新任担当者のための会社法実務講座 第773条 株式移転計画 |
Ø 株式移転計画(773条) @一又は二以上の株式会社が株式移転をする場合には、株式移転計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 株式移転により設立する株式会社(以下この編において「株式移転設立完全親会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数 二 前号に掲げるもののほか、株式移転設立完全親会社の定款で定める事項 三 株式移転設立完全親会社の設立時取締役の氏名 四 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項 イ 株式移転設立完全親会社が会計参与設置会社である場合 株式移転設立完全親会社の設立時会計参与の氏名又は名称 ロ 株式移転設立完全親会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 株式移転設立完全親会社の設立時監査役の氏名 ハ 株式移転設立完全親会社が会計監査人設置会社である場合 株式移転設立完全親会社の設立時会計監査人の氏名又は名称 五 株式移転設立完全親会社が株式移転に際して株式移転をする株式会社(以下この編において「株式移転完全子会社」という。)の株主に対して交付するその株式に代わる当該株式移転設立完全親会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式移転設立完全親会社の資本金及び準備金の額に関する事項 六 株式移転完全子会社の株主に対する前号の株式の割当てに関する事項 七 株式移転設立完全親会社が株式移転に際して株式移転完全子会社の株主に対してその株式に代わる当該株式移転設立完全親会社の社債等を交付するときは、当該社債等についての次に掲げる事項 イ 当該社債等が株式移転設立完全親会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法 ロ 当該社債等が株式移転設立完全親会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法 ハ 当該社債等が株式移転設立完全親会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項 八 前号に規定する場合には、株式移転完全子会社の株主に対する同号の社債等の割当てに関する事項 九 株式移転設立完全親会社が株式移転に際して株式移転完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式移転設立完全親会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次に掲げる事項 イ 当該株式移転設立完全親会社の新株予約権の交付を受ける株式移転完全子会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下この編において「株式移転計画新株予約権」という。)の内容 ロ 株式移転計画新株予約権の新株予約権者に対して交付する株式移転設立完全親会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法 ハ 株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、株式移転設立完全親会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法 十 前号に規定する場合には、株式移転計画新株予約権の新株予約権者に対する同号の株式移転設立完全親会社の新株予約権の割当てに関する事項 A株式移転設立完全親会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第3号に掲げる事項は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別して定めなければならない。 B第1項に規定する場合において、株式移転完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式移転完全子会社は、その発行する種類の株式の内容に応じ、同項第六号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。 一 ある種類の株式の株主に対して株式移転設立完全親会社の株式の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類 二 前号に掲げる事項のほか、株式移転設立完全親会社の株式の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容 C第1項に規定する場合には、同項第6号に掲げる事項についての定めは、株式移転完全子会社の株主(前項第1号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第2号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて株式移転設立完全親会社の株式を交付することを内容とするものでなければならない。 D前2項の規定は、第1項第8号に掲げる事項について準用する。この場合において、前2項中「株式移転設立完全親会社の株式」とあるのは、「株式移転設立完全親会社の社債等」と読み替えるものとする。 株式移転をする会社は、単独でまたは共同して、株式移転計画を作成しなければなりません(772条)。株式移転計画の定めに従って、株式移転の効力が発生します(774条)。株式移転計画は、当事会社において、原則として株主総会の特別決議による承認を得なければなりません(804条1項、309条2項12号)。また、株式移転計画では、株式移転により成立する株式会社の組織等に関する定款記載事項が定められます。このような株式移転の重要性から、会社法773条は、そこで定められるべき事項を規定しています。 なお、株式移転によると、完全子会社となる会社の株主が保有株式を現物出資して、新しい株式会社を設立するのと同じ効果が生じます。もし現物出資的な構成をとると、検査役の調査が原則として必要になるので、これを避けるためにも、合併同じように組織法上の行為であるとされています。 ü
