新任担当者のための会社法実務講座
第751条 持分会社が存続
する吸収合併契約
 

 

Ø 持分会社が存続する吸収合併契約(751条)

@会社が吸収合併をする場合において、吸収合併存続会社が持分会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 持分会社である吸収合併存続会社(以下この節において「吸収合併存続持分会社」という。)及び吸収合併消滅会社の商号及び住所

二 吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員が吸収合併に際して吸収合併存続持分会社の社員となるときは、次のイからハまでに掲げる吸収合併存続持分会社の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項

イ 合名会社 当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の価額

ロ 合資会社 当該社員の氏名又は名称及び住所、当該社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別並びに当該社員の出資の価額

ハ 合同会社 当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の価額

三 吸収合併存続持分会社が吸収合併に際して吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員に対してその株式又は持分に代わる金銭等(吸収合併存続持分会社の持分を除く。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項

イ 当該金銭等が吸収合併存続持分会社の社債であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

ロ 当該金銭等が吸収合併存続持分会社の社債以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

四 前号に規定する場合には、吸収合併消滅株式会社の株主(吸収合併消滅株式会社及び吸収合併存続持分会社を除く。)又は吸収合併消滅持分会社の社員(吸収合併存続持分会社を除く。)に対する同号の金銭等の割当てに関する事項

五 吸収合併消滅株式会社が新株予約権を発行しているときは、吸収合併存続持分会社が吸収合併に際して当該新株予約権の新株予約権者に対して交付する当該新株予約権に代わる金銭の額又はその算定方法

六 前号に規定する場合には、吸収合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者に対する同号の金銭の割当てに関する事項

七 効力発生日

A前項に規定する場合において、吸収合併消滅株式会社が種類株式発行会社であるときは、吸収合併存続持分会社及び吸収合併消滅株式会社は、吸収合併消滅株式会社の発行する種類の株式の内容に応じ、同項第四号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。

一 ある種類の株式の株主に対して金銭等の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類

二 前号に掲げる事項のほか、金銭等の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容

B第1項に規定する場合には、同項第4号に掲げる事項についての定めは、吸収合併消滅株式会社の株主(吸収合併消滅株式会社及び吸収合併存続持分会社並びに前項第1号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第2号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて金銭等を交付することを内容とするものでなければならない。

 

持分会社とは、合名会社、合資会社および合同会社を言い、この持分会社が存続会社となる吸収合併契約について751条で規定されています。吸収合併は合併当事会社の株主・社員および債権者等に重大な影響を及ぼすので、合併契約の重要な事項について、その明確性および不可変更性を確実にするために、合併契約に一定の事項を定めるべきことを定められています。

ü 合併当事会社の商号および住所(751条1項1号)

・合併当事会社の確定

合併契約では、存続会社と消滅会社の商号と住所を規定しなければなりません。住所は本店の所在地(27条3号)では足りず、本店の所在場所(911条3項3号)が記載されなければなりません。商号と住所の記載により、会社の同一性が明らかとなるからです。また、いずれの会社が存続会社でいずれの会社が消滅会社であるかが明確になるように記載されなければなりません。それぞれの会社の種類、株式会社であるか持分会社である場合には合名会社、合資会社、合同会社の別が明らかにしなければなりません。これは、それぞれの会社の商号の中で明記されます。

<記載例>

第○条 吸収合併する会社の商号および住所

本合併にかかる吸収合併存続会社と消滅会社の商号および住所は次のとおりとする。

(1)吸収合併存続会社

商号:○○合名会社

住所:○○県○○市○○町○丁目

(2)吸収合併消滅会社

商号:△△株式会社

住所:△△県△△市△△町△丁目

ている必要があります。

ü 合併対価(751条1項2号)

消滅会社が株式会社の場合、消滅会社の株主であった者が存続会社である持分会社の社員になること、または、金銭等の交付を受けることが合併契約に定められ、消滅会社が持分会社の場合、社員であった者が存続会社である持分会社の社員となること、または金銭等の交付を受けることが合併契約に定められる。これが合併対価です。

・合併対価が存続会社の持分である場合

会社法では、吸収合併に際して消滅会社の株主または社員が存続会社の社員になる場合とそうでない場合を認めていて、合併対価が柔軟化されています。また、持分会社の社員と株主の間では、社員または株主同士の結びつきの程度に差があり、持分会社では社員ないし持分の個性が法律上強く意識されてきました。そのため、持分会社の種類ごとに規定が設けられています。

@)存続会社が合名会社である場合(751条1項2号イ)

消滅会社の社員または株主が、存続会社である合名会社の社員になる場合には、合併契約に、消滅会社の各社員または各株主の氏名・名称および住所ならびに出資の価額が定められなければなりません(751条1項2号イ)。この出資の価額は、吸収合併が発生した後、存続持分会社の損益分岐点および残余財産分配の基準として必要なものです。

