1.IRの定義
(4)だれがIRを行うのか─IR担当者は何をするのか
 

 
@IRは経営者の責務

NRIの定義ではIRは経営責務であると明確に述べている。ということは、IRは経営者がすべきことであるということだと考えられる。あえて諄い説明はしないが、これまでIRの内容や理由について検討してきたことから、自然に導かれることと言うことができる。これまで検討してきたIRの内容を吟味すれば、経営者でなければ出来ないことが分かる。多分、定義を作成する時に経営者が実行することを前提に作られたものと考えられる。実際に、株主総会の議長は社長が行うし、決算説明会では社長が説明に当たるのが一般的であるし、機関投資家が投資判断をする時には社長とのミーティングを必ず行っている。


AIR担当者がすべきこと

前項で説明したようにIRは経営者がすべきことです。だから、IRの担当者は、その経営者の下で、経営者の指示に従って、業務を行うということになります。経営者は事業の経営全般を行っていかなければなりません。IRはたしかに重要ですが、それ以上に企業の経営戦略を練ったり、社員の士気を高めたり、事業を推進していくために必要なことは山ほどあります。そのなかで、細かなIRの作業はIR担当者が経営者に代わって行っていかねばなりません。

ここで、大事なことは、経営者が行うべきことを、経営者になり代わってIR担当者が行わなければなりません。何を言いたいかというと、IRの業務というのは経営の一環であり、原則として定型的なルーチンワークではないということです。企業の経営というのは、日々刻々と変化する経済社会のなかで先を見据えて絶えざる判断の連続です。そこではルーチンは存在しません。常に、その場で最適な判断をしていかなければなりません。そういう経営者に代わって行うのがIRですから、同じようなことが期待されているのです。企業の業績や事業の進捗状況、あるいは今後に向けての展望などは事業環境によって変化していくでしょうし、そのような変化に伴って、どのように説明していくかも変化せざるを得ません。だから、パターン化した説明の形式に当て嵌めて毎回無難なことをやっているというというようなお役所仕事的なあり方はIRに求められる姿勢と正反対と言えます。

B実際にIR担当者が行っていること

ここで、実際にIRの現場でIR担当者がどのようなことを行っているかを列記して行きたいと思います。これは会社によって、組織や立場、位置づけが異なるので、ここに述べることが全て当てはまるとはいえません。あくまで、ひとつのパターンとして捉えて下さい。

・IRに関する方針の策定

・上記方針に基づく戦略の立案

・予算案の作成

・社内外の情報収集

・情報の経営者へのフィードバック

・社内関係部署へ適宜情報のフィードバック

・会計、法律などの最新情報の更新

・決算、株主総会への参加

・社外への開示(ディスクローズ)

・決算説明会

・投資家やアナリストとのミーティング

・ホームページの管理

・問い合わせへの対応

・有価証券報告書、決算短信、株主総会招集通知、アニュアルレポート等の作成

・マスコミ等への対応
 

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