必要的記載事項と任意的記載事項 株式移転計画については、法律により、必ず定めなければならない事項が定められています(773条)。株式移転計画は、会社法では、必ずしも書面であることを求められているわけではありませんが、法律で必ず定めるべき事項とされている記載事項を必要的記載事項と呼びます。必要的記載事項を記載した株式移転計画、そして法定の手続きを経ることにより、法律上の効果として、株式移転計画に定めるところに従った株式移転の効力が発生します。 他方、実務では、必要的記載事項に当たらない事項を、株式移転計画に規定することも少なくありません。株式移転計画は、その名の通り、計画ですから、必要的記載事項以外の事項を記載することも可能です。それが任意的記載事項です。 なお、共同株式移転等を利用したM&A取引の場面でも、他のM&A取引のときと同様に表明保証、取引実行の前提条件や補償等に関する事項について合意したいところです。しかし、株式移転計画は、株主総会の決議による承認が必要で、当事会社としては株式移転計画に、それらの事項を記載することは避けようとするのが一般的です。そこで、法定書類としての株式移転計画には必要的記載事項とごく基本的な任的記載事項を記載するにとどめ、それとは別に、当事会社間で契約書を別途締結し、その契約書の中に、表明保証、取引実行の前提条件や補償等に関する事項を記載するということが、しばしば行われます。もっとも、このような別途契約で、株式移転計画で定めた株式移転の条件、特に移転対価やその条件を実質的に変更することは、それによって不利益を受けるすべての株主が契約の当事者となっている場合はとにかく、そうでない場合には、どこまで別途契約に定めるかということには議論があります。 ü
株式移転計画で定めるべき事項 ・株式移転完全親会社に関する事項(773条1項1〜4号) 株式移転では、株式移転完全親会社は、株式移転の効果として、新たに設立されることになります。そのため、株式移転の効力発生と同時に、会社を゜存続させることができるように、会社として存続するために最低限必要な事項は、株式移転計画に記載する必要があります。それが、以下の株式移転完全親会社に関する事項です。 @)目的、商号、本店所在地、発行可能株式総数(773条1項1号) A)上記以外の定款で定めるべき事項(773条1項2号) たとえば、会計参与、監査役、会計監査人などの設置の有無のような機関設計(326条2項)についてです。 B)設立時取締役の氏名(773条1項3号) C)設立時の会計参与、監査役、会計監査人の氏名または名称(773条1項4号) <記載例> 第○条 1.丙(株式移転完全親会社)の目的、商号、本店の所在地および発行可能株式総数は次のとおりとする。 (1)目的 丙の目的は、別紙「定款」(以下「別紙定款」という。)第○条記載のとおりとする。 (2)商号 丙の商号は、「□□株式会社」とし、英文では「◇◇」と表示する。 (3)本店の所在地 丙の本店所在地は、△△とし、本店の所在場所は▽▽▽とする。 (4)発行可能株式総数 丙の発行可能株式総数は、××株とする。 2.前項に掲げるもののほか、丙の定款で定める事項は、別紙定款記載のとおりとする。 第◎条 1.丙の設立時取締役の氏名は次のとおりとする。 ○○○○ ○○○○ ○○○○ ○○○○ 2.丙の設立時監査役の氏名は次のとおりとする。 ○○○○ ○○○○ 3.丙の設立時会計監査人の名称は次のとおりとする。 ○○○○ 上記記載例のように、773条1項1号で記載が求められる目的と、2号で記載が求められるその他の定款記載事項については、株式移転計画の別紙として定款を添付のうえ、それを引用するのが便利であり、かつ、一般的です。 ・株式移転完全子会社の株主に対して交付する対価およびその割当て(773条1項5〜8号) 株式移転では、完全子会社の株式に対して、その株式に代えて、完全親会社となる会社の株式を交付しなければなりません。その数またはその数の算定方法とともに、株式移転設立完全親会社の資本金および準備金に関する事項(445条5項、会社計算規則52条)が株式移転計画で定められなければなりません(773条1項5号)。そして、株式移転計画では、この株式の割当てに関する事項も定めなくてはなりません(773条1項6号)。割当てに関する定めにおいては、原則として、完全子会社の株主の有する株式の数に応じて、完全親会社の株式を交付することを内容とするものでなければなりません(773条3項)。 株式移転計画において、完全親会社の社債等(社債および新株予約権)を対価として交付することを定めることもできます(773条1項7号)。対価の社債等が完全親会社の社債であるときは、その社債の種類および種類ごとの各社債の金額の高経学またはその算定方法を、株式移転計画において定めなくてはなりません。