持分会社の定款には、出資の目的及びその価額または評価の標準が定められなければならない(576条1項6号)となっています。消滅会社が合名会社であり存続会社も合名会社であるときは、消滅会社で信用出資・労務出資をする無限責任社員が信用出資・労務出資をする存続会社の無限責任社員となる場合もありえます。したがって、751条1項2号イは出資の価額は定めることとしていますが、576条1項6号を勘案して、出資の目的及びその価額または評価の標準と読み替えるものと解されています。

A)存続会社が合資会社である場合(751条1項2号ロ)

消滅会社の社員または株主が、存続会社である合資会社の社員になる場合には、合併契約に消滅会社の各社員または各株主の氏名・名称および住所、その者が無限責任社員となるか有限責任社員となるかの別、また、その者が有限責任社員となるときの合資会社における出資の価額が定められなければなりません(751条1項2号ロ)。

B)存続会社が合同会社である場合(751条1項2号ハ)

消滅会社の社員または株主が、存続会社である合同会社の社員になる場合には、合併契約に、消滅会社の各社員または各株主の氏名・名称および住所、ならびに、その者が合同会社の有限責任社員となるときの合同会社における出資の価額が決められなければなりません(751条1項2号ハ)。

C)吸収合併に反対の株主または社員

この場合の合併契約は、消滅会社の株主および社員の全員の同意が必要とされるので、少数株主・少数社員のための買取請求の制度はありません。

D)債権者の保護

持分会社については、社員の責任内容の変更や持分の譲渡に際して、会社債権者の保護のために、次のような規定が設けられています。第1に、合資会社の有限責任社員が定款変更により出資の価額を変更した場合であっても、その登記をする前に生じた合資会社の債務については、従前の責任(変更前の出資価額)の範囲内で弁済する責任を負う(583条2項)。第2に、合名会社または合資会社の無限責任社員が定款変更により有限責任社員となった場合であっても、登記をする前に生じた持分会社の債務については、無限責任社員として債務を弁済する責任を負う(583条3項)。第3に、持分の全部を他人に譲渡した社員は、登記をする前に生じた持分会社の債務については、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う(586条1項)。

これらとは別に持分会社が合併当事会社である場合の債権者異議制度が設けられています(703条2項、789条、802条2項、799条)。

・合併対価が存続会社の持分以外である場合(751条1項3号)

合併契約に存続会社が金銭等を交付することを定めたときについては、それが存続会社の社債である場合とそれ以外の場合に分けて、合併契約の記載事項定められています(751条1項3号)。

@)合併対価が存続会社の社債である場合(751条1項3号イ)

存続会社が消滅会社の社員または株主に存続会社の社債を交付する場合には、合併契約に社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法が記載されていなければなりません(751条1項3号イ)。この「社債の種類」については、744条1項5号イ、107条2項2号ロ、681条1号の規定により会社法施行規則165条に掲げる事項が社債の種類とされています。また、「社債の種類ごとの各社債の金額の合計額」は、社債原簿に記載されるべき種類ごとの社債の金額の対価として交付される合計額です(681条2項)。なお、この定めは消滅会社の株主に交付する社債の総体についての定めであり、これを各株主にどのように割り当てるかについては749条1項3号に定められています。

実務では、社債を合併対価として用いる場合、合併契約の別紙で、社債の条件を規定します。

A)合併対価が存続会社の社債以外の財産である場合(751条1項3号ロ)

存続会社が消滅会社の株主または社員に存続会社の社債以外の財産を交付するときは、合併契約に財産の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法を定めて記載しなければなりません(751条1項3号ロ)。

なお、存続会社が゜持分会社であるときは、存続会社が、消滅会社の株主・社員に存続会社の株式、新株予約権を交付することはありませんが、社債以外の財産として、第三者である株式会社の株式、社債、新株予約権を交付することは認められています。

・合併対価の交付

吸収合併の契約で、消滅会社の株主であった者または消滅会社の社員であった者が存続会社の社員となることが定められた場合、752条6項所定の場合を除き、吸収合併契約の効力発生日にその効力が生じます(752条3項)。また、この場合、存続会社である持分会社で、新たに社員を加入させることになり、定款の変更が必要になります(576条1項、604条2項)。しかし、合併手続き以外の手続きにより存続会社が定款の変更をする煩わしさを避けるために、「効力発生日に、同号の社員に係る定款の変更をしたもの」とみなされる(752条3項)とされています。合併契約にその旨を記載することにより、存続会社の定款は合併の効力発生日に自動的に変更されることになります。

吸収合併契約に、消滅会社の株主であった者または消滅会社の社員であった者に対し存続会社である持分会社がその社債を交付する旨を定めた場合には、752条6項の場合を除き、消滅会社の株主であった者または消滅会社の社員であった者は吸収合併契約の効力発生日に社債権者になります(752条4項)。

