる内部統制システムに関する記載です。

取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制、損失の危険の管理に関する規程その他の体制、取締役の職務の執行が効率的に行なわれることを確保するための体制、使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、会社ならびにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制、監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項、監査役及び使用人が監査役会または監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制、その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制を記載します。

7.会社の支配に関する基本方針(会社法施行規則118条3号)

当社における、財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針として、基本方針の内容の概要、当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの各具体的な内容の概要、これらの取組みが、基本方針に沿っており、株主の共同の利益を損なうものでなく、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことに関する取締役会の判断及び、その理由を記載します。

典型的な具体例として、いわゆる敵対的買収に対する防衛策を構築する場合の基本方針などが該当します。

8.剰余金の配当等の決定に関する方針(会社法施行規則126条10号)

定款に基づく取締役会による剰余金の配当等を定めた会社は、「当該定款の定めにより取締役会に与えられた権限の行使に関する方針」を記載します。

つまり、定款の定めにより、剰余金の配当について取締役会の決議により決定できるとした会社は、剰余金の配当を株主総会の議案にかける必要がなくなります。株主としては、自ら議場で剰余金の配当の決定に参加できなくなる(ただし、株主提案により株主総会に剰余金の配当を提案することはできますし、取締役会の決定した配当については株主総会において報告されます)こととなりますので、取締役会がどのような方針で剰余金の配当を決めているのか、また、今回の配当はどのような考え方のもとで決められたのかを知っておきたいはずです。それに応えたのが、この項目ということになります。従って、剰余金の配当を株主総会の議案として決定している会社は、この項目を省略してもかまいませんし、任意に会社の基本方針として記載することもできます。

なお、これを独立した項目にせずに、「1.企業集団の現況に関する事項(4)対処すべき課題」の箇所に記載することも考えられます。

この項目に、どのような内容を記載するかについては、有価証券報告書では第4【提出会社の状況】の3【配当政策】という同じような記載項目があり、これについて内閣府令のガイドラインでは、次のように記載を求めているので、参考になると思います。また、有価証券報告書と事業報告の記載内容を揃えておくことも、ひとつの方法であると思います。


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