対価の社債等が完全親会社の新株予約権であるときは、その新株予約権の内容および数またはその算定方法を定めなくてはなりません(773条1項7号ロ)。対価の社債等が完全親会社の新株予約権付社債であるときは、社債の部分について社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法、および新株予約権部分について、新株予約権の内容および数またはその算定方法を定めなければなりません(773条1項7号ハ)。完全親会社の社債等を対価とする場合には、社債等の割当てに関する事項についても、原則として株式数に応じてなされなくてはなりません(773条1項8号)。 なお、株式交換の場合には、交換対価として株式交換完全親会社の株式、社債および新株予約権、その他の財産が認められており、株主に対しい平等に交付することができる性質のものであるかぎり、どのような財産でも交換対価として交付するができるようになっています。しかし、株式移転の場合は、会社法773条の条文で、株式移転完全親会社の株式、社債および新株予約権に限定されており、その他の財産を移転対価として交付することは認められていません。そのため、株式移転の場合には、移転対価として金銭を元居ることは認められていません。 また、株式移転完全親会社の株式を移転対価とすることについて定めた773条1項5号が、「株主に交付する」と規定し、「株主に対して交付するときは」と規定していないことから明らかなように、株式移転の場合には、移転対価として株式移転完全親会社の株式を何ら交付しないということは認められません。これは、そのようにしないと、株主が1人も存在しない株式会社の存在を認めてしまうことになるからです。このような事情により、773時用1項は、必ず交付しなければならない株式についての規定(773条1項5、6号)と、交付は任意となっている社債・新株予約権についての規定(773条1項7、8号)とに分けて規定されています。なお、株式移転完全親会社の株式の交付がありさえすればよいので、共同株式移転の場合、一部の株式移転完全子会社の株主に対して株式移転完全親会社の株式の交付を何ら行わないことは可能です。 <記載例> 第○条 1.丙(株式移転完全親会社)は、本株式移転に際して、丙の成立の日の前日の最終の甲(株式移転完全子会社)および乙(株式移転完全子会社)の株主名簿に記載または記録された株主に対し、それぞれの有する株式に代わり、以下の各号に定める数の合計に相当する数の丙の株式を交付する。 (1)甲が丙の成立の日の前日現在発行している株式数に☆☆を乗じた数 (2)乙が丙の成立の日の前日現在発行している株式数に★★を乗じた数 丙の商号は、「□□株式会社」とし、英文では「◇◇」と表示する。 2.丙は、本株式移転に際し、丙の成立の日の前日の最終の甲および乙の株主名簿にそれぞれ記載または記録された甲および乙の各株主に対し、その有する甲または乙の株式につき、次の割合にて丙の株式を割り当てる。 (1)甲の株主については、その有する甲の株式1株につき丙の株式☆☆株 (2)乙の株主については、その有する乙の株式1株につき丙の株式★★株 第◎条 丙(株式移転完全親会社)の成立の日における丙の資本金および準備金の額は、次のとおりとする。 (1)資本金の額 〇円 (2)資本準備金の額 ◎円 (3)利益準備金の額 ●円 ・株式移転交換完全子会社の新株予約権者に対する対価およびその割当てに関する事項(773条1項9〜10号) 株式移転完全子会社が新株予約権を発行している場合、株式移転の効力発生後も、それが残るとなると、せっかく株式移転によって完全子会社化したにもかかわらず、新株予約権が行使されることによって、完全子会社ではなくなってしまう可能性が残ってしまいます。そのため、株式移転計画に、株式移転に際して、株式移転完全子会社の新株予約権者に対して、消滅する新株予約権の対価として株式移転完全親会社の新株予約権を交付することを規定するができるようになっています。その場合、株式移転計画には、@新株予約権の内容および数または算定方法、A新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、その新株予約権付社債についての社債に関する債務を承継する旨ならびにその承継に係る社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法、B新株予約権の割当てに関する事項を記載しなければなりません(773条1項9、10号)。 <記載例> 第○条 1.丙(株式移転完全親会社)は、本株式移転交換に際して甲(株式交換完全子会社)の新株予約権者に対して、その有する甲の新株予約権に代わる新株予約権として、丙の成立の日の直前時における甲の新株予約権の総数に×××を乗じて得た数の別紙○に規定する内容の丙の新株予約権を交付する。 2.前項の対価の割当てについて、丙の成立の日の直前時における甲の新株予約権者に対し、その有する甲の新株予約権の数に×××を乗じて得た数の別紙○に規定する内容の甲の新株予約権を割り当てる。 ・株式移転完全子会社が種類株式発行会社であるときの特則(773条2項) 完全子会社が種類株式発行会社であるときは、全子会社の発行する種類の株式の内容に応じ、交付される株式の割当てに関する事項として、次に掲げる事項を定めることができます(773条2項)。 すなわち、@ある種類の株式の株主に対して完全親会社の株式の割当てをしないこととするときは、その旨およびその株式の種類(773条2項1号)、この他、A完全親会社の株式の株式の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うことをするときは、その旨およびその異なる取扱いの内容(773条2項2号)です。 ・効力発生日(768条1項6号) 株式移転は。株式移転完全親会社が株式移転の効果として新たに設立されます。そのため、会社は設立の登記によりにより成立するという会社法のルール(49条)に従い、株式移転の効力も、株式移転完全親会社の設立登記の日に発生することになります(774条1項)。株式交換の場合とは異なり、株式いてのでは当事会社間の合意で効力発生日を決めることはできないということになるため、株式移転計画に効力発生日を記載する必要はありません。 もっとも、実務では株式移転計画で、その効力発生がいつを予定しているかが不明であるのは不便であるため、効力発生予定日を明記しておくケースが少なくありません。 ü