吸収合併契約に定められた金銭等が上記以外のものである場合には、751条6項の場合を除き、消滅会社の株主であった者または消滅会社の社員であった者は、吸収合併契約の効力発生日に合併対価である目的物の引渡し請求権を有することになります。

ü 割当比率(751条1項3号)

合併契約には、合併対価について、存続会社が交付するものが社債の場合には、その種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法、存続持分会社の持分を除く社債以外の財産の場合にはその財産の内容及び数もしくは額または算定方法のほか、消滅会社の株主または消滅会社の社員に対する金銭の割当てに関する事項を記載しなければならないとされています(751条1項3、4号)。

合併対価を各株主にどのように割り当てるかとういうのは、消滅会社の株式1株について交付される合併対価の内容および数・額・量が合併契約に定められるということで、これを割当比率または合併比率といいます。

・持株会社の社員平等原則

割当比率について社員平等の原則の定めはありません。消滅会社である持分会社の場合は吸収合併契約について総社員の同意が要求されている(793条1項1号)ため、社員を害するおそれはありませんが、そもそも持分会社の社員の地位(=持分)は、各自が1つの持分を有すると考えられ(持分単一主義)、その内容は等質でなくその評価額においても同額ではない(持分不均一主義)と考えられています。持分会社では、基本的に、株主平等の原則に相当する社員平等の原則のような考え方はありません。ただし、持分会社の損益分配や残余財産分配は、出資の目的およびその価額または評価の標準を基準にしてなされると考えられています(576条1項)。

・株主平等の原則

消滅会社が株式会社の場合、その株主の有する消滅会社の株式1株当たりの金銭等の割当てに関する事項については、株主平等の原則が適用されます(751条3項)。すなわち、消滅会社が株式会社である場合の株主に対しては、存続会社は、株主が有する株式の数に応じて、同じ内容のものを同数、同類、同量を交付しなければならないということです。もっとも、消滅会社が株式会社であって種類株式発行会社である場合には、株式の種類ごとに異なる内容の合併対価を交付すること、また、同じ内容の合併対価であっても数、額、量が異なる扱いを合併契約で定めることはできます(751条2項2号)。さらに、ある種類株式を有する種類株主に対しては合併対価を交付しないと合併契約に定めることができます(751条2項1号)。

また、751条3項は、「751条1項4号に掲げる事項についての定め」に限定しており、存続持分会社の持分を対価とする場合は、株主平等原則は適用されません。この場合には吸収合併契約について消滅会社である株式会社の総株主の同意を得なければなりません(783条2項)。株主平等の原則が適用されなくても株主を害することにはならないからです。

・無対価合併

吸収合併存続会社が、その持分もその他の金銭等も交付しない、無対価合併も認められています。無対価であることに不満を抱く消滅ン会社の株主または社員が1人でも吸収合併に同意を与えないかぎり、吸収合併は実行できないため、とくに少数株主または少数社員保護の必要はありません。

ü 消滅会社が株主総会である場合の新株予約権の消滅とその保証(751条1項5、6号)

消滅会社である株式会社が発行していた新株予約権は、合併の効力発生日に消滅します(752条5項)。そのため、消滅会社が発行した新株予約権を有する新株予約権者の保護が必要となります。したがって、合併契約には新株予約権者に存続会社の金銭を交付する旨およびその金銭の額または算定方法を定め、別途、各新株予約権者に対して交付される金銭の割当てに関する事項を合併契約で定めなければならないとされています(75条1項5、6号)。

また、効力発生日までに権利行使期間の最終日が到来する新株予約権については、合併の効力発生日までに権利行使期間が経過すれば、そのような新株予約権は消滅します。したがって、権利行使期間の最終日が合併の効力発生日以後に設定されている新株予約権が合併契約において保護されるべき新株予約権となります。

ü 合併の効力発生日(751条1項7号)

合併契約には合併の効力発生日を記載しなければなりません(751条1項7号)。752条6項の場合を除き、合併契約に定められた効力発生日に合併の効力が生じます。

なお、合併の効力が実際に生じた日から2週間以内に、合併当事会社の本店の所在地を管轄する登記所にある商業登記簿に、消滅会社については解散の登記をし、存続会社については変更の登記をしなければなりません(921条)。

ü 任意的記載事項

合併契約では、会社法で規定されている法定記載事項以外の事項についても記載される事項があります。それが任意的記載事項です。合併の本質や法令の強行規定に反しない限り、その内容は有効となります。代表的な事項について、以下で見ていくことにします。