任意的記載事項 株式移転計画では、会社法で規定されている法定記載事項以外の事項についても記載される事項が少なくありません。それが任意的記載事項です。これら任意的記載事項は、その記載がなくても、株式移転の有効性そのものには影響がありませんが、確認的な意味を持つものを含め、規定していることが少なくありません。以下で、代表的な事項について、以下で見ていくことにします。 ・株主総会の期日 株式移転計画において、その計画を承認するための株主総会を開催する時期を規定するケースは少なくありません。これは旧商法で、株主総会の期日が合併契約の必要的記載事項とされていたことの名残です。しかし、会社法では必要のない規定です。そのため、記載するにしても、株主総会の開催予定日として特定の日を記載せずに事例のようにきさいすることもかのうです。 ・自己株式の消却 株式移転では、完全子会社となる会社が有する自己株式にも対価の割当てがなされることになります。そのため、対価が完全親会社の株式である場合、株式移転の結果、完全子会社となる会社が有していた自己株式が完全親会社の株式となり、完全子会社が完全親会社の株式を保有してしまうことになります。会社法では、子会社がこのような事情により親会社株式を取得することは、例外的に許容されています。しかし、その場合でも、子会社は相当の時機に取得した親会社株式を処分しなければなりません(135条3項)。 子会社による親会社株式の保有については、このような制約があるため、そのような事態の発生を防ごうと、株式移転の効力発生前に、完全子会社となる会社に自己株式の消却をさせるケースがあります。 ・善管注意義務 共同株式移転において、共同株式移転計画作成から効力発生日に至るまでの間に、に当事会社の財産状態等が大きく変化したりすれば、当初定めた共同株式移転の条件、特に移転比率の前提が崩れてしまうことになるため、相互に、財産状況等が変わることがないよう、株式移転計画の作成時から効力発生日までの間、当事会社が会社財産および会社経営について善管注意義務を負うと定めることは、実務上、少なくありません。 ・剰余金の配当の限度額 配当ということは、当時会社から財産が流出する行為であり、資産総額の減少をもたらし、ひいては対価の定め方や移転比率に影響を及ぼす可能性があるものです。そのため、株式移転計画作成後から効力発生日までの間に、当事会社による配当は原則として禁止するのが一般的です。しかし、他方で、株式移転計画作成時と効力発生日の間に、期末配当や中間配当の時機が入り込んでくる場合には、配当せざるを得ないでしょう。そのため、配当は原則として禁止としながらも、一定の限度で可能とする規定を株式交換契約の条項として入れる場合もあります。 ・重大な変動が発生した場合の対応 株式移転計画作成時に前提としていた状況が効力発生日までの間に大きく変化してしまった場合、そのまま株式移転の効力を発生させてしまうことは、当事会社の意思に反してしまうこともありえます。そのような事態の発生に備えて、重大な変動が発生した場合に備えるための定めを条項として株式移転計画に記載する場合もあります。。 とくに共同株式移転の場合、このような規定を設ける際に、考慮すべき重要なポイントは、重大な変動等の事象が生じた場合に、当事会社に一方的な変更権または解除権を付与するかどうかです。 ・解除条件 株式移転計画において、一定の事由が生じた場合には、株式移転が自動的に失効する旨の解除条件を規定することもあります。典型的なものとして、必要な株主総会の承認が得られなかった場合や株式移転の効力発生に必要な関係官庁の許認可が取得できなかった場合です。 ・表明保証・補償等 株式移転で、表明保証等の問題が生じるのは、共同株式移転の場合です。共同株式移転では株式移転完全子会社が複数いるため、株式移転完全子会社の間で表明保証を求め合うことが考えられます。 共同株式移転の場合、株式移転完全子会社となる各会社の株主にしてみると、他の株式移転完全子会社の実際の財務状況等が株式移転計画策定時に想定していた状況よりも悪い場合には、割り当てられる株式移転完全親会社株式の数を決める移転比率について、不利益を被ることになりかねません。しかし、共同株式移転の場合には、その効力発生後は、株式移転完全子会社が100%の資本関係で結ばれた兄弟会社になるわけです。したがって、表明保証違反があったとしても、効力発生後に、他の株式移転完全子会社に対して補償請求をする意味があまりないというのは、株式交換の場合と同様で、そのため、共同株式移転の場合にも、株式交換の場合と同様に、表明保証の持つ役割のうち、前提条件としての役割は機能するものの、補償としての役割を果たす機能は限定なものとなります。 ü
具体例 以上のことを踏まえて、株式移転計画の全体的な記載例を下に示してみます。
計算書類等の監査等(436条) 計算書
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