・株主総会の期日

合併契約において、その合併契約を承認するための株主総会を開催する時期を規定するケースは少なくありません。

これは旧商法で、株主総会の期日が合併契約の必要的記載事項とされていたことの名残です。ただし、合併契約で規定された効力発生日が到来しても、合併当事会社のいずれかの会社で合併契約の承認決議が終わっていなければ、合併の効力は生じません。したがって、当事会社の一方で合併契約を承認する株主総会の開催が遅れることは、もう一方の当事会社にとっては大きな迷惑となり、場合によっては損害が発生することもありえます。そこで、合併契約において株主総会の期日を規定することがあるのです。

・財産承継

合併により承継する財産について、合併契約で次のように規定することは、実務上多く見られる。

効力発生日に消滅会社のすべての権利義務は存続会社に承継される(750条1項)ので、合併契約書で承継する権利義務の範囲を定めることはできません。しかし、実務上では多く見られる条項であり、設けることで害となるものでもありません。

・善管注意義務

合併比率等の合併の条件は、原則として、合併契約の締結時または株主総会による承認時の当事会社の財産状態をもとに定められています。仮に、その後効力発生日に至るまでに当事会社の財産状態が大きく変化したりすれば、当初定めた合併条件を見直す必要が生じてしまう可能性があります。そのような事態の発生をできるかぎり避けるために、合併契約の締結時から効力発生日までの間、当事会社がン会社財産および会社経営について善管注意義務を負うと定めることは、実務上、少なくありません。

・剰余金の配当および中間配当

これは旧商法において、利益の配当額および中間配当額の上限を決めることが合併契約の必要的記載事項とされてたことの名残です。

このような事項を合併契に規定していたのは、配当ということは、合併当事会社から財産が流出する行為であり、資産総額の減少をもたらし、ひいては合併対価の定め方や合併比率に影響を及ぼす可能性があるものである。また、例えば、定時株主総会の前に合併契約を締結し、定時株主総会でその契約を承認するスケジュールで合併を行い場合、同じ総会で配当額が決められる、というように確実に発生するものです。そこで、配当額の上限を合併契約で決めて、財産の流出を抑えようとするものです。しかし、同じように合併比率に影響を与える行為は、剰余金の配当だけでなく自己株式の取得などいくつかあります。

剰余金の配当額の上限の規定は前記の善管注意義務の条項に対する例外規定としての意味があると言えます。当事会社の財産状況に大きな影響を与える行為について、あらかじめ両当事者が合意するということで規制するということになります。そのため、善管注意義務の規定とセットで合併契約に置いているのが一般的です。

・合併により退任する当事会社の役員の退職慰労金

吸収合併が実行される場合、通常、消滅会社の取締役等は終任となります。このとき、消滅会社が終任となる取締役等に支払う退職慰労金は、その職務の執行対価としての性質を有するものであるかぎり、株主総会の決議に基づくものでなければなりません。しかし、退職慰労金の金額が多額となるときは、会社からの財産の流出となり、合併比率に影響を及ぼす可能性が生じます。そこで、配当金の上限を合併契約で決める場合と同じように、合併契約に規定を設ける場合もあります。ただし、退職慰労金を株主総会で決議する場合にでも、上限を明示しないのが通常なので、合併契約では、協議・合意に基づき額を定めるという形の規定になると考えられます。

・消滅会社の従業員の処遇に関する事項

合併の効果として、消滅会社のすべての権利義務は存続会社に承継される(750条)ので、従業員のとの労働契約関係も、従業員の承諾なく、存続会社に承継されます。この労働契約が承継されるということは、消滅会社の従業員の労働条件が消滅会社のときのまま、存続会社に引き継がれるということです。存続会社の労働条件に転換されるということではありません。それゆえ、合併の効力発生日までの間、および効力発生後も継続して、存続会社の労働条件と、消滅会社から承継された労働条件とを調整することが必要となります。

・合併契約の解除・変更

合併契約を締結した際に前提としていた状況が効力発生日に至るまでの間に変化してしまった場合には、そのまま、合併の効力を発生させてしまうことは、当事会社の意思に反することとなってしまう。この点、変化した状況によっては、一方の当事者にとってはそのままの合併比率で合併することは問題とはならないが、他方の当事者には問題であるという事態も起こり得ます。この点への対応として、合併契約の解除に関する条項を規定することが考えられます。例えば、天災地変その他の事由により合併当事会社のいずれの財産に著しい変動が生じた場合を条件として契約を解除できるという内容の条項を合併契約にもうけるということです。しかし、「その他の事由」の範囲は曖昧であるし、「財産に著しい変動」は判断が介在することとなるので、このような条項が契約にあったとしても、株主総会の承認を得ずに取締役会の限りで解除の決定をすることが適当て言えるかは問題があるという考えがあります。

実務では、実際に何らかの事象が生じた後に協議を行うという程度の規定を設けているケースが多いようです。

また、合併契約の変更の場合も、同じように考えられます。

 

 

計算書類等の監査等(436条)    

計算書

 

 
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